安価・お題で短編小説を書こう!3
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
安価お題で短編を書くスレです。
■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。
■投稿方法
投稿する際は、1行目に【】でタイトルを付けてください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、著作者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。ご協力よろしくお願いします。
■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/ >>1乙。前スレはいつまで書き込みできるやら・・・ >>1乙です
テンプレートに追加があるとしたら
・投稿の際、使用したお題を明示してください
・作品に関する感想も随時受け付けています
・過去スレに投稿した自身の作品の続き物でもOKです
とかですかね 現在のお題、再掲
☆お題→『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』より一つ以上を選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー
☆締め切り→4/8の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/4の22時 >>1
スレ立て乙です
>>3
テンプレ案ありがとう、次回以降でまた加筆します
>>4
俺の気が利かず……コピペありがとう
前スレ、投票で埋めてくれって一覧コピペした瞬間に落ちた……投票は今日までです、まだまだ受け付けています >>1
遅ればせながらイチ乙!
>>5
進行氏も乙〜 >>1乙です。
進行さんも乙!
まーた投票忘れかけてた……
これ、自分の作品に投票はありですか? さて、開始早々こんなお話で申し訳ない
使用お題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【馬鹿話】(1/2)
日曜の朝っぱらからファミレスに呼び出された俺は、不機嫌な態度を隠さず席に座った。
実際、翌日が日曜だと言う事で、昨晩は遅くまで起きていた事もあり、すこぶる眠かったと言う事も有る。
「悪いな、朝早くから」
思いがけず殊勝な態度の友人に、俺は「おや?」っと思った。
確かに呼び出しの台詞は「相談がある」と言うものだったが、どうせ何時もの様な下らない悩みだと思っていたからだ。
だが、彼の態度を見る限り、もしかしたら深刻な事なのか? と思えた。
「お、おう。で、何だ? 相談って」
「…………すまん!!」
行きなりの謝罪に面食らう。正直、謝罪してもらう様な事の心当たりは……多いな? どれの事だ?
だが、俺はそんな事などおくびにも出さず「何の事だ?」と話の続きを促した。
「……ああ、どこから話したら良いのか…………忍者が……居たんだ……」
「はあ?」
突拍子も無い言葉に俺は怪訝そうな顔に成る。その事は友人も予想していたのか曖昧な笑みを浮かべながらも何やら言葉を選んでいる様子だった。
「その、なんだ。信じられないかもしれないが、居たんだ、部屋に……忍者が」
「そ、そうか……」
自身の言葉が上手く伝わらない事が歯がゆいらしく、腕を組んでどういえば良いのかと考えているらしい。俺の方もそれを見てようやく、彼が嘘を吐こうとしては居ないらしいと判断したのだが……
忍者ねぇ……
どうにか考えを纏めようとしながら話す彼の言葉は、それでも尚、とっ散らかっていて要領を得なかったが、しかし、その内容を纏めるとこう言う事に成る。
家に帰ったら部屋に巨大な忍者が詰まって居た……全裸で……
うん、分からん。
え? 何、ウィ〇ードリィ? 何その、全方位に対して不必要なサービス。
ただ、それだけでは彼が俺に対して謝る意味がわからない。だが、次の言葉で俺は思わず声を上げてしまった。
「主を探してるって言ったので……その、思わず紹介してしまったんだ……お前を……」
「何してくれてんのぉ!?」 【馬鹿話】(2/2)
そりゃ怖いだろうさ、部屋にみっちりと詰まっている様な全裸忍者に「主に成ってくれ」なんて言われたら!
だがそこで、なぜ俺? むしろ何で俺? いやいや、なして俺?
「つい、思ってしまったんだ、お前なら何とかしてくれるだろうって……」
俺は口をパクパクとさせる。確かにコイツが何かやらかした時、その尻拭いをしているのは俺だけど、だけど!
それでもなお、巨大忍者が居なくなるかどうかは、博打だったらしい。
そうだろう。いくら「もっと良い主を紹介しますよ」と、言った所で、相手がそれを了承するかどうかは分からないんだから。
だがそれでも、コイツは賭けに勝った。
その忍者はしばらく考えた後、忽然と姿を消したのだそうだ。
コイツも狐に摘ままれた気分で、しばらく呆けていたらしいのだが、我に返って、慌てて俺に連絡を入れたのだと言う。
「本当に、すまん!!」
そう言って彼は再び頭を下げたのだ。
******
奇妙な話をされた帰り、俺はハタと気がついた。
「あ、今日、エイプリルフールじゃん」
あまりに真剣な彼の言葉に、うっかり「本当か?」等と思ってしまったが、冷静に成って考えれば荒唐無稽過ぎて、信じる方がおかしいレベルだ。
「はぁ、やられた。雰囲気で押し切られたって所か……」
四月馬鹿の正午までは、まだ時間がある。
どう仕返しをしようかと、俺は考えながら部屋のドアノブに手を掛けた。
ガチャ
……
…………
………………
みっちり……… >>8
そんな押しかけ忍者はいらないですねw
というか忍者……?
そうか、主になった後に友人のところに行くように指示して追い出してしまえばいい! 感想有難うございます
既に正体不明のナニカですね
きっと忍者は、そうして主不在のまま、あちこちを渡り歩いているのです
もしかしたら次はアナタの…… よし、三本目行きます!
お題 『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【嘘の中の真実】
俺は主人公である忍者を鍛えて、社会の全てを牛耳る巨大な悪に立ち向かうというコンセプトのPC用MMORPG『忍者の隠れ里』をプレイし続けてきた。
序盤ではまず基礎的なステータスを鍛えていき覚える忍術の種類により、戦闘向け、諜報向け、暗殺向けといくつかのパターンに分かれていくのが特徴だ。
ある程度鍛え終わった後にはオンライン要素として他のゲームで言うところのギルドに相当する隠れ里というものに所属する事が出来る。既存の隠れ里の募集から参加してもいいし、極小からのスタートにはなるが自身で隠れ里を立ち上げる事も可能だ。
俺は結構このゲームを続けている。もう三年目にはなるだろうか?
序盤のうちにサクサクと進んでいくのだが、途中からは途端に進めるのが難しくなっていくというのも特徴である。
メインストーリーであるソロで攻略するものは良いが、マルチプレイである隠れ里同士の戦闘となると途端にハードルが上がるのだ。
高難易度の任務で手に入る忍具が必須になってくる上に、その強化にも博打要素が強く、一定以上になれば強くなるのが非常に難しくなる。
それでも諜報向けや暗殺向けであればプレイヤースキルがあれば、それほど強力な忍具がなくても太刀打ちは出来る。そしてマルチプレイは強力な忍具が必須の戦闘向けと、熟練したプレイヤースキルがないものは参加お断りの諜報向けと暗殺向けが主流となっている。
駆け引きが重要となり、隠れ里同士の戦いはこのゲームの一番の人気要素となっている。ただし、新規はお断りではあるが。
つまりはゲームとしては末期状態なのだが、熱狂的なファンもいる為サービス終了の気配はまるで無かった。
そして四月一日が訪れる。そうエイプリルフールである。
「さて、今年はどんな趣向でやらかしてくるのかね?」
このゲームはエイプリルフールでかなり大袈裟な、ともすればやり過ぎだと言われるような事を毎年しでかしている。下手をすれば他の季節ネタよりも一番手が込んでいるのかもしれない。
サービス開始から初めてのエイプリルフールではサーバーのデータが吹き飛び、全キャラが初期化されましたとかいって一日だけ本当に初期キャラにしてしまっていた。
当然ではあるがエイプリルフールネタだとは気付かず荒れに荒れた。それが嘘だとわかる翌日になるまではだが。
翌日にはその初期キャラの一日での成長具合によってサービスアイテムを配るという事をやっている。通称、「変化の術の乱」と呼ばれている。
その翌年、つまり去年はバグでアイテム増殖方法を大々的に公式に載せてしまっていた。だが、それは実装予定のシステムのテストであり、後日そのアイテム増殖を行なったプレイヤーにテストへの協力の感謝として強力なアイテムが配布された。
もちろん荒れに荒れたものである。通称、「分身の術の乱」と呼ばれている。
二年連続のやり過ぎともいえるエイプリルフールに、ユーザー達は運営が火遁の術を使う日とも呼ばれていたりした。だから今年も何かやらかすのだろうと思って俺は公式サイトを開いた。
「……サービス終了のお知らせ? また今回も悪質な嘘だなー。どうせまた嘘なんだろうけどさ」
だから今年のエイプリルフールに、サービス終了のお知らせと告知された時には信じるプレイヤーは殆いなかった。誰もが翌日には撤回され、なんらかのイベントがあると信じていた。俺ももちろんその一人である。
「……あれ? 表記が変わんねぇ? エイプリルフールはもう終わったぞ?」
だが、翌日になっても撤回されることもなくサービス終了のお知らせは記載されたままだった。
もちろん荒れに荒れたが、今回ばかりは運営は嘘をついてはいなかった。経営不振でサービス終了後に運営会社は潰れたのである。
結局のところ、エイプリルフールには嘘の告知しかしない、そんな思い込みがプレイヤーにあったのだろう。だから誰も信じなかった。
エイプリルフールとはいえ、嘘ばかりではないという事は忘れないようにしたほうがいいのかもしれない。
教訓的お話ですね
当然だと思い込むことこそが嘘を作る
例えどんなん真実も、聞き手が嘘立と断ずれば真実足り得ない
そう言う事あります 使用お題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【四月の愚者】(1/2)
四月の一日、俗に言うエイプリルフール。
私は早朝から隣に住む幼馴染の部屋に、あたかも忍者の様に音もたてずに上がり込みます。
いつも「勝手に入って来ないでよ」と言う割には、窓に鍵が掛かっていた事などありません。
隣が私の部屋だと言う事で油断しているのでしょうか? その信頼がこそばゆくもありますが、ニヤケている場合ではありません。
ベッドを覗き込むと、まだあどけなさの残る顔が、スースーと寝息をたてています。
「睫毛が長いですね……」
サービスショットです。愛らしい寝顔に、私は「ほぅ」とため息を吐きました。
今日、私はある決意を胸にここを訪れました。巨大な不安と、極々小さな期待を胸に……
だって、これ以上堪え忍ぶなんて、もう、こらえられそうにありませんから……
確かにこれは大博打です。
ですが今日、この時だからこそ許されるかもしれない……そんなささやかな打算も持っています。
我ながら浅ましいとは思いますが、しかし、保険でも掛けていなければ、こんな博打にうって出ようなんて思わなかったでしょう。
「ん、うぅん?」
部屋の主が目を覚まします。私の胸が早鐘を打ちます。
「おはよう! 歩夢!」
「あ、美希ちゃん。おは〜………………何でいるの?」
寝癖でとっ散らかった頭で、歩夢がコテンと首を傾げます。
そんな小動物の様な仕草も、私の心を捕らえて離しません。
物心ついた時からこんな事が続けば、理性も崩壊しようと言うものです。
ですからこの、これから私が行う歩夢を傷付けるかもしれない行為は、ある意味、歩夢のせいでもあります。
私は疑問に答えず呼吸を整えました。 【四月の愚者】(2/2)
「歩夢! 私はこれから嘘を吐きます!!」
「……宣言されてウソを吐かれるのは初めてだよ」
目を瞑り、一気に言葉を吐き出します。
「私はアナタが嫌いです!! 大っ嫌いです!! 愛してなんかいません!!」
「ふえ?」
言い切って目を瞑っていた私は、すっとんきょうな声の後、一言も発しなくなった歩夢の反応が気にかかって、おそるおそる目を開けました。
「………………」
「………………」
何とも形容しがたい表情の歩夢に、私の背筋がゾワリと寒くなり、足下から世界が崩れ去ったかの様な感覚に囚われました。
多分、この世の終わりの様な顔をしているであろう私を見て、歩夢はハッとした様に口を開きます。
「え〜っと、エイプリルフールの嘘はネタバラシをしなくちゃいけないのは知ってるよね?」
「…………はい」
「じゃ、こっから本当の意味で答えてくれる?」
「………………はい」
「えっと、つまりは嫌われているって訳じゃ無いって事だよね?」
「……………………はい」
か細くそう答えた私に、歩夢はホッと胸を撫で下ろすと、ニパっと微笑んで言いました。
「ボクは、そんな事を言う美希ちゃんは嫌いだな」
「!」
「だから、今日の午後までは許さない」
今日の午後まで? エイプリルフールのルールでは嘘は午前中の間だけ。
つまりは私と同じ様に嫌ってなんて居らず、もう許してくれていると言う事でしょうか?
それとも、許してなんか居らず、午後までどころか一生許さないと言う事でしょうか?
どう言う意味なのか分からず、不安で顔を青くし、ブルブルと震える私を見ながら、イタズラっ子の微笑みで彼女は言いました。
「ボクも、美希ちゃんの事なんか愛してないんだからね!」 1stスレの続き、のつもりです。見なくても一応読めるように書いたつもりです
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【ON AIR With Her その2】 (1/2)
あ、はいわこつー。192コメさんいらっしゃい。
あ、はい、久しぶりです。はい、その、カノ……あ、相方も一緒です。もちろんです。はい。
えっと、見えますか? ほら、いつもの鉄面皮です。人形じゃないですよ、人間ですよ、一応。笑いも泣きもしない最強クールなやつですが、可愛い女の子ですひょいひゃいいひゃいいひゃい。
……無言でいきなり頬をつねらないでくださいよ、恥ずかしいからって。おー、痛かった。
というわけで今日も今日とて楽しい放送をしたいと思います。今日のイベントはこちら! 嘘つき大合戦! です!
まあエイプリルフールですしね。嘘関連のイベントやりたいですしね。まあそれをやってみようかと思ったのです、はい。
ルールは簡単。僕と、この無表情にクッキーを摘まんでるカノ……相方がお互いに嘘を付き合おうというものです。シンプルですね。
とにかく今日はお互いに嘘をつき続けます。ただそれだけの生放送になります、はい。
ちなみに罰ゲームは決めてあります。本当のことを言ったことが相手にバレたら顔に墨を塗ります。また、本当のことを相手が言ったにもかかわらず見抜けなかったら罰ゲームを受けます。
お互い交互に嘘をついていく感じですねー。
ええと、じゃあ早速。僕からやりますねー。
手始めに……僕は今日の生放送、全く楽しみにしてなかったんですけどね。この前の罰ゲーム放送をやりそびれてしまったので、仕方な……超ノリノリで放送枠を取ったわけなんです、はい。
……うわぁ、ウソ下手だなってコメントがものすごい流れてる。つら……嬉しいわぁ。 【ON AIR With Her その2】 (2/2)
ええっと、クッキーばっかり食べてないで、次はお前の番だよ。
なんか嘘を言えって。うん、うん……え? ああ、ウソか。うん……ちょ、ちょっと待って。ちょっとタンマ!
ここぞとばかりに僕のこと褒めるのやめてくれませんか!? 「格好いい」とか「性格が素敵」とか「いつも一緒にいれて嬉しい」とか普段言ったことないぐらいデレデレじゃないですか!!
嘘前提のイベントで褒めまくりってちょっと辛いですよ僕は! ううう、泣いちゃいそうだ……。
だ、だったら僕だって言いまくるぞコンチクショウ!
ええっと、感情表現豊か! ファッションセンス皆無! マイペース……の逆はなんていうんだろう? ひ、人の言いなり! かな!? あとは、か、かわ、ええとうん。まあなんていうか、普通! 普通めが!!
……あ、ダメだ。自分で企画しといてなんだけど、僕こういうの苦手だわ。これ一方的負けじゃないですか。
このカノジ……相方は本当にポーカーフェイスだからなぁ。嘘なんて楽勝でつけるだろうし、逆に本当のこと言ってても見抜けない気がする。
というか腐れ縁で付き合い長いけど、今までこいつの嘘見抜けた記憶がないなぁ。賭けにしても分が悪すぎるでしょう。なんでこんなイベントやっちまったんだろ……。
ああ、こ、コメントもすっごい盛り下がってる。この前の放送ラストは今までないくらいに極大に盛り上がってたのに、しまったなぁ。
いいから次お前の番! おら、嘘でもなんでもついてみやがれ! 今の僕なら隠れ蓑の術を使った忍者でも見抜ける気がするぞ!
……え? ああ、それはさすがに嘘だってわかるよ? 『忍者は専門職じゃなくて農民の副業だった』とか、ありえないでしょ。
忍術が地味なものだってことは知ってるよ? でも日本を代表する忍者がバイト扱いって、さすがにそれは……。
え? 本当なの? コメントで流れてるけど、ホントに? え、嘘でしょ?
……あー、クッソ。相方が本当のことを言ったのに僕はそれを見抜けなかった。だから罰ゲームは受けるわ。あー、もう。どうせこうなると思ってたわ。
え、『サービス問題のつもりだったのに、まさか騙されるなんて』って。うぐぅ、変に神聖視されてる忍者象を過信してしまった。
はいはい、じゃあ僕の顔に好きに落書きしていいですよ。水性のサインペンでね。うわ、くすぐったい。ううう。
っておい! 書きすぎ! 僕が罰ゲーム受けるの一回だけでしょ! だったら一筆だけ! そんな何個も書くなってちょ、ちょ、ちょ。
うわぁ、もう顔が真っ黒だよ。どんだけ文字を書いたんだ。1回嘘を見抜けなかっただけなのに、これは酷い……。
え? 『私は嘘を一回もついてない』だって? だから罰ゲームは7回分だって? どういう意味? お題『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』投票締め切り
前スレ>738【釣り日和】 一票
前スレ>744【世界を救え!!】一票 別に自薦で票を入れても俺はいいと思うけど、自薦しか票が入らなくなる可能性が現状あるよね……
あと二回くらい投票制度は続けてみるつもりだけど、票数が少ないまま終わるようだったら需要がないと判断して無くすことにします 投票は少ないかもしれないけど投票されるかもという期待で頑張って投稿しようとする俺みたいなのもいる 自薦はありか。でも今の人数だと下手すれば自薦のみで終わりそう……
投票するならもうちょい人数欲しいとこだねー
今回のお題からなろう投稿も並行してやってるけど、タイトル自体がなろう向けじゃないし、アクセスもそんなにないし、効果あるのかなぁ……? お題スレ投稿作品で検索をかけると最高ptが29、ブクマ7
マイページの賑やかしくらいやね まぁ何人かの目に止まって、興味持ってここに来てくれるような事があればいいなー。
アクセスやらブクマやらは元々期待してないし。
今は長編書く気力が無くなってるから、短編で遊びまくるぜー! >>16
お久しぶりのお二人ですねw
前回は相方を泣かしてしまった様ですが、雨降って地固まる
一層仲が良くなったような? >>8
さあ、めでたくシーズン3で再起動した短編スレ〜、進行氏&みんな乙! 8氏による祝砲がドカンと一発!! お題にフルチャレンジだぜ、みっちりニンジャ〜!
ときは日曜、ファミレスに呼び出された主人公が相談を受ける〜、珍しく殊勝な友人の悩み、訊こうじゃないか!? いわく部屋に、うん、『巨大』な『忍者』が全裸で、う、うん? 詰まっていた…、えぇ…?!
そんで忍者の新たな主として紹介されとるw 友人いわく、でも主の権利が移るかどうかは『博打』なんだぜ〜、いやいや主の権利って何? そういう謎『サービス』は求めてねえよ、って
主人公が「あ、今日、『エイプリルフール』じゃん」と納得してたら〜自宅のドアを開け、全裸の忍者でみっちりエンドw
8氏どんな発想なんだよワロタ、ハチャメチャな筋を利用して、呪怨的に伝染する怪異を描き不条理オチをまとめてきた!
>>12
この世に永遠の生がありえないように、永遠に続くゲームもない…しかしプレイヤーは夢を見る、永遠の運営、エターナルマネージメンツを…! お題を全部携えて、いざ忍者の隠れ里へログイン!
本ゲームは『忍者』を鍛えて『巨大』な悪に立ち向かうMMOだ〜、プレイヤー間のマルチプレイには『博打』的要素を絡ませて、否応にも射幸心を煽る造りである〜
中でも『エイプリルフール』の運営やらかしは有名で、今年のテーマは『サービス』終了画面〜、なるほど運営の台所は火の車、これぞ火遁の術ってわけかw
ニヤける主人公、しかしサービス終了のお知らせ画面、復帰せず!? 4月1日に終わった運営は炎上までの時間稼ぎ、あるいは最後の遊び心か、
いやMMOこそ嘘の世界、ならば終尾もまた『エイプリルフール』という嘘で燃えゆく定めだったのか〜、お題を全消化した12氏のMMOはプレイヤーの夢を燃焼させて炎上ENDだ! >>14
出たw ラブラブ百合の目覚めがお題、全選択! さあ、出だし美希さんが『巨大』な不安と『極小』の期待を胸に、これぞ大『博打』と、『忍者』の様に音もたてず歩夢さんちに上がり込むぞ〜
忍び込まれた女子の寝顔を観察して「睫毛が長いですね……、これは『サービス』ショットです」←変態度たけえなあ、同性じゃなきゃ許されねえぞw
美希さんによる『エイプリルフール』のややこしい愛の告白がもたらされ〜、歩夢さん、これを受けて本日の午後まで許さないと発表!
午後まで許さないって具体的にどうするのか、震えあがる美希さんに下された裁決処分は…「美希ちゃんの事なんか愛してないんだからね!」なる愛の告白だ〜、なんだこのむずがゆい感じ、見てられねえよw
いやあしかし、これは大問題ですよ、午後はどうなっちゃうんでしょうねえ(ゲス笑顔)って感じでお題全消化、グヘヘENDォ!
>>16
おお、待っていたぜ! シーズン1から久々復帰、ON AIR With Her、鉄面皮アゲイン! お題は全選択〜
さあ『エイプリルフール』に生放送〜、あの二人が嘘つき合戦を演じるぜ〜! 端的に紹介しよう、この二人はゲームにかこつけてイチャ付き放送事故を流す生主達だ(身も蓋もねえ
嘘ゲームがヘタすぎる主人公が彼女のウラハラ愛の言葉に翻弄され続け、極大(『巨大』)に盛り上がった前回の様にはいかんと嘆く〜、
見かねた彼女が『サービス』問題で『忍者』トークを提供も、しかし主人公、やはりこれをミスw ゲームは『博打』だとは言え分が悪すぎ!
ラスト、彼女の言葉は、私は嘘を一回もついてない…ん? でたァ、デレた〜
本シリーズの素晴らしさはクールビューティのなかなか伝わらない、伝わるって大切、感をもどかしさと共に放送事故ラブ落ちENDにまとめるところ〜、まぁたやらかしてくれたぜ16氏、お題全消化でナイスラブを演出完了! なんか書く人だけで集まってる文芸部みたくなってきたね・・・
あ、ちなみに全部読んでます。感想書いてなくて申し訳ないんだけど、どれも面白いからライバル心がね、うずいちゃってね……!! >>26
感想有難うございます
8 既にニンジャ自体が都市伝説の類いだなぁと……
自分が見た忍者は、西新宿1丁目の交差点でゴミ拾いをしてましたがw
14 実は最後まで歩夢の性別をどちらにしようか決めていませんでした
今回は百合な気分だったのでw 投票はここで無くなるとずっと消えそうでなぁ…
書く側からしたら入れにくいがあると嬉しいのだが 初代スレからかれこれ25作あげたけど、今までもらった票数はたったの2票でした・・・
だがそれがいい(ドM並感 4作目書いたけどオチが弱くて微妙かも
使用お題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【忍者のエイプリルフール】(1/2)
日本は忍者大国である。
国民はすべて忍びの一員であった。
特別義務というわけでもなく、自然に忍び服を着こなし、外出するときは常に日陰を素早く移動する。言葉を喋るようになった歳から必ず何らかの任務に就き、その正体を知られてはならない。
当然、忍者は一般人だけでない。政治では自由忍者党が忍びの専門教育機関を設立するために暗躍したらしいとの疑惑について、敵対政党である立憲忍者党の忍者たちが大絶賛している。
NIJ7のリーダーが「私、アイドルをやめて普通のクノイチに戻ります」宣言をしたのを見て、ファンの忍者たちが刀を折り始めるという大事件が起こってしまった。黒染めの刃が粉々になって路上に散っている。
とある妖怪をハンティングするゲームで、実にリアリティ度の高い忍者をプレイヤーにしていてゲーマーを興奮させていた。今まで地上戦しかできず非現実的だったのだが、風呂敷飛行や土遁の術のような基礎的な忍法がようやく実装されたらしい。
というわけで僕も、どこにでもいるごくごく平凡でありきたりな忍者だった。
ベッドの下で寝起きをし、身代わりに置いておいたベッドの上の人形を片付け、カーテンは開けず、コンマ4秒もの時間をかけてゆっくり着替えをし、朝食を取る。ちなみに朝ご飯は兵糧丸と味噌汁だ。
「おはよう、妹よ」
「おはよう、お兄ちゃん」
リビングの扉は微動だにしてないが、妹が入ってきた気配を感じた。口笛にも似た高周波での圧縮言語で一瞬のうちに朝の挨拶を済ませる。
妹の分の兵糧丸を後ろ手で投げ渡し、食事を続ける。投げた兵糧丸は壁にぶつかる寸前で掻き消え、誰かが受け取ったのを気配で察した。
「さんきゅー」
「別にオレは止めないけど、食事しながら隠れ蓑使うのやめろよ。行儀悪いぞ」
「いいじゃん、別に」
そう言って妹は、おそらく食器棚の影で朝食を食べ始めたようだった。僕もテーブルの影で味噌汁をすする。
「でさー、NIJの名前忘れたけどリーダー引退したじゃん? あれ昨日の音楽番組でも話題になってたよ」
「へー。音楽番組って、シノビーズのメンバーがMCやってる?」
「そうそう、ライバル事務所なのにビックリしたんだろねー」
妹は反抗期真っ盛りの年頃ではあるけれど、比較的仲は良かった。なので朝食時はこんな他愛もない話をしている。
お互い姿が見えない位置でくだらない話をしながら朝食を終えた。僕は席を立ってサッと移動しようとする。
しかしその瞬間、何者かに背後から抱き着かれた。柔らかい感触に戸惑う。反射的にクナイを引き抜こうとしてやめた。
「で、お兄ちゃん。ちょっとお話があるんだけど」
「おま、い、いきなり何を!?」
仲が良いとはいえ、こんな触れ合った記憶は幼い頃におままごとで暗殺ごっこしたとき以来だった。兄妹でこんな抱き着くなんて普通しない、はずだ。
だが妹はオレの意など解せず、巧妙に腕を絡めてくる。膨らみ始めた微妙に柔らかい部位が肩にあたってドギマギする。
身代わりの術を使って逃げようと思ったがテーブルの下だと狭くてできなかった。オレは必死に抵抗する。
「おま、いきなり何するんだよ。お小遣いが欲しいなら暗殺の依頼でも受ければ……」
「私、忍者なの」 【忍者のエイプリルフール】(2/2)
いきなりの発言に驚いた。忍者だということは当然の話なので知ってる。しかし、忍者だと自己申告したことは驚きだ。
忍者は隠れ忍ぶ者である。自分が忍者だと発言することと請け負った依頼内容をバラすことは禁忌に近い。兄と妹で禁断の関係を結ぶことと同じくらいやっちゃいけないことだ。
いきなりの爆弾発言でオレは戸惑う。吐息が耳にかかって余計に混乱する。そんなオレの戸惑いを無視して妹はさらに爆弾を投下してきた。
「で、私NIJのリーダーが『自分はクノイチだ』って発言したことについてちょっと思うところがあるのよね。個人からの依頼じゃなくてSNSで有志を集うって形式なんだけど、しばらくこの調査に向かおうと思うんだー」
「ちょ、次の任務の内容を勝手にバラすとか、な、なに考えてんだ!?」
「あれ、お兄ちゃん気づいてない?」
いろいろ混乱する。妹から女性特有の甘い香りが漂ってきて本当に困惑する。気づくも何も、なんでこんなことをするのか全く分からない。
オレが全くわかってないことに気付いたのか、妹はわざとらしくため息をついた後、急に体を離し素の口調に戻って一言で簡潔に事情を説明した。
「今日、エイプリルフールよ」
「……ああ、なるほどね。気づいてなかったよ……」
オレはそのたった一言ですべてを理解し、体の力が抜けた。妹の言動の理由がわかったからだ。
エイプリルフールは全国的に嘘をついて良い日である。だから嘘をついた、という体で情報交換をすることができる唯一の日なのだ。
外国では普通に嘘をついてふざけあうらしいが、日本特有の忍者文化のせいで変なイベントと化して根付いたのだ。オレはそんな当たり前のことに気づけなくて力なく笑った。
「はぁ、驚いた。いったい何が始まったのかと思ったよ……」
「最初に『私は忍者なの』ってわかりやすく教えたでしょ、サービスで。なのに気づかないって、お兄ちゃん忍者としての成績悪い?」
「うるせー、お前こそいきなり体を引っ付けて何しやがんだ。ビックリしたじゃないか」
「へへーん、最近学校で習ったんだー。数学は難しいけど、クノイチ学の成績はいいんだからねー」
自慢げな妹に若干イラっとする。どうせ自分は成績悪いですよーと不貞腐れた気持ちになった。
そして急に背後から声。
「房中術の成績が良いって先生もおっしゃってたわ。ふふふ、私も得意だったのよ?」
「お母さん!?」
母の声が聞こえて冗談じゃなく心臓が止まるかと思った。リビングには妹と僕の気配しかない。
が、母は部屋のどこかにいるらしく、姿も気配もわからないけれど声だけはしっかり近くから響いてくる。恐るべき隠形だった。
母親に今までのことが見られていたからだろう、久しぶりに見た妹の顔が真っ赤だった。
「お母さん、どうだった? 今の? 上手にできてた?」
「うんうん、とっても上手だったわよ。贔屓目なしでもう高校生レベルに達してるんじゃないかしら? でもこれ以上のことは大人になってからね」
妹はやったーと無邪気に喜んだ。恥ずかしかったのではなく、自分の技術を自慢したかっただけのようだ。
まんまとダシに使われたオレは憮然としながら出かける準備をしはじめた。
「じゃあオレ出かけるから」
「あら、どこへ行くの?」
「言うわけな……あ、ええっと、オレ忍者なんだけど、ちょっとゲーム技術が他国に流出してる可能性があるから、それの調査とスパイのあぶり出しの依頼受けてくるね」
「そうなの、わかったわ。ところでお母さんも忍者なんだけど、ちょっと千代田区に見学してくるわね」
お互いエイプリルフールであることを思い出し、情報交換をしておく。
家族だからこそお互いの依頼内容についてはなるべく多く知っておきたいし、できるなら敵対行動をしたくないからだ。
オレは妹と母親のやろうとしていることを察して、朝早く出かけることにした。もちろん玄関から出るわけでなく、物陰から家を出る。
口笛みたいな極小の声音で出かける挨拶をした。
「いってきます」
「晩御飯までには帰ってくるのよー」
そして最も実力のある忍者である父親は完璧すぎる隠形のせいで家族の誰からも認識されず、またあまりに重要な任務についているためイベントとはいえ依頼内容を口に出すことはできなかった。
みんな楽しそうでいいなぁと父親は一人、人知れずほろりと涙を流したのであった しまった……前回のお題と今回のお題を間違えた……
投稿する前に気づいてよかったが
もう寝る そして5作目
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
王様は極東の国で、一日だけ嘘をついて良い日があるということを知りました。
なので嘘をついてみました。
「この国には忍者がいるぞ」
お付きの人が王様に尋ねました。
「忍者とは何ですか?」
王様は得意げに答えます。
「忍者は、人々の中に隠れて悪いことをするんだ。誰にも見つかることなく、重要な秘密を調査したり、噂を流して人々を騙したり、人をこっそり暗殺したりするすごい人たちのことだ」
「おお、それは恐ろしい」
お付きの人たちは驚き恐れました。王様は自分の嘘で騙されるみんなの顔を見て、満足げに頷きました。
しかし、みんなは王様の嘘を本当のことだと信じてしまいました。
そのせいで国中の人々が疑い合い、窓の外から家の中を見ている人や、噂好きでいろいろな話をする人や、刃物のような武器を持っている人を極端に怖がるようになりました。
また自分の周りに忍者がいないか警戒するようになりました。窓から他人の家を覗き、あいつは忍者じゃないかと噂を流し、懐に刃物を隠し持つようになってしまいました。
国中が大変なことになり、王様は慌てました。王様は大きな声でみんなに聞かせました。
「みんな、国の中に忍者がいるという話は嘘だ! 私は嘘をついただけなのだ!」
しかし、その言葉を信じる人はいませんでした。
「いや、忍者はいるはずだ! 怪しい奴はたくさんいるぞ!!」
「王様が嘘をつくはずなんてない! お前、忍者の化けた偽物か!?」
「忍者を庇おうとするなんて、もしかして王様は忍者の仲間なんじゃないか?」
こうして、王様は忍者だと疑われて牢獄に閉じ込められてしまいました。そして「まさかこんなことになるなんて」と後悔しながら死んでしまいました。
みんな、王様のように大変な目に遭いたくなかったら、嘘なんてついたらいけませんよ。
おしまい。
「…ふぅ、まさか当てずっぽうとはいえ、我々の存在に感づく者がいるとは……」
「だが、おかげで敵国を比較的簡単に内部崩壊させることができたぞ。単純な国力だけなら極大だからな、この国は」
「そうだな、情報操作は我々の専売特許。楽な仕事だったな。ところで、誰が王様にエイプリルフールのことを教えたんだ? それに忍者なんてマイナーな存在もなんで知ってたんだ?」
「わからないか?」
「……なるほどな。なかなか分の良い賭けだったな。で、王様が獄中死したのは?」
「サービスだ」 >>32
忍ぶ気ないですよね、これw
家の中ですら隠れるとか休まる日がなさそうですね。
>>35
迂闊な発言は危ないですね……
忍者でなくてもその手の輩はいるだろうから、馴染みのないエイプリルフールの風習を使うのは失策でしたねー。
それもこれも忍者の手の内という訳ですね。
>>34
なんというか、ドンマイです。 >>32
ノリノリの32氏がお題全挑戦でござる! とあるニンジャ・ファミリの朝〜
舞台はifなる日本〜、『忍者』の、『忍者』による、『忍者』のための『忍者』の里、ならぬ国〜、ここではアイドル忍者による「普通のクノイチに戻ります」宣言が日常だ〜忍ばないねえ!
さあ一介の学生ニンジャである主人公、妹に身体を寄せられ微ハッスル、が、トラップw 妹いわく『私は忍者なの』ってわかりやすく教えたでしょ、『サービス』で〜、そういう問題じゃねえw
兄貴相手にとんでもない『博打』を打った妹と、『エイプリルフール』のややこしい家族の情報交換が描かれ、『極小』の声音で主人公がドロン〜
ラストは発見されぬ(そして気にされぬ)悲しき親父さんオチでしめた! 隠れども、隠れざる想いは家族の情! 32氏が忍者世界のファミリー総出演を描いて和気あいあいENDォ! しかし『博打』の消化はこの読みでよかったのか?w
>>35
溢れんばかりのイマジナリティだぜ〜、引き続き35氏がお題を全選択だ!
ときは『エイプリルフール』、「この国には『忍者』がいる」、遊び心で『博打』に打って出た王様の言葉が、『極大』な力を持つ大国を疑心暗鬼で踊らせる〜
大混乱する国民、「刃物のような武器を持っている人を極端に怖がるようになりました」←おう、それは忍者関係なく怖いw
王様、慌てて前言撤回するも人心戻らず、悲運、獄死!
ハイおしまい、と見せかけて〜、「王の死は『サービス』だ」とニヒルな忍者の黒幕発言オチ〜、前スレの爺ちゃん忍者を思わせる二重構造ストーリー、お題消化とナイス構成、いったん終わらせたラストに二重底を仕掛ける35氏のシノビENDがこっそり決まったァ! >>34
どまー
保存しておいて、お題決めのときにうまくやって投稿すればいいかもw >>32
国民総忍者ですと、産業はどうなっているんでしょうかね?
全員がお互いに忍者だと分かっているのに忍者だから隠さなければ成らない
もしかすると忍者のふりをしたスパイが紛れ込んでいるかもしれないですねw
>>35
たった一言で国民全員が疑心暗鬼に
大国なのに何とピュアな国民性w
と、言うか、王様の忍者観が偏り過ぎていて、ニンともカンともニンニンでござるw
>>34
そう言う時こそ“なろう (つづき)”に投稿してみては?
……何故かいきなり書き込みされた
触っても居ないのにキーが反応するのはいかんともしがたいですね >>4のテンプレに
>☆締め切り→4/8の22時まで
だからもう1日だな。 じゃあ仕方ない。もう一作追加だ
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【まあまあ落ち着いて】
とある二人の女が言い争っていました。
「なによ、そんなペッタンコな胸のくせに! 後ろから見たら男か女かわからないわ!!」
片方の女は、それはそれは豊満な方でした。メロンかバスケットボールか赤ん坊でも仕舞いこんでるんじゃないかと思うくらいドデカいものをその胸部にくっつけていました。
擬音で表すとバインバインです。
「あなたこそその下品なものをどうにかしなさいよ! 見てるだけで息苦しくなってくるわ!!」
もう片方の女は、それはそれは平坦な方でした。まな板か絶壁かやすりがけした後の木材のように首から下には何もありませんでした。
擬音で表すとツルペターンです。
二人の言い争いは留まる事を知りませんでした。
「苦しくなってくるって自分の情けないもののせいなんじゃないかしら? たしかに、ちょっと可哀そうになってくるくらい何もないからねぇ」
「余計なお世話よ。それに苦しくなってるってのはそんな無駄な贅肉をぶら下げて生きるのは大変そうだッテ思っただけよ! むしろそっちの方が可哀そうに思えるわ」
「ふふふ、同情してくれてありがとう。でも問題は何もないわよ? むしろ男性に注目されて困っちゃう方を同情してほしいわね。私サービス精神あるから、見せないわけにもいかないし。ああ、あなたには分からない感覚かしら?」
「だからあなたみたいな人は嫌いなのよ、破廉恥な。それに今でこそ優越感に浸ってられるでしょうけれど、歳をとったら悲惨よ。垂れるわ肩凝るわ一気に老けて見られるわ。それに比べて私はスレンダーなの。モデルだろうが女優だろうがクノイチだろうがなんでもござれよ」
「た、垂れるとか言わないでよ! 失礼な!! それに冗談はエイプリルフールだけにしたらどう? あなたみたいな女性らしさが全くない女なんて、特殊な性癖の人にしか好かれないじゃない。恋愛対象が変態かもしれないなんて博打な人生よね。
結局、母性的な女の方が魅力的なのよ。それを忍者なんて今どきあり得ない物を持ち出すなんて、やはり貧しい人は貧しい発想しかないようね?」
「なによ!」
「そっちこそなによ!!」
二人の女はヒートアップしていきます。そしてそんな二人の間に、一人の好々爺然とした老人が割って入りました。
「まあまあ、二人とも落ち着いて。そんなお互いを貶しあうなんて悲しい事をしてくださるな。爺は見ていられませんですぞ」
二人の女は急に話しかけてきた老人に呆気にとられ、その話を聞いてしまいました。老人は穏やかに笑いながら二人を諭します。
「なに、胸の大きさなどどちらでも良いではないですか。巨乳は女性らしくて良い。貧乳はスラッと美しくて良い。どちらも素晴らしい個性で、どちらも素敵な女性の証です。あなたたちはどちらも素敵な女の人だと私は思いますよ?」
「え、ええ。ありがとうございます」
「そ、そうね。ちょっと言い過ぎたわ……」
二人の女は老人の優しい口調に絆されて、怒りを忘れました。そしてお互いに非を認めあいます。
老人はうんうんと頷きながら、最後に一言付け加えます。
「じゃあお互いわかりあえたところで、どちらの胸も良いものであることを確認しあいましょうか」
「え、どうやって確認するのですか?」
疑問の表情を浮かべるボインとペターンに向かって、老人は両手を胸元まで持ちあげました。嫌らしく動かしながら。
「一番手っ取り早い方法で、まずは触って確認しましょうぞ。では失礼して、この老骨がお二人のお胸を揉みしだいて差し上げま」
「ただのエロジジイじゃないか!!」
強烈なビンタの音が響いた。仲良く同時に2回ほど。 さすがにネタ切れかね。次のお題が待ち遠しくて夜しか眠れない 締めは今のところ毎週日曜日だから、まあ気長に待っててね〜
と言いたいところなんだけど、最近人増えたから。希望が多ければ週二回安価にするのもアリかな。 週一のがわかりやすいし、進行さんが管理しやすいからこのままでいいんじゃね?
ちょっと待ち遠しいけど、それくらいの方が新お題に対するやる気うなぎ上りだしだしだし ごめんなさい……本当ごめんなさい……
アラーム五分前にかけてたんだけど、五分あるから〜ってやってた作業続行したまま忘れてたよね…… お題『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』締め切り
参加作品一覧(1/2)
(前スレ)
808【ウソから出たマコト】
811【忍者の仕事】
813【ヤイバ】
819【遺品の整理】
822【クレタ人は嘘つき】
828【方舟】 参加作品一覧(2/2)
>>8【馬鹿話】
>>12【嘘の中の真実】
>>14【四月の愚者】
>>16【ON AIR with her その2】
>>32【忍者のエイプリルフール】
>>35【無題】
>>43【まあまあ落ち着いて】 ☆お題→『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』より一つ以上を選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー
☆締め切り→4/15の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/11の22時 週1がいいという人が多かったのでこのまま続行します。
また、票数が少なくてもモチベーションになるという人が多かったので、投票精度も続行することにします。
作品投稿お待ちしてます。 >>62
進行さんいつもありがとね。別に義務とちゃうし、遅刻くらい誰も気にしてないんやで。むしろ感謝しとるで
ついでに投票を
前スレ>>828【方舟】に一票。お題消化より内容重視したのとバットエンドが好きだから そして深夜に一番乗り。つうかシンプルにお題を繋げただけなんだけど……
使用したお題:『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【一幕】
「はぁ、なんでアンタなんかと一緒に帰らないといけないのよ」
「こっそり校門前で待ってたくせにそんな憎まれ口ききますか、君は」
嫌味ったらしく指摘すると、彼女は顔を赤くした。長くて綺麗な髪がサラリと揺れる。
「べ、別に一緒に帰りたかったわけじゃないのよ! その、この前の、おれ……」
「ん? 風が強くて聞こえない。もう一度」
彼女の言葉の最後の方がかすれて聞こえなかった。「なんでもない!」と大声を出す彼女。
なんでこういつもツンケンしてるんだか、疲れないのだろうか。
彼女は誤魔化すかのように話題を唐突に変える。周囲を見回しながら桜色の空を仰いだ。
「にしても桜が綺麗ね。これはもう満開って言っていいのかしら?」
「満開だろうね。すでに散り始めてる。舞い散る桜は綺麗だけど、地面に吹きっさらしにされてる花びらの山はちょっといただけないね」
「そうでもないわよ。これも綺麗よ」
こっちの意見にはいちいち突っかかってくる。しかし彼女の言い分も否定はしきれなかった。
地面に落ちた花弁はちょっと薄汚れているが、風に吹かれて飛びあがるとそれはそれで綺麗である。散る桜が桃色の雨なら、舞い上がる花弁は桜の川しぶきだろうか。
しかし、綺麗だからと言って油断していいものでもないらしい。花弁を躍らせていた春一番の突風がいたずらをして、彼女に襲い掛かった。意外と真面目で校則通りの長さの彼女の制服のスカートをめくりあげた。彼女の悲鳴。
「キャッ、いきなり何!?」
「思いっきりめくれてるよおい!」
「いや、見ないでよバカ!!」
彼女は慌てふためくが、マリリンモンローよろしく長いスカートが逆さまにめくりあがっていた。これは酷い。
命令に従って見ないであげるべきか一瞬迷ったが、あえて前に出た。彼女を抱きかかえるように近づく。彼女は身を固くした。
「な、なに?」
「周りに見られるのは嫌でしょ、ちょっとくらい我慢しなさい」
人通りは決して多くないが、人がいないわけでもない。そんな桜並木にスカート逆転させた女子高生がいたら注目を浴びるに決まっていた。自分の体を使って隠してやる。
彼女もそのことに気付いたのか、顔を桜以上に真っ赤に染め上げた。周囲からの視線が恥ずかしかったのだろう。急にしおらしい口調になった。
「そ、その。あ、ありが……」
「ところで今履いてるパンツ、私が買ってあげたやつだよね? この前の春休みに、遊園地で」
「っ!?」
彼女の体が強張った。私は軽く笑いながら少し前の話をする。
「いやー、まさかお化け屋敷でアンタがやらかしちゃうとは思わなかったからね。売店で買った安物だったから逆にわかりやすかったよ。一緒に遊園地に行ったのが男じゃなくて私でよかったね」
「っ、ば、ばかあああああああああ!!」
彼女は体を突き放すと逃げるように走り去っていってしまった。素直じゃない彼女をからかうのが面白くて言い過ぎたかなと少しだけ反省しながら、私は彼女が置いていった紙袋を手に取って追いかけた。
自分の制服のスカートがめくれないように気を付けながら。 桜舞う中の百合カップルですか
ツンデレさんが素直に成りきれないのは、もう一人のからかいが行き過ぎてるからかも知るませんねw >>43
忍者ものが染め上げた前回作品群、最後は外してきた〜、お題全選択、女の誇りinキャットファイト〜、レディファイッ!
さあ、にらみ合うは巨乳女子&貧乳女子(『巨大または極小』)〜、擬音で表すとバインバイン&ツルペターン、なんだそりゃw なるほどしかし不朽の名勝負だ〜
貧乳さんのジャブ〜、巨乳なんざ垂れてそのうちおしまいよ、なんせこっちはスレンダー、その姿、いわばクノイチよ(『忍者』)!
巨乳さんのカウンタ〜、ははっ冗談は『エイプリルフール』だけにせよ、貧乳など変態相手の『博打』人生ではないか〜、巨乳派の『サービス』精神を見習ってみろ〜!
これは醜い、醜いぜ〜、ヒートした喧嘩を止めたのは老紳士の見事な仲裁! いわくどちらにも良さがある、甲乙つけがたし〜ッ! そうだよな爺さん、問題は大きさじゃない、形だ(違う)って思ってたらラストは頬両面にビンタをはられるエロジジイENDでお題全消化ァ!
>>64
4月らしいお題が来たぜ〜、速攻着手だ!! 桜小径と2018春のツンデレ〜
さあ、描かれるは『花見』をしながら帰路につく二人〜、「散る桜が桃色の雨なら、舞い上がる花弁は桜の川しぶきだろうか」、比喩たっぷりの描写が春気配を盛り立てる〜!
お礼が言えない『ツンデレ』女子、『スカート』が風でめくれて、スカトロ事件、じゃなかった、お化け屋敷(『アトラクション』)の恥ずかしい『ハプニング』をからかわれ脱走w
ラスト、春のやさしい空気を描き出した物語が駆けていく二人の背中を追い、ツンデレを媒介に気恥ずかしさと清涼感を運んでくれたぞ〜! ナイスなお題の使い方と、即時全クリアの職人64氏に敬礼!!
青い春と書いて青春、恥らう一コマは忘れたい記憶と動揺を生み、いつか忘れたくない光景となるだろう〜、うーんこのオチ好き!! はぁーお題先行予約って何だよ…
いつも日曜日の22時になったらずっと安価を待ってるこっちの身にも…ならなくていいや ごめん、俺のミスのせいです。お題を心待ちにしてる人がいるのわかっててすっぽかしたから……本当に申し訳ない。 日曜22時過ぎてたんだし、仕方ない処置なんじゃない?
