スーザン・ソンタグ
「レニ・リーフェンシュタールの『意思の勝利』と『オリンピアード(原文ママ)』を傑作と評することは、
ナチのプロパガンダを芸術性に免じて見逃すことではない。
ナチのプロパガンダはそこにある。だが、それ以外の何かがあることも確かだ。
それを無視することは、われわれにとって損失である」

溝口健二著作集刊行記念:佐相勉インタヴュー
例えば小津安二郎なんかにしても『民族の祭典』(38)をその年のベストテン一位におしてるんですよ。
だからそれは溝口だけじゃなくて、日本の映画界全体で当時のナチスの映画に対する評価は高かったんじゃないかな。

黒澤は山本嘉次郎監督『馬』(1941)の助監督をつとめているとき、高峰秀子とともに『民族の祭典』を見にいった。
帰り道、黒澤は高峰いわく「私の存在など気にもとめてくれず」足元を見ながら黙々と歩いていたそうです。

映画『ニワトリはハダシだ』 インタビュー2
対談者 ................  森崎東、 榎戸耕史
もう一つ、入って直ぐの所にカメラの移動車を押しているレニ・リーフェンシュタール、
『民族の祭典』(38)のファーストシーンが再現されているんですよ。この映画の公開当時、
小学校の低学年だった僕は教師、クラスメイト達と一緒に見たんです。
僕の前にはおかっぱの女の子達が並んでいまして、円盤投げの全裸の青年の写ったタイ トルバックで、
移動車が彼の背中の方から回り込んでいくわけですが、そのおかっぱ頭が移動車が回り込んでいくのにつられて、
一斉に回り込むわけです(笑)。その瞬間を非常にビビッドに思い出しました。

古川薫「花も嵐も 女優・田中絹代の生涯」(平成 14 年 2 月 15 日 文芸春秋)では、
昭和 15 年にレニー・リーヘンシュタールの「民族の祭典」を見て、女性監督の仕事に感銘を
受けたことが記されている。

広くて深い、ドキュメンタリー映画の世界/原一男
 ニューヨークでは、週一度、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の映画部門に頼み込んで収蔵作品を見せてもらった。
ルイ・リュミエール「工場の出口」、ロバート・フラハーティ「ナヌーク」、ジガ・ヴェルトフ「カメラを持つ男」、
リーフェンシュタール「オリンピア=民族の祭典」、ヨリス・イヴェンス「雨」etc、みんな、ここで見たものだ。