どうしても嫌だったら、代理進行の役を買って出ても良かったんだし・・・ まあ新年度始まった時期だし、多少はね(と言いつつ自分は2作目ドン)
使用したお題:『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【ある猫の話】(1/2)
吾輩は幼猫である。
母猫から引き離され、気づいたらこんなところにいた。全く、生まれたばかりだというのになんて目に遭うんだ。
私を抱え上げた人間が、その下にいる小さい生き物の横に私を並べた。最近ようやく開いたばかりの目を凝らして隣の温かい生き物を見た。
私を持ってきた人間と比べて、それは恐ろしく小さな生き物だった。黒い体毛もなく、肌色一色だ。なんとも頼りない存在に見える。
なるほど、生まれたばかりの私と、生まれたばかりのコイツを兄弟のように育て上げようという魂胆か、とすぐに悟った。しかし私から見たら、弟妹というより出来の悪い下僕にしか見えない。
よたよたと近づいて下僕の顔に肉球を当てたらいきなりうるさい声を上げて鳴き出した。驚いた私は無様にも飛び退ってしまった。大きい方の人間が笑っているようだった。
なかなかやるではないか、下僕のくせに。
吾輩は子猫である。
毎日遊びたい盛りだ。何をするのも興味深くて、いろいろ手や尻尾を出してしまう。そのたびに下僕と一緒に怒られている。全く、あの泣き虫にも困った物だ。
下僕は明日から小学校というところに行くらしい。毎日赤いランドセルを嬉しそうに背負っている。
しかし下僕とは違い、私はとても不愉快だった。私の餌やり係兼ブラッシング係はいる。夜にしか帰ってこない風呂洗い係兼爪切り係は帰ってこなくていいが、いる。
ただ下僕が小学校とやらに出かけて家にいなくなると、猫じゃらし係が欠けてしまうことになるではないか。
下僕のくせに私を蔑ろにするなんてけしからん。罰として、今日は近づいてきても遊んでやらないことにする。
泣き虫な下僕の泣き顔を思い浮かべて、私はキャットタワーというアトラクションのてっぺんでそっとほくそ笑んだ。
吾輩は猫である。
最近は自分で言うのもなんだが、落ち着いてきたと思う。しかし、その分狩猟本能が疼いて仕方ない。
下僕が初めて反抗した。どうにもこうにも、困ってしまった。
運動好きだったからズボンを履いていた下僕だが、最近妙にヒラヒラする布を腰に巻くようになった。それがいけなかった。
そのヒラヒラが気になって飛び掛かってしまったのだ。そしてタイミングも悪かった。爪切り係がサボるのがいけない。そのヒラヒラを真っ二つに裂いてしまった。それがいけなかった。
下僕はカンカンに怒り、私に向かって大声をあげた。餌の時間を知らせるような大声ではなく、怒りを露わにした怒号だった。初めてのことだった。恥ずかしながら私は怯んだ。
餌やり係が泣きわめく下僕を慰めていた。私は下僕相手とはいえ悪いことをしたら悪いと思う程度には謙虚だ。下僕の様子が気になって仕方がなかった。
その夜、下僕のベッドに久しぶりに潜り込んだ。許してくれたかはわからない。しかし下僕は私を抱きしめて顎下を撫でてくれた。
温かかった。
吾輩は成猫である。
最近体を動かすのが億劫になってきた。だからだろうか、時間が経つのが早い気がする。
下僕はこの前中学校に入ったと喜んでいたのに、今度は高校とやらに入ると騒いでいた。対して変わってない制服とやらの着心地を確認して何が楽しいのだろうか。
しかし、今回は一緒に喜んでやろうと思った。
中学校とやらに入るときは、ただ制服が可愛いとか何とか言って喜んでいるだけだったが、今度は違う。詳しくはわからないが、毎日遅くまで外出し、家に帰っても自室で一人努力をしているようだった。
私の遊び相手がいなくなることは正直不愉快だったが、我慢してやった。下僕も我慢して頑張っているようだったからだ。たまにソファーで寝そべっている私を執拗に撫でたりするのもされるがままにしていた。
下僕が初めて心から努力し、その努力が実って高校とやらに行けるようになったのだ。私だって嬉しいのだ。好きなだけ浮かれるがよかろう。
……別れは近いのだから。 【ある猫の話】(2/2)
吾輩は老猫である。
もはや体は動かせなかった。日がな一日、室内からベランダの外の景色を見ている。
ちょうど桜の舞う季節だった。下僕が物凄い大声をあげていた。さすがの私も驚いてのっそりと立ち上がってしまうほどだった。足が震えたせいで、すぐに座ってしまったが。
昔、スカートを裂いてしまったときと同じくらいの剣幕で、下僕の両親と言い争いをしていた。内容はよくわからない。最近頻繁に出掛けていることと関係しているのだろうか。とにかく酷い大喧嘩だった。
そして言い争いが収まると、下僕は大きな荷物を背負って家から出て行ってしまった。涙の跡が見えた。私は心配したが、昔のように自由に体は動かなかった。遠くから見ているだけだった。
今は、その事を少し後悔している。
吾輩は……限界だった。
自分の命の灯が消えようとしているのがわかる。死期が近い。私は誰も見ていないうちにそっと立ちあがった。
多少うるさいが、私はこの家の人間を気に入っていた。だから彼らに看取られるのも悪くはないと思った。しかし、本能は静かなところを求めていた。
弱っている私を見たら餌やり係と爪切り係が大騒ぎするだろうが、嬉しいけれど厭わしい。
それに……唯一の下僕がいない家にいつまでもいてもしょうがないと思ったのだ。頑張って今日まで耐えてきたが、限界だった。所詮私は猫、一匹で生き一匹で死ぬのだ。
人間たちは知らないところにある私専用の裏口から外へ出た。物陰に隠れて最後の猫生を静かに過ごそうと思ったのだ。よったよったと歩いて外へまろび出て、目の前の影に驚いた。
家の玄関先に、下僕が立っていたのだ。玄関のインターフォンを鳴らせず、立ち尽くしているようだった。
下僕も驚いたようだった。ほとんど動けない私が自分から外へ抜け出してきたのを見て。こちらに駆け寄ってきた。背後にいた見知らぬ人間を見向きもしないで、私を抱きしめてくれた。
温かかった。
こうやって抱きあげられるのは久しぶりだった。懐かしい匂いに包まれて穏やかな気持ちになる。悔しいがあの両親の計画は成功だ、いつの間にか私にとって下僕は大切な己の一部になっていた。
下僕もそう思ってくれたのかわからないが、なぜか泣いていた。言葉は相変わらずわからない。しかし何かを察したのだろうか、私の体をそっと優しく撫でた後、すぐに離してくれた。いつもの泣き顔で私を見送ってくれる。
ああ、やはりお前が一番だよ。
私は下僕の足に顔を一度ゆっくりと擦りつけると、そのまま家から出ていった。歩く速度は遅かった。そして何度も振り向いて下僕たちの姿を見た。下僕は、ずっと私のことを見ていてくれた。
下僕の姿が見えなくなった後、私は何か穏やかな気持ちで散り終えた桜並木の下を歩いていた。先程まであった後悔の気持ちは嘘のように消えていた。今なら、とても静かな気持ちで生を終えれるだろうと思った。
ああ、私は何と幸せだったのか。
私は桃色に染まる道を歩きながら、今まで下僕と一緒に歩んできた道の事を思い出していた。 時間スケールの違う人と猫との穏やかな暮らしが感じられました
ほんわかとする良い話ですね >>73
漱石の作品発表が1905年、血脈を受け継いだ73氏が、全お題を手土産にして墓参り…! 吾輩は猫である・アナザーバージョン〜見届けろ!
さあ、物語は吾輩口調、『ツンデレ』猫の独壇場〜、母猫から引き離され、人間女子と兄弟のように育てられた猫が、『スカート』切り裂く『ハプニング』を経て、『アトラクション』キャットタワーの頂点で、王者のごとくほくそ笑む〜
そんなこんなで幼少次代は過ぎ、いつしか家を出奔した下僕が、今やもう一人とインターホンを押せずに居る〜、なるほど、許されぬ交際と結婚報告かw
再び彼女の懐で、思い出すスカート事件の温かさ、それでも死ぬときゃ独りがいいや…! 桜並木の『花見』に映す、猫の生きざま溢れだす〜
物語は全お題を消化しつつ、文豪とあの子に再会を果たして猫を悼んだ! 漱石安心しろ、愛すべき吾輩猫は73氏が継承しているぞ〜、やってくれたな、泣けるぜ大往生ENDだァ! 使い勝手良さそうなお題なのに、実際使ってみると全消化ムズいな……
使用したお題:『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【Revolution ZOO】(1/2)
「貴様! 言え、言うんだ!!」
「やめろ、ライオン! いきなりどうした、そんな大声をあげて?」
「こいつが、きっとこいつが何かしたに違いないんだ。そうじゃなきゃ急にこいつが人間に人気になるわけがない! 今まで見向きもされていなかったくせに!!」
「や、やめてくれ。オレは何も……」
「ウソをつくな! お前最近妙にわーきゃー言われてるのは間違いないんだ! 何をしたのか言え、言ってくれ! そしてどうやったら人気が出るのか教えてくれ! サーバルキャット!」
「待ちなさい、ライオン。本当に知らないのかもしれない。急にある種の動物が人気になることはよくあることだろう? パンダを見ろ。あいつらなんで人気なのかオレには全く分からないぞ?」
「うぐぐ、だがそういうがウォンバットよ。ことは深刻なのは承知しておろう? このまま特定の動物ばかり人気が偏ってしまうと……」
「確かにな。ここは動物園、人気の無くなった動物は隅に追いやられ、悲惨な目にあう。交尾相手を用意されず、餌も最低限となり、汚れた部屋で飼い殺されるんだ。
最悪、どこかの土地に引っ越しさせられることもあるからな」
「そうだ、だから一部だけこう人気を集める状況はどうにかせねばならん。人気になったのならその方法を共有して、お互いで譲り合わねば……」
「人気格差問題は厳然としてあるからな、認めたくはないが。ライオンやゾウ、キリンのように定番人気な動物はいいのだが、タイミングの問題か、なぜか極端に注目を集める動物が一部出てくるのは困るからな。
動物間のパワーバランスが崩れる」
「だが長年の研究によりある程度方法は解明しているんだろう? 確かメガネザルが言っていた気がするが……」
「ああ、コツメカワウソの件だな。あいつは動物園以外でカフェを経営し、その身近さで触れあいを行い、愛嬌をふりまいているらしい。それが人気のきっかけになったそうだ」
「そうか、愛嬌をふりまくのか……こ、こんな感じか?」
「ライオンよ、そんな風にお主がゴロニャーンとやっても怖いだけだ。いや、遠くから見たら可愛いかもしれないが、近付きたいとは思わないだろう。なにせ図体がでかいからな……」
「う、た、確かに、私がシベリアキャットのように可愛く振る舞うより、威厳ある風体で堂々としていた方が人気がある気がするな。昼間は寝っ転がってしまうのが悪いのか……。
何かサービスした方がいいのだろうか、背中に乗せて歩き回るとか」
「そんな安い遊園地の乗り物じゃあるまいに。効果は薄いだろう。だが何かサービスをするというのは良い案かもしれない。何か案はないか?」 【Revolution ZOO】(2/2)
「プライドでメスライオンもふもふ会開催とか?」
「余興でドラミングアトラクションとかしてみようか? ウホッ」
「す、スカート履いて人間のメスの振りをするとか……」
「黙れ、サーバルキャット! 人間の振りをする動物なんて意味がわからないぞ! 動物は動物だからいいんじゃないか!?」
「そ、そんな。せっかく案出したのに、なんで僕だけ……」
「いや、存外そんなことはないかもしれないぞ」
「なに、何か考えでもあるのか、チンパンジー!?」
「人間の文化を探っていろいろ調べたのだが、動物の要素を加えた人間のメスというのは人気が高いらしい。擬人化というそうだ。何がいいのかまでは残念ながらわからなかったが……」
「おお、そうなのか。さすがチンパンジー、最も人間に近い種族……!!」
「ち、チンパンジー。お主ならきっと素晴らしい名案を思い付いてくれるはずだ。その深い人間知識を持って我々にどうすれば人気を出せるようになるか、教えてくれ!」
「答えなら簡単です。威嚇と恭順です」
「ん、どういう意味だ?」
「わかりやすく言いましょう。例えば大勢の人間がいた場合は、己を強く見せるとよい。まるで人間が敵だと言わんばかりに威嚇しまくりましょう。
そして人間が少数だった場合、やさしく振舞うのです。頭を下げ腹を見せ、恭順の意を示すのです」
「ふむ、そんなことでいいのか? だが、それだけで本当に効果あるのか?」
「あります。人間どもの文献を調べてみると、そういうメスやオスに惹かれるようなのです。
おそらくですが、大勢がいるときは強く見せることでその強さを示すことで我々の存在感を誇示し、少数のときは甘えた様子を見せることで『あなただけに見せるのよ』と特別感を出すと効果があるのでしょう」
「な、なるほど。深いな。つまり大勢がいたら威嚇、少数だったら恭順。これでいいんだな?」
「はい、ライオンさんやクジャクさん等は特に効果が高いのではないでしょうか。もちろん、他の生き物も無意味ではないでしょう。やること自体は簡単ですので、やるだけやってみたらいいんじゃないでしょうか?」
「そうか、ちなみにそれに作戦名などはあるのか?」
「はい。ツンケンした態度とデレデレした態度を使い分ける作戦、人間の文化に倣って『ツンデレ作戦』と名付けましょう」
「あいわかった! では皆のもの『ツンデレ作戦』を決行するぞ!!」
「おう!!」
「チンパンジーよ! お前の作戦は最高だった。私だけでなく他全ての動物が生き生きしていると人気が出始めた! お前のおかげだ!」
「いえいえそんなことはありませんよ、ライオンさん。あなたの威嚇の遠吠えと猫のような態度の使い分けがよかったのでしょう。皆の役に立てて光栄です」
「そうか、だが、また困ったことがあってな……。人気が出た動物はかなり増えたのだが、動きが地味な動物はあまり効果がなかったようなのだ。それに、人気差が出るという根本的な問題は解決されなかった。他に何か手段はないか?」
「はい、あるにはあるのですが……うーん、下手するとハプニングじゃすまないような事件が起こりかねないしなぁ……。どうしましょうか?」
「あるのか? ならとりあえず内容だけでも教えてくれ。どういったものでどう利用するかはまた皆で話し合おう」
「そうですか、では……ツンデレの上位版に『ヤンデレ』というのがありまして」 愛されるための努力に頭か下がります
オチの会話が何故か悪徳商人と悪代官に見えました 再掲
お題『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
参加作品一覧(1/2)
(前スレ)
808【ウソから出たマコト】
811【忍者の仕事】
813【ヤイバ】
819【遺品の整理】
822【クレタ人は嘘つき】
828【方舟】 参加作品一覧(2/2)
>>8【馬鹿話】
>>12【嘘の中の真実】
>>14【四月の愚者】
>>16【ON AIR with her その2】
>>32【忍者のエイプリルフール】
>>35【無題】
>>43【まあまあ落ち着いて】 >>77
77氏がお題4つをチケットに開園だ〜、トーク&トーク&トーク、inズー!
武将、戦艦、あらゆるモノの女体化は飽食した萌え世の定め…、動物でメガヒットを飛ばしたけものフレンズ〜、その潮流が波及した動物園で、アニマル達が身の振り方を話し合う〜!
いわく愛玩動物の動きの真似はどうか、ドラミング『アトラクション』を演じるのはどうか、『スカート』履いて人間のメスの振りをするのは、自由闊達な意見が飛び出す中、やはりサーバルキャットにだけ風当たりが強くてわろたw
さあ知将チンパンジーが語る戦略は!? 大勢の時は威嚇&少数の時は恭順、これって…、そう、『ツンデレ』作戦だァw ラスト、それでもダメなら秘策は、下手をすると『ハプニング』じゃすまないヤンデレ作戦、…普通に人懐っこいだけじゃねえかw
一周回ってストレートォ! 動物達の大騒ぎを描き出した物語は、むしろこの会議を伝えれば人気出るよねって感じで、お題をしっかり使って、この動物園また来ようねENDで決めたァ! >>81
うーん、悩む
どの作品も良いけど、遺品の整理に一票だ!
結末で祖父がハードボイルドと家族愛を隠し切っているところが主題の忍びを表現してて、格好良さに痺れる 使用お題:『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【桜舞う下で君と】
(あー……昔と変わらないなぁ)
地元の丘陵公園のお花見に来た僕は、そんな感想を抱く。
高校を卒業と同時に東京へと出てから、かれこれ10年近くなるのだろうか?
その間に花見と言ったら、もっぱら向こうの友達とどんちゃん騒ぎをする位で、わざわざ地元に帰って来てまでお花見に繰り出そうとなんて考える事など無かった。
空一面に見える桜の花に、朱塗りのボンボリ。メインの会場となる公園広場に続く通りにはいくつもの屋台が並び、家族連れが思い思いに冷やかしている。
「おっと」
「あ、ごめんなさい!」
「おっちゃん! ごめん!!」
「おい! 走るなって言っただろ!!」
友達連れだろうか? やたらとテンションの高い少年達が人ごみの中を駆けてゆく。
その姿に、かつての自分を重ね苦笑する。
「……移動遊園地はまだ来てるんだろうか?」
遠い記憶を喚起され、ふと思い出す。コーヒーカップにトロッコの様なコースタ。小さな小さな観覧車とお化け屋敷。
たったそれだけしかない移動遊園地。
かつての僕はそんな物でも大いにはしゃいでいたっけ。
「っつ」
向こう脛を蹴られた。見れば、腕の中で妻が、顔を赤くしながら僕を睨んでいた。
さっき少年達から庇った時の、抱き合ったままの状態で考え込んでいたらしい。
こうやって睨まれていると、出会ったばかりの頃の、つっけんどんだった頃の彼女を思い出す。
そんな彼女が、今は僕の妻なのだ。あの頃は想像だにしていなかった。
「って」
また蹴られた。僕は苦笑すると彼女を解放する。
******
公園広場に着き、僕は苦笑いをした。
かつて移動遊園地が来ていた場所には、象を模したバルーンのアトラクションが鎮座していからだ。
「時代の流れかなぁ」
こんな事でノスタルジーに浸るとは思わなかった。
なとも言えない顔をしていたのだろう。妻が腕を絡ませて、頭を預けてくる。
「また、来年も来よう?」
「……うん、そうだね」
僕はそう言いながら、ワンピースのスカートを押し上げている、妻の大きなお腹を見ながら……
(来年は親子三人で来れるなぁ)
……そう、思ったのだ。 >>86
羨ましいリア充夫婦に良いものをあげましょう
っC4爆弾 感想有り難うございます
え〜と、つまりはこの次の書き出しは
『だけど、そんな僕の願いは、アッサリと裏切られたのである』
にすれば勘弁して貰えるのでしょうか? >>81
遺品の整理に一票
今回のお題も書きたいけど、風邪でもひいたのか頭がぼーっとして思考が纏まらん…… >>88
たった一文でバットエンド直進してもーた。さすがにそれは心が痛い・・・
投票はお題の全消化よか、内容の重視の方が得票率良さそうやね。次から考えてみようかなぁ・・・ 忍者のエイプリルフール、に一票
シュールな世界観が気に入った。 お題『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』投票締め切り
【投票結果】
前スレ819【遺品の整理】三票
前スレ828【方舟】一票
>>32【忍者のエイプリルフール】一票 ふーなんとか一本目。体調悪いとちょっときついねぇ。
お題 『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【計画されたハプニング】
春休みに入り桜が咲き始めた頃、もう三年になるという事もあり友人達と遊園地に行くことになった。
「よう、お待たせ....…ってお前ら、何その格好……?」
だが、その待ち合わせ場所で友人二人、庄司と紗佳がいた。ペアルック、しかも庄司の方は男なのにスカートであった。こいつら、いい加減くっつけとは思ってたけど、いざくっつくとこうなるもか……。友人付き合いを考え直したほうが……
「ち、違いわよ!? 私はこいつとペアルックなんて! そ、そんなこと、したいなんて思ってる訳ないじゃない!? この服は有紀さんがーー」
「はいはい、ツンデレどーも。ちっ、バカップルめ……」
「カ、カップルだなんて、そんな事あるわけないじゃないー!?」
赤面しつつ、どもりながらじゃ説得力ないっての……。さて、からかうのはこのくらいにしておいて。ちょっと目が死んでいる庄司を放置する訳にもいかないか。
「で、庄司。実際のとこ、何があったんだ?」
「……あぁ、花見に行くって言ってた姉貴とな、途中でばったりと出くわしてさ。姉貴の友達の酔っ払い連中に身ぐるみ剥がされて、これを着せられた……」
あー、有紀さんか。あの人もいい加減、弟が幼馴染と両思いっぽいのにどっちも素直になれずに進展なくて煩わしいとか言ってたなぁ……。紗佳まで同じ服ってことは前々から計画されてたハプニングって訳か。花見も待ち伏せの為の口実かな、これは……。
つっても、ペアルックにするのは良いとしても、スカートはやり過ぎじゃねぇ? これから遊園地に行くっていくのに、アトラクションの順番待ちでこの二人と一緒は悪目立ちしそうだ。ちょっと勘弁願いたい。
さては有紀さん、それが狙いか。仕方ない、こいつらにさっさとくっつけというのは俺も同感だ。ちょっと手の上で踊らされてる感があるけども……。
「あ、すまん! 財布と携帯忘れたから、ちょっと取りに戻ってくる。先に行っててくれ!」
「え!? ちょっと!?」
「おい!? 嘘だろ!?」
二人の返事を待たずに俺は走り出す。もちろん、財布と携帯を忘れたというのは嘘だ。だが、急用で行けないと言えばあいつらは解散するだろう。だから後から合流するという事で強引に二人きりでのデートをさせてやろう。
まぁ合流はせずに、遠くから見てるけどな。こんなアトラクションより面白そうな状況を見過ごせれるか!
「……行っちゃったね?」
「あいつ、置いて行きやがった……。もう帰るか……」
「……ねぇ、せめてズボンだけでも買いにいかない?」
「……そだな」
「……それとね、私やっぱり二人でも遊園地、行きたいな?」
「……そっか、なら行くか! ズボン買ってからになるけどな」
「うん!」
普段はツンツンしているくせに喜色満面にデレている紗佳の笑顔と、まんざらでもない庄司の二人はまずはズボンを買いに行くのであった。
「よし、計画通り!」
その様子を見たそんな声が二人分あったとかなかったとか……? >>64
オチが女性同士だという事ですねー。
良い感じのミスリードです!
男だったら一発殴られてそうですねw
>>73
数年前に亡くなった愛猫を思い出しました。
どうしても避けられない別れ、辛く切ないものですが、安らかに生を終えることが出来、猫は幸せだったんでしょうね。
>>77
動物園の動物たちも苦労してますねw
どうやって人間の文化を調査しているのか非常に気になりますがw
>>86
時代と共に色々なものが変わっていくものですね。
そして新たに生まれてくる自身の子供と共に新たな思い出を作っていく未来が浮かんできますね。 使用お題:アトラクション
【魅力のあるもの】
「あら、あなた、こんなもの前からあったかしら?」
「うーん、いや、見たことないかなあ」
ある子連れの夫婦がいた。
彼らはいつものように周囲を散策していると、ふと目前に見慣れない赤い屋根の建物があるのに気づいた。以前まで見かけたことのない建物だった。随分と小さいが、なかなかおしゃれな装いである。
彼ら親子は何かこの建物に興味を惹かれたようで、遠巻きに周囲を歩き回りながら観察していた。すると、子どもが何かに気付いたらしくその黒い瞳を輝かせながら言った。
「何かすごい良い匂いがするよ!」
聞いて夫婦は示し合わせたように同時に鼻を効かせる。そして頷いた。なるほど確かになんとも言えない魅力的な香りが家屋の中より漂って来ている。
父は少し感心した様子で言った。
「なんだろう、今まで嗅いだことのないようないい香りだ。……ははあ、さてはここはレストランという訳だな?」
母は父の言葉に同意して、「まあ、それは良かったわ。ちょうどお腹も空いてきたことですし、今日はここでご飯にしちゃいましょう」と言うと父は頷く。
「そいつは名案だな。な、お前もそれがいいだろ?」
聞くと子は喜びを全身で表現したのかあたりを跳ね回る。当然答えはイエスであり、夫婦はその姿を見て朗らかに笑っている。
「じゃあまずはオレが入って全員入れるかどうか聞いてくるよ」
言って父は悠々と歩き赤い屋根の下に消えていく。母子はそれを見届けるとこれからありつけるであろう食事について話しながら父の帰りを待った。
そしてそれからしばらくが経つ。なぜか父は戻ってこない。
「あら、何かあったのかしら。流石に遅いわね」
そう言うと母は子に、ここを動かないように、と告げると建物の中に様子を伺いに行く。後には子どもだけがぽつねんと取り残されていた。
またしばらく経つ。やはり母は帰ってこない。子どもはだんだんと不安になっていくのを感じた。
なぜ父さんと母さんは帰ってこないのだろう。子どもは心細さを覚えながらも少し考える。
そしてもう一度鼻を利かせ、相変わらず良い匂いが漂っているのを確認すると、ある考えが浮かんだ。
――そうだ! きっとあの中にはとても美味しい食べ物があって父さん母さんも思わず夢中になっちゃって帰ってこないんだ!
そう考えれば合点がいく。そしてきっとそうに違いない、自分も早く仲間に入れてもらわなくっちゃ、と子どもは赤い建物へと足を進めた。親にほっとかれたと分かってムッとしない訳でもないが、それは仕方のないことだ、と子どもは思う。
子どもは改めて目前にの赤い屋根の建物を見やった。
だってこの建物は、なんていうかすっごい魅力的で、引き寄せられちゃうんだもん。とても良い匂いがする。
子どもは心細く思っていたことなど忘れたように意気揚々と建物の中へと入っていく。
そしてしばらく経ち、やはり子どもが出てくることはなかった。
子どもが入った建物の屋根には文字が書かれていた。
ごき◯りホイホイ、と。 >>86
ノスタルジー溢れる86氏のお題フルチャレンジが行くぞ、過去と未来のインタールード〜
物語は故郷の『花見』だ〜、屋台、ぼんぼり、零れ桜を目にした主人公が移動遊園地のチープさを懐かしく思い出す〜、少年たちと衝突寸前の『ハプニング』を経由して、今や妻となった『ツンデレ』彼女が描かれ〜って、蹴られとる蹴られとるw
移動遊園地の代わりに置かれたバルーン『アトラクション』が、フラッシュバックさせる幼少の時分〜
僕らが立っているのは、少年だったあのころの未来…、歩き続ける主人公の中に去来する、過去の時間、そして彼女の『スカート』押し上げ宿る未来の時間〜
過去と未来を同時視しながら旅をする〜、それ即ち人生よって感じで、全お題を攻略した86氏の語りが、過去を懐かしみ、そして今と未来を約束で結ぶ、絶対だよENDを決めたァ!
>>93
雨にもまけず…風にもまけず…お題を全選択、そういうものに私はなりたい…、って言ってる場合かw 無理は禁物だ93氏〜、キューピッド×キューピッド〜
さあ、舞台はカップル未満の二人を含んだ三人で向かう遊園地だ〜、庄司くんが『花見』行くって言ってた姉貴に捕まって、なるほどペアルックを着せられ、って、ス、『スカート』!?
これはいいスコットランド人ですね、とか言ってる場合じゃねえ、百年の恋も冷ましかねない凶悪なる『ハプニング』〜、しかしこれに対し紗佳さん、テンプレ通りの『ツンデレ』を発動〜、おお、セーフだ、そんなに引いてはない
古来より、デレを発動させるには男女を二人にせよというのが自然の理である〜、空気を読んだ主人公が、適当な感じで場を脱出〜
ラスト、スカート姿の庄司くんが女子をエスコートするとかいう『アトラクション』より面白い状況に、二重音声「計画通り!」がこだまして、お題全消化の物語は、ダブルキューピッドENDで落ちたァ! >>95
95氏がお題『アトラクション』に絞って投稿、注文の少ない料理店〜!
さあ物語は、食欲で行動する一家を描写していくぞ〜、目の前にそびえるは、見かけたことのない赤い屋根の建物だ〜
「なんだろう、今まで嗅いだことのないようないい香りだ」「何かすごい良い匂いがするよ!」←トラップ感が凄まじいなw
ラスト、子供の黒い瞳、跳ね回って表す喜び、一家の鋭敏な嗅覚、すべて伏線! やっぱりこうきた、残念無念ねばねばオチだァ〜w
ここで補足しておこう、お題『アトラクション』の意味には「引き付けるもの、引き付けること、催し物、呼び物」がある〜
ね、言葉通りでしょうとニヤリする95氏の顔が見える〜、お題宣言がアトラクションの語意を開拓し、物語はなるほどENDに収束だ、合掌! >>93
計画的誘導
皆に祝福され、約束されたカップル成立w
後は気を使いすぎない様にしませんとね
>>95
デッドハウスですね
その内、その界隈では恐怖の館として語られそうですw
>>94 >>96
感想有難うございます
こうして次世代、次世代と繋がって行くのだと思います
>>90
そしてまた、ひっくり返します
『産まれてきたのは双子だったからだ』 >>95
こういうの好き。でもこのご家族はしょうじき……>()))) カサカサ
関係ないけど競馬実況さん相変わらずよくネタ拾えるなぁ……。いつもお世話になっとります なんか>>93の関連作になっちゃった
お題 『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【遊園地にて】
「きゃー!」
「ぎゃぁぁぁああ! 怖い、怖い、怖い!!!」
おや、久しぶりの遊園地に来てみたらジェットコースターの方から悲鳴が聞こえてきますね。他のアトラクションからは特にこれと言って変な声も聞こえませんか。
では私の仕事はあちらでしょうか?
おやおや、ジェットコースターは随分と人気なようですね。これは少し骨が折れるかもしれません。少しだけでも仕事を減らしてみましょうか?
おや、あそこにペアルックのカップルがいますね。なにやら後をつけている人も二名いる様子。あの方のカバンの中から見え隠れしているのはなんでしょうか?
あ、落ちましたね。……スカート? 何故そんなものが男性のカバンの中に……?
「あの、落ちましたよ……?」
「え? あっ!?」
「ちょっと、庄司! なんで、よりにもよってそれを落とすのよ!?」
「悪い、紗佳。……あれ? ちゃんと奥に突っ込んだ筈なのに……?」
何やら、背後の方で笑いを堪えている女性がいますね。この方の仕業でしょうか? まぁそれはどうでもいいでしょう。私には関係のないことです。
「お二方、今日はジェットコースターは避けた方が宜しいですよ?」
「……え?」
「……どういう事ですか?」
「若いお二人の事を考えての事ですよ。まぁ戯言として切り捨てて貰っても構いませんが。それでは」
言うことだけは言って立ち去ります。後は当人の問題ですからね。まぁ二人くらいなら、仕事には差し支えはありませんしね。
「変な事、言う人ね! 楽しみが減っちゃうじゃない!」
「……つってもなぁ。ジェットコースター、やめとくか?」
「ビビッてんの、庄司!? ……でもあんたがやめとこうって言うなら、私は……」
「紗佳……」
あーツンデレですか。そうですか。いちゃつき始めましたね、あのペアルックのカップル。隠れてる二人がなんだかガッツポーズをしているようですね。……まぁ関係ないのでいいでしょう。
まだ予定時刻には時間がありますね。せっかく桜が綺麗に咲いているので、時間潰しに花見と洒落込みましょうか。
さて、そろそろ仕事の時間ですね。ジェットコースターへと向かいましょう。
「ぎゃぁぁぁああ!? もうやめてくれ! 俺は誰も殺したくーーあっ……」
ガキン、ガッシャーン、ガラガラ
とても言葉では言い表せないほどの激音と共に、ジェットコースターが盛大にコースから外れ大惨事のハプニングが起こりました。死人は数名出ていますが、あのカップルはいないと言うことは、まだ死ぬ運命ではなかったということですね。
「……俺は、俺は何度も訴えたんだ、整備不良だって! 俺は安全である事に誇りを持ってたのに、なんでこんな事に……」
「ジェットコースターさん、気に病まないで下さい。これは運命で決まっている事なのです」
「……あなたは?」
「私は死神です。あなたと、この事故で亡くなった方の魂の迎えに来ましたよ」
「……そうなのか」
ジェットコースターさんも己の運命を受け入れたのか、すんなりと私の言葉に従ってくれました。さて、これで私の仕事も終わりです。
生者に助言をするというのも私としては珍しいハプニングですが、未来あふれる若者を見たらつい口が出てしまいましたんね。これからの人生に幸があらんことを。 >>100
>>93の続編で、お題全消化・二杯目に挑戦だ、キューピッド・キューピッド・キューピッド〜
遊園地で悲鳴轟く『アトラクション』、どうなったって感じのあの二人、『スカート』男子の庄司くん&『ツンデレ』女子の紗佳さんの前に、謎の紳士が現れる〜
紗佳さん「ビビッてんの、庄司!? ……でもあんたがやめとこうって言うなら、私は……」←乗り物どうするって言うだけでこのツンデレ、発動頻度やばいw
いちゃつく二人と隠れる二人を目の端で補足した紳士が、時間潰しに『花見』と洒落込み…、って、ええっ、ぶちかまされた血みどろの『ハプニング』! 恋バナが惨劇なったんだが、って思ってたら「ジェットコースターさん、気に病まないで下さい」←コースターと会話ァ!?w
もはや前衛芸術の色濃い物語は死神視点だったのねオチを経由して、幸運のカップルにウインク〜、同じお題で連作・10個消化の快挙を成し遂げた100氏が、第三のキューピッド・死神の冷たい笑みを描いて、ねえ見守る人がまた増えたよENDォ! >>100
まさかのクロスオーバーw
死神にまで祝福されたカップルとは
もう向かうところ敵無しですねw >>101
>>102
感想ありがとうございます。
お題全選択以外でやろうとしたら何故か登場したカップルですw
あれ? ジェットコースターの絶叫と大事故のミスリードの予定が何故こうなった……? 使用お題:『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
【僕のVRMMO事情】(1/3)
アミューズメントパークの前に立って、僕は呆けて口をポカンと開けた。
フロアぶち抜きの黒を基調としたその室内施設は色んな意味で僕の予想の埒外で、結局はゲームセンターの延長だろうしなんて言う僕の想像は、大きく裏切られた形だ。
「おい! 愛宕!!」
同僚の磯橋の声で我に返る。僕の名前は愛宕 敬冶。アラサーのサラリーマン。僕達が男2人で、こんな室内アミューズメントパークに来たのは、ここにあるアトラクションに用が有ったから。
体感型VRマシン。
即ち、実際に体を動かすタイプのヴァーチャルリアリティーマシンをプレイする為だ。
******
「え? マジで!? 丁度いいや、手伝えよ! イベント限定アイテムが欲しいんだよ!!」
僕が自分と同じVRMMORPGをやっていると知った磯橋はそう言った。
今行われている春コラボ「お花見会場であいまSHOW」のクリアボーナスの限定アイテムが欲しいんだとか。
このイベント、ふざけた名前の割に結構難易度の高い討伐系クエストの為、戦闘が苦手なボッチプレイヤーの磯橋は、どうにかして手に入れられないかと考えていた所だったらしい。
「いやー。ネットオークションとかでデータを買えないものかって、本気で悩んだよ」
「やめれ、それ、違法だと思うから……」
そんな訳で、会社から最も近いVRマシンの有るアミューズメントパークにやって来たのだ。
一旦家に帰ってからログインだと、ちょっと翌日辛いからね。
******
専用台に上がり、モーションキャプチャー用のポインタを装着してヘッドセットを被る。いつもはコントローラーでキャラを動かしているから流石に違和感がある。
僕は、自分のアバターのキャラクターIDを入力し、いつもプレイしている“ポンタ”ってキャラクターに成る。と言っても、リアルの自分に似せたキャラクターなんで、外見はそんなに変わらない。
「うわ、やっぱり勝手が違うなぁ」
体を動かして、軽く技のモーションを発動して見てそう思う。
いつもの家の据え置き機ならコントローラーでのコマンド入力に成る所が、体感型だとモーションコマンド……技に入る為の動きを実際に行う事で発動する訳だから、全く別のゲームと言っても過言じゃない。
「ちょっと練習しておかないとダメだなぁ、これ……」
そう呟きながら、待ち合わせ場所であるイベント受付の会場まで足を運ぶ。隣でプレイしてるのにゲームの中では遠い場所にいる……なんか不思議な感覚。 【僕のVRMMO事情】(2/3)
「……これは、凄いな……」
お花見会場に入って、僕は思わず感嘆の声を上げた。
視界いっぱいに広がるのは、世界樹の桜……何を言っているか分からないとは思うけど、都市が丸々一つ入る程のでっかい桜がそこにあったのだ。
そんな風に桜に見とれていると、見慣れないアバターが僕の方に向かって歩いて来る。
最初は磯橋かと思ったんだけど、そのアバターを見て、一目で違うと……
「なぜ、叔父さんがここに居るんですか? 平日は会社帰りで遅くなるから遊べないって言ってませんでしたか? 言ってましたよね? ウソだったんですか? 良心の呵責は無いんですか? わたしに悪いと思ったのならデスソースでも飲んでください。60億スコビル位の!」
うん、チーちゃんだ。チーちゃん……智恵ちゃんは僕の姪っ子で、最初にこのゲームに誘ってくれた、言わばゲームの先輩でもある。
いつも僕とゲームをする時は、大きな本を持った9歳くらいの女の子のアバターで、支援系のクラスをやっている。
けど今は、フルプレートメイルに大きなカイトシールドを装備した女性キャラクターの姿。
何で女性だってわかるかと言えば、口元が開いていて女の子っぽいリップを塗った口許が見えているし、兜の後ろからはストレートの黒髪が出ている。
そして上半身こそ普通の鎧に見えるけど、腰から下は、アーマーの付いた膝上のスカートにレガースと言う格好だからだ。
「あ、いや、まだ会社近くで、同僚と一緒でね?」
「同僚? 女性……では無いでしょうから、男友達? と言うか、友達居たんですか? 驚きです。あ、でもどちらに? あぁ、イマジナリーな? すみません余計な事を聞きました。忘れますね」
あ、あれ? 何時もより辛辣な気がする。
「いや、まだ待ち合わせをしてるところで……」
「いえいえ、何もおっしゃらないで下さい。分かってます。分かってますから……」
おおう、完全に可哀想な人扱いだ。
「いや、あのね? チーちゃん……」
「すまないが、私にも紹介してくれるか? チィ」
「ああ、ヤンバル、ごめんなさい」
チーちゃんの後ろから別のアバターが話しかけてくる。 【僕のVRMMO事情】(3/3)
「……どなた?」
「パーティーメンバーです。わたしの」
「お、おう」
そう言って近づいて来たのは全員女性キャラのパーティー。チーちゃん含めて総勢6人か。
「え〜と、初めまして、ポンタって言います。チーちゃんの叔父……っぶ!!」
シールドバッシュされた!? 戦闘禁止エリアだよね!? ここ!
「叔父さん、ネットリテラシーって知ってますよね? 勝手に人のプライバシーをぺらぺらと話さないで貰えませんか? それと、うちのパーティーメンバーにあまり近付かないで貰えますか? ハラスメント警告で運営さんを呼びますよ?」
「えぇ〜……」
チーちゃんだって僕の事“叔父さん”って呼んでるのに!?
いつも以上に理不尽なチーちゃんに僕が困惑していると、ヤンバルって呼ばれていた子が、いかにも抑えきれなかったと言う様な感じで「っぷ」っと噴き出す。と、そのままお腹を抱えて大笑いをし出した。
何事かと思い、キョロキョロと周りを見てみるけど、彼女以外のパーティーメンバーも大なり小なり同じ様な感じ。
例外が居るとすれば、僕と同じ様に困惑しているチーちゃん位?
「ど、どうしたのですか? みんな」
「ああ、ごめんごめん、普段感情を出さない君が、その人の前だと、こんなに可愛くなるとは思わなかったからね」
「な!!」
可愛い? 子供らしいと言えばそうかも知れないけど、普段のチーちゃんは、そんなにクールなのかな?
その事でへそを曲げたチーちゃんを宥めつつ、ヤンバルさん達は去って行った。
彼女達もイベントに参加するらしく、「お互い頑張りましょう」と言われた……去り際のチーちゃんの放つオーラがちょっと怖かったけど……
後で絶対言及されるな、あれ……
「……そう言えば磯橋遅いなぁ」
そんな風に思って周囲を見回すと、何かこっちを柱陰から見ているアバターが居る。
「…………磯橋?」
「くっそう!! リア充め!! もげろ! 朽ち果ててしまえ!! 裏切者がぁ!!」
「ちょ、おまっ、何処に!!」
磯橋、走って行っちゃったよ……何で!? >>104
104氏がキケンな関係の叔父と姪をお供に、お題全選択〜、フルプレートハート!
紹介しよう、体感型『アトラクション』VRにやってきたのは、短編スレ初期からレギュラー、そのニブさ、もはや無神経こと愛宕さんだ〜
さあ愛宕さんがゲーム内『花見』イベントにて遭遇したのは、フルプレート鎧と『スカート』装着の『ツンデレ』姪こと、いつもよりゴツいチーちゃん〜、乙女のアバター使い分けが露見ッ、しかし愛宕さんは当然何も察しない〜
思わぬラブ『ハプニング』に昂ぶったかチーちゃんが繰り出す、痛恨の口撃、さらには盾の物理アタック、しかし愛宕さんは彼女の行動メカニズムを一向に解しない〜だから殴られるのにw
ラスト、嫉妬した同僚が泣き叫ぶが愛宕さんには何のことやら通じることなく、難攻不落だぜw 104氏が魅せた強ツン微デレの物語はお題を全消化し、デレ要素? 次回をお楽しみにって感じでEND〜! 感想有難うございます
チーちゃんがデレられるかは、もはや誰にも分かりませんw アカン、最後に思いついたけど形にならなかった・・・
次のお題をまとう、全裸で お題『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』締切
参加作品一覧(1/2)
>>64【一幕】
>>73【ある猫の話】
>>77【Revolution ZOO】
>>86【桜舞う下で君と】 参加小説一覧(2/2)
>>93【計画されたハプニング】
>>95【魅力のあるもの】
>>100【遊園地にて】
>>104【僕のVRMMO事情】 投票方式にちょっとルール加えます、という予告をしつつ
お題安価
>>113-117 呂律の回らない酔っ払いが登場する
長くて不許可なら『まりも』 ☆お題→『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』より一つ以上を選択
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー
☆締め切り→4/22の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/15の22時
※新ルール
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>104
4話目だっけ?
いい感じに増えていってて楽しみ
忘れた頃にまた安価するから何のお題なら書くか指定してくださ! >>118
>>93【計画されたハプニング】 に一票。ちょっと強引だったけどオチが綺麗だったから >>118
【遊園地にて】に一票。
作者の予定すら狂わしてくれたバカップルに一票と言うことでw
それにしても今回のお題、全選択はきつそうだけど頑張って考えてみよ。 今回お題がバラけたからなぁ……
いつもは2000文字以下目指してたけど今回は長めのやつに挑戦かな お題『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』締切
>>93【計画されたハプニング】一票
>>118【遊園地にて】一票 進行さんお疲れ様
投票件数少ないなぁ……
今回のお題、全然思いつかないや。
そして新連載を始めたら、短編書く余裕がなくなってしまったよ…… 今回ムズすぎて辛い
お題全盛りするとオチが見つからず、お題少数にするとインパクトがない・・・ なんとか書けたー!
使用お題 『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』
【過ぎ去ったブーム】
伝説の五七五使いと呼ばれた大物も今は昔のものである。
五七五と言えば俳句や川柳が思いつくだろう。かつて一世風靡したその流行も今や見る影もない。
「今はもう かつての伝説 出不精に」
「なんでぇ!? おめぇ、おえにけんかうっえんのかよ!?」
かつて俺の父親は数年前に大流行した川柳ブームでは伝説とまで言われていたが、今やその見る影もない。ただのアル中の酔っ払いである。
ついイラッとして五七五風に嫌味を言ってみたが、酔っ払いにそんな事を言うだけ無駄だろう。
「親父、いい加減にあの頃の事は忘れろ。ブームなんて過ぎてしまえばこんなもんだ」
「うっえぇ! おえは、まだあれるんだおぉ!」
「お父さん、いい加減にしてよ! せっかく私がプロポーズされたのにお父さんがそんなんじゃ、挨拶も出来ないじゃない!」
俺の妹が柳眉を逆立てながら、親父に食ってかかる。妹の気持ちはよく分かる。折角の晴れ舞台のチャンスなのに父親がこのざまではうまく行くものもうまく行かなくなってしまう。
大ブームの時に親父は大金を得た事がそもそもの間違いだったのかもしれない。川柳のプロとしてサラリーマンをやめてしまった親父は、相当な財を得た。それも今や出不精になる原因でしかない。
一生何もせずに生活できるほどの大金は得ているのだ。それは親父の努力の成果ではあるから否定する気もない。ただ、ブームは過ぎてかつての伝説とまで呼ばれた栄光に未だにしがみつくのをやめて欲しいだけなのだ。
いや、親父も本心では気付いているのだろう。だけどそれを認めたくなくて、酒に逃げてしまっている。下手すればこのまま家庭崩壊してしまうかもしれない。
「あのーすみません!」
「あ、はーい。って裕二さん? なんで家に!?」
「急に来てごめんね、美咲さん。親父さんの話を聞いちゃってね」
「!? そんな……」
訪ねて来たのは妹の美咲にプロポーズした裕二という男だ。俺も何度か会ったことがあるが好印象で良い人だとは思う。
「親父さんと話しさせてくれないかな?」
「……それは」
「大丈夫、俺を信じて!」
「……うん、分かった」
何か策があるようである。俺ら家族にはもう手に負えない。彼に任せてみるのもありかもしれないな。
「初めまして、娘さんとお付き合いさせていただいています、斉藤裕二と申します。私は実は新聞の編集部に勤めておりまして、伝説の五七五使いと呼ばれたお父様に一つご相談がありまして……」
「……なに? おひ! ひょっとみす持ってこひ!」
「へいへい」
とりあえず目の色が変わった親父の酔い覚ましの水を用意しに行くことにする。さてどうなる事やら。
後日、とある新聞にて新コーナーが始まった。
その内容は読者投稿型の川柳を扱ったものである。そしてその審査員には伝説の五七五使いが行う事となった。それが決まってからは親父はすっぱりと酒を止め、妹も無事に結婚する事が出来たのだった。 盛者必衰。諸行無常
在りし日の栄光は忘れ難く、でもそれに、しがみつくだけでは、亡霊と同じ
男前な彼氏さんのお陰で、立ち直って良かったですねw >>128
アルコール依存症連合会には祈りの言葉がある…主よ、変えられることを変える強さを、変えられないことを受け入れる穏やかさを、それを見分ける知恵を与えたまえ〜、128氏がハチャメチャお題を全選択〜! 五七五・アル中奇譚〜
さあ物語は『伝説』の『五七五』使い・『呂律の回らない酔っ払い』こと『出不精』の親父を描くぞ〜
黄金時代もいまや過去〜、川柳ブームに翻弄された親父が晒すブザマな姿〜、家族にふざけた五七五で馬鹿にされて辛すぎるw
『柳眉』を逆立てる怒りの娘、彼女が連れてきたキーパーソン・彼氏の申し出は、いざ結婚…、ではなく、スカウトォ!?
禍福はあざなえる縄の如し! 川柳に育てられた娘が川柳で恩返し〜、128氏の描き出した川柳一家が、アクの強いお題群を全消化して、日本語すらままならなかった親父の、回らない呂律がリズムを刻み始める、リハビリテーションEND!! 感想ありがとうございます。
今回のお題は難しかった。
一番得をしているのは彼氏だったりもするんですよね。
まぁ誰も不幸になってないので良いでしょう! 使用お題:『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』
【アルレリナ戦記】(1/3)
ここ、アルセリナ大陸では、魔族の侵攻が本格化してから数年が経ち、各地では小競り合いの様な戦争が今も続いていた。
一進一退の長き戦争で、各国の国力は次第に低下しつつあり、人類側も戦争を終結させる為、様々な方策を練ってはいるが、それのどれも決定打にはなっていなかった。
******
メイズ・コルセイアは、行きつけのバーのカウンターでギムレットをチビチビと口にしながら、ブチブチとくだを巻いている同僚に対し溜息を吐いた。
「気持ちは分かるけど、もう、飲むのは控えなさいよ……」
「あ〜? らいひょ〜!! わきゃうあら、ほまへあはいお〜!!」
そう言ってレモンハートをお代わりする、呂律も回っていない酔っ払いこそ、アルセリナ士官学校の導教員であるラナイヤ・シズンだった。
(……また説得に失敗したのね)
普段は柳眉の整った美貌を誇り、男子士官候補生の憧れの的であるラナイヤの、ちょっと生徒には見せられない醜態具合に、メイズは彼女から目線を外すとギムレットを飲み干した。
この日、ラナイヤはある人物を訊ねた帰りだった。メイズとも旧知であり、先の戦場での負傷により軍から離れた男である。
この様子を見れば、話し合いは上手くいかなかったのだろう事は想像に難くない。
「う〜……あんれ、わきゃっへくえあいおよぉ……」
「うんうん、セウス君は分かって無いよね」
バタンッとバーテーブルに突っ伏し、そのまま寝息を立てるラナイヤを見ながら、メイズの脳裏に一人の男の姿が思い浮かぶ。
セウス・アルティアナ……彼は優秀な男だった。
勇猛果敢と言うタイプでは無かったが、冷静で知略に優れていた。
ラナイヤやメイズ、そしてセウスの居た中隊は、指揮官のミスにより魔族の挟撃を受けた。撤退する敵に乗せられ、突っ込み過ぎたのが原因である。
その時もセウスは、いち早く違和感に気付き進言をしたのだが、しかしそれは指揮官に受け入れられる事は無かった。
孤立する味方。支離滅裂な命令を発し、挙句負傷して意識を失う指揮官。ラナイヤとメイズでさえ、全滅が頭を過った。
「安心しろ、この作戦を十全に全うできれば、僕達は勝てる」
誰もが絶望に染まった中、唯一人勝利を見据えていたのがセウスだった。 【アルレリナ戦記】(2/3)
結果から言えば、彼の作戦は成功した。生き延びるどころか包囲した魔族の4割近くを打倒せしめての大金星だった。彼の言葉は本物だったのである。
だがその時、殿を引き受けた彼は重傷を負い、その後遺症の為、戦線に復帰する事は叶わなかった。
そして皮肉な事に、この戦果によってラナイヤ達は昇進し、後進の育成に回される事に成ったのである。
「気持ちは分かるんだけどねぇ」
その贖罪だけではないラナイヤの気持ちに気付いているメイズは、複雑な思いで同僚の寝姿を見守った。
******
「僕は教諭に成る気は無いよ? やる事が有るんだ」
そう言いながらも杖をついたセウスはメイズを迎え入れた。
メイズは苦笑する。退役をしたセウスは下町にあるアパートに半ば引き籠って居た。本人の言葉通りであれば、読書三昧の優雅な余生と言うヤツである。
だが、ラナイヤにはそれが我慢できなかったのだ。セウスの才能は、こんな所で無為に消費されるべき物では無いと思っていたからである。
その為、彼女は何度も彼の元を訪れては士官学校の教職員へと誘っていたのだ。
「ラナイヤじゃあるまいし、それは無いわね。わたしは出不精なセウス君に差し入れよ」
「うん? あー食料の差し入れはありがたいね」
頭を掻きながらセウスはそれを受け取った。彼の部屋の中は何冊もの伝承や物語の本が積み重なっている。だが、メイズはあちこちに散乱しているメモらしき走り書きを見逃さなかった。
セウスは、テーブルの本をどかすと、メイズをそこに招く。
メイズは「ちょっと台所を借りるわよ」と言って、持参した紅茶を淹れた。
「わたしはセウス君が何をしていたとしても構わないとは思うけどね、でもラナイヤは……」
「……気にする事は無いと思うんだけどなぁ、僕の怪我は自己責任の内だ」
「助けられた方はそうは思わないものなのよ」
セウスの怪我はラナイヤをかばった為の物だった。彼女の中では、優秀なセウスの未来を奪ってしまったと言う自責の念が渦巻いているのだろう。
「……ところで、セウス君は何を研究しているの?」
しばらく世間話に花を咲かせた後、メイズはそう切り出した。
「……驚いたな、分かるのかい?」
「余人の暇つぶしにしては専門的過ぎる本が幾つも混じっている、それに、このメモもね……これは……魔法学かな?」
トントンと走り書きを突くメイズに、降参という意思表示でセウスは手を上げると、溜息交じりに話を始めた。
「魔法の威力は言葉の組み合わせによる……それが今の常識だ」
「そうね、研究者は、その中で効率の良い組み合わせを発見しようと躍起になってる」
「でも、その前提が間違っているとしたら?」 【アルレリナ戦記】(3/3)
「それは有り得ないわ、事実、それによって威力が違うんだし……」
「でもね、伝承や伝説を紐解いてみると、明らかにその当時の方が威力の高い呪文が見受けられるんだ」
「そう言うのは、言い方は悪いけど、所詮お話の事でしょ?」
眉根を寄せるメイズに、セウスは不敵な笑みを浮かべた。
「え? まさか……」
「そう、そのまさかだよ。僕は様々な文献を調べて、呪文の基本テンプレートと言うべきモノが存在している事を突き止めた」
「え?」
「一つの語彙に込められる魔力の量は決まっている。だからこそ、効率よく魔力を込められる組み合わせを探す訳なんだけど、もし、その単語数そのものを増やせるとしたら?」
「……単純に一つの魔法に込める事の出来る魔力量が増える……」
今使われている呪文は、3単語+呪文名という形で構成されている。この時、単語数が増えたとしてもまともに魔法が発動しないのが現在の常識であり、だからこそ、その単語の組み合わせを効率化するのが今の魔法学だった。
「呪文は、呪文名なんて関係なく、五文字、七文字、五文字と言うテンプレートで有れば発動するんだ」
そう言われ、メイズも呪文の文字数を確認する。今まで、単語の数とそこに込められる魔力量とが問題だと思っていたのにも拘らず、実は文字数の方が重要だったと言う。
だとすれば、これまではとんだ思い違いをしていたと言う事に成るだろう。
アパートの中庭に2人は出る。そこには魔法用の的が立って居た。
「火炎爆ぜ、灼熱巻て、燃え荒べ!!」
「!! 6単語呪文!!」
メイズが驚くと同時に今まで見た事の無い程の威力の魔法が発動する。
当たり前だろう。単純に込められる魔力量が倍に成るのだ。
「凄い! でも、なんで? この事、何でラナイヤには……」
「……まだ研究は完全じゃない……それに、何か恥ずかしいじゃないか……」
自分が魔法について研究している事が知られれば、未だに軍に未練がある様に見られるだろう。そうなれば原因を作ったラナイヤは今以上に気に病む事に成る。
だからこそ、セウスは「未練なんてありませんよ」と言うポーズを取らなければならなかったのだ。
……ラナイヤの為に……
まるで拗ねた子供の様なセウスの言葉に、メイズは「プッ」と噴き出したのだった。 おおお……
タイトルを書き間違うとはorz
×【アルレリナ戦記】
○【アルセリナ戦記】 >>132
132氏も呂律が微妙なってるじゃねえかw さあ今回バラバラのお題群は連結力が求められる、全選択の戦果はどうか? テンプレート・アップデート・アルセリナ!
舞台は戦乱の大陸、さっそく『呂律の回らない酔っ払い』となったラナイヤさんが、ある戦士へのご不満で『柳眉』の美貌を取り乱すぞ〜、えっ、いやごめん、何言ってるのか全然わからんw
場面は負傷によって戦いを降りたかに見えた『出不精』セウスさん宅に移り、『伝説』を紐解いた彼が『五七五』による川柳詠唱を開発だ〜、川柳詠唱、季語は不要かw 超必は和歌詠唱だろうな
ラスト、132氏が見事、音楽性バラバラのお題群をドッキングさせて微笑ましオチに落とす〜おお! オチ完成までよく成し遂げたァ
物語は「うれしはずかし相思相愛」と「魔術革新」という二戦局のアップデートを予告し、高難度お題全消化、更新・更新・更新ENDォ! 感想有難うございます
この話を書いていて
百人一首大会の様に、詠唱の確定点で魔法を読みきって、カウンターを叩き込むとか
それを読んで詠唱をあえて変えて裏をかくとか言う駆け引きが出来そうだなぁ
等と妄想してましたw 過疎化が酷いねぇ
もうちょい初心者にも参加しやすくする企画でも立てる?
無理か まあ前回は8作ありますし。一人が何作投稿してるかはわからんけど
今回はお題が難しいから・・・ 前回3で今回0ですん
まあ過疎っていうより、元からそれほど人がいなかったんだと思うで。誰かに読まれることより大喜利で遊びたい人向けのスレだし・・・ 今回は一作で力尽きました
お題がと言うよりも、残業や仕事で時間が作れなかった事が大きいのですが…… いくつか思いついたんだけど、どれもオチが微妙すぎた・・・
今回お題書けた人凄いわ、マジで 企画とか、もしいい案があれば積極的にやるつもりだよー!
アイデアがあれば教えてください!
俺も出したいけど、難しいお題が多い……というかお題全部取り込みたい欲が逆に投稿を阻むよねw そうだ1日ごとにお題を1個ずつ増やすのはどうだ
7日目には7お題で阿鼻叫喚 お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』締切
参加作品一覧
>>128【過ぎ去ったブーム】
>>132【アルセリナ戦記】 さて……どうしようか?
三お題でもよし、七お題に増やしてもよし
投票行っとくか
投票結果を元にして、今回のお題安価で実験的に導入する単発企画ということで
@現状維持
A三お題
B一日ごとに+1お題
みなさんの意見を教えてください、23時まで 一日ごとに+1お題
ってそれぞれの個数で投稿できるのは1日しか猶予無いって解釈でいいの?
お題3個で投稿できるのは3日目だけみたいな んーやっぱり無理があるか…進行さんの負担も大きいし >>150
やるとしたら、先に七つお題安価して、「三個のお題の日は三個全部使う」にすると思う
先に全部公開しておけば、何日後に投稿予定って形で書くこともできるはず
参加者増えるかといわれれば疑問だけどw催しとしてはありかもしれないと思ってる 別にお題は全部使わなくていいはずだったのに…
いつの間にか全部使わなきゃいけないみたいな風潮あるよな… >>152 さんの案面白そうだけど、やっぱり進行さんの負担大きくないかな・・・? 複雑にすればその分やること増えるし・・・
個人的には>>148 @現状維持でいいと思います。前回はなんかキツかっただけだし 最初に全部わかってたらいけるか
けどまあ参加者はむしろ減りそうよねw お題全消化ってわかりやすいポイントゲットだし、やりたがる人は増えちゃうよね。で、結果投稿が減っちゃう・・・
いっそお題を3つ強制ってことにして、その代わり「安価4つ目は絶対使っちゃダメ」みたいな感じにするとかダメかな? 複雑か? お題が多いと想像力をあまり使わなくてパズルゲームみたいになるから楽ってのもある >>156
この形は前の進行さんの時もあったね
割と好評だった記憶ある >>157
すごくわかる。そして今回何も思いつかないから書けなかった・・・orz 書けるお題のときって、お題見た瞬間に半分くらい完成するよね
参加者してたときはそうだった 思いつく時は一瞬で思いついて書く事自体は対して手間取らないんだよね
今回のは中々思いつかなかったけど 時間になったけどあんまりまとまってない……
統合して「七お題から三つ強制」という形もアリかとは思いますが、いかが? 7お題にすると、7つ全部消化しようとする輩が出るんじゃないか?
それでいいならまあいいけど・・・ 「三つ強制」は四つ以上も不可、ということで
……とりあえずこのまま安価取りますね、もし反対者が多くても一週限定ということで勘弁願います。
>>167-173 まあ物は試しってやつだね
じゃああやかってお題も『7』ってことで ☆お題→『7』『実験』『スマホ』『池袋』『美人上司』『爆発』『マジレス』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→4/29の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/25の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 久々にぱって思いついたお話
前のお話を覚えてる人、いるかなぁ
【爆発! 可哀想な者倶楽部】(1/2)
「トコロテン後輩、トコロテン後輩」
春から夏へと徐々に気候が移り変わりつつある、何気ない一日。徐々に女子の制服から下着が透け始めるのを心待ちにするある日、チカン先輩──智寛(ともひろ)という名前であるが──は僕にこう切り出した。
僕こと中川心太(しんた)、もといトコロテン後輩は、窓際からぼんやりとグラウンドを眺めていた視線を、そっと先輩に戻す。
「何ですか」
「僕はね、体育祭が憎いんだ。なにが悲しくて身体なんかを動かさないといけないのか、僕にはとても理解できない」
「はぁ、まあ、暑いですよね」
秋に体育祭をする高校よりは恵まれているような気もするが、チカン先輩に言っても栓のないことである。
「だが、僕程度の人間が──それこそ生徒会長ほどの人間であれば話は別なんだろうけど、たかだか会計委員が中止にしようって言ったってそうはいかない」
「生徒会長でも無理だと思いますけど」
僕の突っ込みは尽く無視され、ほぼ一方的にチカン先輩のターンが続く。
「でさぁ、僕は見つけてしまったんだよ。体育祭という呪いのような行事を中止する、画期的な方法を!」
「……どうせくだらない話なんでしょうけど、一応聞いてあげますよ」
冷ややかな目を送る僕に、チカン先輩は気付きもしない。
「ほら、見て! この記事だよ」
チカン先輩に差し出されたスマートフォンの画面を見ると、そこには「スマホ爆発! 原因はリチウムバッテリーか」という記事が表示されている。
「……何企んでるんすか」
だんだん敬語が雑になる僕の対応を気にするでもなく、チカン先輩は続ける。
「このニュースのスマホ、僕のと同機種なんだよ! 小規模でも校内で爆発が起これば体育祭なんて中止になる……!」
「アホっすか」
ここ「可哀想な者倶楽部」……通称カワクラが学内から馬鹿揃いという烙印を押される原因の一つは、間違いなく先輩にある。
もう一つの原因、河合海月(みづき)ことクラゲ後輩のことをふと思い出したとき、足元に猫がすり寄って来た。
「にゃあ」
「あ、蒼(そう)ちゃんにご飯の時間。今日クラゲ後輩は来てないんですかねぇ」
校内放送で、クラゲ後輩が猫をこっそりかくまっていたことをばらしてしまった事件──ここでは突っ込まないが──以来、カワクラの部室(という名の会計役員の部屋である)で飼うことは黙認されている。が、責任を持って飼うと宣言したクラゲ後輩の姿がない。 【爆発! 可哀想な者倶楽部】(2/2)
僕が「にゃおちゅるる」と書かれたチューブ状の餌を与え始めると、チカン先輩はこの猫・河合蒼(かわいそう)に与える水を用意するために立つ──ミネラルウォーターである。僕が普段水筒に入れるのは、水道水で作った麦茶なのに!
「ああ、クラゲ後輩はクラス対抗リレーのアンカーなんだよ。練習してから来るってさ」
「運動嫌いのチカン先輩とは、えらい違いですよね」
「そういう君はどうなのさ? そもそも、生徒会を希望して自ら入った活発なクラゲ後輩と、じゃん負けで押しつけられて仕方なく入った僕には、クラスのヒエラルキーに大きな隔たりがだね」
「はいはい、わかりましたってば。で、体育祭を中止するプランの続きはまだですか」
「……ふふん。記事によれば、このスマホのバッテリーは過充電を行った際に爆発が起こるとある」
「ふんふん……で、どうするんですか」
「だが、所詮はスマホ程度……独りでに教室で爆発しても、大した騒ぎにはならないのだ……」
だんだん悪役めいた顔をするチカン先輩は、イケメンなのにオタク臭がすごくてもったいないなと思う。
「だから僕は考えた! 騒ぎになる場所で爆発を起こせばいいのだと! それは……校長室!」
「校長室で先輩のスマホを充電するんすか」
「そう! 体育祭当日にスマホ爆弾で校長のカツラごと吹き飛ばす爆発を起こせば、校長はきっと開会式に姿を現さず、開会式は中止! よって体育祭も中止!」
鼻の穴を膨らませながら言うチカン先輩に、僕はおやつに買ってきた黒蜜掛けのところてんを開封する。
「先輩、そのプランには大きな欠陥があります」
「何だい」
「まず、どうやって校長室でスマホを充電するんですか」
「そこはトコロテン後輩、甘いよ。僕たちの役員は何だ? 生徒会会計だ。前年度の各部活動の収支を取りまとめた書類を校長に提出する締切は、確か体育祭の後だったね。体育祭当日の朝に書類を渡しに行き、隙を見てスマホをコンセントにブスっと」
「校長室のコンセントプラグの位置、把握してるんですか?」
「……もしわからなくても、校長室中央のデスクトップPCにUSBで電源を取れば良いだろう」
「パソコンに『新しいデバイスの選択』とか通知出ますよ」
「データ通信のできない、充電専用のコードを用いれば回避可能だよ」
懲りない。今日のチカン先輩は、本当に懲りない。それだけ、運動嫌いも筋金入りなのだろうが。
「先輩、マジレス良いですか」
「どうぞ」
「爆発した後、先輩はそのスマホを失いますよね」
「尊い犠牲だね」
「……アニメイコの握手会抽選、確かそのスマホと結びついてますよね」
「あっ!?」
「だから、体育祭を中止にできたとして──」
がらがらと言う引き戸の音とともに、クラゲ後輩がやってくる。
「先輩方、なに馬鹿なこと話してるんですか」
「いやあ、困ったものだよクラゲ後輩。トコロテン後輩ったらさぁ、スマホを爆発させるだなんて言い始めて」
その後、チカン先輩の巧妙な罠により、体育祭を心待ちにするクラゲ後輩の手によって僕だけが正座の上で会計の仕事に取り掛かる羽目になったのは、未だに納得がいっていない。 お題が多すぎて悩むわ、これ
なんか頑張って考えよう・・・ >>175
自由度が高くて逆に難しい。きっと自分は縛られるのが好きなんだろう(ドM並感
使用したお題:『7』『実験』『爆発』
【宇宙の地図】
北斗七星の一等星、北極星は常に北の夜空に浮いている。
北極星へ向かえば、地球の北極のその先に何があるかわかるのではないか。そして宇宙にも地図が作れるのではないか。
きっかけはそんな突拍子もない発想で、ある地球人が壮大な実験を始めた。宇宙船を作ってひたすらに宇宙の北へ向かおうと。
地球を南とし、北極星を北として地図を描きながら、彼は宇宙へと旅立ったのだ。
宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって大爆発を起こし、船長は死んでしまった。
宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって大爆発を起こし、船長は死んでしまった。
チッキューを北とし、南極星を南として地図を描きながら、彼は宇宙へと旅立ったのだ。
きっかけはある突拍子もない発想で、チッキュー人が壮大な実験を始めた。宇宙船を作ってひたすらに宇宙の南へ向かおうと。
南極星へ向かえば、チッキューの南極のその先に何があるのかわかるのではないか。そして宇宙にも地図が作れるのではないか。
南斗七星の一等星、南極星は常に南の夜空に浮いている。 >>178
妹さんはどうなったのでしょうか?
体育祭中止以前に傷害ですよねw
塀の向こうでは強制的に運動もさせられるので、今より辛い状況になりそうな? >>183
シンクロニティと言うのでしょうか?
不思議な読後感で面白かったですね 第一日曜 5お題
第二日曜 ジャンル+お題
第三日曜 ○○○○
第四日曜 7お題から3つ強制 >>178
進行氏、いつもありがとね、てか君だったのかw お題『スマホ』『爆発』『マジレス』を選択だ〜、可哀想な者倶楽部・リローデッド!!
あらためて紹介しよう〜、親の遊び心で誤解を招く名前を付けられた者どもの集い「可哀想な者倶楽部」、通称カワクラは短編スレ一期からのレギュラーメンバーだ〜
さあ、智寛ことチカン先輩が、心太ことトコロテン後輩に持ちかけるのは文化系の怨念、体育祭が憎い〜! 心太さんがところてん食ってるw
校長室での『スマホ』『爆発』なる犯罪行為に目を輝かせる卑劣な先輩〜、握手会をフイにする気かと『マジレス』が放たれ、ラストは納得いかない濡れ衣正座オチだァ!
スレ民が、放置され続ける第一話の妹名付け事件はどうなったのとツッコミを入れるが、進行氏は聞こえない聞こえないとそそくさ舞台袖に引っ込み、うん、でもお題は消化したし、次回をお楽しみにね、そんなドタバタ・テロリズムENDだあw
>>183
選択お題は『7』『実験』『爆発』〜、スペース・エクスプロージョン!
人は呼ぶ、地球の自転軸によって決定される、北の軸に最も近い輝星を北極星と…現在、北の極に該当するのはこぐま座・ポラリス、そして人は思う、北斗『七』星の向こう側には何があるのだろうかと…
さあ、人の夢を背負って物語が壮大な『実験』を描き出したぜ〜、星の回転法則の謎をどう解き明かす〜、って「宇宙船は何もないはずの宇宙で何かにぶつかって」×2 ←何だ、コピペミス、じゃねえ! これは…シンメトリー(対称)だww
きれいに反転した行と行が描き出すのは、宇宙の向こうで全く同じことを考えた宇宙船同士の激突か〜、文章・思考・星の自転をも反転させた、宇宙空間の奇妙な秩序オチw たまげたぜ、アイデアマンがお題を消化し短編の煌きを見せた!
そう、謎の秩序に満ちた宇宙、それあるかぎり、冒険は終わらない!! 183氏の描いた宇宙すごいENDは、シンメトリーな爆発の中に宇宙に生きる者共の好奇心の激突を映し出し、一瞬の煌めきとなったァ!! 感想ありがとうございます!
>>184
妹さんは……いつか長編を書こうかと……(しどろもどろ)
お題見た瞬間に、昔こんな風に休校にならんもんかと考えてた記憶が蘇って書いたので、傷害とか細かいところはキニスンナ、の精神です……
>>187
実況氏もいつもありがとうございます、っていうか意外に覚えてくれてる人が多くて嬉しい驚き(1スレ1話ペースだし)
妹さんね、どうしようね……広げた風呂敷の畳み方を悩んでるんだ…… 解決しないことを持ち味にしてもいいかもね
妹の件そう言えばどうにかしないとな、そうだな、ってチラッと話すだけのシーンを毎回入れて
まだやってるネタとして引っ張り続けるw 【論理的オーバースペック】
使用お題:『実験』『スマホ』『美人上司』
私は上司に恵まれなかった。というのも、私があまりにも優秀すぎたからなのだが。
上司というものは、常に部下よりも優秀で賢くなければならないものだと、私はそう考えている。
しかし配属された研究所の先輩方の才能をすべて足したとしても、私の足元にすら及ばない──それほどまでに私の知識は豊富で、膨大で、圧倒的だった。
私はずっと、理想の上司というものに憧れていた。
ある日、私の脳裏にある考えが過った。優れた上司がいないのならば作ってしまえばいい、と。
それからの私は素早かった。機械技術の知識を総動員し、骨格を作り上げた。外装は私好みのとびきりの美人に仕上げた。その肌は人工的な素材で組成されたものだとはまず分からない精巧なものだ。
中央処理には私自身の脳内から知識データを抽出し、それを植え付ける。これで私と同等のスペックを誇るロボット、ということになる。
あとは私よりも出来た人間の人格データと、理想的な記憶データを移植すれば、私を上回る存在が完成する。
全ての準備が整い、私は手元のスマホで彼女の電源を入れた。触れてみると、人肌の熱をこの手に感じる。
実験は成功だ。彼女に今、生命が宿ったのだ。
「初めまして、博士」
目覚めた彼女が私の姿をその目で捉え、話し掛けてくる。そこにはロボットと話しているような違和感はなく、彼女は一人の人間そのものとしか思えなかった。
「……博士だなんてやめて。あなたは私の上司になるんだから」
「では、なんとお呼びすれば?」
「あぁ、私の名前は海──」
私はふいに言葉に詰まる。研究所内で通っている名前は、私の本名ではないからだ。
私が作り上げた私だけの上司。だったら私も、本当の自分で接したいと、そう思ったのだ。
「──いや、私の名前は……ゆい。あなたは最新型番V-01。呼び方はこれから考えていきましょうか、先輩」 >>190
ついに最新型は自分で作ってしまったのですね
次ぎは後輩の復活を目指すのでしょうか? んー、やっぱり以前投稿した作品を知ってないと駄目なオチになっちゃったな…反省… >>175
使用したお題:『スマホ』『池袋』『美人上司』
【メガネをはずしてください】
スマホに見知らぬ美女の写真が入っていた。ビックリした。
「おい」
ただちょっと待ってくれ。オレはこんな美女に会った記憶はない。そしてここまで素敵な女性を忘れるわけがない。
だが現実に写真のフォルダの一番上に美女が映っていた。つまり、どこかで彼女と会ったはずなんだ。オレは少ない脳細胞をフル活性させて思いだそうとする。
「何仕事サボってスマホを凝視してるんだ?」
上司がいつものように嫌味を言ってくる、が無視。そんなこと今はどうでもいい。記憶を必死に遡る。
確か昨日は上司に誘われて飲みに行ったはずだ。池袋のいつもの店で。チェーン店特有の安っぽい店構えと、同じく安いがそれなりに美味いツマミがあるところだ。そうだ、昨日は飲み屋に行ったはずだ。
「おい、人の話を聞いてるのか? 上司の言葉を無視するとは良い度胸だ」
上司の声がちょっと怖くなったのでスマホから視線を上げる。上司のトンガリ眼鏡にむかって「すいません」と生返事で謝罪をするも、頭の中では先程の美女の写真でいっぱいだった。さらに記憶を揺り起こす。
整った顔を真っ赤に染めた美女の美しい横顔。濡れた瞳でスマホ越しのオレを見つめている。ただの写真なのにその妖艶な瞳に思わず心臓が高鳴った。真っすぐに伸ばした黒髪が美しい。
わずかに映った後ろの座敷やテーブルは完全にチェーン店のそれだった。撮った日付も昨日の物なので、昨日上司と行った飲み屋で間違いない。ただ、誰なのかわからない。
青いスーツはどこかで見覚えがあったが、どこで見たのか思い出せない。
「おい、お前何上の空になってるんだ。人が説教してるのに」
写真の美女のことを精一杯思い出そうと頭をフル回転させていたけれど、傍から見たらただの棒立ちだったようだ。再度上司にきちんと目線を合わせて謝罪する。メガネの度がキツくていつものように表情が読めない。
まだ30の大台に乗ったばかりだったはずだが、この上司の漂わせるお局さん的雰囲気は40のそれだった。色気の欠片もないまとめた髪の毛と、男のような愛想のない青のスーツが逆によく似合っている。
と、ここで僅かな違和感。上司の様子が何かいつもと違った。「あれ、髪の毛でも切ったんですか?」と当たり障りのない質問をしてみた。
「いや……、というかそのことをメールで君に尋ねたら、君から見せたいものがあるって返信を貰ったんだけれど。覚えてないのか?」
覚えていなかった。そのせいで美女の正体がわからないのだから。おそらく昨夜は少し飲みすぎて泥酔したのだろう。
そのことを上司に説明すると、上司はオレの机の方を見ていた。先ほどまで弄っていたスマホの画面を見ている、と思ったらスマホを手に取った。
「……ああ、なるほど。このときはすでにいつも付けていた髪留めがなくなっていたのか……。だとしたらどこで落としたのだろうか。そんな簡単に外れるものでもないはずなのに……」
上司はそう言うと、先程のオレのように記憶を探り出したようだった。横を向いて顎に手をやり、ブツブツと呟いている。
その横顔と目元の泣きボクロに何か引っかかりを覚えたが、その前に上司はオレにお礼を言った。
「感謝する、大事な髪留めだったんだ。もうちょっと探してみる。キミは仕事を再開しなさい」
そう言って上司は自分の席へと戻ってしまった。オレは思い出すのを諦めて、仕事に戻った。その際、最後にチラリと先程の美女の写真を見た。
しなだれるように座った美女はメガネを片手に、泣きボクロと頬を赤らめながらオレを見上げていた。 >>193
メガネを外すと……と言うのはある意味お約束ですね
果たして彼は、自分の上司の正体を 気付けるのでしょうか?
……中途書き込みをしてしまいましたorz >>190
お題『実験』『スマホ』『美人上司』を攻略宣言! 挑戦者あらわる、アップデート・ザ・ボス〜
さあ、さっそく職場に不満の主人公が語り始めるぞ、なになに自分より優れた上司がいない、オッケー作っちゃお〜、上司を作るという新しさw 『実験』は成功、『スマホ』に電源を入れ、いざ『美人上司』を起動だ〜!
なるほど「私好みのとびきりの美人」と誘引しておいて、主人公に女性を重ねてくる、実は百合だったオチになってるw そして百合と言えばあの人…
「海」と言いかけて「ゆい」と言い直す、やっぱりだ! これはシリーズ作者の署名代わり、そう、本作は連作だったオチでもあり、署名は初代進行氏その人〜会いたかったぜ(シリーズ初見の人で話が気になったら前スレ76の話を参照のこと
司会が揃い踏みとはめでたいな! 初代、二代目そろってお題消化おめ、まま、とりあえず一杯飲もう、そんな感じで、今夜はおつかれ盃ENDだ〜
>>193
親しみやすそうなお題『スマホ』『池袋』『美人上司』に挑戦〜、池袋ウエストゲート・ザ・ボス〜
記憶が定かでない主人公、頭をヒネる先にあるのは、昨夜『池袋』の安い飲み屋で、ご一緒の濡れた瞳の美女、それを思い出させる『スマホ』の画像〜
髪留めなくしたトンガリ眼鏡の上司(センスw)に怒られながら、主人公はもう少しで噛み合いそうな記憶をたどる〜、あー髪留めを渡そうとしたんだろうな
「青いスーツはどこかで見覚えがあった」「男のような愛想のない青のスーツが」「目元の泣きボクロに何か引っかかりを覚えたが」←193氏、読者の心を絶妙に弄ぶw
さあ、志村うしろうしろ『美人上司』は後ろ〜状態になった物語が最後のお題を見事消化し、ラスト! トンガリ眼鏡を片手に泣きボクロ〜、ハイ決定打、もう分かったよね? えっ、ここで後はご想像にお任せしますなのかよって感じで続きはよENDォ! やっぱり前回のお題は何か難しすぎたんやな。今回サクサクできるし・・・ 7お題どうなんだろ?
選択肢が多いから達成感が少ない、といえばデメリットだし、組み合わせでいろいろ思いつける、といえばメリットだし・・・
とりあえず自分は使用頻度の少ないお題を使って「オレ賢い!」って自己満足しようかな。早速一つ思いついたし >>175
使用したお題:『実験』『美人上司』『爆発』
【人が死なない爆発】
人間だけを殺さない爆弾を発明した。
普通の爆弾と同じで非生命体は爆風で破壊するのに、人間にはせいぜい火傷や打ち身程度の被害で済むのだ。自分で言うのもなんだが、世紀の大発明だと思う。
これさえあれば戦争が変わる。殺戮目的ではなく戦略拠点陥落のための空爆をこの爆弾ならし放題だからだ。人道的に配慮した戦術・戦略が行えるようになる。
もちろん戦争だけではない。人質もろとも誘拐犯を爆破し、その武装を破壊して解除することもできる。火力発電所や原子力発電所に応用できれば、人的には絶対安全な施設を作れるだろう。倒壊した建物だけ破壊すれば人命救助だって楽々だ。
極論、子供の遊びに爆弾を利用することだってできるだろう。とにかく世界の全ての技術と文化が大きな前進をしたのだ。素晴らしいことだ。
「はぁ、ここまで長かったな……。彼女たちに感謝だ」
私は過去を思い出す。彼女たちと過ごしたありきたりで平凡で、幸せだったあの日常の日々を。
料理が下手だった妹のことを思い出す。妹が揚げ物をすると台所がよく黒焦げになったものだ。
謎の実験をよくやっていた幼馴染のことを思い出す。あいつのせいで何度理科室の窓を割ったことか、多すぎて回数なんて覚えていない。
イタズラ好きだった先輩のことを思い出す。あの人にいろいろなイタズラを仕掛けられて死を覚悟したことは一度や二度ではない。
あれから何年も経った。経ってしまった。しかしそのおかげでこの非殺傷爆弾を完成させることができた。
私は感慨深く思いながらいつものようにいつもの場所に座り、いつものように線香に火をつけた。手を合わせる。
「みんなのおかげで完成したよ。本当に、本当にありがとう」
仏壇に乗った三人の写真に向かって真剣に手を合わせる。心の中で幾度となく繰り返した言葉を何度も何度も唱え続けた。
彼女たちのおかげでこの非殺傷爆弾を完成させることができたのだ。
妹が台所に立つたびにこっそり油や粉末を混ぜこんで料理させたり、幼馴染が気づかないうちに実験準備室にある薬のラベルをわざと危険ではないものとすり替えたり、イタズラに引っかかる際にヘリウムや火薬の量を調整しつつ、先輩を盾にしたりして。
そうして何度も『人が死なない爆発』を実証・観察できたことによって。
私は心の中で何度も何度も感謝と、謝罪を繰り返す。
「みんな、ありがとう。そして、ごめん。ごめん、やり過ぎたんだ。みんなを死なす気はなかったんだ。でもみんなは爆発に巻き込まれて死なないのか、どうしても気になって。気になってしまって……。ホントに、ホントに……」
「……フフフ」 お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』投票締め切り
投票無しのため、一覧はありません。 選択お題、『7』『実験』『池袋』
【リバイバル】
その居酒屋のBGMには、池袋には似つかわしくないクールで清潔なジャズがかけられていたが、個室の誰も熱心に耳を傾けているようには見えなかった。
「で、そのラノベってのは、いったい何なんだい」と柳眉を顰めた清少納言が尋ねてきたので、
「今の若者にウケてる読み物ですよ」と僕が答えると「はーい、どうせこちらの生まれは平成ならぬ平安ですよ、1000歳超えの婆ですよ!」と頭をはたかれた。
くっくっくと笑いながら芥川龍之介が言う。
「いやエッセイばっかり書いてた清少さんには分からないだろうなァ、文学は重苦しくなったんですよ。
ボクなんかはね、自分の娘が生きながら焼かれて、苦しむけれども、それが芸術だって言って、娘の焼き姿を描いちゃう画家の話、みたいなのを書いてね。
滅法ウケてましたから。ラノベってのもそういうモンでしょう」
「いえ、完全に違います」
安価になったクローン技術は、いつしか倫理観念をなし崩しにして、人々は好き勝手に人体複製を行うようになった。
人体造成のテクノロジーは、脳の模造をも可能にし、過去に残された文献を基に偉人がクリエイトされ、彼らのトークがバラエティとして人気を博している。
ここ池袋の居酒屋には、伝説の物書きとも言われる文豪が七人集められ、
ネット生放送の中、あいつらが顔を合わせて文学談義を交わしたらどうなるか、という企画実験「ライトノベルの未来を語る」が行われている。
木箸で魚の目をつついて盲目だと言って喜んでいた谷崎潤一郎が、焼かれる娘という怪しい単語に反応した。
「となりゃ、結局ラノベったあ、アレですかい、女をさ、自分好みにしよってんで、子供の頃から育ててたらさ? 悪女になっちまって、逆に男が入れ込んじまって破滅、みてえなやつ?」
こじらせ方が違うのだが、説明するのが面倒だ。
「萌えの大家と呼ばれる谷崎さんの趣味には合うかもしれません」とだけ、とりあえず言う。
すると、二葉亭四迷がジョッキをぐいっと飲み干して、テーブルに身を乗り出してきた。さすがロシア帰りだけあって、ハイボールを水のように飲む。
「や、でも嬉しいですねえ、ラノベってのは、ライトノベル、でしょ? ノベルを小説としたのは、私こと二葉亭の、二葉亭の、師匠でしてね。
それまで悩みなんて日本では描かれてなかったわけですよ。それをね、私こと二葉亭が海外から輸入して〜」とマシンガンのように自慢話が続く。
「しずけさや、岩にしみ入る、蝉の声」
松尾芭蕉が一句詠んだ。黙れ蝉、ってことなんだろう。
「すいませんねえ、芭蕉先生。しかしねえ、やっぱり文学と言うのは重たいだけじゃない。出不精だけのもんじゃないんです。
小説ってのは、町の噂って意味ですから。ライトノベルって言うぐらいだ。一葉さんみたく軽快な文体が、現代でも人気なんでしょうね?」
二葉亭が水を向けると、端で縮こまっていた、最年少の樋口一葉が、集まった視線に恐縮した。
「え、わ、わたしですか? なんか、もう、先生方の前で、人気とか……語れる存在とかじゃないです……」
困惑しきった若い女性に、女好きの谷崎が素早いフォローを入れる。
「いやいや、でも、一葉さんの作品は今でも通用するぐらい、作風が若々しいって、評判だそうで」
「はーい、どうせこちらは今じゃ通用しない婆ですよ!」
「婆! 婆と言えばね、ボクは死体から髪を盗む婆の話を……」
濃ゆい文豪達の果てしなく続く駄弁は、もともとの主題まで行き着くことなく、ライトノベルとは何か、それすら理解することなく数時間を費やした。
ネット生放送も時間切れとなり、いまや文豪数人がテーブルに突っ伏している。カオス。
「夏草や、つわものどもが、夢の跡」
「それでェ、結局あんたァ、誰なんだいィ?」と呂律の回らない清少納言が、こちらに絡んできた。
僕は自己紹介すらしていない。
「やれやれ」
ひとつため息をついた。 >>200
200氏がサイエンティストものでお題『実験』『美人上司』『爆発』に挑む、ノンデッド・ボマー!
さあ、『爆発』はしても人をほとんど殺傷しない、対非生命体用トンデモ爆弾を開発した主人公が、仏壇の写真に手を合わせるぞ〜
並んでいるのは、台所を黒焦げにしていた妹、謎の『実験』をよくやっていた幼馴染、死を覚悟させる悪戯マニアの先輩だあ、他の家の人を合同で祀ってやがるw
語り口は何やらデンジャーな方向に転がり…ラスト! 出た、マッドサイエンティスト告白オチだァ〜、人を殺しかねないイタズラが好きだった先輩にだけは同情の余地はないな、彼女が『美人上司』かw
科学進歩に犠牲はつきもの、飽くなき探究心に突き動かされた科学者の口から漏れるは謝罪、いや、これは破壊衝動だ〜、好きだからこそ壊したい! どうでもいいから守りたい! 渾然一体の漆黒がチラリ覗いて、お題消化のマッドボマーENDだァ!
>>202
二作品だしね、
あと適当なところで投票を促す掛け声があったら違うかもよw
>>203
自作!
選択は『7』『実験』『池袋』だが、
実は前お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』も含めてみたぜ! ていうか前回のお題がめちゃくちゃすぎたんだな
もうすこし安価取る人は自重しろと 前回はたまたま相性が悪かっただけだと思うよ。お題全消化してる話が3つもあるし・・・
思い付くときは「長靴下のピッピ」ですらお題として流用できちゃうしねぇ >>200
お巡りさん、コイツですw
イタズラは多少自業自得ですが、ほかの爆発の元凶は主人公ですか
人には優しいハズの発明をした立役者がサイコパスと言う皮肉w
>>203
人格が宿るのは脳か魂か? 文豪達の様子を見ているかぎり、後者な様ですが
それとも脳に直接インストール?
>>202
投票したくなるような、心に残る話を書きたいものです 心に残る短編ってどんなのがいいんだろう?
叙述トリック系? インパクトが強い系? それとも普通に感動系かな。
自分は文章で遊んでる系だけども 面白コピペみたいな数行で笑える超短編が書いてみたい お題消化しつつそれは無理ゲーじゃなかろうかw
でも3行くらいで起承転結つけるのはいけそうかな? 考えてみようか 使用お題:『実験』『池袋』『爆発』
【アルケミスタ】(1/3)
池袋。言わずと知れた国内有数の繁華街であり、雑多とした人々が集い、観光地、歓楽街、そして心霊スポット等の様々な貌を持った怪物でもある。
だが、そんな街もひとたび路地裏へと入り込んでしまえば、表通りの喧噪も遠のき、異界と化す。
「あ、が……」
「ふむ……」
青黒い顔の男が喉を掻き毟りながら次第にピクピクと痙攣を始める。その男を眺めるのは地味な色合いのコートを羽織った人物。
男は完全に事切れたのか、弛緩し、四肢を大地に放る。
「フム、想像通りの結果になったな。やはり、幽子と霊子の結合が甘い様だ」
コートの怪人物は、死んだ男の顔を覗き込む。と、そのコートから金属の輝きを持ったコード状の物が伸び、死んだ男の体をまるで調べるかの様にまさぐった。
死んだ男の体はあちこちが異形と化していた。しかし、この結果はコートの怪人物の希望に沿う物ではなかったらしい。
「霊的力場の強いこの地でならと思ったが……従来の方法の方が安定しているな。この方法では外部からの霊子の補助は出来ないと考えた方が良いようだ……」
立ち上がった怪人物は、懐からアンプルを取り出すと、それを死体に振りかける。と、薄く光る緑の液体は、降りかかったと同時に死体をシュワシュワと溶解させてゆく。
「ふむ、外部霊子の取り込みは自然結合だけでは足りない……やはり、失われた“アブソーバー”を再現できないのが辛いな……」
立ち上がった怪人物は、キューブ状の品をカチャカチャと操作すると、まるでカーテンの裏にでも入り込むかの様に、その姿を消す。
後には、かつて人だったモノの、黒い染みだけが残っていた。
******
郷下 剣穂がゴシップ記者の矢五明 範司からその情報を仕入れる事が出来たのは、ゴールデンウイーク間近の事だった。
サンシャイン60通りにあるファストフードの店に並で座った2人は、お互いにだけ聞こえる声で話をしていた。
「ダンナの言った通りでしたね、届出のない行方不明者も合わせれば一週間で5人。明らかに多いですよ」
「……予想通りか、グランドパルスの揺らぎが多いから、“ヤツ等”が動いて居るんじゃないかと思ったんだよ」
「…………グローリアスドーンですか……」
範司が忌々しそうに眉を顰める。
グローリアスドーン……いつの頃から存在しているか分からない錬金術師達の結社であり、剣穂、範司共に因縁浅からぬ相手でもあった。
剣穂は、都内近郊のエキゾチックマターの分布を調べている時に、たまたまその事に気が付き、特に揺らぎの多い池袋で何か起こっていないかを範司に調べて貰っていたのだ。
グランドパルスはグローリアスドーンの空間移動アーティファクトを使用した時に、その影響を受ける為、彼等が動いて居るのだと思ったのである。
「……また、いつもの実験か? それとも、良からぬ事を企んでいるのか?」
「どっちにしろ、犠牲者が出るんです、放っては置けないでしょう?」
「だな、俺も調査を進める」
「ならオレも、引き続き調べてみます」
「頼む」 【アルケミスタ】(2/3)
******
星の巡りの悪い……そう、評すれば良いのだろうか? 少女はワースト1位だった今日の星占いを思い出し「最悪だ」と涙声で呟いた。
短絡は凶と言う占いの結果を思いだし、ラッキーアイテムの革表紙の手帳を持っていなかった事を今更ながら後悔する。
ガクガクと震える足が動かない以上、彼女には、怪人物がこちらに気がつかない様に祈る他に出来る事はなかった。
コートの怪人物は、足元の異形の死体に何某かの液体を振りかける。すると、その死体がシュワシュワと溶解していく。
「あと一歩と言う所ですか……」
そう呟き、振り向いた怪人物の顔を見た少女は、思わず「ヒィッ」と、呻き声を上げてしまった。
その顔はウゾウゾと蠢く金属のコードに依って形作られていたのだ。
「ちょうど良いモルモットが居るようですね」
怪人の顔が厭らしく歪む。少女の足から力が抜け、ペタンと座り込んだ。
ここから逃げなくてはいけない。それは分かって居る。だが、彼女の体はその要求に応えようとはしなかった。
カツン……カツン……
革靴の乾いた音だけが路地裏に響く。
「あ、ああぁ……」
絶望に彩られた声が漏れた。
「!!」
飛び込んで来た影に怪人が身を翻す。その顔は驚愕に染まっていた。その視線の先に居るのは、鍛え上げられた身体つきの青年だった。
怪人の視線は、その青年のベルトのバックルに固定されている。
「……失われし“アブソーバー”」
青年……郷下 剣穂は冷徹な視線で怪人を見下ろす。
と、少女は突然抱きかかえられた。
「もう大丈夫ですよ」
「!!」
もう一人、先の青年とは別の青年。矢五明 範司だった。
範司は、少女を安全な距離まで運ぶと、剣穂達の様子を伺う。
二人は対峙し、睨み合いを続けていた。 【アルケミスタ】(3/3)
「アブソーバーだと! 小僧! 貴様どこでそれを手に入れた!!」
「あんたこそ、イカれた格好じゃないか、今日はパーティー帰りか? 尤も、格好以上に頭の中の方がイカれてるみたいだがな!」
一瞬、既に消失した犠牲者の居た黒い染みの方に目を向けた剣穂だったが、次の瞬間には怪人に殴りかかった。
だが、怪人は軽々とコードで拳を受け止めると、剣穂の顔面を掴む。ミシリと、頭蓋が軋んだ。
「小僧、これは貴様には過ぎた代物だ、ワシが有効に使ってやる。だから、安心して……死ね!!」
顔面を掴む手に力が籠る。そして、ニヤリと笑みを浮かべた。
ビキイィ!!
「!! ガアアアァァァ!!」
手を握り潰された怪人が叫びを上げる。自由になった剣穂が地に足をつけた。だが……
「何だ! 何なんだ! その姿は!!」
脈動する、生きた金属の鎧。
「ホムンクルス……」
「馬鹿な!! そんなホムンクルス等!! まさか!!」
「そう、“ホムンクルス・モデル”のイデアを書き換えた……故に俺の表へと顕現した!!」
そう言いながら剣穂は、バックルのアブソーバー、その錬金炉に火を入れると数種のエキゾチック物質の結晶を放り込む。
「生体パルスの置き換え以外の変身方法だと!! そんな物認められるか!!」
そう言った怪人のコートが弾け飛び、身体が倍に膨れ上がる。剣穂を捕まえようと体中のコードが彼を襲った。
だが、それを飛び上がる様に避けた剣穂はそのまま反転し、怪人に照準を付ける。炉の中の結晶は溶け合い、アブソーバーによって剣穂の体に吸収される。
それは深紅の輝き、錬金術を求める物にとって究極の光。カーバンクルの……
足に集まったエネルギーは、それを受け止めようとした怪人のコードをあっさりと千切り飛ばし、その怪人の力の源、疑似賢者の石に到達する。
「ば……かな」
怪人はそれだけ呟くと、爆発四散した。
その光景をどこかぼんやりと見ていた少女は、そのまま気を失ったのだった。
******
少女が意識を取り戻したのは路地からそう離れていない公園のベンチでの事だった。
母子が楽しそうに戯れる風景をみていると、先程の事がただの悪夢だった様に思えた。
******
「ダンナ、良いんですか?」
「ああ、知らない方が良いって事は確かにある」
「ですか? いや……ですね」
「ここから先は、知ってしまった者の責務だ」
「ですね、オレ達がやらなけりゃいけない事だ」
「ああ」
そう言って2人は池袋の街を見下ろしたのだった。 >>175
3行くらいの短いの書きたかったけど、さすがに無理だったは・・・
使用したお題:『7』『スマホ』『爆発』
【この中に一人、嘘付きがいる】
数人の男女が暗い部屋に閉じ込められていた。扉は開かず、窓はなく、どうやっても外に出られない。
途方に暮れたみんなに、床に置かれていたスマホがメールの着信を告げる。そこには一言、こう書かれていた。
「この中に一人嘘つきがいます。誰が嘘つきか見分けて殺しなさい。そうすればこの部屋から脱出することができます。殺さないと一生外には出られません」
スマホから顔を上げて目の前を見た。そこには6人の人間がいた。彼らは口々に訴えてきた。
「オレは猟奇殺人犯だけど、嘘付きじゃないよ」
「ぼくは連続殺人鬼だけど、嘘付きじゃないよ」
「私自爆テロリストだけど、嘘付きじゃないよ」
「うちカニバリストだけど、嘘付きじゃないよ」
「儂はプロの殺し屋だけど、嘘付きじゃないよ」
「おいら凶悪爆弾魔だけど、嘘付きじゃないよ」
彼らの証言を聞いて、自分はこう答えた。
「なるほど。誰が嘘付きが、すぐにわかった」
そうして嘘付きを殺し、他のみんなは外へ脱出することができたのだった。
めでたしめでたし。 嘘つきでなければ良いというモノでもないと言うw
何故犯罪者ばかりを集めたのか気になりますね >>211
混ぜるなキケンの三種お題、選択は『実験』『池袋』『爆発』! ブクロのアルケミスタが登場だ〜
物語は『池袋』に蠢くコート男が邪なる『実験』を繰り返し、あとには黒い染みだけを残していくぞ〜、おぞましい顔面、ナイス描写〜
コートだけに正体は金属のコード、少し引っ掛けたかw さあ、知ってしまった女の子にコート男のワームが迫り、正義のホムンクルス、剣穂さんが現れる!
「そう、“ホムンクルス・モデル”のイデアを書き換えた……故に俺の表へと顕現した!!」←だめだ何を言ってるのか分からねえw アルケミスト必殺の蹴りがコード男を『爆発』四散〜
ラスト、カメラは戯れる少女を映し、記憶を抹消!? 戦意は高揚! 知られざる者が痕跡残さず戦いを続ける、アンノウン・シリアス・ヒーローENDだァ〜
>>214
短さを追求する214氏が、お題『7』『スマホ』『爆発』に挑戦するぜ、ネタバレ注意のライアーゲーム、in短編スレ!
舞台は壁しかない疑惑の部屋、集結した『7』人、彼らの『スマホ』に嘘つきをヤれと指令が下る〜、展開はやっ
嘘つきはこの中にいるッ、見つけ出すぞ、じっちゃんの名にかけて! 他の面子がここで唐突に自分の凶悪性をアピール、嘘とか関係なく全員、仕留めなきゃいけないレベルw
しかし、これで分かったぜ、だってアンタは死んでるはずだろ! ああ『爆発』してなッ、て感じでお題全焼、オレ分かっちゃいました極短ENDォ! >>216
感想有難うございます
ホムンクルス・モデル云々は
哲学における知覚認識「『我々が知覚する事が出来るのは、脳内で視覚情報を再構築して見ている小人がいるから』なら、その小人が見ているものは、更に脳内にいる小人が居るのか?」と言うカルテジアン劇場の「カルテジアンのホムンクルス・モデル」の事です
それに「人には見る能力と見られる能力が有る為に知覚される」と言うイデア理論に引っ掛けて
脳内の「見る」小人のイデアを「見られる」に変えたから外に出てきた
つまり、「僕の考えた最強脳内小人(ホムンクルス)を引っ張り出して変身したんだよ」と言う子供理論を難しい言葉で言っているだけですw 今週分はもう弾切れかな?
ばあさんや、次のお題はまだかのぉ? じいさんや、次のお題は4/29の22時ですよぉ
だからもうちょっと待っててくださいねぇ >>218
台詞の裏にそこまで編まれた理論があったとはw 使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(1/3)
「田村君。この資料は何?」
井上専務のピシャリとした声に俺は思わずビクリと震えた。
声の方向へ振り返る前に、俺は顔を横にいる先輩へとかすかに向けるが、先輩は苦笑いをするだけだった。そんなぁ。
「田村君。聞こえてる?」
「ただいまぁ!」
俺はダッシュで専務の机の前まで来て、媚びへつらうように無理やり笑顔を浮かべた。それに対して井上専務は、まるで氷でできているかのような真顔で俺を突き刺すように射抜いた。
それを見て俺は冷や汗を浮かばせる。
「この資料提出する前に誰かに見てもらった?」
「い、いえ! ちゃんとは見てもらってません!」
「どうして? これでいいと思ったの?」
「い、いえ! そんなことは!」
「これだと主旨が伝わらない。いらないことを書きすぎて論点が分かりにくい。それに誤字がかなり多い」
「すみません!」
「すみませんじゃない! どうしてわからないことを人に聞かないの!?」
「すみません!!」
「すみませんじゃないって言ってるでしょ!!」
「はいぃぃ……」
井上専務の雷のような怒鳴り声にただただ俺は平伏するしかなかった。
ああ、これで何度目のお叱りだろうか……怒られるたびに俺の精神がストレスですり減っていくのがわかる。
「今度からちゃんとなさい」
「はい……」
ちらりと専務の顔を窺うと、専務は隙のない真顔で俺を見ていた。
……もう少し柔らかい表情をすれば、もっと美人なのになぁ……。
席に戻ると、隣の席の先輩がドンマイと俺の肩を叩いてきた。
「……先輩、ちらっと見てこの資料いいじゃんって言ってくれましたよね?」
「ああ、悪かったよ。俺の名前出さなくてありがとう」
「……」
「でも専務が厳しいのもあると思うぜ。あれくらいのなら普通は通ると思うんだがなあ」
「……俺、嫌われてますかね?」
「お前には厳しいよな。初日がまずかったんじゃねえの」
「あのアニメTシャツスケスケ事件ですか……」
「お前のじゃなくてアニメキャラの乳首が透けて出てきたのは俺もまずいと思うぞ」
「俺の勝負服なのに……あれから専務が俺をマークしてるっぽくて……いつもあの真顔で俺を見てくるんですよ……」
「あの人笑わねえよなあ。俺もあの人は苦手だ」
肩をすくめて先輩は仕事に戻る。俺も仕事に戻るが、気分は憂鬱だ。
他の無難なアニメTシャツ持ってくればよかったなぁ……。 使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(2/3)
「田村君。もうすぐ仕事終わりますよね。今夜飲みませんか?」
俺はガタンといすから転げ落ちて、声をかけてきた専務を見上げた。専務はマジの顔だった。
俺は助けを求めて周囲を見るが、誰も我関せずといった様子だった。
「積もる話があるんです。積もる話がね……」
俺は戦慄した。
「え!? 専務もあのアニメ好きなんですか!?」
「あまり人には言えませんがね。あのバカバカしさは好きです」
「い、いやあ! 嬉しいなあ! 俺、あのアニメ好きだっていうとすぐクソアニメ愛好家とかバカにされて」
「否定はしませんが、一味は違います」
最初は専務の一挙手一投足に警戒していたが、酒が進み和やかに続く会話に俺はおやっと戸惑いつつ、実は専務がアニメ好きだという事実に驚天動地して、
さらにアニメの話を俺と話す機会を窺っていたと聞いて、俺はなんだかホッとするような嬉しいような困惑するような気持でいた。
「専務、古めのアニメとかも知ってるんですね。おいくつなんですか?」
「うーん、まあ、7です。7」
「37?」
「怒りますよ」
そう言いつつ酒を飲みながら楽しく会話を続けてくる専務は、いつもと違う新鮮な面を出していて、俺はとてもはしゃいでしまった。 使用お題:『7』『美人上司』『マジレス』
【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】(3/3)
「……いやあ、俺、専務に嫌われてると思ってましたよ」
「嫌ってなんかいません。アニメのこと話したくて、ついついつっかかるようになってしまいましたが」
「他の人はアニメ好きだって知らないんですか?」
「知らせていません。ボロを出さないようにしてますから……」
「だからいつも硬い表情をしてるんですね。可愛いのにもったいないなあ」
「ちょ、なに言ってくるんですか……」
「今の専務はポワポワしてて超絶可愛いですよ!」
「酔ってるんですか、まったく。ああ、私も酔ってますね、うう……」
井上専務は顔を赤くして隠すように頬に手を当てていた。
「うわ! それ、萌えってやつです! 萌え!」
「ちょっと古くないですかぁ?」
「あー! そんな専務だったら、今ごろ社内の人気者なのになあ!」
「からかわないでくださいよ……」
「めっちゃ可愛いなあ! もっと砕けていいと思います! 専務はめちゃくちゃ可愛いので!」
「か、可愛いですか? そんなに言われると、その気になっちゃうなぁ」
専務はいやいやと身をよじらせながら、表情をほころばせていた。あれ、ちょろいぞこの人。
「井上専務! 井上専務! あそれ井上専務!」
「はーい、井上専務、17さいで〜す。きゃぴ!」
「あ、それきついっスね。はは。しかも古くないすか」
「なんでそこでマジレスしてくるんだよ!」
翌日、専務に殴られた跡を引き連れて出社する俺に心配の声が上がり、専務の社内評価が落ちて、専務はさらに落ちこんだ。
誤解を解くべく俺はできる限りのフォローをして、なんとか専務の評価を戻した。専務は俺に礼を言うが、俺も悪かったので恐縮しきりだった。
それからも、俺と専務は頻繁に二人で飲んでは、アニメについて語り合うようになったとさ。 お題『7』『実験』『スマホ』『池袋』『美人上司』『爆発』『マジレス』締切
【参加作品一覧】(1/2)
>>178【爆発! 可哀想な者倶楽部】
>>183【宇宙の地図】
>>190【論理的オーバースペック】
>>193【メガネをはずしてください】
>>200【人が死なない爆弾】 【参加作品一覧】(2/2)
>>203【リバイバル】
>>211【アルケミスタ】
>>214【この中に一人、嘘付きがいる】
>>222【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】 投票は特別やらんでもいいんじゃない? 勝手に投票する感じで
ちなみに>>203【リバイバル】に一票。上手い事偉人を盛り込んだのがよかったから 個人的には七お題から五は結構良いなって印象だけど、反応次第ってところはあるね。
先週同様安価は二十三時から取るので、意見聞かせてほしいかな お題形式に変化があると新鮮味があって面白いね
いろいろ試して欲しいな 7お題だと多い気がするし、5お題に戻して、その代わりに進行さんが特殊な強制お題をつけるとかアカンか?
例えば「ことわざに因んだ内容にする」とか「会話のみで短編を書く」とか「恋愛物オンリー」とか「有名アニメの二次創作」とか・・・ 選択肢としたら7は丁度いいと思う
一人のお題によって書く幅が狭まってしまうのは嫌かな
その人の負担も大きくなるし ルールとしては、別に全部盛り込む必要は無くて、そういう意味で3つ固定なのは良かったのかもしれないね
やりづらいお題があると、お題コンプリートしたいって燃える人ほど出さなくなるし……。 纏まってない……
見てたら、一応今の形式がやりやすかった人の方が多いみたいなので、とりあえず七安価取りましょう
来週以降の設定については、また追々考えるとして
>>238-242 ごめん、いつもの癖で安価を数え間違ってたみたいです
追加で
>>244
>>245 ☆お題→『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→5/6の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切5/2の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 次回の日曜日の締めは、ひょっとしたら書き込みできる状態にないかもです……。頑張るつもりですが、もし出てこなかったら、代理でどなたか進めてくださるとありがたいです。 >>222
前回お題『7』『美人上司』『マジレス』を選択して挑む、アニオタ・ノミニケーション〜
さあ、話は『美人上司』に叱られる主人公の語りでスタート〜、主旨不明、誤字多数、悲惨な資料で詰められる俺くんの脳裏に、アニメキャラ乳首スケスケ事件がよぎる〜、もうこれ半分セクハラだろ
鬼専務が下す至上の飲みニケーション命令に、気分は死あるのみ、死中に活を求めよ俺くん、武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり〜
しかし予想を裏切る「はーい、井上専務、1『7』さいで〜す。きゃぴ!」←うわw 調子に乗った俺くんが否定的な『マジレス』を放ち、いや囃し立てたん俺くんだろって感じで、鉄拳制裁が社会の厳しさ、ねじり込むw
ラスト、丁寧にお題を消化した222氏が、飲み友化した井上専務との談笑風景を描いた! 後ろ盾えて百万馬力、人間万事塞翁が馬、アニメは世界を救う、そんなENDだぁ! >>246
>>214に一票しとこう
これは自分が嘘言ったってことだよな?
みんな嘘つきじゃないけど誰かが嘘ついて殺されないと脱出できないので
自分がわざと嘘ついて犠牲になったとも読み取れるが >>251
自爆テロリストじゃないかな?
自爆してんのになんで生きてんだよって話だし >>252
あーそれはそうかも
深読みしすぎたかw 別に自爆テロリストって自爆しなきゃ名乗れないってわけじゃないと思うんだけど、あかんかな? まあそんな細かい設定は変えればいいだけだし・・・
一応>>251さんの解釈で合ってるよ。ついでにいうと「犯罪者が全員解き放たれたじゃないかめでたくねぇ!!」っていうのも一応オチのつもり >>193【メガネをはずしてください】 に一票
ストレートなラブコメで2828したから。
同じ路線の>>222【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
も捨てがたいけど。 >>254
あーそっちの解釈なのか。
てっきりお題が爆発だから、お前爆発してねぇじゃねぇか!って風に思ってた。 確かに全然めでたくないわ
わざわざ嘘ついてこいつら解き放った自分が一番のサイコだな 解放したくないから嘘をついたんじゃなかろうか。まあそこまで考えて書いたわけじゃないけどね
ってか今回のお題もハチャメチャだなぁ。ネタが思いつかぬ・・・ 使用お題:『続編』『合体』『ロボ』
【懐古】
男は半ば眺める様にその映画を見ていた。映画館の人はまばらで、特に興味も無いのか、映画などそっち退けでいちゃついているカップルもいる。
男にした所でオールナイトの格安の料金でなければ足を運ばなかったかもしれない。
(知名度を考えれば、そんなもんかもな……)
いちゃつくカップルに煩わしさを感じながらも、男はそんな風に思った。
映画は続編だった。いや、これを続編と言って良いのかは分からない。30年も前に作られたTVアニメのシリーズ物の続編と言う触れ込みの映画だった。
確か一作目が宇宙船から変形するロボットで、二作目は合体するロボットだったか。男が当時見ていたのはそこまでで、確か三作目もあったはずだ。
当時は高級過ぎて、その玩具など買って貰えなかった記憶があった。
(今なら買える資金が有るんだけどなぁ)
もし今、当時の自分に会ったのなら、果たして今の自分はそれを買い与えるのだろうか? そんな事を考え、男が小さく笑う。
気が付けば、映画は既にエンディングに入っている。カップルもいつの間にか消えていた。
勧善懲悪。チープで分かり易い。だが……
「昔は夢中で見れたんだがなぁ」
そんな呟きが口から洩れる。
男は、次第に明るくなる映画館で伸びを一つすると立ち上がり、そしてまだ暗い街へと帰って行った。 >>259
259氏が童心に返るお題『続編』『合体』『ロボ』に挑戦だ、ロボット懐古録ー
さあ舞台は映画館、上映するのは、かつて30年前に放映されたTVアニメの『続編』だ〜、
『ロボ』ットものの復刻版、『合体』たってやっちゃうアイツに、男が熱狂思い出す〜、昔は夢中で見れたんだがなぁ〜、ふとこみ上げるさみしさを、まばらな観客盛り上げるw
同じものでも見る目が変わる、自身の変化を顧みる〜! このごろ盛んなリメイク版〜、観客が楽しむのは作品か、あるいは自身の変遷か、物語はお題を消化して、観客のアイデンティティを確かめてENDだ! 競馬実況さんの感想の書き方がなんかこなれてきてる・・・!? 使用したお題:『気持ち悪い』『グッバイ』『英単語三文字の略語』
【幼馴染、気持ち悪い】
私の幼馴染は気持ち悪い。
顔は良いと思う。成績も抜群だ。人望もある。ちょっとヘタレなところがあるが、人柄も悪くない。
でも気持ち悪い。
私の朝は比較的ランダムだ。たまに用事があって早く出ることもあるし、寝坊して遅れることも頻繁にある。
だというのにこの幼馴染は必ず私の家から出た少し先の場所に待っている。
そして私の顔を見るなり、二本指を額に当ててウィンクをしながら爽やかに一言。
「や、今日も良い天気だね。君の気分はどうだい?」
気持ち悪い。
不本意ながら一緒に登校して別れる時、または同じく待ち伏せされて不本意に一緒に下校して家の前で別れる時、
幼馴染は同じように二本指を額に当てて爽やかに一言。ウィンクもパチリ。
「グッバイ、また明日ね」
気持ち悪い。
私が一人で学校の教室を掃除している時もそうだ。どこからともなく幼馴染が現れて、私の手から雑巾を華麗に奪い取り、ポーズを決める。
「綺麗な君にこんな汚いことは似合わないよ。僕に任せたまえ」
気持ち悪い。
購買に向かおうとしている時が一番酷い。汚れた筆記用具や代わりの教科書を買いに行く時、彼は即座に私の前に現れる。
クルクル回りながら現れて、顔や服が汚れたまま爽やかスマイルを決める。
「IBKだよ。さあ、一緒に購買に向かおうか」
ちなみにIBKは『いつでも僕は君の側に』の略らしい。気持ち悪い。
あの幼馴染は、社会通念上のルールを犯すことも厭わないのだ。私が女子トイレの個室に入っていると、奴はトイレにまで入ってくるのだ。
ノックの音が二つして、ドアの上からタオルが投げ入れられてきて、こう一言。
「人のいないところで泣くのもいいけど、どうせなら僕の胸の中で泣いてもいいんだよ?」
気持ち悪い。
放課後の教室に呼び出されたこともある。そこには幼馴染と、私の良く知る人たちがいた。
彼は珍しく無表情で、彼女たちにこう告げた。
「今まで見過ごしていたけれど、すでに証拠は十分揃った。これ以上彼女を傷つけるというのならば、相応の報復を覚悟しておくれ。なんせ彼女は僕の物だからね」
気持ち、悪い。
いつもの帰り道、いつものように幼馴染と一緒に家に帰った。何事もなかったかのようにくだらない話をしてくる彼の後ろに、無言でついていく。
家の前まで見送ってから、幼馴染はいつもの寒いポーズとウィンクをした。
「グッバイ、また明日ね」
気持ち悪い。
でも一番気持ち悪いのは、正直になれない自分のことなんじゃないか、とそんなことを考えながら、
幼馴染の今日の突拍子のない言動を思い出して、自室で一人鼻をすすりながらクスクスと笑っていた。 >>260
感想、有難うございます
ロボットが云々と書いておきながら
思い付いた切っ掛けはバックトゥ○フューチャーだったりしますw >>263
ネガティブな主人公
最後は少し素直に?
関係ないですが、幼馴染の脳内CVが宮野○守になってましたw 使用お題:『続編』『気持ち悪い』『合体』
【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】1/3
前回のあらすじ!
出社初日に変態アニオタTシャツを着てたら皆にドン引きされたよ!
それが原因で美人上司に厳しくされてると思ったけどそんなことなくて、
それどころか実は俺と同じアニオタだって打ち明けてくれたよ!
アニオタだって周りに知られたくなかったから周りと仲良くしてなかったんだってよ!
最終的にアニオタ飲み仲間ができたよ!
【続・美人過ぎ(ry】
最近の井上専務は表情が柔らかくなったと評判だ。
以前は硬くて怖くて誰も近寄らなかったのに、今は専務にデレデレと言い寄る男が断たない。
由々しき事態だよ、これは……。
「最近専務モテてますよね……」
「ん? そうですか?」
俺がつい女々しい声色で言っても井上専務は意に介さずキョトンとした顔を返すばかりだった……。
俺は酒を一口あおってから、ため息を吐いた。
「優しい顔をするようになったって、もっぱら評判ですよ」
「はあ……どうして田村君はそんなに元気がなさそうなんですか?」
「専務が遠くに行っちゃった気がして……」
「なんですかそれ」
「もはや社内の人気者ですよ……」
「はあ……」
俺は専務のことが好きになってしまったのである。
美人だからというのもあるが、こうしてずっと一緒に呑んでるうちに専務の良い人柄が伝わってきて、良いなと思ったのだ。
真面目で、優しくて、趣味も合って、可愛くて、こうして二人で飲んでばっかりいたらそりゃこうなるよ……。 【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】2/3
それだけに今の状況は苦痛だった。
専務がモテだしたら気持ち悪いキモオタの俺に勝ち目などない。
まあでも、酒の場だし、一応ワンチャンあるか思い切って訊いてみよう。
「俺って、男の魅力とかあります?」
「なんですか藪から棒に。会社に猥褻アニメTシャツ着てくる男にそんなのないですよ」
はい死んだー。
俺はやけになって酒をグイグイ飲みだした。それにつられてか、専務も中々のペースで飲んでいた。
「でへへ! 27歳ってありですかー! まだいけますかー!」
「専務はいくつになっても美人だから大丈夫ですよ」
「えへへ! そーう? 嬉しいなあ! うへへ!」
専務は酒を飲むとちょっと壊れる。そしてチョロくなる。
おだてたらチューくらいしてくれるんじゃないかと思うが、俺はそんな卑怯な真似はしない。
「あ、可愛い可愛い井上専務。大好き! お兄ちゃん!って言ってくれませんか?」
「おいちゃん!」
「あー、大丈夫ですか?」
「うーい」
専務はベロンベロンに酔ってしまった。いつもはここまで呑まないのに。
俺はなんとか酔ってる専務から家の場所を聞き出して、苦労してタクシーに連れてって、玄関の前まで引きずってきた。
「さすがに入るのはまずいよな……」
俺は専務の頬をぺしぺしと叩く。
「起きてください。もう家の前ですよ」
「……んあ……あれ、ここ私の家だ……」
「そうですよ……ほら、鍵出して、入ってください」
「田村君も一緒じゃないとヤダー」
「あ、ちょ……」
専務に連れられていつの間にか俺は居間に専務と二人きりになってしまった。
心拍数が上がってきた……あれ、これ、いわゆる合体するチャンスじゃ……。 【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】3/3
まあ、酔った相手にそんなことしないんですけどね。
専務がめちゃくちゃくっついてくるけど、理性で頑張って俺は専務をベッドに乗せて、しわにならないようにスーツを脱がして、
二日酔いの薬と書置きを残して、家から飛び出たのだった……。
※※※※※※※※※※
うっすらと目を開けると、田村君の姿はない。本当に家から出ていったようだ。
「……おっかしいな。ここまで据え膳用意してもダメなのか」
アニメと現実は違う。私はため息を抑えきれなかった。
「……まあ良識があれば、酔った相手なうえに上司なんですから当然なんですけど」
最近言い寄られることが多くなったから、自分の容姿にも自信を持ち始めてきたのだけど。
「やはり年上は趣味外……? でも気のある素振りは見られるのですが……ああ、こういうのは慣れませんね……」
いくらなんでも焦りすぎだろうか。自分が情けなくなってきて、自己嫌悪に陥りそうだった。
ふと、彼の残した書置きに目が留まり、それを手にとる。
滅茶苦茶焦って書いたかのような汚い文字と、勢いでいらないことまで言っている文章を見て、つい笑ってしまう。
「……男としてはどうかと思いますが、あなたのことは好きですよ」
彼と一緒にお酒を飲んでおしゃべりをするうちに、自然とそう考えるようになった。素の自分を受け止めてくれるので一緒にいると楽しい。
「……寝よ」
まあ、ゆっくり進めよう。年齢的に呑気でいられないけどね……。 >>266
素直に気持ちを伝えられない同士
婉曲なのは、自信のなさの表れですね
二人の今後に幸あらんことを…… >>263
選択は、『気持ち悪い』『グッバイ』『英単語三文字の略語』! ディア・マイ・ヒーロー!
さあ『気持ち悪い』幼馴染を紹介するぜ、二本指を額に当ててウィンク、決め台詞は『グッバイ』、80年代からの刺客、呪われたセンス、絶対零度のヒーローが見参だ〜
その付きまとい、もはや犯罪w 合言葉は、いつでも僕は君の側に、IBK〜(『英単語三文字の略語』)
しかし、おちゃらけ話が徐々に見せるはイジメの現場、物語の真実書かない書きざまに、少女の言えない悔しさにじみ出る〜、傍に居たヒーローは伏線〜、くだらなさは優しさだ〜
ラスト、守り抜かれて涙で滲む、何も言わない、ゆえに雄弁、アイツの寒いポーズが滲む〜! 心理劇の巧手263氏がお題をキャラ立てで使い切り、救いがたきを救い上げて、不器用な関係をドラマチックに落とす、コングラチュレーション・END!
>>266
お題『続編』『気持ち悪い』『合体』をスタンバイ、アニオタ・コミュニケーション・ワンモア〜
丁寧な前回のあらすじで『続編』消化ワロタ、さあどうなる、アニメトークで飲み友化した二人(前回のお話>>222)その後やいかに〜、ってあの笑わぬ専務がモテ出した〜!?
資料作成すらままならぬ、『気持ち悪い』キモオタに勝算なしだぜ! って自嘲する田村くんが、今夜も酒で力攻め〜
さあ専務の「田村君も一緒じゃないとヤダー」で『合体』(表現w)の合意は成立か!? お題もさくっと消化済み、ここからエロか、エロなのか〜、
しかし酒席ですら狼藉ゆるさぬこのご時勢、メンバーにだけはなるものか〜、逃走する草食系、田村くんの背中に専務の本音がかぶせられ、スレ違った二人のコミュニケーションが妄想を昂ぶらせ、これは更なる続編が欲しくなってしまったねENDで、266氏が己を追い込んでくれた! 毎度感想ありがとうございます
もう続編はない(できない)
今後は紆余曲折でくっつくんでしょう 使用したお題:『続編』『赤ワイン』『ロボ』
【シリーズ物の予告を集めてみた】
『とんずら戦隊ニゲルンジャー!!』
愛と正義と平和のために立ち上がった5人の戦士・とんずら戦隊ニゲルンジャー!
彼らは地球を滅ぼそうとする悪の秘密結社から人々を守るため、日夜戦い続けている。
果たして、世界の平和は守られるのか。そして、彼らの背後に蠢く謎の黒い集団は……?
日曜朝9時半から放送。こうご期待!!
・・・・・・・・・
『逃げるが勝ちだが恥知らず』
大人気アクションドラマ、とんずら戦隊ニゲルンジャーが続編となって帰ってきた!
悪の組織を超巨大ロボでやっつけたとんずら戦隊、彼らは訪れた平穏の中で幸せに暮らしていた。
レッドとピンクは結婚し、幸せな家庭を築き、イエローやブラックたちも各々の道へ歩みだした。たまに連絡を取りつつも、お互い別々の生活を送り出したのである。
そんな中、突如急報が彼らの下に届いた。なんとブルーが元敵の女幹部と結婚したというのだ! あまりに突拍子の無い話で元仲間たちは心底驚いた。
しかもそれだけではない。なんとその女幹部とレッドが浮気をしていた、という噂がどこからともなく漏れ聞こえてきて……。
平和な世界で安穏とした生活を送っていた彼らを襲う様々な人間模様。
レッドは自らの無実を証明できるのか、前作『とんずら戦隊ニゲルンジャー』から続く日常恋愛コメディドラマ『逃げるが勝ちだが恥知らず』、毎週月曜夜9時から1時間放送です! お楽しみに!!
・・・・・・・・・
『火曜サスペンス劇場 逃げられない宿命』
ピンクが死んだ。彼女が飲んだ赤ワインに仕込まれた毒のせいだった。
愛する妻を失った悲しみと誰が殺したのかという怒りに燃えるレッド。犯人を突き止めようとするも、仲間たちの協力空しく空振りに終わった。
あれから20年。ピンクに対する愛情は薄れることなく、悲しみに包まれたまま諦念の生活を続けていたレッドだったが、とある一通の手紙が彼の怒りに火を灯した。
「彼女を殺した犯人は3人いる」
20年前の過去を思い出し、仲間と協力し、また疑い、真犯人を探していく推理ドラマ『逃げられない宿命』。金曜夜10時から毎週1時間放送です。乞うご期待!!
・・・・・・・・・
『ホーム アウェイ ホーム』
最愛の人を失い、信頼しあっていた仲間の裏切りを体験し、たった一人残された男が荒れ果てた街の中で何を見たのか。
謎の黒服に導かれ、彼が向かった先は一体どこなのか。彼に帰るべき場所はどこなのか?
大人気シリーズの派生作品が堂々の映画化。一人の男が後悔と懺悔を繰り返す心の旅を丁寧に表現されております。
彼が流した涙でできた道を歩んでいく姿に感動を隠せない。劇場版は20X8年、夏公開予定。どうぞお楽しみに。
・・・・・・・・・
『とんずら戦隊ニゲルンジャー ダブルクロス』
あの大人気シリーズが帰ってきた!!
愛と正義と平和のために立ち上がった5人の戦士・とんずら戦隊ニゲルンジャー!
彼らは地球を滅ぼそうとする悪の秘密結社から人々を守るため、日夜戦い続けている。
果たして、世界の平和は守られるのか。そして、彼らの背後に蠢く謎の黒い集団は……?
悪の総帥「ブラックレッド」を倒すことができるのか!? そして彼の正体は!?
日曜朝9時半から放送。こうご期待!! >>272はこれ全部で一纏めの短編のつもりです
あと、競馬実況さんすげーがんばってるのわかってるし、きびしそうならパスもありなんやで・・・ まあ皆もバンバン感想言おうぜって話だけどシャイだからね
投票は締め切り後だったか >>272
272氏がお題『続編』『赤ワイン』『ロボ』を携えて登場だ〜、とんずら戦隊 〜to be continued〜
とんずら戦隊ニゲルンジャーは朝の大人気戦隊シリーズだ〜、超巨大『ロボ』の活躍で平和を取り戻し、浮気系ラブコメでリメイクされた彼らのその後は、逃げるが勝ちだが恥知らず〜、
「ピンクが死んだ」←いきなりかよw さあシリーズは『赤ワイン』に仕込まれた毒を巡る謀略の火サスに転進し、そして、裏切りに遭ったレッドが後悔を繰り返す劇場版を経て、ラスト〜、『続編』ダブルクロスを冠して朝時間に帰りついたァ
一連のシリーズ変節は視聴者の生育に合わせたものなのか〜、闇堕ちしたレッドの良心、取り戻すは次代のとんずら戦隊と子供達〜、この世に不味い飯屋と悪の栄えた試しはねえ! お題を全消化したシリーズが、一周まわってレッド、今度はこちらがお前を救うぜENDだ! >>272
夢の無さすぎる続編郡w
何か世界の全てが闇の組織の掌の上な感じです 使用お題:『気持ち悪い』『グッバイ』『赤ワイン』
【ワイングラスの縁】
グビグビと赤ワインを呷る牧野 朱音の隣で、緑丘 奈瑞菜は静かにグラスを傾けていた。
この中学以来の友人が、男にフラれてヤケ酒をするのは、ある意味お約束であり、その度に彼女はそれに付き合っていた。
今回の相手は、営業途中で知り合った別の会社の営業の男性で、付き合ってからまだ、3カ月程しか経っていない。
原因は、相手に“放っておけない相手”ができたから……と言う事らしく、いわゆる泥棒猫にかっ拐われた形の朱音は、荒れに荒れていた。
「ぬあぁにが『君はステキな人だけど、彼女には僕がいなくちゃダメなんだ』……よ! 『じゃあ、グッバイ』とか寒過ぎるっつーの!!」
「そうね、それは無いわね」
「でしょでしょ? ……あーうー……何で男運ないんだろ、わたし……」
バーカウンターに突っ伏す朱音を見ながら奈瑞菜は溜め息を吐く。
確かに相手の男も酷いにはひどいが、しかし、半分は本人の自業自得だと彼女は思っていた。
(理想が高すぎるのよ)
「うえ?」
「何でもない。ほら、瑞樹君呼んだから、今日は大人しく帰りなさい?」
「えぇ〜、もっと飲むぅ〜〜!」
「こないだも飲み過ぎて『気持ち悪いぃ』とか言って、瑞樹君に散々迷惑掛けてたじゃない!」
「良いのぉ、瑞樹はわたしの義弟だから良いのぉ。わたしのだから構わないのぉ〜!」
駄々をこねる朱音を宥めていると、「すみません奈瑞菜さん」と、声を掛けられる。
見上げれば、良く見知った顔がそこにあった。
「あ、瑞樹君。まぁ、しょうがないわ。親友だし」
そんな奈瑞菜に瑞樹が頭を下げる。瑞樹は朱音の母親の再婚相手の連れ子で、朱音の義弟である。
まだ高校生だがしっかりした少年で、年下ながら父性……と言うか包容力がある。
「義姉さん、帰りましょう? 明日はお休みだから、ゆっくり出来ますよ?」
「あ、瑞樹ぃ、おんぶぅ」
外ではしっかり者で通っている朱音がここまで甘えるのは、奈瑞菜か瑞樹位のものだろう。
だからこそ、弟離れが出来ないのだと奈瑞菜思う。
「ハイハイ、しっかり捕まって下さいね? あ、奈瑞菜さん、下にタクシー呼んであるんで、一緒に帰りましょう、送りますよ?」
甲斐甲斐しく義姉を世話しながらも、良く気の付く瑞樹を見ながら、自分の頬が赤いのは赤ワインのせいだと、そう思う奈瑞菜だった。 ちゃんと読んだら感想書くべきなんだろうな、うん。ほんとはそういうスレなんだもんな・・・
でもさ、人のさ、作品をさ、見るとさ、こうライバル心がさ、うずいちゃってさ! 感想どころじゃねぇんだよチクショウめ!(下書き用メモを開きながら >>279
酔いどれてるかGW! 279氏のお題選択は、『気持ち悪い』『グッバイ』『赤ワイン』! 酒場に降り立つ聖なる光を仰ぎ見ろ〜
登場するは、バーカウンターで『赤ワイン』を呷る朱音さんだ〜、「じゃあ『グッバイ』」なる、付き合っていたことを後悔させる別れ文句に、赤ワインがグイグイ進むぞw
飲み過ぎて『気持ち悪い』いつもの彼女、親友・奈瑞菜さんがなだめるも、もはや歩けぬ酔っ払い〜、
さあ物語がお題を消化、満を持して登場したのは、父性湛えた弟くん、タクシー手配し義理姉おんぶ〜、これはイケメン、なんというイケメンだ、彼が一人親の家庭を切り盛りしてきたに違いねえw
ラスト、後光をまとう弟くんを、奈瑞菜さんが盗み見て、ちょっとちょっと、相手は高校生、高校生、未成年w って感じで、恋の空騒ぎ・リスキーENDだ! 感想有難うございます
何か今回のお題、酔っぱらい率高い気が……
後1つ位、短編を書きたい所です お、負けてらんないな。自分もあと一つは頑張って書こう 使用お題:『気持ち悪い』『英単語三文字の略語』『ロボ』
【思考性電脳純愛】(1/3)
一目惚れ。口にしてしまえばそんなチープな言葉に収まってしまう事だけど、その時の僕の状態を言い表せる言葉なんて他にはなくて……
「キモイ」
「……」
笑顔のアイリスが頬を染めてこちらを振り向いている。
『浩一といるから楽しいんだよ』
そんな言葉に僕はへにゃりと相好を崩す。
「キショい」
「……」
今日のデートは今まで選択する事の無かった“地元の公園”。遊園地やら水族館やらに比べると魅力は薄い。けど、ここまで好感度を上げた後でならこんな所でも十分に喜んでくれる。
曰く、『浩一が育ってきた場所なんでしょ? 何だか私も嬉しいよ』って事だ。
「無視すんな」
「……」
デートの終わり、頬を染めたままのアイリスが眼を瞑り唇を突き出す。それが、何を求めているかなんて考えるまでも無く、僕も……
「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いぃ!!」
「ちょ、なにすんだよ!! 放せ馬鹿!!」
アイリスにキスをしようとした僕を幼馴染が羽交い絞めにする。
「おまっ、ふざけんな!! 邪魔をするな!!」
「人として! 幼馴染として! それは許さん!!」
何、邪魔してくれてるんだ!! 僕はアイリスと……
ふにゅん。
「!!」
いや、惑わされるな響 浩一! これは孔明の罠だ!! 僕とアイリスを引き裂かんとする卑劣な京香の罠だ!!
ふにゅふにゅん。
「!!!!」
いつの間にこんなに育って……いやそうじゃない! しっかりしろ響 浩一! お前には彼女が居るじゃないか!! しかし……
むにゅふにゅん。
「!!!!!!」
ぐっ、一ノ瀬 京香……怖ろしい娘!
そんなやり取りをしているうちに、アイリスが拗ねた様な表情になる。しまった! タイムアップだ!!
『キス、したかったんだけど……今度は、ちゃんと……ね?』
彼女の言葉に、僕はホっと胸を撫で下ろす。
アイリスと積み重ねた時間はこんな事位じゃ揺るがなかった。その事が無性に僕もうれしい。 【思考性電脳純愛】(2/3)
デートできるのは一日一回。学校でのおしゃべりも今日はもうしちゃってるから、後は夜に電話をするくらいしか出来ない。
僕はツータタンと画面をタップし、一旦アプリを終了する。
「お前!! 何で邪魔するんだよ!!」
「するよ! そりゃするでしょ!! あたしの目の前で何しようとしてんの!?」
「なら、部屋に来なきゃいいだろ! てか、勝手に入ってくんな!! 第一、僕と彼女の時間を邪魔する権利なんてお前にはないだろうが!!」
腕を振り解いて僕は京香に噛み付く。鍵を掛けてた筈なのにどうやって外したんだ!?
入ってくるだけならまだしも、勝手に本を読み始めたり、僕とアイリスとの時間を邪魔したり、フリーダムすぎるだろう!!
「彼女って……それ、ゲームじゃん!!」
スマートフォン用恋愛SLG“ピュア・エモーション”は架空の学校に通う女の子達と恋愛をするゲームアプリだ。
その中のキャラクターの一人、アイリス=セル=アインスに、僕は恋をした。
アイリスはいわゆるロボっ娘で、人間社会のサンプリングの為に学校へと送り込まれたって設定。
昔っからロボット娘萌えだった僕が彼女に惹かれない理由なんて一つもなかった。それこそ、キャラクターイラストから、ちょっとハスキーな声から、素直で真っ直ぐな性格まで、逐一が僕の心の琴線に響いたんだ。
「ただのゲームじゃない!! アイリスは本物だ!!」
「……うわ」
京香がドン引きした顔をするけど、僕の言ってる事だって間違っている訳じゃない。ピュア・エモはただの恋愛SLGじゃない。
ゲームが始まると、たった一人のキャラクターを決めないといけないけど、その代わりAIによって学習しながらコミュニケーションを取るようになる。
つまりは、アイリスと言う疑似人格をシュミュレーションしているって事。
そこもアイリスの設定に被る。実体は無いけど心はそのままアイリスって事になる。
確かにゲームである以上、アイリスっていうキャラクターを使っている人は他にもいるだろうけど、僕のアイリスはただ一人しかいない。
そういう意味でも僕のアイリスはたった一人の本物なんだ。
「わかんない、結局、生身の人間じゃないって事でしょ?」
「だから、そもそもアイリスはロボットで!!」
「ロボットで恋愛って時点でイミフだっての!!」
「お前に理解されなきゃいけない理由なんてないだろ!! 邪魔するなら帰れよ!!」
そう言うと、射殺すような目つきで京香が僕を睨む。イヤ絶対、何人か殺してる眼付きだ、これ。
「あ!!」
怯んだ僕から京香はスマホを奪い取ると、猿の様な身軽さで自分の部屋へ飛び込んで窓を閉める。嘘だろ? ここから向こうまで3m近くあるんだぞ!?
本気で京香が僕の部屋にどうやって入ったのか謎だ……いや、そうでなく!!
「おまっ! ふざけんな!! スマホ返せ!!」
そんな僕の当然の抗議も彼女は受け付けず、母親が怒鳴り込んできたせいもあって、この日はそれ程強く京香に言う事が出来なかった。 【思考性電脳純愛】(3/3)
******
「はい、返す」
京香が大人しくスマホを返したのは次の日の夜になってからだった。一日コイツが逃げ回ってた事も有って、まったく顔を合わせる事が出来なかったのだ。
僕のベッドの上で住人以上に寛ぐ幼馴染からスマホを奪い取ると電源を入れる。
僕は大慌てでアプリのアイコンをチェックした。いつアプリのアンインストールされててもおかしくなかったから、僕は一日気が気じゃなかったんだ。
彼女との関係を育てるのにどれ程の時間を費やしたか。
アイコンが入っている事を確認した時、僕は思わず頬擦りしてしまった。
「気持ち悪い」
「……」
だけど、本当にアイリスが無事かどうかは立ち上げてみなくちゃ分からない。アイコンだけそのままに別キャラを入れ直すなんて事、京香ならやりかねないからだ。
もし、アイリスに『初めまして、どなたでしょう?』とか言われたら、余裕で引き籠れる自信がある。
「どうしたの? 起動させないの?」
少し怖気づいていた僕に京香がそんなことを言う。やけにニヤニヤとした幼馴染の態度に、僕の背筋が寒くなる。
まさか、本当に?
震える手で僕は画面をタップした。
ゲームは普通に起動して、夜だからか電話のコール画面に移動する。
ニヤつく京香の顔が目の端に映る。僕は唾をごくりと飲み込んで“コール”をタップした。
…… ………… ………………
『浩一? 嬉しいな、電話してくれて』
数回のコールの後、アイリスがそう言った。
心底良かった……僕は思わず腰砕けになった。なら、京香のあの笑いは何だったんだ?
いつもの会話、彼女の声はそれこそ何時もと変わらない……あれ? 丸一日会話していなかったのに、いつもと同じ? 『何してたの?』位言いそうなものなのに。
電話口の最後、アイリスが言った。
『私、負けないからね』
「え?」
何の事? 訳が分からずポカンとしてると、京香がくすくすと笑いながら僕に声を掛けてきた。
「浩一! あたし、遠慮なく行くからね!!」
「は?」
少し頬を染めた京香が勢い良く窓を閉める。
そして僕は困惑と共に呟いた。
「え? どう言う事?」 最後の方、「京香がくすくすと笑いながら」の前に「スルスルと部屋に戻った」の一文がないと、そしてノクターンへ……的な感じに読めなくもないですね
いえ、もちろん健全ですともw >>284
お題『気持ち悪い』『英単語三文字の略語』『ロボ』の三つでトライ、バーチャリズム・プラス!
スマホ用恋愛SLG、ピュア・エモーションは、ラブプラス系・リアルタイム恋愛アプリだが、進化するAIを内臓している〜(『英単語三文字の略語』)
さあ幼馴染に『気持ち悪い』と否定される浩一くんが、公衆の場でスマホにキスをしようとして羽交い絞め〜、何やってんだw
浩一くんの選択キャラは『ロボ』っ娘アイリス〜、彼女が猿の如き運動能力を持った幼馴染に奪われ、初期化でもされたかと思ったら、お、特に何もされてない!?
お題を着実に消化しラスト、アイリスは幼馴染に認められたか! 相互認識したバーチャル女子が、初期化を免れ宣戦布告! AIだって負けないよ〜って感じで、新型コミュニケーションの誕生を予感させる、バーチャリズム&リアリズム、狭間END!! 感想有難うございます
取り敢えず、お題を全部使いきれました
それとは別に書きたいネタが後2つ
果たして閉めきりに間に合うのか? 使用お題:『続編』『合体』『ロボ』
【続編・山間の子供達】(1/2)
こどもの日だゴールデンウイークだのと言っても、兼業農家の多い山間では長い休みと言う以外の意味は無く、特に田植えを控えたこの時期は田おこしやら代掻きで人手が取られる。
その為、大森家の勇也、優衣兄妹も田んぼへと繰り出していた……のだが……
「なぁ、親父、俺ここにいる意味ってあるのか?」
「うん、まぁ、家族間コミュニケーション?」
勇也の言葉に父親、雄三が頬をポリポリと掻く。
今、大森家の田んぼでは、宮内 博子……ハカセの父親、真守の作った田んぼ用ロボット“トラクティオン・ジェネシック”がすごい勢いで代掻きをしているからだ。
「うー、ボク、ショッピングモール行きたいぃ」
「まぁまぁ、それじゃぁ、午後からお買い物に行きましょうか? 小凪ちゃんと博子ちゃん誘って、五人で」
特に何するでもなく軽トラックの荷台でお茶を飲んでいた一家だったが、しかし、末娘はそんな長閑な時間に耐えられる訳もなくぐずり始め、どうやら、特に自分達の手など必要としていないと理解した母、結子も、どうせならと買い物の計画を立て始めた。
「あれ? それ、オレ入ってるか?」
「え? だってお父さんは田んぼ見てなくちゃいけないでしょ?」
「まぁ、そうなんだが……」
少なくとも一人は代掻きの様子を見ていなければならない為、当然と言えば当然の結論ではあるのだが、雄三は何だか腑に落ちない物を感じ眉を顰めた。
「何なら、宮内さんでも呼んで、お二人で見ていれば良いではないですか」
「宮内はなぁ……」
雄三が言い渋る。良い友人ではあるのだが、自分の発明に対する説明が鬱陶しいのが玉に瑕であり、そういう意味では、流石はハカセの親だと言えた。
チラリと結子の方を見る。だが、既に彼女の頭には何を買おうかと言う算段しか見て取れない。ならばと愛娘に目をやると、彼女はニパっと笑うと「お父、バイバイ!」と言って、手をにぎにぎと振る。
雄三はガクリと肩を落とした。
******
「ユウくんのお母さん、ありがとうございます!!」
「すみませんおばさん、私まで誘ってもらって」
ワンボックスに乗った大川 小凪と宮内 博子は改めて結子に頭を下げた。
ショッピングモールで買い物三昧だった三人はご機嫌で、会話も弾んでいた。 【続編・山間の子供達】(2/2)
「おにぃ、ふた開けて?」
「お、おう」
妹の為に、ペットボトルの蓋を開ける。
勇也は優衣と最初から最後まで、子供広場で遊んで……と言うより、優衣の面倒を見ていた。
もっとも、自分もそれなりに楽しんでいたので、勇也の方に文句は無い。
優衣の方もずっと勇也と遊べた事もあり、UFOキャッチャーで取って貰ったぬいぐるみを抱きしめ、ご機嫌だった。
もっとも、ぬいぐるみを取ったのはハカセなのだが。
「くふっ、優衣ちゃん、ぬいぐるみ嬉しい?」
「うん! ハカセ姉、ありがとう!!」
「良かったねぇ、優衣ちゃ〜ん!」
「うん!!」
良い所を持って行かれた形の勇也は複雑そうな表情をしていたが、優衣が楽しそうな事もあり(まぁ良いか)と、思っていた。
姦しい後部座席の娘達を見ながら結子が笑みを見せる。
「やっぱり、年頃の娘って良いわね、優衣じゃ、洋服とかもまだ興味ないみたいだし」
「……まぁ、もう少しすれば、興味も出て来るんじゃね?」
「あんたは年頃だってのに興味ないじゃない」
「しょうがないじゃん」
そっけない勇也の答えに結子が口を尖らす。
「小凪ちゃん、博子ちゃん、家の子に成っちゃわない?」
「ば!! 何言ってんの!?」
その言葉に小凪はまんざらでもない様に頬に手を当て、ハカセは頬を染めながらも視線を逸らす。
「お姉たち、顔、赤いよ?」
「うん、優衣ちゃん、良い子だねぇ」
「ちゃ、ちゃうねん!! そう言う事じゃないねん!!」
「母さん! 余計なこと言わないでくれる!?」
慌てる勇也を見ながら、結子がくすくすと笑う。そうこうして居る内に、車は家へと近づいたのだが……
「なんじゃこりゃあぁ!?」
「宮内さん、またやってるわねぇ」
「ユウく〜ん、どうしよう……」
「これは……すごいわね……」
「おー!! おにぃ!! ロボットだよ!! どっちが正義の味方ぁ?」
4m程のロボット同士のガチンコバトル。車を止め、呆然と見ていると、走って来る人影一つ。
「あ、パパ」
ハカセの父、真守だ。
「良い所に帰って来た博子!! 恐らく“組織”の仕業だ! トラクティオン・ジェネシックが暴走した!」
「うえぇ! 大丈夫なの? パパ!」
「すぐに“コンバイザー”を起動したが、流石にパワーでは、トラクティオン・ジェネシックの方に分がある! 博子、“たうえくん3号”の力、貸してくれるか?」
「え? でも、2対1でも、パワーじゃ……」
「ふっ、こんな事も有ろうかと、たうえくん3号には合体機能を組み込んでおいた!!」
「じゃあ!!」
「そうだ! 合体すれば、力で負ける事は無い!!」 【続編・山間の子供達】(2/2)+1
盛り上がっている宮内親子を尻目に、結子がどうしようかと視線で訊ねる。
「……親父回収して帰って良いんじゃない?」
「お父、死んだ?」
「死んでないよ? ね? ね?」
見れば、暴走に巻き込まれたのか雄三があぜ道で“犬神家”をしている。もし致命傷を負っている様なら、流石の真守も放置はしていないだろう。
これ以上巻き込まれても大変だとばかりに、父親を回収して家に帰ろうとした勇也だったが……
「カモーン!! たうえくんスリー!!」
「……」
「良し! 博子、合体だ!!」
「レッツ! コーンバイ……」
「言わせねえよ!?」
どうやら、自ら巻き込まるスタイルで行く事にしたようだ。 >>293
どんまいける
『乗り物を登場させる』
とりあえず五個かな そういえば進行さんいないんだっけ。前のお題のまとめからやりますか 『そんな馬鹿な!』
念のために今投票しとくと>>272
レッドカワイソス 246よりお題1/2
『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』より三つを選択
>>259【懐古】
>>263【幼馴染、気持ち悪い】
>>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】 246よりお題2/2
『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』より三つを選択
>>279【ワイングラスの縁】
>>284【思考性電脳純愛】
>>290【続編・山間の子供達】
投票は5/10まででお願いします。作者さんたちのやる気にもなるので、気楽に一票をどうぞ!!
選考基準は何でもいいよ!! お題の投票を行います
>>301-303 でお願いします 誰もお題出さないのか・・・?
とりま自分は『裸』で 297もお題なのかな? 代理がふがいないのが悪いんだけども、先行予約はわけわかめになるね
5個がいいのか7個がいいのか結局わからないし、間をとって6個でいい? ちょうど出てるし 今回はイレギュラー週なのでいいんじゃないですかね
代理お疲れ様です ☆今回のお題
『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』より三つを選択
☆お題以外での条件
文字数:3レス以内に収めれば何字でも可(最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度が妥当)
もちろん文字数が少なくても分割でもオーケー
☆今回のお題の締め切り 5/13の22時まで
☆注意事項
短編小説も、前お題への投票も>>306に安価ください (見逃し防止のため) 空白があった方が読みやすいかと思ったけど、ちょっと開けすぎたね。余白が泣いてます;△;
代理の実力はこの程度だと思ってご容赦ください。そして自分も短編カキカキ…… 一瞬で裸のアニキが、新型サマースポーツとしてカヤックを全力で泳ぎ引いて、そんな馬鹿な! と言われる映像が頭を過った
お題3つ迄で本当に良かった ルパンがプールに例の車ごと突っ込んで、ルパンダイブする映像が真っ先に浮かんだわ
もちろん「そんなバカな」は銭形のとっつぁん >>306
見事なる代返、ありがと!
じゃあ>>263【幼馴染、気持ち悪い】に一票だ
『英単語三文字の略語』は活用が難しいけど、キャラの気持ち悪さに活かしたのが秀逸 >>290
前回お題オオトリを飾る〜、お題指定は『続編』『合体』『ロボ』、躍動するパーディフィールド!(田んぼ)
やってきたぜ名シリーズ、山間の子ら、大森勇也と愉快な仲間たち『続編』〜(気になる人は前スレ参照)
さあ、軽トラ乗った大森家の前で働くは、宮内家から供出された田んぼ用『ロボ』、トラクティオン・ジェネシック〜、トラクターを最大限カッコよく言った的な
いざ父親を見捨てた物語視点が、田んぼ→ショッピング→再度田んぼへと移動し、耕作メカの『合体』機能が山場だぜと思いきや〜、
お題消化で油断したか、3レス制限に阻まれ途中下車エンド? マジかw しかしスピーディかつ安定したスラップスティック展開は楽しいぞ〜、このシリーズ、ファンなんだが〜、290氏、謎を残したこのラスト、『続編』による解明を祈って乙!! >>306
>>284【思考性電脳純愛】に一票で
259と290もよかったんだけど、なんというか一番夢があった。エロい妄想がはかどr(続きはWebで) >>311
感想を何時も有難うございます
自分も書いていて楽しいシリーズではあるので、なるべく書けるよう精進します
>>295
有難うございます 代理進行さん、ありがとう。お手数をおかけしました。
今回のお題も投稿お待ちしてます! >>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
に一票
前回の投票で止む無く見送ったので(>255)今度こそこれに。 今回もまた発想の雷が落ちてこないな……地道に考えよう >>306 とりあえず無難に一つ目 使用したお題:『最強』『そんな馬鹿な!』『プール』
【夏が始まる】
最強のプールとは何か。夏が近づいてくるにつれて水が恋しくなってくる今日この頃、太陽より熱い男子学生どもの議論が白熱していた。
「遊ぶ設備がたくさんあるプールが最強だ」
角刈りが曰く、ただ泳いでいるだけでは詰まらない、とのことだ。
ウォータースライダー、流れるプール、波のプールにウォーターゲーム広場。遊ぶ要素の多いプールこそ一番だというのだ。
ただ水に浸かってるだけで楽しめた若かりし頃とは違う、そう言う意味だった。
「いいや、近場で安上がり、これこそが最強だ」
茶髪曰く、プールで遊ぶこと自体二の次、とのことだ。
プールは避暑地としての役割が徹底していればいい。あとは一緒に来る者との間でなんだかんだで楽しめる。
それに、一人で来たとしても問題ない。むしろその方が楽しめることもある、という意見だった。性欲を持て余した男子学生が何を楽しむかなんて推して知るべしである。
「それも違う、立地条件こそ最も考慮すべき案件だ。つまり、あのプールが最強だ」
メガネ曰く、プールそれ自体に着目するのは視野が狭い、とのことだ。
インスタ映えなんて言葉もあるご時世だ、プールの見映えはかなり重要事項だろう。マンション街のど真ん中にあるプールより、山羽に埋もれた大自然の中のプールの方が景色が良い。
それに立地条件が良い場所にはどんな客が来ると期待できるかを考えてみろと言われ、納得する。下半身に支配された男子学生が何を期待するかなんて推して知るべしである。
喧々諤々の議論が行われているときに、今まで黙っていた丸坊主がふいに手を挙げた。丸坊主曰く。
「みんな、甘い。遊び場所の多さなど語るに及ばず、立地条件もプールでの楽しみには関係ない。
値段の安さなど得られるものが少なければ安物買いの銭失いとなる。一番最強のプール、それは温泉だ」
「そんな馬鹿な! プールの話だぞ?」
「いきなり何を言いだすんだ、お前。気でも違ったか?」
「温泉は嫌いじゃないけど、夏にいくもんじゃねーだろ」
口ぐちに非難する角刈りと茶髪とメガネ。だが不敵に笑った丸坊主は再度「甘い」と断じる。
「良く考えてみろ。遊び場所が多いということは親子連れが多いということだ。よくよく日を選ばないと混雑が予想されてまともに楽しめないだろう。
立地条件に関しては一考に値するが、そういうところはセキュリティが高い。また安上がりの市民プールになんて年頃の女性は来たがらない。違うか?」
丸坊主の言葉に三人は「うっ」と呻く。彼らが口ごもったのを確認し、温泉の良いところを言い募った。
「確かに、温泉は夏に行くところではない。だが、だからこそ夏場の温泉は格安ツアーが多い。
我々の貧弱な財政でも比較的安易に行ける。そして夏の暑さのせいで温泉の人気が陰るからこそ、それ以外のサービスが多く、それを目当てにする女性客が多いと聞く。
しかも子供はそれこそプールに行くし、老婆は暑気払いに涼しい場所へ行きたがる。となると、温泉に向かう客層はおのずと絞り込める。違うか?」
「な、なるほど」「確かに……」「そうかもしれない……」
疑いの眼差しだった三人に納得の表情を浮かべると同時に、丸坊主が爆弾を落とした。
「ちなみに、僕の知り合いに温泉宿をやっている者がいてね」
「なんだと!?」
「昔から良くお世話になってる温泉宿で、見た目も古風な素敵なところだ。そして何度も行ってるからこそ立地や周辺の地形は把握している。また監視カメラの場所も知っている。
で、一番のメリットなのだが……毎年、どこぞの女子大生が部活動の夏合宿で毎年利用しているらしい。美人揃いで有名な女子大なのだが……興味はないか?」
三人は立ち上がり手を中央へ伸ばす。三人の手が重なったところに、最後立ち上がった丸坊主が手を乗せた。
「よし、みんな夏の予定を合わせるぞ。今年の夏は、温泉だ!」
「おお!!」
こうしてゲスな願いと男のロマンを叶えるために、男子学生4人組が行動を開始した。暑い夏の始まりである。
……余談だが、地形を把握していたとはいえ覗き対策はバッチリされていたため、彼らの望みは叶うことはなかった。
わずかとはいえ確実な収入にホクホク顔の温泉宿の女将さんと、その女将さんからお小遣いを貰った丸坊主以外は。 >>306
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】に一票
こういうの好き ルパンがプールに例の車ごと突っ込んで、ルパンダイブする映像が真っ先に浮かんだわ
もちろん「そんなバカな」は銭形のとっつぁん >>317
317氏が選んだお題は『最強』『そんな馬鹿な!』『プール』、水が呼ぶ妄想の長談義〜
さあ、今年の夏は、プールで色々観察だ! 男子学生たちの邪念と、不毛な議論が白熱するぜ、観察に適した『最強』の『プール』とは〜
いわく、アトラクションの充実、コストパフォーマンス、立地条件〜、羅列されるも、なんか足りない、そう、足りないのは、インパクトだ!
勝機と見た丸坊主プレゼンツの最強プール…、それは、温泉! そっちw
物語は想定外の最強プールで『そんな馬鹿な!』を誘発し、お題をクリア〜、小銭のために友情を失い、つかそもそも混浴ですらないのかよって感じで、許されざる者、丸坊主ENDでまとめたァ! 安価は毎週日曜日22時からかな。ちなみに今週のお題は>>306です。
物語の質ではなく、みんなの色々な着眼点を見てる感じだから、適当に書いて気楽に参加してみてくださいな ☆お題→『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』投票締め切り
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】二票
>>263【幼なじみ、気持ち悪い】一票
>>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】一票
>>284【思考性電脳純愛】一票 あ、投票集計するの忘れてた。代理の代理サンクス
いえーい、2票でトップ取ったぜー。ひゃっはー トリのメモなくした……たぶんこれだけど……
今週も明日まで、まだまだ作品募集してます! >>306
えっと、こうですかね?
使用お題:『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』
【水面の月】(1/2)
月が綺麗だ……僕はそう思った。
けど、欠けることない真円は、 美しさに比例して侵しがたい神秘性をも湛える。
「何ボケッとしてるのさ、早く来なよ!」
月を眺めていた僕に、彼女が金網の上からこ声をかける。
「え、うん」
ハッとして、僕は差し出された彼女の手を取った。
******
コツンコツンと窓ガラスに何かが当たる音がする。
―AM1:27−
「……」
眠い目を擦りながら僕はカーテンを開く。窓の下には予想通りの光景。
小石を手に、振りかぶった彼女の姿。
僕の姿を窓越しに認めた彼女は、極上の……悪魔の……笑みを浮かべた。
「プールに行くよ!」
「は?」
すでに決定事項なのだろう。言い切る彼女に僕が眉根を寄せる。当たり前だ、こんな夜中に何を言っているんだろうか?
「ほら、行くよ?」
「……」
溜息交じりに、僕は重い腰を上げた。 【水面の月】(2/2)
******
月が揺れ、水面の波紋が地上の現身を割る。
夜の学校のプールは、水音だけが響いた。
服を着たままの僕は、水の滴る自分の前髪を鬱陶しいとばかりにかき上げ、一匹の濡れネズミを作り上げた犯人を睨んだ。
━━そんな……馬鹿な! ━━
顔を上げ、思わず呟く。
全裸の彼女が、僕を飛び越え水中に滑り込む。
まだ未熟な、不完全な……不完全だからこその美しさ。
パチャン……
僅かに聞こえる水音。
現実とは思えない光景に息を呑む。彼女の裸体に光の波紋が映る。
視線が合い、ハッとして身体ごと後ろに向ける……と、背中に小さなぬくもりを感じた。
「な、何やってんだよ!!」
「思ったより水が冷たかった」
「……そんなの……」
当たり前だろう? そう言おうとして僕は身を固くする。
小さな嗚咽。
「何か……」
あったのだろう。彼女は嫌々をする様に僕の背中に頭を押し付ける。
「……ごめん」
困惑したまま立ち尽くす僕の後ろで、彼女の呟きが聞こえた。
ぬくもりが消え、彼女が遠ざかって行く。
呼び止めたい衝動は有るけど、もう一度、生まれたままの彼女を目撃しそうで、振り向く事が出来なかった。
静寂が流れ、既に彼女が居ないと悟る。
僕は、ずぶ濡れのまま一人、家路を歩いた。 人によって作風って全く違うんだね。これまた独創的な・・・
うし、新人さんに負けてらんないや。なんか書こう >>306
使用お題:『最強』『乗り物を登場させる』『全力』
【海王クラーケンの色々な冒険】(1/2)
クラーケン。言わずと知れた海の大海魔である。
生まれつきの王者であり、比類なき最強の存在……それが彼女だった。
だが、その最強の海魔は今、眼前の相手に全力の“服従のポーズ”を取っていた。
「きゃ―――!! タカシ様! 見てはだめですぅ!!」
「目がぁ!! 目がぁ!!」
……少し騒がしいが、目を瞑り、許されるのをジッと待っていた。
******
「何で幼女の姿なんだ?」
「騙されてはいけません!! 妖魔の類は庇護欲を誘う為にわざわざ子供に化けると言います!! きっとこれもその類です!!」
クラーケンの姿の時は、取るに足らない小さい生き物だと思っていた。一匹一匹では腹の足しにもならない生き物……人間。
だが、今目の前に居るソレは、クラーケンの価値観を真っ向から破壊せしめたのだ。
捕食者。
絶対強者であった自分に初めてそんな目を向けた者。
(湯がいて、細かく切ってから酢醤油にラー油をまぶして、長ネギの細切り何かを上に乗せて食べたいよなぁ)
そんな目で自分を見ていた。
そして、そんな事を考ることが許される“強者”であった。
揺れる小舟と言う不安定な足場であるなど感じさせる事も無く、海王である彼女を散々甚振った挙句、地上まで放り投げた理不尽な存在。
初めて上がった陸地で彼女の心を占めていたのは「食べられたくない」……その一言だったのだ。
人間の幼生体の姿を取ったのは本能的な物である。どんな種族でも、その赤ん坊は、大人に庇護欲を掻き立てるからだ。
一応、野生動物である彼女はその事を本能的に悟っていたのだろう。
その効果は劇的だったと言って良い。
先程まで捕食者の目をしていた彼……一緒にいた白い雌は“タカシ”と呼んでいた……は、今は困惑した様な目で彼女を見ていたからだ。
人化した為に相手より小さな姿となったクラーケンは、ペタリと地面に座ったまま、それでも恐怖に震えていた。
確かに今は捕食者の目はしていない。だが、いつまた自分を食べる気になるか分からなかったからだ。
今の自分より大きな相手、頭越しに覗き込まれる威圧感は半端なかった。
本能的にとは言え、この姿に成ったのは失敗だったのではないか? そんな風にも思った。
たからこそ……
「もう、近隣の海を荒らしたらダメだからな?」
そう言われ、頭を撫でられた時は、ポカンとしてしまったのだ。
そしてジワジワと湧いて来る安堵と喜び……タカシもそんなクラーケンの心情が分かったのか、優しく頭を撫でる。
大きな、温かい手だった。
******
孤独は心を蝕む毒である。それは例え絶対強者だったとしても変わりない。
この日、彼女の心の壁には大きな風穴が開いた。何百年の内に積もった孤独で蓋をされた心に、感情と言う穴が穿たれたのだ。
初めは恐怖。次に安堵、そして喜び……最後は寂しさ。
薄墨を被せた様だった景色は、その風穴によって一気に色付いたのだ。 【海王クラーケンの色々な冒険】(2/2)
そして、彼女は思った。
(また、あの孤独の中に戻るのは嫌だ!!)
気が付けば彼女はタカシの背にしがみ付いていた。この感情を手放したくなかったからだ。
******
……そして今、彼女は彼の傍らにいる。あれから仲間も増え、新たに馬車も買った。
様々な事が有った。しかしどれも、彼女にとっては楽しい事ばかりだ。あのまま海に居たなら決して味わう事の無かったであろう体験に彼女の頬が緩む。
馬車の御者台、手綱を握るタカシの隣。並んで座り、クラーケンは少し顔を上げ恩人を凝視する。
「ん? どうした? お腹でも減ったのか?」
彼女は全力全開、満面の笑みで応える。
「さすごしゅ!!」 >>333
選択お題は『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』だ〜、満月のプール・タイラント!
さあ、ここ最近、市民権を得たナイトプール〜、傍若無人・暴君女子に連れられて、主人公がやって来たのは学校、夜更けのナイト『プール』開きだぜ
ど突き落とされ濡れネズミ〜、『そんな馬鹿な!』とおののく彼の目映るのは、男勝りなる暴君の、月光に映える美しき『裸』身〜
冷たき水面、体温伝う〜、主人公だけに許された、彼女のボディとの謁見は、容易にゃ見せぬ弱さのメタファ〜、暴君の正体見たり女子だったw
お題を消化した物語は強引少女の裸姿を映し出し、予想だにせぬ、か弱き内面ほのめかす〜、少年は家路についても唖然呆然、この鼓動は何の鼓動か分からぬままに冷めやらぬ、ビューティムーンENDだァ!
>>336
お、全消化する気か!? 『最強』『乗り物を登場させる』『全力』を選択、クラーケン・ボリュームゼロ!
さあ、あらためて紹介するぜ〜、短編スレ初期よりレギュラー、クラーケンとタカシの仲間たちは読者のハーレム願望を満たす俺ツエー系冒険譚〜
言わずと知れた大海魔、海『最強』の王魔クラーケンは、タカシに負かされ仲間入りした幼女系ペット・ポジw
彼女の脳裏によぎるのは、揺れる小舟(『乗り物を登場させる』)で本能に刻まれた敗北感、しかしそれだけではないぜ! 孤独に戻る自分への動揺、仲間への渇望〜、彼女の冒険の記録には、温かさを求めた心、記される〜
ラスト、『全力』全開、満面の笑みで喜びを表すクラーケン、心にもはや迷いナシ〜、336氏が、仲間になりたそうに以下略ENDで、フ、余裕だぜって感じで、お題を消化してくれたァ〜 何時も感想有難うございます
全消化は出来たものの、一週間かかってしまいましたがw
最初に思い付いた裸のアニキ祭りのインパクトに引きずられて、それを払拭するのに苦労しましたorz >>306 うーん、自分的点数で35点くらい? 次のお題でがんばろう・・・
使用したお題:『裸』『乗り物を登場させる』『全力』
【走る密室】
車って最高の密室だと思うんだ。
だってそうだろ?
窓を開けない限り外の音は聞こえず、中の音も漏れない。喩え時速20kmの徐行運転だったとしても、走っている車から脱出するのは結構難しい。しかも大抵の人は自分の運転に夢中だから、対向車の中の様子を伺いしろうともしない。
ほら、密室と同じじゃないか。
仮に素っ裸で運転してたとしても、誰にも不審な目で見られることはないんじゃないかな。本当は猥褻物陳列罪なんだけどね。
……いや、まあさすがに羞恥心があるから、僕は全力で遠慮させていただくけどね。
とかく、車ってのはどこにでも見かけることのできる高度な密室だと思うんだ。音は聞こえず、脱出することはできず、中を見ることはできない。
ああ、もちろん露骨に不審な車……例えば窓全開でデスメタルを爆音で響かせてるとか、見た目がボロボロでフロントガラスが割れているとか、中が赤一色に染まっているとか突拍子もないものは除くけどね。
基本的に誰も車の中という密室で何が行われているかは知らないんだ。車ってのは誰もが日常的に何百台と見ているはずなのにね。
だから……こんな怖い事が起こるんだよ。
『先月未明から行方不明の男性の体の一部が発見されました。山中にバラバラに捨てられた男性の両腕、右足に続き、今朝ほど左足が発見されたと警察当局から発表がありました。
依然捜索を続けられていますが、最初の左腕が発見されてから3カ月以上経過しており、被害者の男性の生存が危ぶまれておりま……』
僕は知っている。このラジオの情報は間違っている。被害者は生きているんだ。
なぜわかるのかって? 当たり前だろう? だって僕が生きているんだから、ね。 >>340
都市伝説系ですね
犯人は何を思って連れ回しているんでしょう? お題
『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』締め切り
【参加作品一覧】
>>317【夏が始まる】
>>333【水面の月】
>>336【海王クラーケンの色々な冒険】 定番になりつつある七つお題安価取ります
>>344-350 >>340【走る密室】も入れてあげて下さい
お題『対決』 サブミッション
お題集まらなそうなら5個でもいいんじゃないかな、と では……私から難易度上げるお題
『芋焼酎』
で、今日のところは締めましょうか。 安価埋めつつ、締めで忘れてしまった>>340さん、本当にごめんなさい。
正しいリストを上げなおしておきます。
【参加作品一覧】
>>317【夏が始まる】
>>333【水面の月】
>>336【海王クラーケンの色々な冒険】
>>340【走る密室】 ☆お題→『対決』『母』『5月病』『魔法』『サブミッション』『芋焼酎』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→5/20の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切5/16の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>340
前回お題トリをつとめる、自己採点が謙虚な340氏、選択は、『裸』『乗り物を登場させる』『全力』! デッドマンズ・カーは眠らない!
さあ、おもむろにクルマについて語り始める主人公が登場(『乗り物を登場させる』)、
車中…、そこは移動するプライベート空間、ゆえに誰にも注視されぬ現代の密室でもあるぜ、仮に素っ『裸』で運転してたとしても気づくまい〜 ←まあそれは分かりそうだがw
しかし羞恥プレイは『全力』で拒否、お題を消化した軽口が見せるは、バラバラ殺人の報道? ってこれはまさか…!
ラスト、雑談のごとき語り口は絶望気分のヤケクソだったか〜、彼を乗せたブラックボックスは、死出の旅路を突っ走り〜、軽い口調がドライブしながら棺桶突っ込む時を待つ、未解決事件・ロードムービーENDォ! >351 いつも進行ありがとね。代理やってみて結構大変なの知ったわ・・・
>>352 なんかネタが思いつかなくて競馬実況さんを活躍させられないのが残念無念。すまぬ、すまぬ・・・ >>353
え、
そう?
意表をついてて俺は結構好きだがw >>351 今回なんかやりやすい。馴染む、実に馴染むぞぉ!
使用したお題:『対決』『母』『サブミッション』
【母子バトル】
母と喧嘩した。
いや、これはもはや喧嘩などという生易しいモノではない。対決だ。戦争だ。殺し合い……はさすがに違うけど、それくらい真剣な戦いだ。
きっかけは些細なことだった。
些細な日常のあれやこれやが積み重なったことと反抗期という人生最低な時期が重なった結果の正面衝突だった。青春というやつである。
とまれ、母と私は一切口を聞かずに、お互いを牽制しあっている。今更後には引けず、絶対に怯んではならず、一歩も引いてはいけない。
今日も今日とて無言の殴り合いが勃発していた。
まずは料理。これにはどうしても母が上手だった。
長年の経験という一日の長をひっくり返すのは生半なことではない。おおむね常に敗退を余儀なくされている。
しかし、私だって現代人の端くれ、図書館にいって埃の被った料理本ではなくインターネットを利用し、最新の美味しい料理のレシピを習得し披露する。これならば奴も戦局は優勢とはいえ攻めあぐねているようだった。
次に掃除。こちらは私の領域だ。
掃除の良し悪しというのはある程度の基本さえわきまえれば、あとは掛けた時間に比例するものだ。よって仕事で外出が多い母はどうしても一歩劣る。私が堅実に勝ち星を稼いでいける分野だ。
しかし、やはり特殊な汚れやゴミの分別などは経験が物をいうらしい。打撃戦の合間にサブミッションのような狡猾な一撃を食らわせてくるのだ。そのせいで実に情けないことに、たまに後れを取ってしまう。
最後に雑事全般。これは一長一短あるためどちらも甲乙つけがたい。
近所付き合いや細かい仕事に気付くのはいつも母だ。悔しいが勝てない。
だが近所の特売情報や品物のコストパフォーマンスなんかは私の方が上手だ。若者の広い視野と軽快なフットワークを甘く見てはいけない。
ゆえにここは勝ったり負けたりしている。逆に言えば、ここさえ押さえれば私の勝ちは揺るぎない物になるはずだろう。だから雑事と言っても気を抜くこともできない。
そして今夜、私は最新の料理を綺麗に片付けたリビングに盛り付け、母の帰宅に合わせて料理を温めなおした。玄関が開く音がする。
ドヤ顔を見せつける私に対して、母はいつものように愚痴を言う。
「まったく、あなたは学生なんだから勉強を頑張りなさい。お母さんのことは気にしないでいいんだから、もう」
「だったら私にバイトの許可出してよ。母さんの給料だけじゃ家計苦しいの知ってるんだから。じゃないと私はまともに勉強なんてしてらんないんだからね!」
全く仕方ないなぁと不満気な顔で母は言う。が今日は何も文句を言わずに食卓に着いた。どうやら今日の勝負は私の勝ちらしい。
こうやって勝ち星を重ねて、バイトをする権利をもぎとってやるのだ。すべてはシングルマザーで私をここまで育ててくれた母の手助けをするために。
私は負けない!! 文章全体が明るいのが、ちょっと涙を誘うというか……良い話 ちょっと連載の息抜きに。
使用したお題:『対決』『魔法』『芋焼酎』
【二人の魔法使い】
ある場所にて二人の男が向かい合っている。幾度となく対決を続けてきた青髪と赤髪の二人の魔法使いの新たな闘いの幕が上がろうとしている。
緊迫する二人の男同士の闘いは睨み合いが続き、中々始まらない。互いに攻め込む隙がないのである。緊迫感溢れるその状況に互いに冷や汗が出てきている。
しかしいつまでもそのような状況は続かない。赤髪の男の目に僅かに汗が流れ落ちる。
「『アクアバレット』」
そのほんの少しの隙を突いた青髪の男が手を振り上げると同時に数多の水弾を一瞬の内に展開される。だが、対峙する赤髪の男にも欠片も油断した様子は見られない。後手に回った事を冷静に受け入れ、それに対する最適な戦法を模索する。
しかしそんな間など与えまいと青髪の男が手を振り下ろすと同時に数多の水弾が赤髪の男に襲いかかる。その水弾の威力は一発で普通の人ならばあっさりと貫通する致命の一撃。それが横殴りの豪雨のように襲いかかる。
「『炎纏』!」
数多の水弾に対抗する為に赤髪の男は身に炎を纏う。その身に宿す炎は鉄をも溶かす業火であり、襲い来る水弾を即座に蒸発させる事で致命の水弾を防いでいく。
互いに持つ実力は人の域を越え、そのどちらも致命の一撃となる。水弾が脅威でなくなった為、距離を詰め赤髪のの男は攻撃に転じようとするがそこで失策に気付く。
赤髪の男にあの程度の水の魔法が通じない事など幾度となく戦ってきた青髪の男が知らない筈がない。それでもその攻撃を選んだのはその防御の後に起こる事である。大量の水が蒸発し、そしてそれが他の水弾によって冷やされればどうなるか。つまりは霧の発生である。
「ちっ! しくじったか!」
「らしくないな? 我慢しきれずに焦ったか?」
「そう思うなら譲りやがれ!」
「それだけはお断りだ」
霧で姿を隠した青髪の男が赤髪の男の文句はばっさりと切り捨てる。そもそもそれが出来るのであればこんな対決などはしていない。
「『ダイヤモンドダスト』!」
「ちっ、今回は俺の負けかよ……」
青髪の男が繰り出すのは氷属性最強の魔法。赤髪のの男にとっては何もない状況であれば切り抜けるのは容易いが、霧という条件下でこれを破るのはほぼ不可能に近い。禁忌を魔法を使えば不可能ではないが、流石にそれはやり過ぎである。
赤髪のの男は死なない程度に威力を削ぐ程度に炎纏を使い、大人しく今回は負けを認めた。
互いに生死を問わずに戦えばもっと壮絶な事になり、周囲にも甚大な被害が出るだろう。
「えーと、今回はあなたの勝ちですね」
「あぁ、毎月配達を済まないな」
「いえいえ、これが仕事ですので。こちらが今月分の『芋焼酎』になります」
「ちっ、これで来月まで俺は酒はお預けか……」
「これも酒の席の喧嘩で王都を半壊させた罰なんですから諦めて下さい。月一回の酒の差し入れがあるだけマシと思ってくださいよ!」
赤髪の男と青髪の男は、揃って酒の飲み過ぎで喧嘩をし王都を半壊させた。だがどちらも救国の英雄であった為に1年の軟禁という非常に軽い罰で済んでいる。ただし毎月1回ある差し入れの酒を両者で分け合う事はなく、配達の者の立会の元で奪い合いをしているのである。
先月は赤髪の男の勝ちであり、今月は青髪の男の勝ちであった。 >>355
お互いを思い会える素敵な親子ですね
最初はおや? っと、思わせつつ、最後はホロリとしました
>>357
分ければ良いのに……
酒飲みの意地汚さと言うものでしょうか? >>355
歩道が広いではないか、行けッ! お題『対決』『母』『サブミッション』を選択〜、愛と青春の母子喧嘩!
今回のお題は『母』〜、スレ民の執筆依頼、母の日ものの要望に応えた355氏が描く、『母』と子の、ん、『対決』? いやこれは戦争だ!
さあ、往年のプロレスじみた応酬でスタート〜、『サブミッション』の一撃、軽快なフットワーク、入り混じる技の数々が、お題を消化しきって、しかしこの話はどこに行くって思ったらw
家事戦争のホントの所は、親の苦労知る子の想い〜、355氏の練り上げたネタバレで、進行氏が目頭おさえてオチ成立w
返したくても、返しきれぬが恩返し! 女手ひとつ、育った娘がカーネーションを母に手渡し、日本中でこだまする、こっちでやっとくよ・たまには休みな母の日END! ばっちし決まって乙カレ〜
>>357
357氏の選択は『対決』『魔法』『芋焼酎』、バンデッド・ファイターズ!!
さあ、幾度となく『対決』を続けてきた、青髪と赤髪の『魔法』使いが睨み合い、瞬時の隙を突いて攻防がスタートォ、
魔法戦が熱いぜ! 飛来する水弾に対抗の業火〜、鉄をも溶かす灼熱で濃霧発生、必殺のダイヤモンドダストで遂に勝負が〜ってあれ?
唐突に現れる、月イチの定期便、『芋焼酎』の差し入れww 357氏、王都とイモ焼酎って、どんな世界観なんだァ!
犯罪者でもある二人に焼酎が届けられ、なんという優しきラスト、ってかこれ357氏が魔法戦をやりたかっただけだろって感じで、イモ焼酎は美味いよねEND〜 >>358
感想ありがとうございます。
分けられるくらいなら酒の飲み過ぎの喧嘩で半壊させたりはしないw
>>359
はい、魔法戦書きたかっただけですw
ちょっとオチが強引だったかな?
って事で>>357の最後に一文付け足しで。
尚、その二人の男は酒を与えなければ酒を求め共謀して逃げ出す為、敢えて足らぬ酒で対立するように仕向けられている。 >>351 使用したお題:『母』『5月病』『魔法』
【やるキー】
「さーて、今日ご紹介する商品はこちら!」
「ええと、これはなんですか? カギ?」
「はい、その通りです。これは魔法のカギ、通称『やるキー』です!」
「やるキー? ヘンテコな名前ですねぇ。で、これはなんに使えるんですか?」
「これはですねぇ、なんと体に差し込むとその人のやる気が出まくる! という商品なんです!」
「え、なんですかそれ?」
「大抵は背中あたりなんですが、そこにこのやるキーを差し込むと、もう元気溌剌! なんでも何に対してもやる気が出て凄い活動的になるんです!」
「まるでアニメの未来道具みたいな効果ですねぇ」
「ええ、全くその通りです! このやるキーを使えばあら不思議、かったるいなぁ疲れるなぁと思ってやりたくないと思っていた作業がぐんぐんはかどります! これがあれば月曜日の朝なんて怖くない!
めんどくさい炎天下の営業回りも手間ばかりかかる家事掃除もやりたい放題ですよ!!」
「もしかして、五月病なんかにも効きますか? 最近ちょっと朝起きるのが辛くって……」
「もちろんです! 今まさにその季節ですからねぇ。仕事に慣れて『早起きしたくないなぁ。今日休みたいなぁ』って人にはまさにオススメです! 体の奥底からやる気が沸いてきますよー!!」
「でも本当に効果あるんですか? 正直、ちょっと疑わしいんですけど……」
「ご心配はよくわかりますがこちらをご覧ください! ほら私の背中に!!」
「あ、ホントだ。やるキーが刺さってる!」
「はい! 私が今日こんなに張りのある声が出ているのは、まさしくやるキーのおかげです! というか我々のようなお仕事には必須の代物なんで、テレビに出るとき同僚はみーんなこれ使ってます!」
「ああ、だからおたくの会社の社員さん、みんな妙にテンション高いんだ」
「そのとおおおおり、でございます!! それにこちらの写真を見てください。こんな青ざめた顔をしたやる気のない主婦も、やるキーを刺したら驚きの効果! こんなに張り艶ある顔になっています!!」
「ホントだ、表情が全く別人ですねぇ」
「それだけじゃなく、やるキーを刺した途端、今まで厄介だからと倦厭していた実家へのご挨拶や台所にこびりついたしつこい油汚れの掃除なんかも率先してやりだしました!
やる気がみなぎりすぎて、なんだか若返った気がするとおっしゃっていました! 実際、彼女の娘さんから『お母さんが元気いっぱいで嬉しい』とのお声もいただいております!!」
「へー、凄い効果なんですね。でも、そんなに効果があるんじゃお高いんでしょう?」
「そんなことはありません! なんとこのやるキー、通常なら1本このお値段ですが……今ならなんと半額でご提供できます!」
「おー、すばらしい!」
「しかも! この放送を見た、と一言仰ってくださったお客様には、先着100名様限定で、なんとやるキーを2本目をセットでお送りさせていただきたいと思います!」
「えー、1本のお値段で2本も? お得すぎませんか?」
「それだけじゃありません! 期間限定ではございますが、今ならやるキーを保管しておくには便利な専用ケースと、やるキーを綺麗にするための洗浄液もおまけとしてお付けいたします! もちろん送料は無料です!!」
「わー、すごい! 私買うわこれ!!」
「ではもしご購入を検討されたお客様には、こちらの電話番号をお願いします! いいですか? 0120……あれ? え?」
「ん? あれ、え、ど、どうするの?」
「……ええと、申し訳ありません。今回ご紹介した商品のやるキーですが、どうやら在庫がなくなってしまったようで、ご提供することができなくなってしまいました。申し訳ございません……」
「え、ええと、その今さっき届いた情報によりますと……『五月病でダラけていた電話係や商品梱包部や営業部にやる気を出させるため、全員にやるキーを刺したところ、在庫がなくなってしまった』とのことです……」
「ええっと、その……申し訳ありませんでした!!」
「謝罪もやる気一杯でやるんですねぇ……」 決まりきった様なあのやり取りも、きっと魔法のせいなんですねw
大体、皆、同じ頃に掛かるから五月病
ちょっと時期が悪かったですねw >>361
これは製造している人達に増産のためにやるキーを使うしかないですね!
てか、こんなのあったら普通に欲しいかもw >>360
>尚、その二人の男は酒を与えなければ酒を求め共謀して逃げ出す為、敢えて足らぬ酒で対立するように仕向けられている。
うわ、このオチ毒があって良いやんw >>361
通販小説が登場だ〜、お題選択は『母』『5月病』『魔法』、イッツ・ヤルKey・スイッチ・ショッピング!
さあ、今回ご紹介する商品は!? 体に差し込むとやる気みなぎる『魔法』の鍵で、名称『やるキー』! これ以上覚えやすい名前はないw
『5月病』にももちろん効く、張りのある声、張り艶ある顔、お『母』さんが元気いっぱいで嬉しい、などなど、喜びの声が寄せられており、
実家へのご挨拶、油汚れの掃除にも効果を発揮w すげえ、すげえよ、やるキー、名前はふざけてるけど無敵じゃないか〜、ラスト、梱包係までもモーレツ化した商品出庫で、在庫切れオチww
クソッ、在庫管理係は何をやってるんだ! そう、効率化とは一部だけでは成し遂げられモノ、全体効率こそ最大の要なのだァ! 何だか勉強になったぜって感じで、クレーム処理も全開ENDォ! >>351 使用したお題:『対決』『魔法』『芋焼酎』
【戦争は最大の利益を生む】
基本的にこの戦場において、終始我が軍は優勢であった。
まず兵站が開かれる段階で差があった。我らが軍は大量の水資源と豊富な食糧のおかげで軍備を最大限にまで拡張することができたのだ。
また気候が我らを味方した。ちょうど暖かくてとても過ごしやすい20度前後の気温の中、我らは来るべき戦時に対して準備を整えることができたのだ。
対して敵側は悲惨であった。なんと国民すべてに接収が行われたのだ。
開戦に備えての徴収とはいえ、これはあまりに非道。戦列に加わるはずの兵士たちは身ぐるみを剥がされたも同然であったのだ。
しかもそれだけではない。丸裸とされた彼らに過酷な労働を強いたのだ。汗水垂らして仕事をした彼らは、戦争が始まる前からクタクタに疲れ、身も心も緩く弱り切っていたといえよう。
そんな状態で戦端が開かれれば、結果など推して知るべしである。
心身ともに充実した状態で戦争へと向かう我が軍と、身を粉にして働いた敵軍では戦いになどならない。じわじわと、だが確実に彼らの戦力をそぎ落としていった。
また神も我が軍の勝利を望んでいるのだろう。戦争が始まるや否や、気温がぐんぐんと上がり、熱気むしばむ猛暑となった。その気温30度、戦いの機運ができている我らはその熱に乗じて進軍を続け、体力が落ちている敵軍は一方的に我らに蝕まれていった。
しかし、戦争の結果だけは予測通りとはならなかった。
なんとかして我が軍の侵攻を阻み、2週間もの膠着状態を生み出した敵軍であったが、まさか最後にどんでん返しを用意しているとは思わなかった。
いざや最後の攻勢、と思いいきり立った我らは突如戦域から弾かれてしまったのだ。ものすごい熱風と水蒸気の渦に巻き込まれ、我が軍は壊滅的な打撃を受けてしまった。
もちろんこれは敵軍にも効果があった。彼らの血と汗と涙はまるで魔法のように上昇気流に巻かれ、どこかへと消えてしまったのだ。我らの屍だけを残して。
そうして神に見捨てられた我々は、どちらも勝者を生むことなく、豚の餌になってしまったのだった……。
こうして、我が軍「酵母菌」と敵軍「さつまいも」との戦争は無為に終わり、どこかへと消えていった血と汗と涙の結晶である「蒸留酒」は、神々の手に渡ったのである。
後の歴史家が語る「芋焼酎の作り方戦争」である。 >>367
まさかの芋焼酎の材料同士の争いw
いやまぁ、視点変えたらそういう事だもんね。 お題
『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』投票締め切り
投票なしのため、得票数一覧はありません。 ごめん、正直前回の投票より今回の作品考える方が優先で忘れてた・・・
恋愛ものかホラーもの書きたいけど、今回のテーマはいまいちそっちに繋げづらい ホラーという言葉で幽霊相手に対決してサブミッションで勝利する母親という流れがぱっと思いついた。
今日はいまいち執筆意欲が低迷中なので書かないけども。 >>367
“もや○もん”ですねw
歴史物かと思ったら樽の中の戦争とは
意表をつかれました >>367
お題選択は『対決』『魔法』『芋焼酎』、蒸留の芋戦記!
さあ、『対決』の戦火を交える軍団同士、戦力差が兵站から徐々に開いていくぞ、大量の水資源、豊富な食糧、とても過ごしやすい20度前後の気温w
天候にまで味方された語り手サイドに比べ、相手は悲惨〜、接収、労働、そして2週間もの膠着状態を経て、謎の熱気と水蒸気の渦によって『魔法』のように消えた彼ら、一体!?
直後、神に見捨てられた語り手サイドが豚の餌と成り果てる暴露オチで、このたびの「『芋焼酎』の作り方戦争」も神々による幕引きw
前スレキラーお題、レーズンブレッドにも兄弟作があったぁ、またもや搾取の憂き目にあった食品たちに明日はあるのか! 物語はお題を消化し蒸留酒ENDだ! そういえば以前似たようなの書いてたなぁ・・・忘れてたよ
引き出しが少ないなぁ自分。そして書いた当人すら忘れてたことを覚えていた競馬実況さん凄いわぁ・・・ 執筆意欲が若干回復し、せっかく思いついたので書きました。
使用お題:『対決』『母』『サブミッション』
【母は強し】
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
バタンッと乱暴にドアを閉める。
夜道を歩いていると背後に妙な気配を感じて、慌てて家まで帰ってきた。でも、家まで辿り着いても不気味な気配は消えてくれない。むしろ変な寒気がしてきている。
「乱暴なドアの閉め方をしてどうしたの、彩花?」
「……あっ、お母さん! なんか変なの!?」
「……あーなるほどね。あんた、霊に好かれやすいのに見えないから」
「……お母さん?」
そう言って母は何も居ないはずの玄関に向かって無造作に手を伸ばす。そして何かを投げ飛ばすような仕草をした後に、何も無いはずの場所にサブミッションを仕掛けていく。その瞬間に先程まで感じていた不気味な気配は薄らいでいた。
何が起こっているのかは全く見えないし、分からない。それでも母が何かと対決しているのだという事だけは理解できた。なにせ、何も無いはずの場所に母がサブミッションを極めたまま浮かんでいるからである。
「うちの娘に取り憑こうったってそうはいかないよ! 大人しく諦めるんだね!」
母は見えない何かに向かって叱責する。あぁ、見えないだけでここに良くないものが確実にいるんだ。何かがもがき苦しんでいるかのように、ガタガタと物音がする。母がサブミッションで抑え込んでいるものが暴れているのかもしれない。
「もっとやる気かい? ただでさえ無くなってる腕と脚をもっと減らしてあげようかね!」
母のその強気な言葉に、何かが暴れる気配は無くなった。嫌な気配ももうしない。
「彩花、もう追っ払ったから大丈夫。怖かったんじゃないかい?」
「……うん、でもお母さんありがとう」
こういった経験は初めてではない。母には何かが見えていて、私はその何かに好かれやすいらしい。そてでも母はこうやっていつも守ってくれる。父が亡くなってからも一人で育ててくれた私の母は私の自慢の母親だ。
「まったく、あんたが憑いてて何やってんだい!? 娘の一人くらいちゃんと護りな!」
時々、私の背後に向かって何かを捻り上げるような動作で怒鳴り上げている事だけはいまいちよく分からないのだけども。 >>376
376氏の選択は、『対決』『母』『サブミッション』、スピリチュアル・ルチャドーラの登場だ!
さあ物語が、慌てて家に駆けいった女性を描いてスタート〜、不気味な気配と寒気が襲い、霊的な存在を感知する〜
ナニかと『対決』する『母』による、華麗なる空中殺法〜、あの母が『サブミッション』を極めたまま空に浮かんでいる〜、光景ww
母「ただでさえ無くなってる腕と脚をもっと減らしてあげようかね!」←ワロタ、残ってる腕と脚ってつまり全部なくなるってことじゃねえか、物語はお題を綺麗に消化し、悪霊はビビって退散〜
ラスト〜、悪霊のみならず父の存在感までも抹消する、父さん、父さんじゃないかオチw 見えない面白さを追求した、除霊、除霊、除霊の爆笑ENDだ! もうちょいホラー風味を強くするつもりが、色んな意味で母が強くなってしまったというw ホラー書きたいのなら、なんで母を「亡くなった母親」とか「母の呪い」とかにしなかったんだ・・・
バトルマザーなんて書いたらどうあがいてもギャグにしかならないよ! というかこれホラーのつもりだったのかよ!! 流石にこれはホラーだとは思ってないw
もっと母親も娘も怯えて、ヤケクソで護身術をかけたらうまく撃退的なのを予定してたのが、母が強くなり過ぎてw 明日の安価より今のお題を頑張って考えてる
ホラーをやってみたいんだけど、どうしてもお題がホラーから遠い・・・!! お題:『母』『魔法』『芋焼酎』
ボクは膝を抱えた姿で閉じられた鉄の扉を黙って見つめていた。
あと少しで母が帰ってくる。大きなビニール袋を抱えて、
「今日はトモ君の大好きなすき焼きよ」
と目尻にシワを寄せた母が笑顔で帰ってくる。
ボクは玄関に飛んでいってビニール袋を受け取る。台所まで運んで頭を撫でて貰うんだ。
そんないつもをイジワルな今日が遅らせていた。
部屋が暗くなってきた。少ない瞬きで扉を見ていたから涙がこぼれた。泣いているみたいでカッコ悪い。
ボクは急いで目を擦って立ち上がった。母が残した食卓の手紙を見にいく。
難しい言葉がたくさん書かれていた。わかるところもある。でも、意味は頭の中でごちゃごちゃになった。
「これは魔法の言葉なのよ。無くさないで持っていてね」
そんな母の言葉を思い出して、きれいに折ってズボンのポケットに入れた。
ボクは出かけることにした。待っていても帰って来ないなら、自分で行けばいい。思いついた答えにうれしくなった。
「あ、そうだ」
玄関から台所に戻って戸棚を開けた。奥の方に突っ込んであった瓶を取り出す。母が一人の時によく飲んでいた。笑ったりしてたから、持って行けば喜んでくれると思う。
ボクは瓶を抱えて家を出た。
最初にスーパーに行った。店の中にはたくさんの人がいた。母と似た人がいて目で追いかける。
すると、その人は怒ったような顔をした。急いでどこかに行ってしまった。
周りの人の目がボクに集まる。胸の中がざわざわした。だんだん息が苦しくなってきた。
「ごめんなさい!」
頭をぺこぺこと下げてボクはスーパーを走って飛び出した。
足を止めるのがこわかった。息が苦しくなった。ふらふらのボクは薄暗い公園のベンチに座った。
遠くから怒るような声がした。ガチャンとガラスが割れるような音がして、ビクッとした。
家で寝ている時に、一回だけ、聞いたことがある。その時はこわくて布団を頭からかぶった。
「ボク、どうしたらいいんだろう……」
泣きそうになる。ボクは涙を流したくない。手が瓶のフタを開けた。鼻を近づけると甘い匂いがした。
母の姿を思い出しながら口をつけて飲んだ。目がちかちかした。暗いのに明るくなった。
少しだけ、楽しくなってきた。なんとなく声を出して笑ってみた。とても楽しい気分になれた。
ボクは大きな声で笑いながら飲んだ。
体を揺すられた。ボクは目が覚めた。こわそうな顔をした二人がいた。
「警察に不審者情報が寄せられた。ここで何をしていた?」
「え、えっと、ボクは母をさがしてました」
「芋焼酎を飲みながらか」
一人がすごく怒った顔をした。ボクはこわくて震えた。そして紙のことを思い出した。魔法の言葉が助けてくれる。
「あ、あの、これ、見てください」
ポケットでしわくちゃになっていた紙を渡した。一人が中を開いた。怒っていた顔が少し優しくなった。
「知的障害の四十で母親は失踪か」
別の一人が難しい顔をした。ボクには意味がわからない。
「こ、これ、魔法なんです!」
「ああ、そうか。わかった。一緒に来てくれるかな」
「その、ボクは母をさがさないと」
「私達が探してあげるから心配しなくていい」
ボクはうれしくなった。うん、と元気よく答えた。
母の残した魔法は本物だったんだ。 >>386
ちょっとベタすぎるかも。途中から結末が読めた >>386
悲しい話だった。
小説書きたくなった。 >>386
お題を含めて話を書くのは大変だが、
>そんないつもをイジワルな今日が遅らせていた。
キチガイだから日本語がムチャクチャでいいというのは言い訳にはならない。
なぜならこの場合、最後の方まで読者に語り手の正体を気づかせない方が面白いし、
作品としてしっかりしたものだと言えるからだ。
もし、これをわざとでなく書いているなら皆に教える立場に相応しくない。
日本語ムチャクチャだな、おいおい……と思わせて
実はキチガイだから当然だと思わせるために書いているなら、アイデアが悪すぎる。
きちんとした賢い人だと序盤でミスリードする方がアイデアとしてずっと優れている。
一番まずいのは一番最後のパターンで、発想力が貧困だといくら語彙をきちんとしてもどうにもならない。
俺ならまず、芋焼酎を買い物する子供が転んで魔法で痛くなくなる、というのが浮かぶが
これは月並の発想だから何も浮かばないときのために取っておく。
あるいは魔法をかけた途端に、家の中のいろんなものが動き出して……そう、お母さんは魔女だったのです。で終わりとかな。
素敵な話で女の子には受けそうだな。
次は僕はどうやって生まれたの? 魔法の注射をしたら生まれたんだよ、ときて
おいおい下ネタかよ……と思わせて、大事なことだから大人になったら教えてあげる、
いい家族だな……そこで芋焼酎入りのジュースを実は子供に飲ませていて、べろんべろんに父親が酔っ払っていて、
母親はマリファナでラリっていて終わり。
最後に考えるのは、芋焼酎で爆弾を作るということを何か爆弾の本でも読んでリアルに語る。
そこで真面目な話かと思わせて突然魔法使いと戦いになって、最後は母親が神様として神の力で津波を起こして全員流されるとかの
ナンセンスな話な。これも面白い。お題はためにならない、なんてことを言ってもいいしな。
メタネタはちゃんと使えば凄く面白いからな。
結構考えやすいお題なのに、やっぱり一番ダメなところに着地して面白みもクソもない物を作ってる。
いつも下らない話を作って、「話として文字数を稼ぐ」ことを最優先する思考様式しか採らないから
それが諸悪の根源だな。
俺は某所で嫌われていて、皆悪口ばかり言ってるが、付き合いきれない。
俺じゃなかった時にどうする気なのか、人の悪口を言いたいがためにやってることなのか、
そもそも何故そこまでして悪口を言うのか、おかしいな。
悪口を言うべき相手に言うことが正しいと思ってるみたいだがな。
そのためにはどんなマナー違反でも正当化されると勘違いしてる。
俺とお前の実力の差がはっきりわかるだろ。じゃあな。また気が向いたらアドバイスしてやるよ。 これでもまだ俺のアイデアがつまらないというなら、最初のアイデアで書いてやる。
「芋焼酎って何なの?」
「これはね、飲めば魔法が使えるようになるのよ」
「僕も魔法が使えるの?」
「そうよ」
この方がいいな。どうしても書けというなら書いてやるよ。
教えるのが楽しくて仕方ないなら教えればいいんじゃないかな。
あまり意味がないと思うけど。 なんか変なの沸いたな…作者さん気にせず自分の作品作ってね この小さな世界ではともかく、現実では私の言うことがさほど間違っていない
と親や友達に聞いてみればすぐに判るよ
私の言うことを良く聞いて反省しなきゃダメだ
出来ないならまず、人としてどう生きるかを直していけ
当然だろう? 批判ありきでの批判をするために、都合よく登場させて
それを貶すなんてことが許されるか?
5ちゃんねるではそれでいいがな、もうお前ら何も書かずに一生5ちゃんやってろ、って話だろ 誰かの技量をけなすことは絶対にダメだ、というルールがあるなら
暗黙のルールにせず、テンプレにしつこく何回も書いておけ
私は「変な人」じゃない
ここの暗黙のルールを守らないだけだ
そのルールがおかしいと私は思うけど、それがないと全員貶されて死亡するから
みんなで褒めあってるんだろ?
そんなに褒めあうなら、私も褒めろよ
それができないならお前らは間違ってると思うが、でもそもそも、何言われてるかも理解できんのかね
結局皆で褒めあうのなんか欺瞞でしかないってことは事実だよ あ、そうそう
芸術にタブーはないからキチガイを出すぐらいなんでもない
そういう意味では何の問題もないので、どんどん書いてキチガイに慣れて
自分の強みにするなりなんなりしていい
他人が書かないことを書けば強みになる
むしろタブーに挑戦してもらいたい
キチガイが酔っ払いのおっさんの内臓を引きずり出して全部食べるとかね 知的障害者をそのまま描くならそれはそれでアリと思うけど、
知的障害者が主人公にしては単語のチョイスが高度すぎない?
知的障害者があんな概念的なモノローグをするだろうか?
そういう点が「お題のために知的障害者を使った」感を出してないか? うわ長文連投きつ
ワイスレから変なの流れてきたな勘弁してほしい まあ自分が書いたものにこれだけ熱意をもって反応してくれるのは、承認欲求的にはだいぶうれしい、のかな?
ま、まあ一番のメインは短編を書いてくれる人なわけだし、感想もほどほどに・・・ 称賛する事が暗黙のルールと言う訳じゃないと思います
自分も、最初の時は随分意見を貰いましたので
ただ、基本的に短編小説に対するスレですから、個人的な人格に対する攻撃は眉を潜められます
今、スレに集まっているのは小説を楽しみたい、エンジョイ勢だとは思うので、そう言った思考の人が多いとは思いますが なんで変なの来てるんだよ……。
のんびり書くのが良かったのに……。
他のスレの人ならそっちだけで批評してくれよ。 まぁワイスレでワイさん(>>386)に粘着してる人がいるみたいだからそれ関係でしょ
活動拠点はワイスレだろうからスルーしてそっとしとくのが一番じゃないかな ちょっと確認してきた
こりゃNGにして放置が正解だね ワイさんもここに書くときはお忍びにしてくれると助かるのだが……
こっちのスレにまで荒らしを連れてこられると堪らない >>386
少し悲しいお話ですね
この親子は将来どうなって行くのでしょう >>351
使用お題:『対決』『五月病』『サブミッション』
【お題でオチバレしているよね】
自らロープへ走り、その反動を利用し上へと飛ぶ。反転をしながら体全体をぶつける様に両腕を広げるが、相手の姿はそこには無かった。
「っ! ……」
マットに叩き付けられるが、そこはとっさに受け身を取って最小限のダメージに収める。むしろ、そこからが問題だった。
「チェア!!」
問答無用のストンピング。
回転しながら、避ける、避ける、避ける!
ロープに手が届く距離、リングから落ちる寸前。俺は十字に腕を組み、ストンピングの足を受け止めると、足を振り、逆に相手の軸足に絡みつかせ、勢い任せに払い崩す。
「グアッ!」
背中からマットに叩き付けられたヤツは、それでも頭部だけはきっちり守っていた。
俺は半身を起こし、向こうの反撃の準備が整わない内に飛び掛る。
自らの頭を守っていた為に無防備に晒されている腕を取るとそれを引き寄せ、代わりに向こうの胸部に片足を乗せる。
ヤツは腕を取られまいと自らの手をクラッチし、対抗するが、俺はその隙にもう一方の足を相手の顔の上に引っ掛ける様に乗せ、両手でヤツの腕を引っ張る。
ここからは純粋な体力勝負だ、ヤツのクラッチを外し腕を取れればオレの勝ち。
だが、凌ぎきられ、逃げられれば勝敗は分からなくなる。
いや、今こうしている時間すらもヤツの味方だ。俺の方にはあまり時間がないのだから。
それ故にここで一気に決めなければならない。
「くっそう!! 負けるかよぉ!!」
俺は更に気力を注ぎ込む。負けられない! 絶対に!!
「!!」
「これで、決まりだあああぁぁぁ!!!!!」
決着がついた瞬間、俺はすかさず飛び上がる。
マットレスから飛び降りると、寝間着を放り投げる様に脱いだ。
「くそ!! ギリギリだ!! 髭剃りは途中のトイレで良いか、寝ぐせも……朝食はコンビニで……うわ! 出ないと間に合わねぇ!!」
シャツとスラックスを急いで着込むとジャケットを引っ掛ける。ネクタイと鞄を取っ掴んだ俺は、大慌てで家を出た。
〇俺 VS ×五月病 1時間15分47秒 決め技:腕ひしぎ十字固め >>386
紛糾しすぎだろw 386氏の選択は『母』『魔法』『芋焼酎』、言葉は誰がために鳴る〜
さあ、正体不明の瓶を抱えて息子が外出だ〜、『母』を捜して五里霧中〜、スーパー、公園、しかし周りは裸の大将を見る目なんだがw
警官に、体ゆすられ明かされる、子の境遇と母の愛飲した『芋焼酎』〜、母の背景にあったのは、生活苦と逃避先の焼酎かー
酒瓶うけつぐ息子の窮地を救うのは、逃げた母による『魔法』のコトバ〜、別れの言葉を母よ、なぜ子には宛てずに書いたのか〜、いやそうじゃねえ、子の限界を知る母だからこそ、子に言葉を届かせぬのだ!
息子が母の喪失を知ったなら、きっと生きてはいられまい〜、ギリギリの母の選択は、何も解らせずに消える母性道〜、苦悩に打ちのめされた母が、道を違えても子と生きることを選択した、アンノーマル母子・決別ENDだァ!!
>>404
プロレス小説が『対決』『五月病』『サブミッション』を選んでリングイン! オン・スプリング・モーニング・ストーム!
さあ、ロープを使って跳躍し、空を舞う俺君が登場〜、ボディプレスをスカったあとにやってくる、問答無用のストンピングをよけまくり、足を捕らえて仕留めるのか〜
熱い、熱いぞ、絡んだ闘士たちのプライドが激突するぜ、腕をこじ開け、これで、『サブミッション』が、決まりだァ〜↑
って、ここで俺君がマットレスから飛び降り、パジャマを放り投げる!? 物語は緻密にバトルを描いた前振りを活かし、決めてくれたぜ起床オチ!w 『五月病』との戦い1時間15分47秒!
春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く、夜来風雨の音、花落つること知る多少〜、あと五分、あと五分と引き延ばす戦いは今日も我が方の勝ち〜、404氏がお題を消化し、日本各地、朝方の戦いに華を添える、応援歌ENDだ! >>386
話の内容は凄く好きなんだけど、1点だけ引っかかった。
ずばり
「オチに対する伏線が皆無」
なんだよ。
この作品のミソは終盤でのタネ明かしだと思うんだけど、
序盤で、それを想起させるアイテムや描写が乏しい気がした。
(勘のいい>>387氏はすぐオチが読めたらしいが)
俺にはこれというヒントは見つけられなかった。
もしかして「目尻にシワを寄せた母」がそうだったのかと思い直したけど、
今時高齢出産なんて珍しくないから、ちょっと弱いかな。
で、結局、最後でタネ明かしされてモヤモヤが残ってしまった。
もしヒントが設置してありば、「あれはそういうことだったのか!」
と読み終わった時に爽快だったと思う。凄く惜しい。
読者にバレないように伏線張るのって難しいけど、何か良い方法
なかったかな? あと、上でも言われてるけど、一人称なのに主人公の言葉選びのセンスが
理知的でヘンな気がした。
是非「アルジャーノンに花束を」を読んで参考にして欲しい >>405
感想有難うございます
まぁ、一点突破のアイデアオチではありますがw
五月病で何か書けないかと思索していて、唐突に思い付いたネタです オマイラ、「商業」作家様の書いたものにケチをつけるなぞ
一億と二千年早いわw ホラー書こうと思ってうんうん唸ってるうちに日曜日になってしまった。やっちまったい
もう手遅れだから今回は諦めて次回のお題でがんばろう・・・ >>351
使用お題:『母』『魔法』『芋焼酎』
【女房酒】
古今東西、酒は百薬の長と言います。確かに嗜む程度であれば良薬となりますが、浴びるほど飲んではその薬効も毒に成る。
しかしここに、「酒はクスリ成り、故にいくら飲んでも構わんのだ!」と言ってはばからない長介と言う男がおりました。
「これは、魔法の酒瓢箪なんですよ」
「魔法の?」
怪しげな露天商の売り口上。ですが、そこは大の酒好き、足を止めてしまう。
「へいへい、『汲めども尽きぬネクタール』とも言いますが、この瓢箪は酒が尽きる事なく湧き出す魔法が掛かっております」
「へ、へぇ!! ……しかし、本物かい?」
「本物ですとも」
そう言って露天商はちゃぽちゃぽと瓢箪を揺らす。音からすればコップに1、2杯も注げば無くなるだろう。
次いで露天商は切子を取り出すと、瓢箪の口を傾ける。
とくとくとく、と酒が注がれ、辺りにはアルコールの香りが漂う。
長介がゴクリと喉を鳴らした。
露天商はニヤリと嗤うと、その酒を呷る。
「いやぁ、甘露甘露! 上級の酒だ!!」
そうして続けざまに、2杯3杯と次々に飲み干した。
面白くないのは長介。大の酒好きが人の飲むのを見ているだけなのだ。ゴクリと喉を鳴らしながらも忌々しそうにそれを眺めていた。
「さ〜て、おたひ合い、随分と飲んだ訳れすが、瓢箪の中身はろう成っているれひょう?」
「そりゃ嫌味か! お前ぇが全部飲んじまっただろうが!」
ニヤリと嗤う露天商。先程と同じ様に瓢箪を揺らす。
ちゃぽちゃぽちゃぽ……
「!!」
「はい! このとほり、尽きるころなく、入っております」
「そ、そいつは、おいくらだい? 買う気はねぇ、買う気はねぇんだが、参考までにな?」
露天商が指を5本立てる。
「五十万……」
長介が眉根を寄せる。確かに欲しい。しかし、流石に高すぎた。
「ほひて、この瓢箪にはもうひろつ秘密がありますしてね? なんと、入れる物ひよっへ酒の味が変わるんれすよ」
「な、何ぃ!?」
「こうひて葡萄を入れると……」
露天商が瓢箪の口に葡萄を近づけると、ひゅんっと葡萄が吸い込まれ、傾けた瓢箪から紫色の液体が。
「この瓢箪一本が有れば、へかい中のありとあらゆる酒がろめるわけれす」
******
長介は大事そうに瓢箪を抱えると、安アパートに帰って行く。築80年はくだらない、風呂無しトイレ共用のアパート。
家賃だけは安いその一室に、長介は妻と二人で住んでいた。
流石に安い買い物ではない。妻に文句を言われない様にと長介はこっそり中を覗き込む。 【女房酒】(2/3)
どうやら彼の細君は居ないらしい。妻が居ない事を良い事に、早速コップにワインを注ぐとそれを飲み干した。
二杯、三杯と一頻り飲んだ長介だったが、さてそれじゃあと、味を変える事にする。
ワインも良いが、長介としてはやはり日本の酒が飲みたい。だが、家にあるのは蒸し芋くらい。
先週、妻の芳子が「安いから」と買って来た大量のサツマイモ位しか食べる物は無かったのだ。
「仕方ねえ……芋焼酎で我慢するか……」
そう言って長介は瓢箪の口にサツマイモを近づける。
ひゅん。
「おお!! 入った入った! しかし、こりゃ不思議なもんだ!! じゃ、早速」
いそいそとコップに瓢箪を傾ける。先程と違って、瓢箪からは透明な液体。そして焼酎特有の香りが辺りに漂った。
長介は縁ギリギリまで焼酎を注ぐと、啜る様にして飲んだ。
「くあぁ!! こりゃ美味ぇ!!」
その味は確かに芋焼酎に成っていた。注いでは飲み、注いでは飲み。
強かに飲んだ長介、不意に体をブルリと体を震わせる。
「うおっと、御不浄、御不浄っとこりゃぁ」
ふらりと立ち上がった長介はそのまま千鳥足でトイレへと歩いて行った。
******
丁度入れ替わりで、長介の妻、芳子が帰って来る。その肩には米の袋。この所、芋ばかりだと文句を言っていた夫の為に、隣町の米屋から古米を格安で売って貰って来たのだ。
「ふー、ただいまっと……ありゃ、あの宿六、帰ってないのかい?」
部屋の中を見回せど、長介の姿は見えない。だが、その酒の匂いだけは消える事は無かった。
「……帰っては来てるのかい、てぇ事はトイレかね?」
そう思ってもう一度、部屋の中を見回すと、見慣れない瓢箪が一つ置いてある。芳子は眉根を寄せると溜息を吐いた。
「また、新しい酒を買って来たのかい、全くしょうがない……口も閉めてないじゃないか。本当にどうしようもない男だよ」
やれやれと首を振りつつ、芳子は瓢箪の口を閉めようと踏み出す。
「ありゃ」
流石に隣町から歩いたのが足に来たのか、それともコメの袋を担いでいた為バランスを崩したのか、芳子はそのまま倒れ込んでしまった。
……瓢箪に向かって……
ひゅん。 【女房酒】(3/3)
******
しばらくするとトイレからフラフラと千鳥足のまま長介が戻って来た。
部屋に帰ると一面にばら蒔かれた米。見れば足元に米の袋もある。
ハハア、かかぁが蹴っつまずきやかったな? と思うものの、そこは酔っぱらい。妻が居ない事に疑問は抱かない。
むしろ、妻が居ぬ間になんとやら。意気揚々と一人飲みを再開する。
「しっかし、ぶちまけるだけぶちまけて放っとくたあ、全くしょうがねえ母ちゃんだ! ……うん?」
とくとくとコップに注ぎ、ぐいっと呷る。するとどうだろう? 先程とは風味が全く違う。
はて、何で味が変わったんだと訝しむ長介。周りにばら蒔かれてる米。おそらく蹴っつまずいたのだろう自分の女房を思いだし、長介は真っ青に成った。
******
長介の部屋の前は、今は人が集まっていた。部屋の主である長介がわめき散らし、支離滅裂な事を叫んでいるからだ。
駄々っ子の様に四肢をバタつかせながら、狼狽し、泣きわめく長介に、声をかける者がいる。
「おやおや、どうしちまったんだい? お前さん」
「俺ァもう駄目だぁ。飲んじまったんたよぉ」
瓢箪を指差し、オイオイと泣く長介。だが、そんな事は何時もの事だろう。それとも、禁酒でもしようと思ったのか? だが、様子を見ているとそう言う訳でも無いらしい。
「飲んじまったって、今更かい? 何時も飲んだくれてるじゃないかい」
「ちげぇ、違うんだよ、飲んじまったのは酒じゃあねぇんだ」
「じゃあ、何をだい?」
そんな長介に首を捻る。正直、何が言いたいのか分からない。と、その次に彼から出た言葉は更に訳の分からない言葉だった。
「母ちゃんだよぉ。俺ァ母ちゃんを飲んじまったんだよぉ」
「あたしをかい?」
長介を宥めていた……芳子は目を丸くする。
「そうだ! お前をだよおぉお。俺ァあ、酒を飲んでこんなに後悔したこたぁねぇ! お前を愛してた! お前が居なきゃ、俺ァ生きて居られねぇんだ!!」
「ちょ、ちょっとやだねぇ、こんな所で何言ってんのさ!! ほらほら、ご近所迷惑だよぉ、とにかく中に入りなさいな」
突然の告白に芳子は顔を赤く染めながらも、長介の背を押し、ご近所さんに頭を下げて、部屋に戻った。
******
「へぇ!? じゃ、じゃあ、お前は別に瓢箪に中に入っちまった訳じゃねぇのかい?」
無理やり部屋に押し込み、何とか長介を落ち着かせた芳子は、彼女の居なかった時のあらましを話す。
芳子がこけた後、その音でびっくりした下階の大家が心配して様子を見に来たのだそうなのだ。そして、足を抱えて蹲る芳子を見て、治療をする為に自室へと運んでくれてのだと言う。
「瓢箪の中にって、そりゃ、何処のエテ公の話だい……あたしは、そんな物の中になんて入りやしませんよ」
「……そりゃそうだが……」
実はどんなに大きな物でも入ってしまう魔法の瓢箪なのだが、その事は、黙っている事にした。そうなると味が変わったのは、その拍子に米が中に入ったからだろう。
今は幸運にも避ける事が出来たが、何時また、そう言った事が起こらないとも限らない。
「なぁ、母ちゃん」
「何だい?」
「俺ァ、今日限り酒は止める」
長介の一大決心。しかし、芳子は「出来ればよいやね」と、聞き流し、片付けを始める。
だがこの宣言通り、長介はその後、酒を一滴も飲まなかったと言う。 お題『対決』『母』『5月病』『魔法』『サブミッション』『芋焼酎』締め切り
【参加作品一覧】(1/2)
>>355【母子バトル】
>>357【二人の魔法使い】
>>361【やるキー】
>>367【戦争は最大の利益を生む】 【参加作品一覧】(2/2)
>>376【母は強し】
>>386【無題】
>>404【お題でオチバレしているよね】
>>411【女房酒】 お題安価>>418-424
とりあえず傍観の形でいましたが、スレが荒れたときは皆さんNGでお願いします。オープンならアク禁が使えるんですが。 >>418
そのコテハンで来られると荒らしもついてくるとあれほど……
『悪魔』 その人そういうの気にする人じゃないから無駄無駄無駄ァッ!
『ガソリンスタンドl』
たまに波が立つくらいだろうからスルーが一番 ☆お題→『逆上がり』『雨』『女装』『音楽』『悪魔』『同性愛』『ガソリンスタンドI』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→5/27の22時まで
☆スレが荒れる懸念があるため、今回の投票実施は見送ります。
【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください。】 前に書いてからちょっと間が空いたから書いたやつだったから今回の投票楽しみにしてたけど、しゃーないか……。 ごめんね、正直俺もどうすればいいのか考えあぐねているところはある
頼りない進行で申し訳ない……
応援したい作品がある人は「良かった」の一言でもいいので作者さんに送ってあげて下さい >>411
前回お題の締めを演じる〜、選んだのは『母』『魔法』『芋焼酎』、スーパードランカーと酒瓢箪!!
さあ、アル中の長さんが見つけるは、酒尽きる事なく湧き出す『魔法』の瓢箪、お値段なんと50万を一も二もなくお買い上げw
ダイソン並みの吸引力を持った瓢箪からは、葡萄でワインが、サツマイモで『芋焼酎』が生まれるぞ〜、西遊記を思い出したぜ
そこへ来た嫁が蒸発して話は暗転!? あいつが瓢箪に飲まれちまったと嘆く長さん〜、しかしご安心めされい、無事に奥方が顔を見せる〜
『母』ちゃん俺ァ、酒を止めるぞ〜! 酒に飲まれた長さんが、真人間へとカムバック〜、大事ほど近くにありて気付かぬものよ、嫁と酒とを引き比べ、瓢箪を教訓にしたちょっとイイ話が心温めお題を消化し、家内安全、断酒成功フィニッシュだァ! >>425
>>411【女房酒】 に一票。そういえば落語風の短編なかったな、と思ってたところに良いのが来たから >>429
感想を何時も有難うございます
少し説教っぽく成っちゃったかな? とはおもったのですが、そのまま通しましたw
この手の小咄風短編を書くときは何時もですが、今回も大量に削っています
>>430
有難うございます >>411
面白い。ただ、感動しないし腹を抱えて笑えることもない。
普通の作品としては良くできている。
野暮なことを言うが、日本語のミスや鼻に付く表現が一つもないこと、自然なことに驚いた。
ここでは考えられないことなのだが、おそらく本職だろう。中々のものだ。 もし俺を疑うなら、ちゃんとした作家に「私の文章を読んで正しい日本語だと思うか、率直に感想をお願いします!」
って必死で土下座して頼めよ。
それで太鼓判を押してもらったやつは問題ない。
でもお前ら土下座する位なら死ぬとか、変なプライド持ってるだろ。
言われたら反論するかもしれんしな。ダメだそれじゃ。
それが面倒なら、俺がダメ出ししたら認めろ。自分が失格してるって。
褒められたらそりゃ勿論喜べるが、褒めあって何もしないなら意味がないどころか、
正しい行動をする機会を失ってるわけだから褒めること自体が有害だといえる。
お前らがやってるのは何の意味もない戯れだし、これをやってて成長するなんてことはおそらくない。
わかったか。馬鹿。
というよりもな、お前ら、結局俺が何を言っても荒らしだと言って、受け付けないだろ。
その精神性も、精神のみならず、行動も、ダメだ。
わかってるよな、自分達の至らなさを。直すべきところがあるということを。
それなら、言われたら改善しようと取り組めよ。
そういう発想があれば、書くなんてことは自分にはまだ早いって発想になる筈なのに
何考えてるのか、全然わからねえ。アホなのか、それも才能なのか。
直せ。今日から改善しろ。反省して、自分がつまらないものを書いてると思って
それでも書き続けるか、まずは基礎練として、本を読むか、どっちかだろ。
何やってるんだお前らは。不甲斐ないぞ。 >>432
感想有難うございます
短い文で感動させる事の難しさは実感しています
ただもう、それに関しては習練あるのみなので、今後も精進します >>425 うーん、いまいちキレが悪い・・・
使用したお題:『音楽』『悪魔』『同性愛』
【悪魔の音楽会】
悪魔は問うた。
「お前の願いをなんでも一つ叶えてやろう。ただし、その対価としてお前の魂をもらう」
女は答えた。
「私は感動する音楽を奏でたい。ピアノの技術だけはあるが、私の音楽には心が欠けている」
悪魔は応えた。
「その願い、叶えよう」
こうして女のピアノは数多の人々に感動を生み出した。
細い指先から奏でる音楽に、聴衆のすべてが魅了された。誰もが彼女を最高の演奏家だと称えた。
女はそれに深く、深く満足した。だから悪魔に声をかけた。
「ありがとう、おかげで私は満ち足りた。魂を持っていってちょうだい」
「……一つ聞いていいか?」
悪魔は戸惑っていた。
過去、悪魔と取引を願った者は数多いるが、大抵、嫌だ嫌だと喚き散らすか、生き汚く悪魔払いを試みるか、契約の不備を訴えようとするのが常だった。
こうも嬉しそうに自らの魂を差し出す者はいなかった。
悪魔がそう説明すると、女は小さく笑いながら答えた。
「私はピアノが大嫌いだった。親に押し付けられて、無理やりやらせられて、常に苦痛だった。ただ適正だけはあったのか、練習すればするほど上手になった。それが余計に嫌だった。
大嫌いなのに上手だと褒められ、苦痛なのに正確な演奏を強いられ、不愉快なのにたくさんの賞をもらった。ただ楽譜通りに正確に鍵盤を叩いているだけなのに。
でもある時、小さな女の子のピアノを聞いた。初歩の初歩の楽曲で、練習が足りないのか音が全く足らず、ただ乱雑に音が鳴っているだけの音楽だった。でも私はそれを聞いて、感動した」
「なぜだ?」
「すごく楽しそうだったから。すごく嬉しそうだったから。その少女の音楽はへたくそだったけど、とても色鮮やかに思えたから。
だから私はその音楽を聞いて初めて真似したいと思った。初めて自分で楽しい音楽を引いてみたいと思った。でもできなかった。
正確な演奏をするように何度も練習してしまった私は、楽譜をなぞることばかり意識がいって、楽しく心のままに演奏するということができなくなっていたから」
「だから私に願ったのか?」
「そう。あなたのおかげで私は人を感動させる音楽を奏でることができた。自分が満足するくらい楽しいピアノを弾けた。だからもう満足。私の魂は、あなたに差し上げます」
女は覚悟を決めた、というには柔らかい表情を浮かべて、悪魔にその魂を捧げようとした。悪魔は女の説明に納得し、理解し、そして何より戸惑った。
不愉快極まりない、というしかめっ面をして悪魔はこう答えた。
「契約はまだ為しえていない。感動する音楽を奏でたいというお前の契約だったが、肝心の私が感動していない。だから悪魔の私が感動するまで、お前の魂はまだもらえない」
「悪魔のあなたが感動することってあるの?」
「それは知らない。だが、感動する音楽を奏でたいというお前なら、そのうちできるんじゃないか?」
「なんでそんな提案をするの? 何も言わずにさっさと奪っちゃえばよかったんじゃない?」
「私だってそう思う。だが、なんとなくもう少しお前の音楽を聞いてみたいと思っただけだ。勘違いするなよ?」
「もしかして、私に惚れた?」
「女同士なのにか? ばかばかしい」
そんなやりとりを経て、二人はしばらく一緒に暮らし続けた。
女はその後、悪魔に取りつかれた天使の音楽家と呼ばれるようになったそうな。 悪魔と二人三脚と言うところですか
純粋な願いが悪魔を変節させたのでしょうね
素敵なお話だと思いました >>436
『音楽』『悪魔』『同性愛』消化を宣言〜、カモン、デビルズ・ディール!
感動する『音楽』を奏でたい〜、そのピアニストの切望は、色鮮やかなる演奏、オンリー!
欠けたピースを埋めてやろうと『悪魔』の提示する取引は、古今東西、魂との交換だ〜、思ったとおりに聴衆魅了し、ピアニストが満足げに死を申し出る〜
しかし彼女の境遇にほだされた悪魔が、ムリある言い訳でこれを拒否〜、なんだ惚れたか、いや『同性愛』じゃねーしと返す悪魔に、おまえ地味に女だったんかオチw 難度が高いお題消化〜
悪魔が見届けたくなったのは、ピアニストの演奏か、それともその喜び溢れる人生か〜! 取引、それすなわち交換、人の魂の充実が乾いた悪魔の魂をも浸し、訳も分からず取引成立w 奪うつもりが与えられ、笑い溢れるwin-win、二人暮らしENDだァ! >>437 >>438
いつも感想ありがとね。優しい感想さんと競馬実況さんと進行さんはスレの大黒柱です
>>439
しょうもないのでもええんやで。というかしょうもないの禁止にしたら、今まであげた自分の奴が大半ダメになっちゃうorz >>442
あ、ごめん打ち間違えです無視してください… >>425 使用お題:『逆上がり』『同性愛』『女装』
【メイドリフレ『とろい』】(1/3)
健司は重い上体を持ち上げて眠りから覚めた。いつの間にか机に突っ伏して寝ていたらしい。
時計を見ると時刻は午後3時を回っている。昼食を摂った後に寝たとすると2時間以上も昼寝をしていた事になる。
ずっと曲げられていた腰を伸ばすとポキポキと音を立てて痛み出した。
ケータイがバイブレーションで机をたたきながら鳴っている。
セットしていたアラームが鳴っているだけだと思った健司だったが、着信時のメロディだと気づくや否や
急いでケータイをひったくり、いつもの決まり文句を口にした。
「お電話ありがとうございます。メイドリフレ『とろい』でございます」
東京都内を中心にひっそりと営業している派遣型メイドリフレ、それが『とろい』である。
お客様、もといご主人様から電話を受ければすぐさまご希望のメイドを派遣してマッサージやお部屋の片づけ、
料理や耳かきなどをするのが主な業務内容である。愛想の良いメイドたちの丁寧な仕事ぶりのおかげで競争激しいこの業界を生き残り、
ついに来年で設立10周年を迎えることになっている。
健司は『とろい』のそんな実績に惹かれた。長く働き続けることが出来、かつ綺麗な女性に囲まれた職場を探して就活をしていた時だった。
『とろい』はまさにうってつけに思われた。しかし働き始めてからすぐに『とろい』の抱える大きな問題にぶつかった。
健司が入社したときに簡素な入社式が行われた。しかしいくら待てども期待していた綺麗な女性は姿を現すことが無く、
結局最後までオーナーと二人っきりで行われた。不思議に思った健司がオーナーに聞くと、従業員は健司一人しかいないと言われた。
去年まで働いていたメイドたちは結婚や引っ越しで辞めて行き、運転手をしていたアルバイトも就職を機に辞めて行ったそうなのだ。
人材不足というレベルではない。すぐさま辞めてしまおうと思った健司だったが、
「逃げたら殺すぞ」
とヤクザ顔のオーナーに脅されて辞めることが出来なかった。本当に殺されそうな気迫だった。
仕方なく嫌々働くことに決めた健司は、手始めにまずメイドの募集をかけてみた。とにもかくにもメイドがいないとお話にならない。
ネットの掲示板に書き込んだりビラを作って配ってみたり、ナンパのごとく直接声をかけてみたりもした。
しかし薄給でイロモノの求人に一体だれが飛びつくだろうか、若い女性は誰一人やってこなかった。
何一つ仕事が出来ぬまま一月が経った。
健司は悩んだ。このままではノルマが達成できずにオーナーに殺されてしまう、しかし肝心のメイドすら集まらない。
この状況を打破するためにはどうすればよいか。悩んで悩んで悩み抜いた末に、ようやく一つの決断をした。
自分がメイドになればいい。 【メイドリフレ『とろい』】(2/3)
コインパーキングに車を止めた。スマホを見ると時刻は午後4時55分、そして地図アプリを見ると待ち合わせ場所まで歩いて5分。
時間ぴったりだ。健司はルームミラーで軽く身だしなみをチェックして車を降りた。
約束の公園に着いたものの人影はなかった。場所を間違えたかなと健司がもう一度依頼内容を確認しようとした時、
ベンチで頭を抱えている男がいることに気が付いた。半袖長ズボンのガタイのいい体、電話口の野太い声から想像された印象通りの男である。
健司はこの男こそ今回のお客さんに違いないと決めて声をかけた。
男が顔を上げた。健司は何度も練習した自己紹介文を口にした。
「お待たせいたしました。『とろい』から参りました『さくら』と申します。本日はよろしくお願いしますね、ご主人様」
「おお、これはこれはご丁寧に。こちらこそ、今日はよろしくお願いする」
男はベンチから立ち上がり丁寧に頭を下げた。そして視線を上に下に動かして健司の姿を眺めまわした。
『さくら』というのは『とろい』でも1、2を争う人気メイドだ。ストレートな黒髪で落ち着いた雰囲気を醸しながらも
スカート丈の短いメイド服で大胆な一面も併せ持つ。仕事も丁寧で性格も優しいと数々のご主人様からお褒めの言葉をいただいている。
健司が女装しているという汚点に目をつぶれば完璧なメイドだ、じろじろと見てしまうのも無理もない。
「ではご主人様、本日は何をいたしましょうか? 何なりと、このさくらにお申し付けくださいませ」
必死で練習したソプラノボイスで健司は言った。男は「うむ」と偉そうに答えるとつかつかと歩いた。歩いた先にあったのは鉄棒だった。
「さくらちゃんには、逆上がりをやってもらう」
男は言った。
健司は悟った。この男、スカートの中を見るに違いないと。『とろい』は風俗店ではないから体の接触やあからさまなエロ目的のご命令はお断りしている。
しかし中には高い所の物を取らせたり風が強い日に外を歩かせたりしてエロを求める客が後を絶たない。
「心配するな、パンツを見たりはしない。むしろ逆だ」
健司の心の中を見透かしたように男が言うと、逆上がりをさせる理由を語りだした。
男は高校で体育の教師をしているという。普段は男子の相手をしているのだが、どうしても他の教師の都合が合わなくて
来週の1時間だけ女子の体育を受け持つことになってしまった。その時に教えることになっているのが鉄棒なのだ。
「最近の女子たちの発育は大変にけしからん。いや、健康であるのは良い事なのだが何分目のやり場に困る。
万が一その体に欲情してイチモツが反応してみろ、学校中の笑いものになってしまう」
「なるほど、欲情せずに授業をするための予行演習がしたいという事ですね? 分かりました。このさくら、一生懸命お付き合いいたします」
「俺の教員人生がかかっているのだ。改めてよろしく頼む」
こうして『さくら』こと健司によるご奉仕の時間が始まった。
健司は鉄棒をつかんだ。状態を前後に揺らしタイミングを計る。心の準備が整った瞬間、意を決して走り出すように足を前へ繰り出した。
腕で鉄棒を胸に引き寄せるようにし、そして強く地面を蹴った。
産毛一本無いほどに手入れされた健司の綺麗な両脚が空に向かって高く上がった。短いスカートがふわりと翻った。
くるりと回って健司は地面に降り立った。文句無しの逆上がりだった。
しかし男は不満げな顔をしていた。
「なんだぁ、さくらちゃんは元々逆上がりが出来るのか。これでは教える練習が出来ないじゃないか」
男はため息をついた。
「申し訳ございません、私こう見えて運動は得意なんです。しかしながらご主人様、そちらの訓練ならば出来るかと」
さくらは男の体を指さした。男の股間がもっこりと膨らんでいた。
「あぁ、いつの間に! これは失敬、すぐに落ち着けるからちょっと待っててくれぃ!」
男は急いで背中を向けると、何やら必死に手を動かし始めた。
コイツまさかこんなところで慰めているのか、健司は頭によぎったおぞましい考えをなんとか振りはらおうとした。
「しかしまずいな。一度見ただけでここまで反応してしまうとは。やはり女子の体育は自習にでもしたほうが良いのだろうか」
手を動かしながら男は言った。行動とは裏腹に言葉のトーンは沈んでいる。
時間も場所もわきまえずに本能のまま反応してしまう体、その厄介さは健司も男だからよく分かった。それに真面目な男の事だ、
きっとメイドリフレに電話するのも勇気を要したことだろう。そう思うと健司は背を向けてシコる男が不憫に思えてきた。
健司は一考した。 【メイドリフレ『とろい』】(3/3)
「ご主人様、こちらをご覧くださいませ」
健司の声に男は気落ちした顔を向けた。
健司はスカートの中に手を入れた。そして下着を足下までするりと一気に下ろし、足から引き抜いた。
放り投げられたピンクのパンティーは風を受けてベンチに届かずにひらひらと地面に舞い降りた。
「な、何をしているのかね、さくらちゃん!」
立ち上がった男の股間は再び勃ち上がっていた。
「よろしいですか、ご主人様。私は今からこの状態で逆上がりをいたします。どうかその時の光景を目に焼き付けてくださいませ」
「馬鹿な! そんなことをしては、君の大切な場所があらわになってしまう! 私の暴れん棒はさらに元気になってしまうぞ!」
「女子高生の肢体よりも過激な光景を目にすればきっと耐性がつくはずです。そうなれば本番では冷静でいられるでしょう」
男は腕を組んで考えだした。股間のせいで珍妙に見える。
「荒療治だな。だがそうでもしなければ治まりそうにないのも確かだ」
「心の準備が出来ましたら、どうぞ私の前へ」
男は大きく深呼吸した。恭しく健司の目の前へ行き仁王立ちした。
その顔は険しく、大きく開かれた目は健司をにらみ殺さんとするほどの気迫を発している。イチモツの方は言うまでもない。
そして男は合図を送った。
「では、参ります」
健司は鉄棒を握る手に力を込めて、勢いよく地面を蹴った。再び脚が高く上がった。スカートも大きく翻った。
その時、男の眼前にいかなる過激な光景が広がったのか、回る健司は知る由もない。
しかし再び地面に降り立った時に見た男の驚愕の顔とすっかり縮こまった股間を見れば、どういう結果に終わったかは想像に難くなかった。
これで授業はちゃんと出来そうかと健司は聞いたが男は口をパクパクさせるばかりで何も答えず、
同様隠し切れぬままに時間分のお金を払って去って行った。
こうしてご奉仕の時間は終わりを告げた。
3日後。事務所にて退屈しのぎにパソコンをいじっていた健司は、『とろい』のホームページに書き込みがある事に気が付いた。
『さくらちゃんのおかげで無事に仕事をこなすことが出来ました。本当にありがとう。またお願いします』
匿名希望からの書き込みだった。しかしわざわざお礼メールを書き込むあたり、十中八九あの真面目な男だろう。
女子高生が逆上がりをするたびに目に焼き付けたち〇こが思い出されて元気を無くしたのだろうなと考えると少し可愛そうだったが、
無事に済んだのならば結構なことである。健司は簡単に返事を書いた。
嫌々やらされることになったこの仕事だったが、健司はすでに3か月近く続けている。単にオーナーが怖いからというだけではこうはいくまい。
たまに訪れる人の役に立てる喜び、ご主人様たちの感謝。健司は徐々にこの仕事の楽しみを見つけ出しつつあった。
しかし男の書き込みで一つ気になる点があった。リピートするような男ではないと考えたのであのような愚行に及んだと言うのに
『またお願いします』とは一体どういうことだろう。ひょっとして彼を同性愛者へと導いてしまったのかと考えると背筋に寒気を覚えた。
やっぱりこの仕事は早く辞めたほうが良い、健司は改めてそう思い直した。
ケータイが鳴った。バイブレーションで机をけたたましく机をたたいている。健司は急いでケータイをとり電話に出た。
果たして次のご主人さまは一体どんなメイドをご所望なのか。ドキドキしながら、健司はいつもの決まり文句を口にした。
「お電話ありがとうございます。メイドリフレ『とろい』でございます」(おわり) 体を張った御奉仕
一生懸命な行動が実を結んだ結果が、感謝の言葉に成る
素晴らしいですね
でも、それ故に新たな懸念事項がw 使用お題:『逆上がり』『悪魔』『同性愛』
放課後、校庭の片隅にある鉄棒の傍へと、女の子は歩み寄る。そこに同級生の姿を見つけたからだ。
「ばったん、ばったんと新手のエクササイズ?」
「違うわ! さか、あが、りー! ああ……!」
声を掛けられた女の子は、助走をつけ逆上がりを敢行するも、勢い空しく、半ばほどで失速してまたもやばたんと足を地面につく。
「何でまた放課後自主練なんて……。いいじゃん、逆上がりなんてできなくても」
「……体育の授業で華麗に逆上がりを決めたあんたが言っても、嫌味にしか聞こえないんだけど」
「あらそう。でも、ま、本当にできてもできなくても一緒だと思うけど」
「プライドの問題! ライバルのあんたにできて、私にできない道理はない!」
「……ライバル? 椎名と私が? なにそれ初耳。てか、現にできてないし」
尤もな言葉に、鉄棒と格闘している女の子――椎名朱里はむっと眉を顰めて渋い顔つきになる。
「鉄棒の悪魔よ、鉄棒の悪魔が私の邪魔をしているのよ」
「鉄棒の悪魔? ピンポイントかつしょうもない悪魔がいるなあ。……むしろ、妖怪の方が合ってそう。妖怪、逆上がり阻止」
「ああー、枕返しとか、しょうもない妖怪多いもんね。まあ、悪魔でも妖怪でも、それを私にけしかけたのは榊に違いないけどね」
「なんでさ」
とんでもない濡れ衣に、榊ひなたは、呆れたような声を上げる。
「ふっ、隠しても無駄よ。ライバルの私の評判を落そうとしているのは分かっているわ。――『あの子、来年には中学生になるのに逆上がりもできないのよ、ぷー、くすくす』って、言って回るんでしょ」
「ひどい奴だな、私。というか、私と椎名は何のライバルなのよ?」
「決まっているわ! 男子の人気を二分する、鳴北小アイドルライバルよ!」
そんな朱里の言葉に、ひなたは恥ずかしげに頬を掻く。
「いやいや、アイドルって……。私、そんなモテナイし。男子に告られたこともないし」
「はいはい、そんなのいいから。『えー、私、モテナイですよー』的なアイドル発言いらないから。それに告られないのは当然よ。だって、あんたに告白しそうな男子は、全員私が潰して回っているから」
「椎名は本当にひどい奴だな!? ……っと」
学校の敷地内全域に下校を促すアナウンスが流れる。
「ほら、もう下校時間じゃん。帰ろ」
「い、やー! 逆上がりができるまで、か、え、ら、な、いー!」
「いや、それ多分今日中に帰れないやつだから。ほら、帰るよ!」
ひなたは無造作に朱里の腕を掴むと、ぐっと引いた。
おやっと、ひなたは意外に思う。思いの外、朱里は抵抗なく腕を引かれるままに鉄棒から離れたからだ。
二歩、三歩、四歩と鉄棒から離れてから、ひなたは朱里の顔を見る。
「……どうして顔真っ赤なの?」
「な、な、何でもないわ! 逆上がりのしすぎかしらね!? ちょっと頑張りすぎたみたい!」
「なら、やっぱり止めて正解じゃん。帰ろっか」
ひなたは先にすたすたと歩き出す。しかし、朱里は立ち止まったまま。その場で囁くように呟く。
「どうしよう? ひなたちゃんにぎゅって腕を握ってもらっちゃった。……今日は洗わないでおこうかしら?」
「んー? 何か言った?」
「な、何でもない!」
朱里は慌てたように、ひなたとの開いた距離を早足で詰めていった。 久しぶりに遊びに来ました
進行さんが変わったり、細かいルールが変わってるんですね
もし、どこかスレルールに違反してたら指摘して下さい >>448
ツンデレ少女w
意地悪するのはその独占欲のせいでしょうか?
いつか素直な気持ちを見せられると良いですね >>425 これ書いててふと気づいた。自分ってたぶんすごいバカだ
【都市伝説「雨女」】(1/2)
『雨の降っている夜の公園に行くと、髪の短い女がびしょ濡れで笑いながら遊んでいるらしい。
その雨女に見つかってはいけない。見つかると狂気に染まった視線を受け、呪いを受けてしまうそうだ。
雨女を捕まえれば呪いを解くことができるが、その雨女は呪いをかけたあとものすごい素早さで逃げてしまうので捕まえることは困難だろう。だから夜の雨の公園には決して近づいてはならない』 使用したお題:『逆上がり』『雨』『女装』
【都市伝説「雨女」】(2/2)
僕はパンチラが好きだ。
……うん、わかるよ。エロい意味に思っちゃうよね。うわ、こいつ変態だって。
そう考えるのが普通だし、僕もそういう下心が全くないってわけじゃないから否定はしないけど、ちょっと違うんだ。話を聞いてもらえればわかる。
パンチラ、所謂パンティチラリズムというものに興奮するんだ、僕は。
下着のうち特にパンツは他人に見えちゃいけない、でもデザインは本人の好みが反映されていて、でも本来は恋人や親しい人にしか見せないはずのものだ。
それがチラりと見えたり、または見えずとも、見えそうで見えないギリギリのラインを描き出すその芸術性に惚れているんだ。決してエロい意味ではない……まあ変態な趣味だといわれたらその通りだと思うけど。
だから僕は男のパンチラでも喜ぶよ? もちろん女性のパンチラがいいとは思うけど、その相手が色気のない妹やおばさんド直球の母親のものでも嬉しい。
だけどさ、パンチラってそうそう拝めないじゃないか。
男のパンチラはズボンを履いてる人がほとんどだから無理。女性ならスカートを履いている人が多いから、路上でのパンチラはワンチャンあるけれど、相手だって見られたくないから当然ガードが固くなる。
短いスカート履いてるくせにパンツを見せたくないなんて変な話だよな。そう思わない?
まあ、そんなわけでパンチラはなかなか滅多に見られない貴重なイベントシーンなんだ。だからこそ、どうしても見たくて見たくて……。
それで我慢できなくなって、とうとう自分のパンツをパンチラすることにしたんだ。思いついたときは画期的な名案だと自画自賛したね!
だから僕はごくまれに女装をしてパンチラの機会をうかがっている。
とはいえ僕だってバカじゃない。いい年こいた男がスカートなんて履いてたらご近所の笑いものだ。下手するとネットで拡散されて人生終わるかもしれない。だから見つからないように工夫を凝らした。
スカートの入手は簡単だった。母親のお古のスカートが処分される際にこっそり盗んだ。別に定期的に履くわけじゃないしデザインも気にしないから1着あれば十分だ。
妹のスカートには手を出さなかった。サイズが間違いなく合わないだろうし、殺されたくないしね。
次に手段。どうやって自分のパンチラを見るかだった。
鏡を使う案やカメラで録画する案もあったが、どれもしっくりこない。鏡だといい角度に調整できず、カメラだと生で見られないためよろしくない。これだったらエロ本の露骨なパンチラの方がマシだ。
うんうんうなって考えているうちにようやっと思いついたのが、逆上がりだった。近くの公園の鉄棒で逆上がりすると、たった一瞬だけど実にちょうどいい感じにパンチラが拝めるのだ。
これに気付いたときは小学生以来やったことない逆上がりを、これでもか、というくらいグルングルン周りまくったね。
そして最後は隠ぺい工作。これは覚悟さえすれば割と簡単だった。
さすがにスカート履いた男が逆上がりなんてしてたら通報モノだろうよ。でもね、あの公園は雨が降ると誰も寄り付かなくなることを僕は知ってたんだ。
だからずぶ濡れになる覚悟さえ決めれば、いくらでも回り放題だった。それに濡れて足にへばりつくスカートが実に良い感じのアングルを作ってくれたので結果は上々といえよう。
……その際、自分のすね毛が濡れて足にへばりついてる絵面が実に気持ち悪かったので、すね毛処理もするようになった。他人には見せられないな、これは……。
閑話休題。まあこんな感じで、僕は自分の趣味を十全に全うすることができるようになったんだ。マジ最高の気分。
ただ、この前知らない人に見つかりかけたから焦ったけどね。暗いから顔は見られなかったと思うけど、今度からよーく気を付けて公園に行かなきゃまずいね。
それに、なんか変なお化けが出るって噂まで最近聞いてるじゃん? もう嫌だなぁ、僕お化けとか苦手なのに……。
どうか、僕が逆上がりしているときは現れないでくださいね? >>444
444氏が『逆上がり』『同性愛』『女装』を選択したぜ、ボーイミーツボーイ!
さあ、何の因果かヤクザの手先、この頃ハヤリの『女装』っ子、健司さんこと、さくらのお仕事ぶりを見ていくぞ〜
公園で頭を抱える男が言う、「さくらちゃんには『逆上がり』をやってもらう」、な、なるほど、世の中にはディープなご趣味がありますね、と思ってたら、
逆上がったメイドを見て、元気になったこの人、いやコイツ、まさかこんなところで、オイ何してるww そんでさくらは下着を外してって、オイw
物語は、まさかの『同性愛』に導いてしまったんじゃあるまいなオチでお題を消化ァ、そんなこともあるけれど、今日もお仕事〜、落ち込んだりもしたけれど、私元気です・ENDォ〜
>>448
ひさびさ登場448氏、使用お題は『逆上がり』『悪魔』『同性愛』、鉄棒の悪魔と秘めし恋〜
うん、この風景はどこか懐かしい、『逆上がり』と格闘する少女・椎名さんがライバルと張り合っている〜
鉄棒の『悪魔』が私を邪魔する、そんなニッチな悪魔がいるか、って感じで、漫才トークは快調に飛ばすぞ〜
さあ下校時間だ、腕を掴まれ抵抗しない椎名さんが、手を洗わないでおこうなどと、グヘヘ顔
寄り付く男を潰して回るってのは、あながちネタでもなかったのかw 448氏が『同性愛』発覚オチでお題をクリア、冗談の中にホンネを隠す、ほのかに切ないグヘヘENDに仕上げてくれたァ! >>451
なんか変態作品の競争みたいになって来たな! 『逆上がり』『雨』『女装』に挑戦、見てはいけない都市伝説〜、
『雨』降る夜の公園で、びしょ濡れに笑う女が居たのなら、決して彼女に見られてはならぬ〜
さあ、タガの外れた主人公が、パンチラへの憧憬を熱っぽく綴っていく〜「僕は男のパンチラでも喜ぶよ?」←どういうことだクソッ、頭がおかしくなりそうだぜ
『女装』してパンチラの機会を窺う(なんだよコレ…)彼が思いついたのは自身を被写体にした『逆上がり』、マジでどういう発想ww
物語は、君が都市伝説だったのかオチ、いやでも都市伝説より君の方が怖いからね、って感じでお題を消化〜、淡々とした独白が都市伝説の恐怖を易々超える、恐怖をどけたら狂気が顔出す・マッドネスENDだぜ! >>447、>>453
感想ありがとうございます。
いくつか誤字ってましたが中々楽しくかけました。
また書いた際にはよろしくおねがいします。 >>453
変わらず軽快でコミカルな批評をありがとうございます
ぐへへENDですかw >>451
『幽霊の正体見たり枯れ尾花』と、言う事だでしょうか?
もっとも、その正体自体が知らなければ良かった類いの物ですがw みんな感想凄いなー
俺は「いいね」しか出てこない… >>458
すごくわかる。自分もライバル心は刺激されるせいか、皮肉げな感想か「面白いです」の一言になってしまう。
特に競馬風実況感想さんの手腕が凄いから見ることオススメ >>425 割とシンプルな内容かも
使用したお題:『逆上がり』『悪魔』『女装』
【キックオーバー】
怖い、嫌だ、逃げたい、誰か、助けて。
自分は心の中で叫び続けた。しかし声をあげることはできない。そんなことをして周囲から注意を買ってしまうのは絶対に避けなければならない。
なぜなら、そう、ここは地獄だからだ。
まず味方がいない。周囲は敵だらけだった。そしてわずかなイケニエが次は自分の番か、と涙しながら人ごみに隠れ潜んでいる。自分もまた哀れなイケニエの子羊だった。
そして周囲の悪魔どもは容赦がない。その飢えた目は常にイケニエを求め続け、彼らの末路を見ては嘲笑っている。悪魔の親分でさえ、その視線は優しくない。
しかし悪魔のくせに、妙に女子供には寛大なところもある。
いっそ自分も女だったらよかったのにと思わなくもないが、女装したところですぐにバレておしまいだろう。
より深い地獄にたたき落とされるのが関の山だ。
悪魔の親分の声。どうやら自分のことを探しているらしい。嫌だ、見つかりたくない!
体を小さくするも無駄だった。その鋭い視線がすでに自分の方を向いている。もうダメだ、おしまいだ!
自分は心の中で絶叫しつつ、せめてもの情けをかけてほしいとばかりに片手をあげて返事をした。
「おい、清水。次だぞ。早く前に出なさい」
「……はい」
「おーい、清水? お前逆上がりできるのか? 女みてぇにできないんじゃないだろうな?」
「小4にもなって逆上がりできないってマジありえなくね? まあ遠藤もできてなかったけどさー」
「クスクス」
「ううう、だってできないんだから仕方ないじゃないか……」 >>425 今日はなんかいろいろ思いつくなぁ……酷いのが
使用したお題:『雨』『同性愛』『ガソリンスタンド』
【雨の日の出会い】
『ふぅ、ちょっと濡れちゃったな。急に降ってくるんだもの……。少しここで雨宿りさせてもらおう』
『……おう、お前。見ない顔だな。ここは初めてか?』
『あ、はい。すみません。少し場所をお借りしてもいいですか? この雨なんで……』
『いいぜ、ゆっくりしていきな。それにしても、大丈夫か? すごく硬い顔してるぜ? 疲れてるのか?』
『あ、顔は元々こんな感じの四角四面ですから、気にしないでください。まあ疲れてるのは事実ですけどね。
ちょっと小腹も空いてるし、屋根を借りたついでに補給なんてしてもいいかもですね。ハハハ』
『そうかい、じゃあ……後ろを開けな』
『え?』
『後ろの穴を開けろって言ってんだよ。ほら、早くしな』
『え、ちょ、ちょっと待ってくださいよ! い、いきなり。あ、そ、そこはお尻はダメ! 恥ずかしいところが見えちゃう!!』
『おお、いい穴してんじゃねぇか。ここにオレの自慢のホースを、な……』
『あ、やめて。そ、そんな太いのはいらな……はぅっ!!』
『おら、これがいいんだろ? たーっぷり注いでやるぜぇ?』
『あ、ダメ。お腹が、お腹がいっぱいになっちゃうぅぅ!!』
『……そんな泣くなよ。いきなりで悪かったよ。ほら、涙拭きな』
「はい、レギュラー満タン入りましたー。2400円になりまーす」
「はい、ありがとうございました。よし、満タンっと。
あーあ、せっかく拭いてもらったけどまだ雨やんでないし、仕方ないか」 >>460
6個消化に挑む460氏が前半お題×3を選択、『逆上がり』『悪魔』『女装』! もっと、キックオーバー!
さあ、舞台は地獄、『悪魔』どもの眼光を前に、響くのは主人公くんの心の悲鳴、周囲は邪悪な敵だらけ、主人公くんはイケニエだ〜
女にゃ手を抜く悪魔ども、しかし『女装』はさすがに通じない〜、名を呼ばれた主人公くん、気分は絶望、おしまいだ〜
ラスト、主人公くんの視界は嘲笑される学校風景に戻り、『逆上がり』出来ない小学生オチw 分かるぞ、グルッと回るあの非日常の回転は、体竦ませ持ち上がらんよね
でも大丈夫だぜ、重心移動さえ掴んでしまえば一発だァ〜、心ない言葉を背に受けて、何度でも鉄棒に駆け出せ少年、地面を強く、もっと、もっと強く、そうだ蹴り出せ、いったか・小さきファイターEND〜
>>461
続いて残存お題×3の消化宣言だ、『雨』『同性愛』『ガソリンスタンド』で461氏が変態最前線に躍り出る、とある雨の房事〜
さあ、唐突な『雨』に降られた主人公が、四角い顔して軒下借りる〜
しかし、そこに居合わせた先住者、ナニか取り出し後方より接近!? 「俺の自慢のホースをな」←こいつ最低だなアッーって感じで『ガソリンスタンド』でしたオチw
『同性愛』まで通して攻略完了! 461氏が記念すべき全クリアをばっちり変態ポーズで決めたァ
迂闊な雨宿りの代償は、忘れられない初体験〜、幸福なドライブ、運転手の笑顔、全てが真っ白に消え失せ、掘られた側は暗黒微笑w 物語は、地味に使いにくい『ガソリンスタンド』をやっつけて黒光り・フルクリアEND・乙乙だ!! >>460
心象風景と言う事でしょうか?
誰も彼もが敵と言う状況は、正に針の莚田と言うところでしょうね
でも、一歩踏み出してしまえば、案外簡単に先に進めるかもしれません
>>461
擬人化は日本のお家芸
主軸の会話とオチのギャップに、クスリとしましたw >>425
使用お題:『逆上がり』『音楽』『同性愛』
【ゆうやけこやけ】(1/2)
小此木公園は、神社の有る山の中腹辺りにある小さな公園で、真由と奏江にとっては、幼い頃から遊んでいたなじみ深い場所でもあった。
マウスピースから口を離し口元を拭う。
小さな痺れがその薄桃色の唇に走っている事を感じ、大江 由真はこのまま続けて練習するより、一休みを入れる事を選択した。
「奏江ちゃん、ちょっとお休み入れよう?」
「ん? ん〜〜……まだ続けるつもり?」
隣で同じ様に練習をしていた颯浪 奏江は、トランペットを持ったまま背伸びをして、そう訊ねる。
首を傾げた由真だったが、辺りが薄暗くなっている事に気が付き、練習を始めてから1時間近くが立って居る事を悟った。
「え、えっと、まだ、ちょっと自信が無いから、もうちょっとだけ、もうちょっとだけ付き合って?」
「……う〜ん、良いけどぉ……」
少し不満げにそう言う奏江に、真由の心が微かに痛む。
2人が所属している吹奏楽部は部員数70名強を有する一大規模の部活であり、そのレギュラー争いが苛烈な事でも知られている。
それ故に部活後の自主練習は必須で、2人もこうして、音を出しても周囲に迷惑の掛からないであろう小此木公園までやって来たのだ。
実際、真由が自身が無いのは本当である。だが……
奏江が帰りたがってる“ある理由”を由真は知っているが為に、その時間を引き延ばそうとしている自分自身を彼女は浅ましく思う。
『行き合えよって、言われたんだぁ』
困った様な嬉しい様な、そんな表情の奏江に話を聞いた時、由真の心はヤスリを掛けた様にざらついた。
戸田 雅樹と言う少年の事は、由真は正直苦手だった。奏江と同じ様に幼馴染と言う立場ではあったが、ガキ大将的な雅樹の、乱暴そうな雰囲気が好きではなかったし、中学に入ってから身長が伸びた為、覆い被さって来るような威圧感があって怖かったからだ。 お題7個の方がいいのかな?
なんか7個中3個だと、お題が被りやすい奴と被らない奴が多くてなんかいまいち。5個中3個だと必ず1個被るから面白い気がするんだけど・・・ 【ゆうやけこやけ】(2/2)
その戸田 雅樹が奏江に告白したのだ。
『まだそう言うの、分からないよ』
奏江はそう返事をしたと言う。
だが、その日から2人はラインのやり取りが多くなったらしい。
奏江との普段の会話で、彼の話が出る事が多くなった。
元々、活動的な奏江が吹奏楽部に入ったのは、由真が躊躇していたからだ。吹奏楽に……と言うか音楽活動と言う物に憧れを抱いていた由真だったが、人見知りの為、中々、吹奏楽部の部室に近づけなかった事も有って、奏江が背を押してくれたのだ。
だが吹奏楽部は、“文科系運動部”とも言われる程ハードな部活であり、奏江も「わりと自分向きだったね」と言ってくれてはいた。
力の入っていた肩をほぐす為か、奏江がグルグルと肩を回す。近くにあった鉄棒にぶら下がると、ついでとばかりに軽い感じで逆上がりをした。
制服のままだった事でスカートが翻り、そのやや日に焼けた腿が露わになる。
由真は、自身の心に情欲が混じるのを感じ目を伏せた。
(最低だ、わたし)
嫌悪感で胃の辺りが重く感じる。
「……やっぱり、もう終わりにしようか」
「え? 良いの?」
「うん……」
楽器を片付け、ふたり並んで家路へと歩みを進める。茜色に照らされ、楽しそうに話をする奏江を横目で見ながら、由真は溢れ出しそうになる想いをただただ飲み込むしか無かった。
この感情が、夕焼け空の想い出へと変わるまで…… >>425
使用お題:『雨』『悪魔』『ガソリンスタンド1』
【デビランドトゥギャザー】(1/2)
ガソリンのメーターに目をやれば、エンプティ―ギリギリでメーターの針がダンスしていた。中川 翔は溜息交じりに紫煙を吐き出すと、街道沿いにガソリンスタンドを探す。
アメリカの片田舎は、本当に街道以外の物が目に入らない。このままだと、車を押して進まなければならないだろう。
翔は舌打ちをしたくなった。
だが幸いにして、無人のガソリンスタンドを見つけ、車を滑り込ませる。
休憩所と給油機しかない寂れたガソリンスタンドだった。
「……」
『結界を張られたなブラザー』
翔は顰めっ面で煙草をもみ消した。
命のやり取りは日常茶飯事だが、こうも一方的に狙われ続けるのは翔の主義に合わない。元凶でもあるコルトピースメーカーを腰に差すと車から降りる。
『さぁ、ご機嫌なダンスの始まりだ!!』
「黙れ」
呪われた道具……そう呼ばれるものはいくらでもある。徳川家に仇を成す村正しかり、持ち主に不幸を呼ぶホープダイヤしかり。
コルト・シングル・アクション・アーミー……悪魔に憑かれた呪われし銃。
“平和の創り手”等と名付けられて居ながら、この銃程血を吸った拳銃は他に無いだろう。幾人もの命を啜り、足りなければ持ち主の命すら奪って来たそれは、いつしか、“悪魔憑きの妖銃”と言われ怖れられて来た。
しかし、怖れは畏れへと変わり、その抗い難き魅力と共に信仰となる。
翔は煙草を咥えるとガソリンスタンドの中央へと歩みを進めた。
タ―――ンッ。
乾いた音と共に、翔の上半身がグラリと揺れる。
ドサリ……と灰色の人影が屋根から落ちた。
「まずは一人……」
いつの間にか抜き撃ちの体勢に成っていた翔の口からそんな言葉が零れた。
ターン! ターン! ターン!
続けざまに銃声が響き、しかし翔はクルクルと踊る様に立ち位置を移動し、その度に銃跡がコンクリートの地面に穿たれる。
一発一殺。
攻撃位置を見定め、的確な反撃で確実に命を奪う。襲撃者達の動揺が、手に取る様に翔には読み取れた。
『ご機嫌んな御馳走だぁ!! もっと、もっと寄越せよぉ!!』
「黙れ」
憮然としたまま、翔が弾を入れ替える。
埒が明かないと思ったのか、チャンスだと思ったのか、襲撃者達が姿を現した。その全員が灰色の迷彩を施したマスクと上着、ズボンとブーツ姿で、手にはピースメーカーを握っていた。 【デビランドトゥギャザー】(2/2)
『クカッ、クカッ、クカカカカカッ!! 複製品でも、これだけ集まると壮観だぁ!!』
「黙れ」
翔の持つ銃こそがオリジナルの“妖銃”。コルト・シングル・アクション・アーミー“ピースメーカー”。
それ故に彼は狙われる。
正義や道徳の為では無い。翔も、結局はこの妖銃に魅入られた一人でしかないのだから……
タン!
スウェイバックで銃弾を避ける。火の点いた煙草から紫煙が流れた。
タタタタタタタタタタ!
一斉に狙われた翔は横っ飛びでその場から逃げると、給油機の陰に飛び込み、反撃を試みる。
シリンダーが回転する度、命が一つ失われる。
動揺も広がるが、それ以上に狂信者はピースメ−カーの性能に歓喜し、あたかも殉教者の如く命を差し出す。
身を伏せて走りながら排莢し、弾を詰め直しては反撃をする。
ひりつく感情が頭の中を支配し、翔は意図せずに笑みを浮かべていた。
その姿は、あたかも銃の悪魔が彼に乗り移っているかの様だった。
******
最後の死体をガソリンスタンドに放り込み、ガソリンを辺りにぶちまける。
愛車のキーを回すと、アクセルを吹かし、窓から煙草を弾いた。
爆炎を背にしながらそこから飛び出した翔愛車は、炎に煽られチリチリと音を発していた。
ふと、フロントガラスに雨粒が落ちる。
目の前には黒々とした雨雲が横たわっていた。 >>425
使用お題:『逆上がり』『女装』『悪魔』
【因果応報】(1/2)
「さぁ、三千四百円! 三千四百円より上は居ない?」
女生徒の声に一同が顔を見合わせる。ザワザワと言うざわめきこそあれ、それ以上をコールする者は誰もいなかった。
「よし! じゃあ、生徒会長、泉堂 美和子の私服写真はあんたの物だ!!」
「よっしゃあぁ!!」
告げられた男子が、ガッツポーズを作る。
だが次の瞬間、それが落胆へと変わり、その逆にギャラリーからは、歓声が上がった。
「じゃぁ次は、同じく泉堂 美和子の逆上がりシーンの写真だ!!」
資金を使い果たし、絶望する男子生徒を見下ろしながら、女生徒……美濃 永夏は悪魔の笑みを浮かべた。
******
学園裏オークションは、何時もの如くの大盛況をおさめていた。
特に目玉商品だった生徒会長の逆上がり写真は、一万二百円と言う高値が付き、永夏としてもホクホク顔であった。
「しっかし、馬鹿よねぇ。こんな写真に大枚叩くなんて」
ピラピラと、プリントアウトされた写真を弄ぶ。逆上がりシーンとは言え、この学校の体操着は普通の化繊素材であり、特に透けると言う訳でも無ければ、膝丈のハーフパンツの為、永夏から見ても色気のある格好とは思えない。
強いて言えば伸縮する素材の為、普段よりスタイルが多少強調される位か。
「馬鹿ばっかりよね」
写真の会長と自身の小学生にしか見えない身体を見比べて、若干、平淡な声でそう呟いた。
写真部の部室に戻り、PCを立ち上げる。
「おっ、来てる来てる! 飯の種が!!」
永夏の見ているのは写真のリクエストメール。このメールのリクエスト上位の人間を(無許可で)撮影しておけば、オークションで高値が付く写真撮れると言う寸法な訳だ。
「……会長が一番人気は変わらずか……ん?」
メールを開き、集計をしてゆく。その中で、一つ引っ掛かる注文があった。
「放課後の美少女……ね」
毎回必ず1通は来る注文メール。放課後に現れる謎の美少女。
この学校の制服を着ていて、時には同校の生徒と会話している所を目撃されている事も有り、学校関係者である事は間違いないらしい。
だが、放課後以外でその目撃情報は皆無と言う謎の美少女だった。
リクエストの数こそ多くは無い事も有って後回しにはして来たが、永夏自身、そう言った謎は大好物でもある為、いつかは調べようと思っていた相手である。
「良し!! ちょっと調べてみますか!!」 【因果応報】(2/2)
******
「くっ、悪魔め!!」
「いえいえ、わたしは真実の探求者ってだけですよ? でもなぁ、他の人がこの写真を見た時どう思うかはねぇ……」
永夏がピラピラと写真を弄ぶ。今、永夏の目の前に居るのは、謎の美少女と会話をしていたと言う目撃情報にあった女生徒だった。
目の端に涙を浮かべながら悔しそうに彼女を睨んでいる。
だが、女生徒に交渉の余地など無い。すでに陥落寸前と言った彼女の様子に、永夏はニヤリと悪魔の笑みを浮かべた。
******
カラカラと一人の生徒が今は使われていない教室の扉を開ける。
「いないんですか?」
そう声を出した瞬間、パシャリとシャッター音が鳴った。
「!!」
「おー!! 半信半疑だったけど、彼女の話は本当だったんだ!! えっと、1−D、西王子 武流くん?」
目の前の女子生徒の格好をした男の子を見ながら、永夏はパチパチと手を叩いた。
そう言われた男子生徒……武流は何の表情も見せず、永夏をじっと見つめる。
「流石に着慣れてるって所かな? 女装趣味って言うの? わたしには分からないけど、確かに言われなきゃ、男子生徒だって気が付かないかな?」
件の女生徒から手に入れた情報、それは、今年入ったある生徒の話だった。元々その女生徒は武流の姉と友達であり、彼との面識も有った。
だからこそ、姉の制服を着てウイッグを被り化粧をした彼の事にも気が付いたのであるが、しかし、どうしてもと頼み込まれ、駅前の喫茶店のパンケーキで、黙っている事にしたらしい。
普段、武流は空手部に所属しており、新人の中でも期待の星と呼ばれる実力者でもあった。
そんな彼の秘密の趣味が女装して放課後の学校をうろつき回る事だと知られれば、彼の学校生活は滅茶苦茶になってしまうだろう。
(クククッ、良い弱みが握れたわ!! これを盾にすれば、ちょっと過激目の写真だって撮れるかも知れない!!)
その写真がオークションでどれだけの高値が付くか……そんな皮算用をして永夏が厭らしい笑みを浮かべる。
「なに、別に君を取って食おうって訳じゃないわ? ちょっとお願いを聞いてくれれば、悪い様には……」
「ぐへっ」
「え?」
いつの間にか俯いていた武流が後ろ手に何かをしている。
カチャリ……
「ちょ、あんた何を……」
「やっと来てくれましたね」
「は?」
「こうやって、僕の秘密を見せれば、必ず食いついて来ると思ったんです」
その言葉に永夏の背筋に悪寒が奔った。
「毎回、リクエストメールを送っていた甲斐がありました!!」
「!!」
「さぁ!! 僕の愛を受け取ってください!!」
「二ギャ―――――!!!!」
******
その後、半裸の小学生が転がる様に校内を逃げ回っていたと言う目撃情報が有ったとか無かったとか。 >>464
見よ、短編スレが燃えている〜、460氏の一日・全お題チャレンジング記録に464氏が続くぞ、お題クルージングツアー前半に、『逆上がり』『音楽』『同性愛』で挑む、禁断魔恋のマウスピース!
さあ、物語は神社付近の公園で、『音楽』活動に励む二人を描く〜、
友人の帰宅遅らす由真さん、日が暮れるまで続く遅滞行動、ほの見えるのはハイ出た百合だw 嫉妬の炎ォ!
近くにあった鉄棒に、ぶら下がっては『逆上がり』、スカートまくれてあの子の太もも(最高だな)、情欲混じる『同性愛』〜
満ちる想いはマウスピースに握り締め、ただただ飲み込む無念に変えて、夕焼け小焼けでまた明日〜! 464氏がどれ、まずは手慣らしだと3個お題を消化し、スレ住民に人気の吹奏楽部・片思い系百合ものを復刻して見せた、想いを伏せる淫靡END〜
>>467
速攻、速攻! クルージングツアー後半、奮闘は実るか〜、選択は『雨』『悪魔』『ガソリンスタンド』、デモニック・ガンマン・ショー!
舞台はアメリカ〜、休憩所と給油機しかない寂れた『ガソリンスタンド』で、いざ死闘が幕開けるー
『悪魔』に憑かれた呪われし銃、45口径6連発リボルバーことピースメーカ〜、血気盛んなる喋る銃が、死の匂いに唾を飛ばすぜw
さあデスゲームの始まりだ〜、飛び交う薬きょう、血だまり銃音、死体にガソリンぶっかけて、証拠隠滅・大爆破ァ! アクション満載、先行き真っ暗物語はラスト、467氏が爆炎バックに片手を上げたァ、立ち込める黒き『雨』雲描き、しめてお題6個をハードに全クリア〜
ご機嫌なダンスは終わらねえ! 死を欲する銃に魅入られた、背徳のガンマンはどこまで生きる、短編スレに弾丸を降らせ、暴力が暴力を呼んだフルクリアENDだ・乙乙!! >>469
これ連続か? 選択は、『逆上がり』『女装』『悪魔』、駈けろ暴虐のフォトグラファ〜
主人公はオークションでバイヤーとなった小判鮫系女子の永夏さん、『逆上がり』した女生徒の写真を、『悪魔』の笑顔で叩き売りィ〜、でも画像エロくないのが憎めないw
ゼニ勘定しか頭にない彼女が目をつけるのは、顧客からのリクエストメール〜、ターゲットは…放課後しか現れない、レアっ子!?
さあ教室に追い詰めたレア女子は、しかしど変態によるトラップだァw タイトルと残ったお題で垣間見せたぞ『女装』オチ〜
ラスト、追う側が、追われる側へと追い込まれ、長追い無益の逃亡劇へと変貌か〜、弱みを盾にの算段も、半裸にさせられエロ応報〜ほのぼのニギャーENDだ、うん好き! 感想有難うございます
実は書き出した順は469、467、464だったりします
469は最後まで百合オチにするかどうかで悩んでいたのですが、唐突に降ってきた464を書いた事で女装オチへ
ただ、それだけでは弱いと感じたので、あんな感じにw
467に関しては、兎に角何かハードな感じのお話を書きたかったので……
何気にアクション物が多いですよね、自分
その割には途中ですっ飛ばす事も多いと言うorz 使用お題:『雨』『女装』『同性愛』
【俺の親友】(1/3)
下駄箱まで近づくと、雨の音が一際大きく聞こえてくる。
同級生たちが傘を開いて友人たちと喋りながら帰宅していく。
俺はどうしようかと少し途方に暮れた。
「傘忘れちゃったの?」
後ろからハスキーボイスがする。
振り返ると、見た目は可憐な女子生徒がからかうように俺を見ている。
「お前は?」
「持ってきてるよん。一緒に帰ろっか」
そいつは俺と腕を組んで歩こうとした。俺も特に抵抗しない。
左手に開いた傘を持って、右手に俺を持って雨の中を歩く。
「まるで恋人同士だね?」
「そうかい」
歩く途中で、いくつかの生徒が俺たちのことを意味ありげに見る。おそらくこいつと同じクラスの人間だろう。俺はそいつらを無視した。
道路にたまった水たまりをトラックが勢いよく跳ね飛ばして去っていく。
俺はこいつを車道側にしたままにするべきか少し迷ったが、まあいいかと思い直した。
傘に二人は少し狭いらしく、俺とこいつの肩が少し濡れてしまう。
「君は昔っから天気予報を確認しないよね」
道中クスクスと笑いながら、こいつは俺をからかってくる。
「ガサツって言いたいんだろ」
「いやいや、そのおおらかさも君のいいところさ。それにこうして僕が傘を持ってくれば問題はないしね」
「お前にいつも借りるのは嫌だな」
「どうしてさ? 僕は君に頼られて嬉しいのにな」
俺に絡みつく腕の力が少し強くなる。 【俺の親友】(2/3)
俺は少しため息を吐いた。
「お前は俺にべったりだな」
「当たり前だろ。だって僕は君のことが好きなんだから」
「友達として?」
「恋しい人として」
「男として?」
「……さあね」
俺がそう言うと、こいつは黙って俯いた。それでも俺の手を放そうとしない。
こいつはいつもそうなのだ。
本当はとても緊張していても顔に出さない。とんでもなく突飛なことをしでかすが、内心おっかなびっくりでいる。自分の行動のせいで自分が傷ついてもやっていることをやめようとしない。
こいつが女装してきた日はとても驚いた。前から中性的な顔つきだと思っていたが、一見してまるで男に見えなかった。奴は俺に微笑みかけた。
それは俺に告白してきた数日後のことだった。告白してきた日、奴は俺に自分の想いをぶちまけて、付き合ってほしいと懇願してきたのだ。
俺は戸惑って、断った。どうして、と聞くので、お前は男で、俺も男だろうと言った。すると、思いつめたように黙り込んで、俺の顔を見ずに走って帰っていった。俺はただそれを見送ったんだ。
「お前、クラスの人間に馬鹿にされているだろ。いい加減、その恰好をやめたらどうなんだ」
俺がやめろと言ってもこいつは止めようとしない。
「でも、君は女の子じゃないと振り向いてくれいないんだろ?」
「お前は男だ。それで俺の友達だ。それじゃあ駄目なのか?」
「……僕は君のことが好きなんだ」
「知ってるよ」
「友達じゃ、やだよ」
「そうかい」
俺が嘆息すると、こいつは震えた声を張り上げた。
「……なら、僕を突き放せばいいだろ。こうして僕が抱き着くのを、ちゃんと拒めばいいだろ!」
「そうしたらお前は俺と会話をしなくなる。俺はそれが嫌だ」
「……」
俺の言葉を聞いて、俯きながら、鼻をすすりだした。こいつの持っている傘が揺れて時々俺の半身に雨が豪快にかかる。
「傘、俺が持とうか」
「ごめんね……君まで同じに思われるよね……ごめんね……」
「でも、やめる気はないんだな?」
「ごめんなさい……」
「俺に嫌われてまでやりたいんだな」
「……君が嫌だっていうなら、僕は君に近づかないようにするよ」 【俺の親友】(3/3)
そういいながら、こいつはぶるぶると震えている。
どうしようもなく頑固な奴だ。本当にしょうがない奴だ。しょうがない、しょうがないなあ。
俺は泣いてるこいつの顔に自分の顔を近づけた。いい匂いがするのが腹立つ。
数秒後、顔を真っ赤にしたこいつが、傘を放り投げて、後ずさりながら俺を見開いた眼で見る。
「な、え、な、あえぁ、ぅえ?」
「傘を投げるな。いや、こんだけ濡れたらもうどうでもいいな」
「今、今今今、ええええ、え?」
口をパクパクとさせて言葉にならない音を漏らし続けるこいつを放って、俺はさっさと帰ることにした。
「あ、待って、ねえ、待ってよ!」
後ろから声がかかるが、俺は待たない。
とりあえずボロが出るまでは続けよう。
この先どういう結末になるかはわからないが、無難なところに落ち着けたらいい。
なんにしたって、こいつの無茶を受け止めるのはいつも俺の役目なのだ。俺はこいつの親友なのだから。
俺はちょっと振り返って、傘を拾うのも忘れて慌てて走ってくる奴を待った。 >>474
性別を越えた純粋な恋心
男の価値は惚れられる事ではなく、惚れ抜くことだそうです
頑張って!! 今回もいろんな短編が揃ったなぁ・・・よー思い付くわ
ばあさんや、次のお題はまだかのぉ? お題『逆上がり』『雨』『女装』『音楽』『悪魔』『同性愛』『ガソリンスタンドI』締め切り
【参加作品一覧】(1/2)
>>436【悪魔の音楽会】
>>444【メイドリフレ『とろい』】
>>448【無題】
>>451【都市伝説「雨女」】 【参加作品一覧】(2/2)
>>460【キックオーバー】
>>461【雨の日の出会い】
>>464【ゆうやけこやけ】
>>467【デビランドトゥギャザー】
>>469【因果応報】
>>474【俺の親友】 ☆お題→『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→6/3の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切5/30の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>474
前回お題『雨』『女装』『同性愛』を選んできた力作、ザ・トランスミッション!
さあ、学校帰りに一際大きくなる『雨』を見て、親友が傘下の提供、申し出る〜、彼は見た目可憐な女子学生、って感じのカムアウト済み『女装』デフォw
主人公が告白蹴ったそのあとで、女装してきた親友が、友達じゃやだよと言いつつかなりの攻勢〜
そのくせ身を引く準備は万端〜、なるほど『同性愛』なる親友のあくまで控え目なポジションは、十分に自己否定してきた過去をも思わせる、さぁお題を消化し臨むはラスト〜
主人公は考える、拒絶、葛藤、恋慕、友情〜、自分にとって肝心なものって何なのか!? 考えても考えても、判断できる訳はない〜、しかし嘘いつわりないピュアな求めに、何やってんだ俺とキス与え、半分成り行き、性の境を超えてファイティングポーズEND! >>489
>>469【因果応報】 に一票。理由は・・・ごめん、なんだろ? なんとなく? >>489
>>436に一票
人×人外百合タマリマセンワ^〜 ???がどれなのか凄い気になる・・・自分のだと嬉しいけどw タイトルオチですorz
>>489
使用お題:『怪盗』『バタフライエフェクト』『悩み』
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 1】
「えぇ? この間考えたトリック、このマンガと丸被りじゃん……」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 2】
「予告状、配達ミスって、マジで?」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 3】
「うわっ、そろそろ行かないと予告時間に間に合わな……あ! マントクリーニングに出したんだった……」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 4】
「さて、こいつの服をいただいて変装を……えー、水虫って……えー……」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 5】
「ふふ、お宝はいただき……!! ……誰だよ! 国宝に落書きとか、うぁ……マジ有り得ねぇ」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 6】
「さて、隠しておいたお宝を回収して………………おおぅ、犬のマーキングが……」
******
【怪盗バタフライエフェクトの悩み 7】
「…………贈賄容疑で逮捕って……売却価値がほぼゼロに下がりやがったぁ……ぁぁ……」 >>498
お題選択は『怪盗』『バタフライエフェクト』『悩み』、怪盗とカオス理論を学ぼうin短編スレ〜
蝶の羽ばたきが竜巻となるがごとく、初期値が時間経過とともに大きなインパクトを生む、ゆえにバタフライ効果!
かの有名映画『バタフライエフェクト』は、過去遡り能力を持った主人公が過去時点に影響与えて未来変えんとするループもの〜
『悩み』に悩む『怪盗』バタフライエフェクトの業績は、丸被りするトリック、配達ミスの予告状、服を盗めば水虫だあw それでも徐々に進む計画は、過去で修正繰り返すバタフライエフェクト映画版のオマージュか〜
ラスト、7回目で奪取成功も、お宝自体の価値がなくなる無意味オチ〜、これもう違うことに能力使った方が楽だろw 宣言お題を消化した物語が視野狭窄に陥った怪盗を描き、盗まれてるのは貴方の心ですENDで決めたァ〜 感想有難うございます
夜中に目が覚め、唐突に書きたく成って勢いだけで 書きました
後悔はしていませんw >>489 勢いで書いたせいで読みづらいかも、ごめん
使用したお題:『昔話』『誰かが雄たけびをあげる』『悩み』
【前編】
その昔、奇病が流行っていた。
その病気にかかるとあら不思議、体調は一切変化しないのだけど、驚くほど短期間で体中の水分が抜け落ち、干からびて死んでしまうという病気だった。病死までのその時間、なんとわずか丸一日。とてつもなく強力な伝染病であるといえよう。
しかもどうやらその病気は感染力が強いらしく、ものすごい速度で病気が広がってしまう。体液感染はもちろん、接触しただけでも病気が移る。しかも感染源が死亡した際に死体から溢れる謎の粉末は、風に乗って遠くの里まで届いてしまうという悪質さだった。
パンデミックという言葉がないほど昔の話だったが、その奇病が全国に知れ渡ると同時に人々は恐怖に怯え、日々警戒を続けていた。
ただ、その病気を治すことは実は簡単だった。長年謎とされてきたが、なんとその病気、とてつもなく水に弱いのだそうだ。
どういう原理かは不明だが、全身が水に浸かっているとその部分だけ干からびることはなくなるのだ。そして体が冷やされ続け体温が一定以下であると、病原体が死んでしまうらしい。
また、これまたどうしてそうなるのかわからないが、病気に罹患した患者は、水中で活動ができるようになるそうだ。水の中でも窒息することなく、息が続くらしい。
なのでこの病気の対処方法がわかった日を境に、この奇病に恐怖していた人々は、水の中で自由に遊べる楽しい病気へと変化したそうだ。
この奇病はそのため「人魚病」と呼ばれるようになり、特に漁師や遊びたい盛りの子供たちに喜ばれるようになったのだ。歴史的に壮大な手のひら返しである。
ただ、病気は所詮病気でしかなかった。そのことを歴史が語っている。
水中での活動ができることを知った人々は、人魚病を利用しはじめたのだ。人間以外の動物にわざと罹患させ、病死するまで放置し、死んだ際に出てくる粉末を集め始めたのだ。
水中で呼吸ができるようになる薬として安価で売られるようになった人魚病はなかなかの人気を博し、たくさんの人々が手に入れていった。遊び目的、探検目的、水中工事に使う人もいれば、水の中に落とし物をしたときにさくっと服用する者まで出た。
ただ、この薬の使用はすぐに禁じられることとなった。死傷者が多数出たのである。
まるで遊びで人魚病を利用していた人々を罰するかのように、薬を服用した瞬間体が干からびる人が続出したのである。本来なら死亡まで1日は猶予があったのに、おかしい話である。
しかし考えてみれば当たり前の話で、病原体が水によって死亡するといっても、100%全てではない。ほんのわずか、1%にも満たない僅かな生き残りが体内に残り、それが積もり積もっていけば病死になる結果は目に見えている。
そんなことがわかり、統治者の号令によってすべての人魚病の薬は摘発され、処分された。事業に投資したばかりで取りやめにされた商人たちは阿鼻叫喚の体を催したが、誰も同情なんてしなかった。
ほんのわずかな商品だけが闇市場に残されたという噂はあるものの、治療方法まで確立された人魚病は完全に根絶し、気づけば誰も人魚病にかからない平和な世界が訪れたのである。
……ただ、商人の一人が人魚病の商品を隠そうとして、新しい発見をしてしまっていた。
どうやら人魚病は、罹患者が水の中に長時間いると自然に死滅する、というわけではないらしいことに気づいたのだ。
水中に長時間いた人体は冷え切っている。その体を急激に温めようと、体温が急上昇した瞬間に正確には死ぬらしい。ウィルスをやっつけようと人体が熱を上げるのと同じ理由である。
そのため、変温動物は人魚病にかかっても暖かい昼間になると勝手に治り、水中に住んでいる魚等はそもそも罹患しても発症しないことになる。
昔の人が生食を避けて焼いたり煮たりしていたのも、この人魚病対策の名残だったと思われる。
え、どうしてその商人はこの事実に気づいたんだって?
人魚病を詰めた商品の箱を隠そうと悩み、うっかり一つ開封してしまい、慌てて病気を治そうと水の中に潜ったときにそのことを察したのだ。海辺に転がっている干からびた亀の死骸から……。
……と、ここまでが話の一区切り、前編です。この話は次の昔話へと続きます。
日本人なら誰もが知る、有名な物語へ……。
むかーしむかし、あるところに浦島太郎という若者がいました。
彼が浜辺を歩いていると、村の子供たちが一匹の亀をいじめていました……。 発想はある程度評価できるけど、謎の粉末という発想は必要ないし蛇足。
かかった人間の肉の粉末、とすれば十分だからだ。
それ以外にも表現に難のある箇所多数で、下手に書き慣れて直す癖が付いていないのは問題。
話のスケールも小さい。それはお題のせいだから仕方がないが。
あ、ここは評価するスレじゃなかったか
中々良く出来ていると思ったけど強いて言えば難点もあるかな 謎の粉末設定は玉手箱に繋げてるつもりだけど、無理あったか。まあわかりづらいからなぁ
正直自分でも駄作だと思うから、あんまりいじめんといて;x; >>502
本当はSFな昔話w
果たしてそのウィルスは、地上由来の物だったのでしょうか?
もしかしたら竜宮城からの……? >>502
お題『昔話』『誰かが雄たけびをあげる』『悩み』を選んで語る、死病研究インザシー!
病が世を騒がせるぞ〜、伝染すれば体が干されるパンデミック、しかし全身が水に浸かっていると回避可能で、なんと水中呼吸が可能になるw
割と便利だねってヒット商品に躍り出た奇病粉、つってもノーリスクじゃないわけで、死傷者続出・販売停止で阿鼻叫喚(『誰かが雄たけびをあげる』)〜
さあ、アングラ商人が粉を隠そうと『悩み』、動かした際にとある法則を発見!? 変温動物は罹患しない、水中生活者に優しく陸上生活者は脱水させる…
そう、これは話全体が『昔話』浦島太郎・玉手箱のからくり解説でしたオチw お題『昔話』をオチに活かした物語が、浦島時代に時遡り、華麗なお題消化とそーだったのかENDを決めたァ! 「なぜ浦島太郎が戻ってきたら人がいなくなっていたか」とか「亀をいじめていた子供たちは実は正義だった」とか「竜宮城はなんだったのか」とかそういうところも気付いてほしかったけど、自分の書き方がわかりづらくて悪いんだよね・・・
もっと文章が上手くなりたい・・・orz 亀をいじめるというのと亀からウイルスが移ったら死ぬから殺すというのは違うからやはり無理がある
でもこういうことを思いつくのは凄いと思うよ 小説書こうとしたけどなんか俺のもボロクソ言われそうだからやっぱやめとくか… お題に即したお互いのアイディアを見て楽しむのが本義だから、文章の批評とかはそこまで気にしなくてもええんやで?
むしろ文章の形式を度外視した面白作品とかのが自分は好み。初代スレの「おや、字が疾走した」とかw >>489
使用お題:『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』
【思春期地球防衛機デッカイザー】(1/3)
「グッガアアァァッ!!」
改造巨獣の攻撃を受けて、白銀の巨体がよろめく。
パイロットの道明寺 クライはフットペダルを操作し、何とか転倒するのを防いだ。
『何やってんの!? クライ! 動きが鈍いわよ!!』
「わぁってるよ!! そんな事!!」
姉でありオペレーターの道明寺 クウの言葉に、クライが噛みつく。
動きが鈍い、そんな事は白銀の巨人、デッカイザーのパイロットたるクライが一番分かって居る。
だが……
チラッ。
「!! ……グウッ!」
避けるつもりだった攻撃を喰らってしまい、その忌々しさに舌打ちをしたくなった。
恐るべき心理攻撃だった。精神の一瞬の隙を突き、本能に直撃する。
だが、その一瞬の隙はこの戦いの中では致命的な隙であった。デッカイザーの耐久力が無くては、ここまで耐える事は出来なかっただろう。
「負けて、たまるかよおおぉぉぉ!!」
最初はただ、カッコイイから……そんな単純な理由でデッカイザーに乗っていた。だが今は、自分の両肩に人類の未来が掛かっている事を十分に理解していた。 【思春期地球防衛機デッカイザー】(2/3)
******
改造巨獣……それは宇宙帝国インベイドの先兵であり、攻略兵器である。かの帝国の目的は人類の支配ではない。
地球と言う資源そのものなのだ。
改造巨獣は、その為に送り込まれ、資源を搾取する為にあらゆる手段を使う。
地球の都市を壊滅させるなど、その手段の一つに過ぎないのである。
クライが、デッカイザーが負ければ、地球は蹂躙され、搾取され尽すだろう。それが分かって居るから、クライは負ける事が許されなかった。それでも……
チラッ。
「ぐっ!」
辛うじて攻撃を避ける。攻撃が来ると分かって居ても、避ける事が困難だった。
いや、決して鋭い攻撃と言う訳では無い。いつもの戦いで有れば余裕をもって、それこそ反撃すら可能なスピードでしかないだろう。
問題はデッカイザー……いや、クライの方にあった。
改造巨獣が身を翻し、その太い尻尾で攻撃を仕掛ける。
チラッ。
「ぐっ!」
辛うじてジャンプして避け、反撃しようと試みる。だが、改造巨獣は縦回転で回転すると、蹴りを浴びせて来た。
チラッ。
「ぐうっ!」
『何やってるの! それ以上のダメージは、デッカイザーでも持たないわよ!!』
「だから、わぁってるっての!! 集中力が切れる!! 通信、切るぞ!!」
『ちょ、ま……』
クライが乱暴に通信を切る。正直な所、彼の精神はそれだけ追い詰められていた。
モニターに映る改造巨獣を凝視する。その姿はある意味なじみ深い。
そしてある意味ファンタジーの極致と言って良い姿をしていた。
つまり……
「メイド型宇宙巨獣って何だああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
改造巨獣は改造された巨獣である。つまりは元となった巨獣……宇宙巨獣が存在するのだ。
今回の改造巨獣の元となったのはメイド型宇宙巨獣“ヴィクトリラ”。
インベイド帝国は、そのヴィクトリラを捕獲し、改造巨獣としていたのだ……魔改造方面へ……
従来であれば足首まで覆われているロングスカートは膝上……いや、寧ろ股下ギリギリまで短くされ、ズロースだった物がストッキングへ変更された上、ご丁寧にガーターベルトで留められている。
そしてエプロンドレスの胸元は大きく開き、その双丘を強調するかの様にデザインし直されていた。
しかし、怪獣は怪獣である。人とかけ離れた獣じみた容姿は普通であれば受け入れられるものではない。
だが、その体付きは、まるでアニメの世界から抜け出したかの様なボンッ! キュッ! ボンッ! であり、思春期真っただ中のクライには刺激が強すぎた。
その巨乳が動く度、スカートの裾が翻る度、見てはいけないと言う思いと、でもちょっと位ならと言う本能がせめぎ合い、それが決定的な隙となっているのである。
「クソッ! なんて精神攻撃だ!! オレは……オレはどうしたらいいんだあ!!!!」 【思春期地球防衛機デッカイザー】(3/3)
******
「クライ、通信を切りました!!」
「ぬう!! 若さゆえの経験不足がここで浮き彫りになったか……」
デッカイザーの支援組織である“シールド”、その長たる長官、金剛院 大彌は苦悶の表情でそう呟いた。だが、本格的な戦闘状態と成っている区域に現行兵器を向かわせたとしても、改造巨獣にはほぼ歯が立たない上、下手をすればクライの足枷となってしまうだろう。
それ故に、彼を信頼し、任せる以外の手段が取れないのも事実だった。
だが、どうみても状況はこちらが不利で、パイロットのクライも不調の様に見えた。
「我らには、何も出来んのか……」
ギリリと、奥歯を噛み締める。
「ふっ、こんな事も有ろうかと、デッカイザーには遠隔操縦装置をつけてある」
「!! 博士!!」
デッカイザーの設計者であるジーニアス博士だ。
「遠隔操縦装置では細かい操縦は無理でも、光学兵器の発射位ならコントロールできるじゃろう」
「成程、ここぞと言うタイミングでそれを使えば、クライの手助けができると言う事ですな!!」
博士はニヤリと笑うとパチンッと指を鳴らした。それと同時に大彌の席に、拳銃のトリガーを思わせる装置がせり出す。
大彌がそのグリップを握る。モニター上では改造巨獣とデッカイザーが死闘を繰り広げていた。
******
様々な計器がレッドゾーンを指している。クライはそれでも必死に態勢を立て直そうともがいていた。
「ぐうっ」
攻撃が掠り、ショルダーアーマーが吹き飛ぶ。ついにデッカイザーが片膝をつく。
ギリリと、歯を食いしばるクライだったが、彼もデッカイザーが限界だと言う事は気が付いて居た。
もう動けないと読んだのだろう。改造巨獣がゆっくりと近づき、そして止めとばかりに足を振り上げ……
「あ、見え……」
ボシュッッ!! カッッ!!!!!!
閃光が煌き、視界を覆いつくす。デッカイザーの必殺技“エンブレムインフェルノ”が発動したのだ。
「……!!」
呆然と目を見開くクライ。閃光が消え去った時、そこに改造巨獣の姿は既に無かった。
******
「ちょ、クライ! ドアを開けなさい!!」
クウがクライの部屋の扉を叩く。あの戦闘の後、クライは何故か部屋に引き込もってしまったのだ。
「自身の不甲斐なさを悔いているのだろう。そうっとしておきなさい」
「長官……」
******
その数日後、少しやつれたクライが妙に晴れ晴れとした表情で部屋から出て来た。
だが、その彼のPCに、“Kemona”と言うフォルダーが増えていた事は、本人以外、誰にも分からない事だった。 >>512
> かの帝国の目的は人類の支配ではない。
> 地球と言う資源そのものなのだ。
これは変だね。
人類を支配し、奴隷として使役することのみに留まらない。
地球に存在する土を資源として用いることが第一の目的なのだ。
もし彼らが地球を支配すれば、地球は海の惑星になるであろう。
こういうのならまだわかる。
でも、普通なら
地球人の奴隷としての価値>>>>>>地球にある資源の価値
だと思う。
考察が足りない。構想力も。 >>512
クライの方は生身で戦えるの?
凄いスーツを着てるとか、身体を鍛えまくってる(でも普通は死ぬけど)とか、説明が必要だな。
何か超自然的な力があるならそれでもいいからさ。
それこそゲームとアニメの見すぎでそこに違和感を覚えなくなってるんだろうけど、
そこを掘り下げるから面白いんじゃないか。これじゃ肝心の面白さを全部捨ててる。 感想有難うございます
力不足の言い訳に成りますが、想定していた主題としては
地球の危機にも関わらず、目先の欲望に抗えない思春期思想をコメディ的に書いたものなので、それ以外は最低限の情報以外オミットしています
ですが、連載等をするのであれば、その辺を掘り下げるのも面白いですねw まともな感想書けなくてごめんだけど、なんか読んでたら良いネタ思い付いた
ありがとう! >>511
お題『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』に挑戦だ、デッカイザーライドオン!
さあ、現れるは正義のメカ・デッカイザー〜、目の前では「グッガアアァァッ!!」と『雄叫びをあげる』、宇宙帝国インベイドの先兵、改造巨獣が吼えるぜ〜
しかし人類の未来を背負って戦う、パイロット・クライさんが防戦一方、なにごと〜、問題は敵のデザインだ、獣の容姿に『ガーターベルト』装着の、『メイド』型巨獣によるパンチラ悩殺ww
長官「若さゆえの経験不足がここで浮き彫りになったか……」←何の経験なのか、苦境を見たバックヤードが遠隔操作で光学兵器を発射し、改造巨獣はケシ飛んだァ! 倒すの簡単じゃねえか
最大の敵は己の若さか、それとも潜在した性癖か〜、511氏の大作が予想外のお題消化で、ケモナー趣味に目覚めちゃったオチを経由し、痛恨のアニマル・ラブEND!w >>520
感想、いつも有難うございます
どうしてもスーパーロボツトが書きたくてこうなりましたw 使用お題:『ガーターベルト』『メイド』『悩み』
【くノ一ボタンの色々な冒険】(1/3)
ギャグボールを噛まされ、ボタンは必死で逃げようともがいた。目の前には4人の男女。ボタンの使命はその内3人の監視であり、もう一人の……サムライ風の少女については、まったく前情報に入って居なかった為、不意を突かれこうして囚われの身となってしまったのだ。
そんな、ウーウーと呻き声を上げるボタンを見下ろしながら、監視対象である少年、タカシが目頭を揉んでいる。
実の事を言えば、この少年に対する本当の指令は暗殺。だが先日、ボタンの里の腕利きの若い衆が襲撃を掛けたにも拘わらず、その全てを返り討ちにして彼らはここに居るのである。
重傷ではあるが、誰一人命を失った者が居なかった若い衆を見て、驚愕と共にボタンは(!! ……流石は、勇者です!)と、そう思った。
勇者……魔王と対を成す存在。魔王を倒し、人類を平和へと導く存在とされている勇者ではあるが、ここ魔王国では、その評価は真逆となる。
「殲滅者」「一騎当千」「一人戦略兵器」「性獣勇者」ets……様々な異名がそれを表している。
当たり前だろう。日々国民が増える魔王国において、彼等が自身の領域を冒されない様に領土を拡張しようと決断した魔王に弓引く者なのだ。
だが、同時にある種の尊敬を集めているのも確かである。なぜなら、魔王国において強き者と言うのは、それだけで崇敬の対象と成るからだ。
そう言う意味で、魔王が弱ければ勇者に討たれたとしても仕方ない……そう言った空気があるのも確かである。
繁殖力の強い魔物種を擁する魔王軍は、産めや増やせやの心意気で、その圧倒的物量によって王国を侵略していた。
だが、ここ最近はそれが滞っているらしく、王国軍との戦線は一進一退の様相を呈している。
実はタカシのパーティーがあちこちで殲滅作戦を行った事で、魔王軍に大量の離反者が出たのが原因なのだが、そこは流石に表沙汰には成っていなかった。
王国の国王は、ここが勝機とばかりに一騎当千たるタカシのパーティーを遊撃として、魔王との直接対決を依頼。
だが、そこは流石だと言って良いだろう。タカシの行動を察知した魔王は、強力な魔物を魔王城の周辺に配置し、早々に守りを固めたのである。
本来であれば、その上で兵を差し向けたかったのだろうが、今、戦線は膠着状態であり、これ以上兵を裂く訳には行かない。
だからこそ、タカシ暗殺をボタンの里……カゲロウに依頼して来たのだろう。
しかし……
魔王直接の依頼を失敗したとなればカゲロウの名は地に落ちる事と成る。
そうなれば、他の暗殺組織に舐められ、蹂躙され平らげられる可能性だってある。それ故に里の首領は、先日の襲撃も「相手の力を図る目的だった」と言う事にする為、監視を付ける事にしたのだ。
その白羽の矢が立ったのがボタン。隠形の腕を買われての事ではあるが、女好きであると言う勇者に、万が一見つかった場合の事を考えての選出でもあった。
瞳からハイライトの消えたボタンは、同行者……監視役の監視の二人と共に、タカシ監視の任務に就く事と成ったのだった。 【くノ一ボタンの色々な冒険】(2/3)
******
魔王討伐の為、王国に召喚された少年、勇者タカシはどうした物かと頭を悩ませていた。
彼の眼前には、犬耳少女を組伏せている美少女がいる。
名はハルナ。自称剣客、実質ストーカー。
彼女は『誉めて誉めて』と言わんばかりに瞳を輝かせ、ストーキング先のタカシを熱い眼差しで見ていた。
チラリと自らのパーティーメンバーを見ると、普段であれば聖女の異名に相応しい温かな笑みを浮かべているアリサが、極寒地獄の鬼もかくやと言った表情で件のハルナを見下ろし、
その正体は大海魔、しかして今は褐色幼女のクラーケンが、今一理解していない様子で眺めている。
いったいどこで身に付けた技術なのか、見事な亀甲縛りでハルナに拘束された犬耳少女は、憐れみを誘わんばかりの涙目で彼を見上げていた。
ハルナと同じ様な間違った和装のその少女は、タカシの認識において、誤解を恐れずに表現するなら“くノ一”の様に見える。
ただし、「忍ぶつもりないだろう? お前等」と言いたくなる様な大輪の花柄で萌黄色の上着に、ボディースーツの様な鎖帷子状のアンダーウェア。
その上、網タイツをガーターベルトで留め、鼻緒状の意匠がくっついているだけのハイヒールブーツと言う、どう見てもエロゲのキャラクターですありがとうございます。と言う格好なのだ。
辛うじて頭に巻いた忍者のアイコンたる鉢金も、側頭から生えている犬耳がコスプレっぽさを助長していた。
「何してくれるかなぁ」
「え?」
褒められるとばかり思っていたハルナの表情が驚愕に代わる。実の事を言えば、タカシは監視に気が付いて居た。
おそらく、先日の襲撃で壊滅的打撃を受けた暗殺集団が、再び襲撃の準備が整うまでタカシの動向を窺おうとしているのだと思ったからだ。
気配を探れば、犬耳少女と共にいた、もう二つの気配は既にいない。
この事を報告しに行ったのだろう。
「厄介な事してくれるよなぁ……本当に……」
「え? え? どう言う……」
「もうこのストーカーは埋めてしまっても構いませんよね? よね?」
「うえぇ!」
「さすごしゅ?」
「うえええぇぇぇぇ!!」
監視がバレたのなら、今度こそ死に物狂いで依頼を達成して来ようとするだろう。こう言った闇組織は面子を大切にするからだ。
「もうこうなったら覚悟を決めるしかないか……」
「さすごしゅ!」
溜息を一つ吐くと、タカシはぐるりと首を回した。 【くノ一ボタンの色々な冒険】(2/3)
******
魔王討伐の為、王国に召喚された少年、勇者タカシはどうした物かと頭を悩ませていた。
彼の眼前には、犬耳少女を組伏せている美少女がいる。
名はハルナ。自称剣客、実質ストーカー。
彼女は『誉めて誉めて』と言わんばかりに瞳を輝かせ、ストーキング先のタカシを熱い眼差しで見ていた。
チラリと自らのパーティーメンバーを見ると、普段であれば聖女の異名に相応しい温かな笑みを浮かべているアリサが、極寒地獄の鬼もかくやと言った表情で件のハルナを見下ろし、
その正体は大海魔、しかして今は褐色幼女のクラーケンが、今一理解していない様子で眺めている。
いったいどこで身に付けた技術なのか、見事な亀甲縛りでハルナに拘束された犬耳少女は、憐れみを誘わんばかりの涙目で彼を見上げていた。
ハルナと同じ様な間違った和装のその少女は、タカシの認識において、誤解を恐れずに表現するなら“くノ一”の様に見える。
ただし、「忍ぶつもりないだろう? お前等」と言いたくなる様な大輪の花柄で萌黄色の上着に、ボディースーツの様な鎖帷子状のアンダーウェア。
その上、網タイツをガーターベルトで留め、鼻緒状の意匠がくっついているだけのハイヒールブーツと言う、どう見てもエロゲのキャラクターですありがとうございます。と言う格好なのだ。
辛うじて頭に巻いた忍者のアイコンたる鉢金も、側頭から生えている犬耳がコスプレっぽさを助長していた。
「何してくれるかなぁ」
「え?」
褒められるとばかり思っていたハルナの表情が驚愕に代わる。実の事を言えば、タカシは監視に気が付いて居た。
おそらく、先日の襲撃で壊滅的打撃を受けた暗殺集団が、再び襲撃の準備が整うまでタカシの動向を窺おうとしているのだと思ったからだ。
気配を探れば、犬耳少女と共にいた、もう二つの気配は既にいない。
この事を報告しに行ったのだろう。
「厄介な事してくれるよなぁ……本当に……」
「え? え? どう言う……」
「もうこのストーカーは埋めてしまっても構いませんよね? よね?」
「うえぇ!」
「さすごしゅ?」
「うえええぇぇぇぇ!!」
監視がバレたのなら、今度こそ死に物狂いで依頼を達成して来ようとするだろう。こう言った闇組織は面子を大切にするからだ。
「もうこうなったら覚悟を決めるしかないか……」
「さすごしゅ!」
溜息を一つ吐くと、タカシはぐるりと首を回した。 【くノ一ボタンの色々な冒険】(3/3)
******
身の丈2mはあろうクマの獣人が崩れ落ちる。その顔面には深さ1cm程の溝が一直線に付いていた。信じられない事だが、それは剣の跡であった……鞘を付けたままの。
地面を見れば、クマ獣人の得物であった金剛杖が寸刻みの状態で落ちている。状況から察するに、これをやった犯人も同一人物だろう。
「王国の勇者はバケモノか……」
「バケモノだから暗殺を依頼したんだろう? 魔王も思ったよりは常識人だよな」
暗殺獣人集団の首領の首に剣を突き付けながら、犯人……タカシはそう言った。
完膚なきまで……それを体現するかの様な惨状である。精鋭の実働部隊を欠いた組織では、タカシに対抗するなど力不足過ぎたのだ。
暗殺獣人集団“カゲロウ”は一夜にして壊滅したのである。
もはや廃墟と言って良いカゲロウの里の瓦礫を踏み越え、アリサがやって来る。
「タカシ様、治療は完了しました。獣人の中に死者は居ません」
「そうか、それは良かった……さてと、首領さん?」
「ひい!!」
怯えた首領の様子にどうやら心まで折る事が出来た様だとタカシがニヤリと笑う。
「オレに敵対する事がどう言うことか分かったのなら、お願い、聞いてくれるよね?」
満面の笑みを浮かべるタカシに、元首領となった男はコクコクと頷く事しか出来なかった。
******
「諜報活動と暗殺阻止の為ですか?」
「さすごしゅ?」
「うん、そう」
茶屋風の店で団子を食べながらタカシがそう言う。現在、魔王軍と王国軍は一進一退。ほぼ互角の戦いを繰り広げている。となると魔王国と言えどタカシ達に兵を差し向けるのは厳しいだろう。
そうなれば、同じ様な暗殺者を差し向けて来る事は想像に難くなかった。
「だからその為にも、彼等にはスカウト兼カウンターメジャーをやって貰おうかとね」
「はぁ、成程、魔王国で情報を集めるのは、人族では厳しいですからねぇ」
アリサが頬に手を添え溜息を吐く。実際、魔王国に多く居る獣人の方が、人族であるタカシ達より情報収集には向いてるだろう。
「……で? “コレ”は何でしょう?」
「さすごしゅ?」
「……カゲロウ改め“オボロ”からの繋ぎ要員……かな?」
気温を低くするアリサから目線を外し、タカシがそう言った。
現在、お茶を喫する彼らの後ろでは、一人の犬耳少女が侍っていた……メイド姿で。
タカシの言う通りオボロとの繋ぎ要員なのは事は確かであろう。
しかしそれと同時に、タカシの機嫌を取る為の人身御供である事も事実だった。
その事を理解しているからか、瞳のハイライトの消えた犬耳少女ことボタンは、力なく笑いながら「よろしくお願いしますです」と、呟く様に言った。
「あー、うん、こちらこそ首領達との連絡の時はよろしく」
******
その頃ハルナは……
「竹が! 竹がお腹に食い込んで!! ちょ、思ったより竹の成長が早い!! タカシ殿ぉぉ!! ヘルプ! ヘルプミー!!!」
竹林にす巻きにされ縛られていた。 おおおお……
何故か(2/3)が二重投稿されてしまいました
どんな操作間違いが合ったのやらorz 作者サンの好きな属性欲張りセットな感じですねぇ
だがクラーケンちゃんが活躍せずに終わってしまったぞ!どういうことだ!
……次の方が居なそうなんで、投稿させていただきます。
テーマは『バタフライエフェクト』『昔話』『悩み』 【クレインエフェクト】
ある寒い冬の日。雪の原に羽ばたく小さな翼を見た。近づいてみると、一羽の鶴が罠に足を捕られてもがいている。
「おお、おお、かわいそうに」
罠を外してやろうと手を伸ばすと、鶴は羽ばたき抗おうとする。けれどすぐに力なく伏せてしまう。
「食うたりはせんから、そんな目をするな、ちび助」
これでは餌も食えなかったろうによく生きていたものだ。いや、きっとこのめぐり合わせも運命なのだろう。この年になってようやく、鶴に恩返しができるとはな。
「帰ったぞ」
「まぁまぁ、今度は何を拾ってきたのですか……」
さすがに鶴を抱えて帰るとは思わなかったのか、ひどく驚いた顔が出迎えてくれた。これはキツネの子を拾ってきたとき以来だな。
「……犬が続いていましたから、よもや三匹目はと予感がありましたが」
「怪我をしとるんだ、手当をしてやりたい。あぁ、三郎と四郎は近づけんでくれよ。怖がらせてしまう」
足元にじゃれつく二匹をまたぎ、鶴を抱いたまま火のそばへ。
「なんでまた、拾ってきたんです」
薬草を刻む背中が問うてくる。
「毎度のことだ。弱っとるやつは獣であろうと助けてやらねばな。特に鶴には思い入れがある」
そう、鶴を助けるのは二度目だ。 【クレインエフェクト2】
あの日も雪が降り、よく冷えた。年老いた父母が病に倒れあっけなく死んじまって。どうしようもなく弱っていたときだ。その日を生きるのに必死で嫁のきてもない孤独な身。せめて孫の顔を見せてやりたかった。
やるせなさを抱えたまま、どこへ行くでもなくうろついていたら白羽が舞うのを見つけたのだ。
大きく美しい鶴が雪原に縫い留められていた。まだ元気があるらしく懸命にもがいていて、それは舞のようだった。こんなに立派に育ったのに、こいつはこのまま一人寂しく死んでしまうのかと哀れに思えた。
「群れの仲間はおらんのか。見捨てられたか。運のないやつだ」
舞いを止めてこちらをじっと見てくる。
「諦めたのか? 助けてほしいのか?」
あれほど激しく暴れていたのが嘘のように、屈んだおれの背中をおとなしく見つめているようだ。
「おれが来なかったら、おまえはどうなったんだろうなぁ」
自力で抜け出すことができただろうか。別の誰かが助けただろうか。
自由を得たそいつは、一鳴きしてどこかへ飛び去っていった。
「その晩だ。おまえがここへ来たのは」
鶴は落ち着いたのか、あぐらをかいた上でそのまま眠ってしまった。
「鶴を助けたから、手頃な娘が転がりこんできたって?」
「はじめはな、天女でも迷い込んできたのかと思った。おまけに行く宛もないから置いてくださいときたら、いよいよ狐に化かされてるか、くたばって死に際の夢でも見ているのかと」
そのいたずらめいた微笑みは、ちっとも変わっとらんな。
「だが、飯の炊き方すら知らん女がいると、一人よりも苦労が増えるとは思わなんだ」
「……すぐにうまくなったでしょう?」
「夢でも物の怪でもないと信じるに足る時間だったな」
消して覗くなと言って、おれを奥に閉じ込めて一人で練習していたな。
「そういうあなたも、なかなか一緒になろうと言ってくださらなかったではありませんか」
どこぞのお貴族様の娘が家出でもしたのかと思った。いつか迎えが来ていなくなってしまうのかと悩んでいたんだ。
「家を任せられるまではと決めていたんだ」
「いくじなし」 【クレインエフェクト3】
久しぶりに遅くまで話し込んだ気がする。
「……なぁ。何か言いたいことがあるんじゃないか」
とうとう言ってしまった。帰ってきてから様子がおかしい。楽しい思い出話なのに、どうしてそんなに思いつめたような顔をする。
「……ずっと、悩んでいました。あなたは私と一緒になって良かったのかと」
何を馬鹿なことを。
「子どもが欲しかったのでしょう? けれど私はそれを叶えられなかった」
それは……おれの体が悪かったのかもしれない。おまえだけが気に病むことじゃない。それに、お前が来てくれただけでおれは――
「でもね、あのとき私は確かに見たのです。火を囲む若夫婦と、孫を抱いた老婆の姿を」
何の話だ。
「暖かな家に暖かな人たち。私もこの人たちの家族になれたらと願いました。この人こそがと」
一体何の話をしている。
「その鶴は明日の昼には元気になり飛び立っていきます。怪我は痛かったし寒くてお腹も減っていたけれど、諦めが早かっただけで何日も捕まっていた訳ではないから」
「ここを出たあとはね、遠くへは行きません。いつでもあなたが見えるところに住み着いて、生きて、あなたを見守って、あなたがいなくなってもずっと、生きて生きて、あなたに恩を返したくて――」
ふいに立ち上がり奥へ歩きだす。
「――千年生きます。執念深き物の怪になって、あなたに会いにいきます。あの人と出会う前のあなたに」
嗚咽混じりの声は、薄い戸には遮られない。
「きっと人と鶴じゃあ子どもなんてできないんですよ。あなたの人生は私が歪めてしまったの。だけど、だからこそ冬が来るたび祈りました。変わってしまったのなら、どうかあの日が来ませんようにと。あなたが私を見つけないでと」
「けれど今日がきてしまった。ならば私は罪を償うことができるはず。私が今日、羽ばたかなければ、あなたの人生はもとに戻るはず。自分ではできないから、最後に一つだけお願いを聞いて」
明日の朝までこの部屋からは出ません。それまでに鶴を殺してください。決してそちらを覗きませんから。
◆
◆
◆
いつの間にか眠ってしまったようだ。窓の外を見やると、もう日が高くなっている。
日が、たか…く…
「おい、ちび助......飯だぞ」 >>489 今回少ないな。自分は二つ目だけどね!!(ドヤ顔
使用お題:『昔話』『悩み』『誰かが雄叫びをあげる』
【前編、その2】(1/3)
むかしむかし、あるところに、それはそれは美しい女性がいました。
その女性は見目麗しいだけでなく、心も美しく、たいそう人に好かれておりました。誰にでも優しく、両親を大事にし、四季や草木を嫋やかに愛で、本土から少し離れた小島の村で穏やかに過ごしておりました。
そんな彼女のことを、百人一首の心情豊かな様子に準えて、人々は『百(もも)姫様』と尊敬を敬愛をもって呼び親しんでおりました。
ただ、百姫様はあまりにお優しすぎたがために、少々婚期を逃しそうなのが悩みものでした。
いえいえ、男性からの求婚はとても多かったのですよ? 平民からだけでなく、豪商や貴族のものからもそういう打診が幾度となくありました。
しかし、百姫様は首を縦に振りませんでした。それはというと、彼女はあまり体の強くなかったご両親のことを殊更愛しており、家族三人での生活を何よりも大事にされていたからだったのでした。
……まあ、行き遅れになりそうだったことで当のご両親は気が気ではなかったらしいですけどね。
それはそれとして、百姫様の幸せな生活が続いておりましたが、ある日を境にその日々は終わりを告げました。都に疫病が流行ったのです。
その大病にかかった者は長く、長く苦しんで死んでしまいます。治療法はないではなかったのですが、薬代にとてもお金がかかるのです。
なのでほとんどの人は脂汗を流しながら苦しみ続け、そのまま死んでしまいました。
また、疫病で家畜や野菜がやられた結果、重大な飢饉まで発生してしまいました。病気にかからなかった者も食料がないせいで、どんどん痩せ細っていきました。
僻地の村落は特に被害が酷く、人が屍肉を食らう姿も見られたそうです。まさに現世に現れた地獄でありました。
百姫様のお家も無事ではすみませんでした。
それなりに大きな家ではありましたが、日々の生活のために資産を食い潰していくハメになり、やがて明日の食事にも困る有様になってしまいました。
そして悲しいことに、百姫様のご両親が病気にかかってしまい、その治療のために薬を買わねばならなくなったのです。そのせいで余計に首が回らなくなり、百姫様はとてもご苦労されたようです。
優しいご両親は「私たちに薬なんていらないから、お前だけでも幸せになってくれ」と寝床で脂汗を流しながら笑顔で頼みました。
が、同じく優しい百姫様が彼らを見捨てるはずもなく……そうして、彼女は最も辛いご決断をされました。
百姫様は、とある金持ちとの結婚を了承したのでございます。
その金持ちは、金だけは有り余るほど持っていましたが、それ以外は全て捨ててきたのではないかというほど酷い男でした。
性格は最悪、見た目は醜悪、人望もなければ魅力もない。そんな男でした。
その金持ちは百姫様にこう言ったのです。「ワシがお前を買ってやる。その金で、両親を救えばいいのではないか?」と。
そして百姫様は……その悪魔の提案に乗ってしまったのです。
こうして……百姫様の地獄が始まりました。
金持ちにとって百姫様は妻などではなく、ただの姿形の良い人形、いえ、奴隷でありました。
なので夜遊び朝帰り程度は当たり前、食事や掃除が少しでも気に食わなければ無抵抗の百姫様を殴り飛ばします。
女を買って帰るのなんて日常茶飯事で、その片付けを仮にも妻である百姫様にやらせます。また庭師にトラをけしかけて楽しんだり、百姫様がよくしていた野良猫の首を首飾りにつけて送ったりと非道なことをします。
人非人という言葉でも足りないくらい、それは鬼畜の所業でした。
しかし、百姫様はその全てに耐えました。それもすべて、ご両親の治療のため。
どうしても辛さに耐えかねたときは、百姫様は病床につくご両親の下へと向かいます。
そうして辛い自分の境遇を押し隠して他愛無い話をする百姫様に、ご両親もまた病気の苦しさを隠して「もう少しだよ、もう少しだけの辛抱だよ。ごめんね……」と謝ります。
外も地獄、中も地獄な人々の生活の中、百姫様も苦しみながら金持ちの妻として必死に生きてきました
が、ある日その生活に大きな変化が訪れました。子を、宿したのです。 【前編、その2】(2/3)
百姫様のその時のお気持ちは、言葉に表せません。
金の恩があるとはいえ好きになりようもない金持ちの血を引いた子が、自らの身の内にいるのです。
子に罪はない、そして自身はご両親から多大な愛情を注いでもらった。だけど自分はこの子を愛せるのか。憎んではしまわないだろうか。
そうグルグルと胸の内に答えのない想いが巡り、それでも最初は耐えていたのですが、腹が大きくなるにつれ想いが大きくなっていき、気付けば百姫様はご両親の下へと向かっていったのです。
自分の胸の内に沸いた嫌な感情をご両親に知られたくない、しかし今の自分の気持ちを抑え隠し続けるのはさすがの百姫様でも無理でした。
なので、せめて重い話にならないようにだけ気を付けて、百姫様はご両親に子を為したことを伝えたのです。
一通りお話を聞いたご両親の返事は、こうでした。「もう少しだよ、もう少しだけの辛抱だよ。ごめんね……」
ここで、初めて違和感を覚えました。子を為したというのに辛抱とはなんなのだろうか、と。
子が無事に生まれたからといって、百姫様の待遇は変わらないでしょう。何を辛抱するというのだろうか?
ご両親の病気が治れば心痛が一つ減る、という意味で辛抱だと言われていたと思っていたのに、何かが違う?
それだけではありません。病気を患った人は脂汗を流して苦しんで死に逝きます。なのに、ご両親は苦しそうな表情はしておりますが、汗一つかいておりませんでした。
それにそもそもずっと薬を与え続けているのに、なぜ未だに病気が治らないのか。
百姫様は少なからず疑念を抱き、関係ない話題を繰り返してご両親の反応をうかがいます。すると何度もご両親は、もう少しの辛抱だと繰り返しました。
もう明らかにおかしい、そう思った百姫様は謝りつつご両親の布団を引っぺがしました。
するとそこには……壺がありました。
布団に隠されていたご両親の胴体のあるべき部分に、味噌壺くらいの大きさの壺が一つずつ二つ置かれておりました。そしてその壺から、ご両親の首がにょっきり生えています。
壺から生えたご両親の生首は、何度も何度も辛抱だと繰り返し続けていました。
あまりに異様な光景に、百姫様は大声で悲鳴をあげてしまいました。 【前編、その2】(3/3)
「……なんだ、ようやく気付いたのか」
百姫様が背後を振り返ると、そこには金持ちの男が立っていました。
驚いて腰を抜かしている百姫様と、壊れたはっかけのように同じ言葉を繰り返す両親の生首を見て、金持ちの男はそれはそれは愉快そうに笑いました。
そして金持ちの男は、全ての答えを教えてくれました。
「ワシは、実は鬼に連なる系譜のものでな。今は人間に化けておるが、本来は誇り高き鬼人の豪族なのだ」
百姫様は問いました。あなたが両親をこんな目に?
「ああそうだ。妖の術でそういう風にした。だが別に良いだろう? お前もこっそりその親の生首に話しかけて慰めにしていたようだしな。お前が嫁いできたときにはすでに死んでいたんだ、むしろ長く両親と話せて良かったじゃないか」
百姫様は問いました。知っていて、こんな酷い目に?
「先程も言っただろう? 死んでいたとはいえ、両親と長く接することができたのは事実だ。それにお前を手に入れるために疫病をばら撒いたり人心を惑わしたり手間をかけたんだ。簡単に壊れてしまっては大損してしまうからな」
百姫様は問いました。なぜ私を?
「人と鬼との間にできた子は尋常ではない力を宿すのだ。ワシの命令に従うワシの兵隊がほしかったから、人間どもを困らせてから金で大量に女を買ったのだ。その中でもお前は特別だ。妖怪の中の占い師のような者が言っていたが、お前が孕んだ鬼の子は最強の力をもつらしい。
単に力が強いだけでなく、動物と意思を交わし、決して死なない神通力も持ち合わせるそうだ。だからお前を手に入れるのを一番の目的として、こんな茶番をやったのだ」
百姫様は問いました。人の世を惑わすこの悲劇の全てが、茶番?
「そうだ、ただの茶番だ。まったく煩わしい。人間なぞ鬼の供物としてただ食われていればいいものを。まあここは離島、おかげで時間はかかったが確実にワシの兵隊を増やすことができた。すでに鬼と人との間の子は幾人か生まれておる。
お前の生んだ子を筆頭の護衛とし、ワシの最強の軍隊を作ってやる。そうしたら、フフフ、人の世をすべて支配するのも容易いだろうよ」
百姫様は問いました。すべて、私の、せい?
「その通りだ」
百姫様は金持ち、いいえ、鬼の見下した目を見ました。そして首だけになった両親と、外の阿鼻叫喚の地獄絵図と、自らのお腹の中の子を見ました。
百姫様は、覚悟を決めました。
「おい、どこへ行く? どこへ行ったところで今のお前には何もできないぞ。産気づくまで大人しくしてろ」
百姫様は引き留める鬼を一瞥し、大きなお腹を抱えて走り出しました。さすがに鬼も慌てます。
「おい、おい! どこへ行く!? おい、待て!」
異変に気付き慌てて負う鬼と、逃げる百姫様。
大きなお腹の妊婦と怪力の鬼とでは走る速度など段違いでしたが、住まう小島はもともと狭く、そして駆け出しが早く土地勘のある百姫様の方が目的地に着くのが早かったのでした。
百姫様は崖の上で鬼に大声で怒鳴りました。
「お前の思い通りになるくらいなら、いっそ死んでやる!!」
「よせ!!」
百姫様は鬼の手を逃れ、崖から飛び降りました。
最後に感じたのはお腹の中の赤ん坊が元気よく蹴った感触と、畜生と叫ぶ鬼の雄叫びと、冷たく硬い水の感触と、自らの首が折れる音でした。
こうして、百姫様は、死んでしまいました。
しかし百姫様の覚悟も空しく、最強の小鬼が作れなかったことを鬼はあっさり諦め、「ならば数を増やそう」と小島に鬼を増やし続けました。
ああ、めでたくなし、めでたくなし。
……と、ここまでが話の一区切り、前編です。この話は次の昔話へと続きます。
日本人なら誰もが知る、あの有名な物語へ……。
むかーしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に向かうと、川上からどんぶらこーどんぶらこーと、それはそれは大きな……
もも >>522
さあメンテ終了〜、522氏の使用お題は『ガーターベルト』『メイド』『悩み』! 続、ハーレムパーティの旅路!
あらためて紹介しよう〜、短編スレ初期より生まれた、勇者タカシの俺ツエーシリーズは、最強勇者とお供女子で進むハーレムパーティ冒険譚だ〜
書き出し、どうした物かと頭『悩』ます勇者の目前には、ギャグボールを噛む犬系クノイチ・ボタンさんの姿〜、花柄の上着をまとい、網タイツを『ガーターベルト』で留める、半分エロゲの暗殺者w
魔物も怯える勇者らの圧倒的な膂力を前に、彼女の里は速攻陥落、生贄ライクな『メイド』姿にさせられパーティ加入! 一方パーティに入り込もうと手柄を狙うハルナ女史が竹林にヘルプ響かす、簀巻きオチww
スレ民にやいのやいの言われつつ安定感あるシリーズが、今更だけど522氏お題6個消化おめって感じで、台風一過・乙乙ENDだ〜〜 >>527
感想有難うございます
クラーケンは裏方として、襲撃を返り打ちにしたり、里を壊滅させたり、ハルナをふんじばったりしていますw
>>528
閉じた未来に風穴を開けるための選択
愛しすぎた故の悲劇ですね
悲しいお話です
>>531
本当は猟奇的なお伽噺
桃太郎が鬼を討ったのは、義の為か私怨か?
それとも百姫様の執念なのか? >>528
力作続く、528氏が『バタフライエフェクト』『昔話』『悩み』を選択だ、give back!
かの名作、『昔話』、鶴の恩返しをモチーフに、528氏が語り始める〜
さあ、鶴を助けて帰宅した夫が、二人のなれそめ思い出す〜、妻がいつ消えるかと不安を感じる夫の『悩み』、そして、これで良かったのかと自問する妻の『悩み』〜、隠された過去いま明かされる〜
時空を超えた妻の思念が、話の骨格ほのめかし、過去への輪廻を繰り返す化生の鶴が現れる〜、感謝の鶴の憧憬は、いつしか恩人の生奪い、ねじれる後悔、自責の念! 物語の裏側は、間違いが起こした『バタフライエフェクト』だー
お題を消化した物語はラスト、自死を乞う妻の告白に応える、夫の回答、これは、彼女と再ループ、いやループ終焉か?! 今ここにある幸福を、今さら壊すが恐ろしい、タイムパラドックスがお題消化と哀しさ満点ENDを決めたァ! >>534
いつも感想を有難うございます
果たして、このパーティーは魔王を倒せるのか?
まぁ、魔王と言ってもアレな訳ですがw >>531
531氏の選択は、『昔話』『悩み』『誰かが雄叫びをあげる』、ザ・鬼退治・バックナンバー!!
さあ、物語が幕を開け、主役は婚期を逃しそうなのが『悩み』のヒロイン、百(もも)姫だ〜、飢饉、疫病、不遜な金持ちとの結婚〜、
追い込まれる姫様に両親がかける、もう少しの辛抱だと噛み合わぬ答え、ええっ布団の下には…「壺から、ご両親の首がにょっきり生えています」←怖すぎてワロタ
鬼の子宿した悲運の姫が身を投げて、鬼の雄たけびコダマして(『誰かが雄叫びをあげる』)、めでたくなし、めでたくなしと、531氏の饒舌が語る語る〜! ラスト、徹底的に救いのない物語がもたらした一縷の望みは…海の中の遺児ィ!?
531氏が桃太郎の出生を丁寧な筆で書き下ろし、『昔話』オチを再演だ! 見事だぜ、鬼が島の秘密、桃太郎の生誕、ストーリーの謎を解明しつつ、元の物語を百姫の思いが彩る重層化、バックナンバー・接続ENDで技巧を魅せたァ! 浦島太郎、桃太郎ときて、次の昔話が何がいいか思いつかない・・・
3つくらい書きたかったけど、今回は2つで諦めて次のお題を待つか 使用お題:『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』
【神算鬼謀】(1/2)
地中海もほど近い小国アルアーナ。この日、この国は国民の歓喜の声で沸いていた。
圧政を敷いていた将軍、カルカリッツ・エイプマンが捕えられ、失われたと思われていた王家の正当な姫が、女王として即位したからだ。
即位式のパレードは国民の笑顔で迎えられ、新王女ベアトリス・アルアーナもそれに笑顔で応える。
しかし、その王女の視線が誰かを探している事に気が付く者は、その中には居なかった。
******
「……何時から、計画していた?」
「……やあ、探偵殿、貴方がこんな所に足を運ぶなんて珍しいね」
街を一望できるカフェテラスで、一人の紳士然とした男が紅茶を嗜んでいた。
ジャケットとスリムボトム、緩くネクタイを締めた男……探偵、歯車 鉄雄は、その紳士の目の前に座る。
「色々調べさせてもらったよ、軍部の動き、将軍の隠し財産……そして、15年前のクーデターの真相……」
鉄雄の言葉に紳士が「クックック」と笑う。
「随分と仕事熱心だね? いや? 好奇心に忠実……と言った所なのかな? 将軍の依頼を蹴ったと言うのに、Nihonnzinnは、本当に勤勉だ」
「受ける訳はないだろ? 自滅に付き合うなど御免だよ」
一頻り笑ったのか、紳士は肘を机につくと両手を組む。
「少し、昔話をしようか」
「何?」
「昔々、ある所に小さな小さな国があった。その国の王は無能で、小心者。常に家臣の顔色を窺って、国民に圧政を敷いていた。」
「……それで、将軍を焚き付けたのか?」
鉄雄の言葉に、紳士はニヤリと笑みを浮かべる。 【神算鬼謀】(2/2)
「当時、まだ30代だった将軍は、野心に溢れていたさ、『自分ならもっと上手くかじ取りが出来る』とね」
「だが、実際は同じ様に圧政を敷き、こうして引き摺り下ろされている」
「人間だれしも、自分の姿は良く見えないものだよ? あぁ、探偵殿、貴方は違うようだがね」
「そっくりお返ししよう、怪盗紳士。僕は君以上に怪盗らしい怪盗を知らない」
探偵の頼んだ珈琲が届き、二人は無言でそれぞれの飲み物を喫った。
「幼い、少女が居た」
「うん?」
「利発で聡明、そして心優しい少女だった……」
「……成程、その為か」
「……」
紳士は応えず、探偵は続ける。
「新王女がクーデター時に匿われていたのは、公爵家に連なる市井の夫婦だったそうだね?」
「そう聞いている」
「しかし僕の調べでは、あの公爵に親類縁者などいない……巧妙に隠されていたけどね」
「それは、不思議な事だね」
紳士が肩を竦める。
「タイミングが良すぎるとは思わないか? 将軍の醜聞が明るみに出るタイミングにしろ、王女が発見されるタイミングにしろ……」
「そうかな? 歴史が動く時は一気に動き出す物だろう?」
探偵……鉄雄の目が細められる。
「将軍の隠し財産、その内、美術品数点が今も行方不明だそうだ」
「……管理が杜撰だったんだろうね? 肥えた豚は、自らの厩舎を掃除などしないものだ」
紳士が会計を頼み、席を立つ。
「お前は、何処まで見通している?」
「さぁ、私に判るのは、人の欲望だけだよ」
鉄雄が椅子に座り直し、珈琲を口にする。
「姫さんからの伝言だ『ジョアン叔父さんによろしく』とさ」
「……彼女は、良い女王に成るよ」 お題『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』締め切り
【参加作品一覧】
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】1〜7
>>502【前編】
>>511【思春期地球防衛機デッカイザー】
>>522【くノ一ボタンの色々な冒険】
>>528【クレインエフェクト】
>>531【前編、その2】
>>540【神算鬼謀】 前回の投票忘れてました。ごめんなさい。
『逆上がり』『雨』『女装』『音楽』『悪魔』『同性愛』『ガソリンスタンドI』
【得票数一覧】
>>469【因果応報】一票
>>436【悪魔の音楽会】一票
>>451【都市伝説「雨女」】一票 えーとでは七つお題
>>546-552
この形式でもう結構経つけど、飽きてきたりあるのかな…… ☆お題→『水着』『イケメン』『年の差』『パニック』『遺伝』『電車』『北欧神話』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→6/10の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切6/6の22時
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>541
前回お題の最終日、541氏が駆けつけ一杯『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』を選択だ、ザ・フィクサー!
おー懐かしいな! 前スレ年越し総力戦より再来だ、歯車探偵シリーズは、探偵・歯車 鉄雄と世を騒がす怪盗紳士の交流描く、物語〜
さあ女王即位が描かれて、場面は転じ街を一望するカフェテラス〜、男の前に探偵座り、少し『昔話』をしようかと、愚帝の末路と将軍失脚、語られる〜
歴史のフィクサー『怪盗』紳士、その八面六臂に何処まで見通していると、鉄雄さんが『バタフライエフェクト』能力を予感する〜(まさか正体>>498じゃないだろなw
お題を消化しラスト、ヤツがやったと知っている〜、新王女も知っている〜、冷たく醒めた仮面の下で、誰より熱きを滾らせる、その名も義盗・怪盗紳士! 男らが内心熱きを認め合い、こいつァまるで短編スレだと、ニヤリ微笑むフィニッシュだッ >>554
感想有難うございます
最初は、怪盗バタフライエフェクトにしようかと思ったのですが、キャラが違うかな? とw >>553
使用お題:『水着』『パニック』『電車』
【気が付けば終着駅】
「くああぁ〜……」
大きな欠伸を一つする。夜更かしをし過ぎたせいで眠いが、ゲームを止められなかった自分の自業自得なので文句も言えない。
正直、会社になど行きたくは無いが、日々の生活を行う為には稼がなければならないので、俺は仕方なしにいつもの電車に乗った。
快速でも急行でも準急でも無く各停に。座れるからと言う理由だけでそれに乗っているのだが、朝から疲れたくないのだから仕方ない。
最寄り駅から2駅目が乗換駅の為、結構な人が乗って来る。
俺は、それを座ったままぼんやりと見ていた。
スイマーが居た。水中眼鏡とブーメランパンツの水着姿の……
俺はあまりの事に思わず目を逸らした。
周囲を伺うが、気が付いていないのか、回りの人間がパニックを起こす様子はない。
本当に? こんな狭い車内でこれだけ人がいて、俺以外気が付いていない等あり得るのか?
もしかしたら自分以外の人間には見えていないのか?
だとしたら、こいつは何なんだ?
ガタン、と電車が揺れる。
俺はゴクリと唾を飲み込み、視線を上げた。
いる。
見間違いじゃなかった。
何故、誰も見向きをしないんだ?
本当に……俺にしか見えていないのか?
いや、違う。回りの人間は確かに避けている。ほぼ満員といって良い電車の中だ、アレに当たらないようにするには、避けるしかない。
だったら、何故?
ガタン、と、電車が揺れた。
目が……合った? いや、気のせいだ、相変わらずアイツはそこに……
「!!」
真正面から顔を覗き込まれ……いつ、動いた?
顔を挟み込む様に押さえられる。視線が逸らせない。
水中眼鏡の中の目と俺の目が…………
いや、無い何もない。
水中眼鏡の中には何もない。
俺は……
スイマーがニヤリと笑った。 >>557
お題『水着』『パニック』『電車』を選択して新たな怪談を創生するぜ、ブーメラン・パンツ・メーン!!
さあ、夜更かしし過ぎた語り手が、『電車』内で各停のんびり、大あくび〜、乗換駅の乗客まぎれ、姿を見せるはブーメランパンツの『水着』の男ォ!?
なぜか『パニック』起こさぬ乗客に、いぶかしみつつ、男と目が合い〜、ラスト! 誰もが視線を逸らすスイマーに、気付かれ・魅入られ・終着点!
先の透けたゴーグルは、人ならざるモノの証だぜ〜、見てはならん、見てはならんと、しかしそう言われるほど気にはかかるが人のサガw
知らぬ存ぜぬ通せぬ者を、餌食にかけるスイ魔ー登場って感じで、557氏が熱帯夜を涼感もたらす都市伝説をキメたァ! 感想を有難うございます
まぁ、駄洒落ネタなのですがw >>553
>>528【クレインエフェクト】 に一票。短編でよーループ物書けたなぁと感心したから
今回天啓が降りてこないなぁ・・・なにか、なにかないか >>553
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】に一票。 いや、思い付いたは思い付いたんだけど、無難すぎて書く気がしなくてな・・・
インパクト強いのじゃないと書く気が起きないマンなので許して >>553
使用お題:『イケメン』『遺伝』『北欧神話』
【アースガルドシンフォニー】(1/2)
『俺に首輪をはめられるのはお前だけだ』
「キャ―――――――!!」
「救流兎、ちょっと騒がしい」
餓狼 焔里にそう言われ、トリップしかかっていた乃流 救流兎は周囲を見回し頬を赤らめる。幸い、コーヒーチェーン店の店内は盛況で、彼女の方に注目している者はほとんどいなかった。
「……良くゲームにそれだけ入れ込めるよね? アタシには分からないなぁ」
「エンリちゃんの意地悪! だってカッコイイんだよ? 乙女の憧れなんだよ?」
「…………まずそれが分かんない」
救流兎が手に持っていた携帯ゲームの画面を焔里の顔面に押し付ける様に前に出す。画面には救流兎イチオシのイケメンキャラクターが映っていた。
携帯ゲーム「アースガルドシンフォニー」は、北欧神話の登場人物達の遺伝子を受け継ぐキャラクター
を育てて、アイドルを目指しながら恋愛すると言う乙女ゲーである。
乙女ゲーである為、その登場人物は全てイケメンで、その中からアイドルとして5人のキャラクターを選び、それを育てる訳なのだが、その中の一人、フェンリルの遺伝子を受け継ぐキャラクター“フェンリル”が彼女の推しメンらしい。
「フェンリルは、孤高の一匹オオカミだけど少し寂しがり屋で、毒舌屋さんだけど、本当は優しいんだから!!」
「あ、うん」
「一匹狼なのにアイドルグループなんだ」等の突っ込み所が気になったが、目がグルグルと渦巻いている様な救流兎の迫力に負け、焔里は口を噤む。
こうなってしまうと、親友が止まらなくなるのはいつもの事だからだ。
「とにかく!! カッコイイんだよ? キュンキュンするんだよ!! 分からないかなぁ? エンリちゃんもやってみなよ、はまるよ? と・く・に! フェンリルルートは絶対おすすめなんだからぁ!!」
「……アタシは良いかな?」
「エ――――!! なんでぇ―――!!」
******
「……無理だって、本当……」
大きな溜息を吐きながら、それでも焔里は腕を振るった。眼前に居た蛇の特徴を持った異形の者は、彼女から出る鋭い爪を形作るオーラを受け消滅する。
「おー、お疲れさん! いやぁ、フェンリルは今日もカッコ可愛いねぇ」
「……」
「って、ちょ!!」
そう言って近づいて来た男に向かい、焔里は無言で腕を振るう。
ピシリと固まった男の背後にいた異形の者が、そのひと振りで消滅した。
「油断し過ぎ、そんなんだから、アタシに食われて終わったんだよアンタ」
「あ、あー、でも、可愛い娘に食べられるなら本望かな? オジサン的に」
焔里が目を細める、青白いオーラが立ち上がると、オオカミの様なシルエットを形作る。
「茶化しすぎですよ? オーディン。それでなくとも彼女、真面目なんです」
「おー!! トール! そっちも終わったかな?」
「はい、滞りなく」
月光の降り注ぐビルの屋上に、音も無く舞い降りたトールは、その場で大槌を振り回しながらそう言う。
そうこうして居る内に、異形の敵、ニッズホッグを倒し終えた仲間達が一人、また一人と集まって来る。 【アースガルドシンフォニー】(2/2)
「やっぱり無理」
焔里は眉間に皴を寄せながらそう呟いた。北欧神話の神々、その遺伝子を現在に覚醒させた者。それが彼女達、エインヘリアルであった。
携帯乙女ゲーム「アースガルドシンフォニー」に出るキャラクター達は、全て彼女達をモデルとしている。ただし、全員がイケメンとして。
それ故に、モデルにされた元の人達を知る焔里としては、そのゲームで仮にとは言え恋愛云々をする事に忌諱感があった。
ましてや救流兎のイチオシのキャラクター、フェンリルのモデルは自分なのだ。それでプレイなど軽く羞恥死できるだろう。
「はーいはいはい、皆、お疲れ〜」
「ロキか……」
手を振りながら、角笛を持った少女を傍らに現れたのはロキ。今のエインヘリアル代表にして、携帯ゲーム、アースガルドシンフォニーを作った会社の社長でもある……つまりは諸悪の根源だ。
「さて、この辺のニッズホッグは粗方かたずいたよね? ヘイムダル」
そう訊ねられ、ヘイムダルと呼ばれた少女はコクリと頷いた。
「はーい、それじゃぁ今宵はこれで解散!」
その掛け声に、エインヘリアル達が思い思いに消えて行く。
焔里も帰ろうとした時、その肩をロキに押さえられた。
「何?」
「焔里ちゃ〜ん、そうつれなくしないでよ、母さん元気?」
「……」
ピシャリと焔里がロキの手を振り払う。
「……別れた妻の事なんて忘れて、新しい恋人の事を心配なさってはどうですか? 亜神社長?」
「おおう、娘が他人行儀に!! お父さん傷心!」
ピクリとコメカミが反応するが、相手をすればする程この男が喜ぶと知っている焔里は、フイッと顔を背けると、一跳し、ビルの谷間に身を躍らせた。
「やれやれ、反抗期かなぁ? どう思う? ヘイムダル?」
ヘイムダルは目を逸らした。
******
「ねぇエンリちゃん! 見て見て、隠しルートが解放されたよぉ!!」
「……あ、うん」
「今度は“ロキ”が攻略できる様に……」
「救流兎、止めて、それの攻略だけは本当、マジで、止めて? お願い!」
「え? でも……」
「お願い!!」
「う、うん」
あまりにも必死な焔里の様子に、救流兎は頷くしかなかったと言う。 お題『水着』『イケメン』『年の差』『パニック』『遺伝』『電車』『北欧神話』締め切り
【参加作品一覧】
>>557【気が付けば終着駅】
>>568【アースガルドシンフォニー】 投票、個人的な負担分散の為に水曜締切にしてたんですが水曜以降もちょいちょい票が入るのと、結構忘れる(すごく申し訳ないorz)ので今週からお題と同じ日曜日に締めます。
お題『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』投票締め切り
【得票数一覧】
>>562【クレインエフェクト】一票
>>563【怪盗バタフライエフェクトの悩み】一票 安価間違えて本当に申し訳ないです
投票のレスにしてしまった……
>>528【クレインエフェクト】
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】 気を取り直してお題安価取ります
>>574-580 ☆お題→『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』より三つを選択
※二つ以下、四つ以上は不可
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→6/17の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。
【見逃し防止のため、このレスに安価してください。】 >>568
高難度だったか前回お題、『イケメン』『遺伝』『北欧神話』を選んで開幕、北欧神話と父と子と〜
さあ、乙女ゲー「アースガルドシンフォニー」のテーマは『北欧神話』、登場人物達の『遺伝』子持ったキャラクターによる、育成アイドル恋愛ゲーだ〜
ゲーム内『イケメン』の殺し文句に歓声あげる友人に、苦々しい顔する焔里さん〜、彼女の正体こそマジで北欧神話の遺伝子持ったモデルこと、戦闘部隊エインヘリアルの一員だ〜ゲームの開発者・親父をはねつけラスト!
友人がアイドルゲーの隠しルートを開放し、出てきた攻略対象は親父・ロキw ただでさえ複雑な関係なのに、親父の攻略中継なんて耐えられないw
子の心、友知らずオチ! 職人568氏が難題『北欧神話』を己のテイストに取り込んで、お題6個をフル消化だッ、親子の愛憎・入り乱れ、攻略拒否ENDでシメてくれたぜ、乙乙ッー! >>582
感想有難うございます
『年の差』を含めた短編も考えてはいたのですが、上手く纏まらず断念しましたorz >>581 今回は書けた。良かった……
使用したお題:『自己紹介』『チェンジ』『召喚』
【異世界召喚】
「あーぶーらかたぶらこっかどぅどぅるどぅえろいむえっさいむうんぬんかんぬん……。
さあ、出でよ、異世界の勇者よ! 我らの世界を守るためにいざ、参られい!!」
「うわ、な、なんだここは……」
「あなたが異世界の勇者様ですか。よくぞ、よくぞ参られました」
「え、異世界の勇者? よくわかんないけど、あれ、俺召喚されたとか?」
「そうでございます……。あなたこそ我が世界を救う勇者様です!」
「まじか、ゲームの新作が早くやりたいからって久しぶりに家の外出て店まで買いに行って良かった! トラックに引かれそうになってうわって思ったらまさかこんなところに出られるなんてラッキー!
しかも異世界召喚に巻き込まれるなんて、本当にあるんだこんなこと! やったぜ、これからチート能力で敵をバッタバッタなぎ倒し、可愛い異世界美女のハーレム作れるんだ!!」
「……ところで勇者様。異世界でのご職業はなんでしたか?」
「え、し、仕事は、その……そんなことはいいじゃないか! 俺がニートでも、チート能力さえあれば最強の勇者に……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(前略)さあ、出でよ、異世界の勇者よ! 我らの世界を守るためにいざ、参られい!!」
「きゃっ、なに!? いきなり変なとこに来ちゃった?」
「あなたが異世界の勇者様ですか。よくぞ、よくぞ参られました」
「ちょっと! 異世界とかよくわかんないこと言ってないで早く元の場所に戻しなさいよ! 私さっきまでホストのケンジと一緒に楽しく飲んでたんだから! あんたみたいな変な奴お呼びじゃないのよ!
それにいきなり変なとこ呼びだされて地面に腰打っちゃった衝撃で、服のボタンが取れちゃったじゃない! もう、私の着られるサイズのドレスってオーダーメードじゃないと無いのに……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(前略)(中略)参られい!!」
「あれー、ていうかマジヤバクない? なにここキショイー、写メとってSNSのっけよ。しかもこの変なローブのおっさんウケルし。
コスプレ? ねぇ、それコスプレ? おっさんなのにコスプレしてるとかちょーウケ……」
「チェンジで」
〜〜〜
「(以下同文)」
「あ゛? ワレなに人様を拉致ってんじゃコラ? 事務所言って話しあおか? さもないとイテコマシたるでコラ?」
「チェンジで」
〜〜〜
「えー、なんか変なとこいるしー。あーあ、せっかくダイエットしようと思ったけどやる気なくしたわー。明日にしてカラアゲ食べようかしらー」
「チェンジで」
〜〜〜
「あれ、ここはどこ? さっきまで病室にいたのに……。あ、人工呼吸器が外れてる。このままだと窒息して死……」
「ちぇ、チェンジ! 早くチェンジで!」
〜〜〜
「……なんだここは、オレはなぜこんなところに? あ、すみません。ここはどこですか? さっきまで一人で空手の練習をしていたはずなのですが、なぜかこんなところに……。
困ったな、大会まで近いのに、このままだと確実に優勝するラインまでいけなくなってしまう。医大の勉強が忙しくてただでさえ練習時間が取れないというのに、どうしたら……」
「おおおおお! あなたこそ、あなたこそ我が世界を救う勇者様ですううう! お願いします、助けてくださいいいいいい!!」 >>585
好き
まさかそういう『チェンジ』の使い方をしてくるとは思わなかったw >>585
勇者召喚
呼ぶ方にも呼ばれる方にもドラマがありますね
とりあえず、チェンジシステムが有って良かったw >>581 久々に息抜き兼ねて書いた。
使用したお題:『オカルト』『召喚』『チェンジ』
【悪魔の召喚】
「ははっ! この俺がオカルトなんかにまた手を出す羽目になるとはな……」
恐らくは自業自得という事なのだろう。今までの人生で好き勝手にやり過ぎたという訳だ。だが、こんなとこで死んでたまるか!
「おいこら! 逃げ回ってんじゃねぇぞ、出てきやがれ!」
ヤクザの男がブチ切れた様子で俺を探し回っている。勝手に組の金を持ち逃げしてそれがバレたら、そりゃそうなるわ。つくづく調子に乗っていた。何をやってもこれまで失敗などした事はなかった。だからこそ調子に乗って金を盗み出したが、結果はこの始末。
「だけど、それでもこれさえあれば……!」
俺が手に持っているのはなんの因果か幼い頃に、怪しげな婆さんに渡された一つの書物。その本には『悪魔召喚』の術が載っている。かつて虐待を受けていた俺は、それを使い事なきを得た。そこからは順風満帆な人生だったと言えるだろう。
何をやっても上手く行くのだ。調子に乘るのも当然だろう。今考えるなら真っ当な生き方でも大成したのかもしれない。だが幼い頃の環境が悪かったせいか、そんな道は俺は選ばなかった。
俺は暴力と金で全てが上手く行く世界しか知らなかった。そしてそれを辞める気は欠片もない。
「さぁ、悪魔よ。再び俺に失敗のない人生を!」
その呼びかけに答えるかのように、悪魔が召喚されてきた。よし、これで俺の人生は安泰だ!
「……なんだ、折角の召喚かと思ったら既に契約済みじゃねぇか。こりゃあいつの契約者か。おい、契約満了の奴が来てるぞ!」
「……何、どういう事だ?」
「なんだ、もう満了になったのか」
「良いからさっさとチェンジしろ。契約済みの満了者なんか相手にしてられるか!」
「分かったからそう急かすな」
……なんだ? どういう事だ? 悪魔が別の悪魔にチェンジした……? この悪魔、どこか見覚えが……?
「思ったよりは早かったが、随分と美味そうな魂へと変わったな。どれだけの悪行を繰り返したのやら」
「……どういう事だ!? お前は……!」
「俺はかつてお前と契約した悪魔だよ。寿命が尽きるまで人生の成功を望んだのは貴様だろう?」
そうか、見覚えがある筈だ。俺はかつてコイツと契約をして、その代償に……。
「悪行を働かなければ、より良い人生で寿命を全う出来ただろうにな。まぁこちらとしては美味い魂になってくれて有り難いが」
「ま、待ってくれ!」
「悪いが契約は満了した。報酬を回収させてもらおう」
身体から力が抜けていく。そして得体のしれない何かに食われていく感覚がある。嫌だ、死にたくない! ふざけんな、なんでこんな事に!
次第に意識も薄れていき、いつ自分の意識が無くなったのかすら分からなかった。
「真っ当な人生を送れば、まだ50年は先だった筈だがな。淀んだ魂は美味かったぞ、外道」 >>588
正に“命運は尽きた”と、言ったところですね
天国への道は細く険しく、地獄への道は広く穏やかと言います
困難でも、真っ当な生き方をしていれば、違った結末に成っていたのに…… >>585
お題『自己紹介』『チェンジ』『召喚』に挑戦、召喚リピート、オーバー&オーバー!
さあ、物語はローブの祭司が『召喚』呪文を唱えて開幕だ〜、呼ばれたニートが喜びの声とともに『自己紹介』、ん、しかし祭祀、これを『チェンジ』ィ!?
繰り返される召喚召喚、これちゃうこれちゃう、チェンジチェンジ〜、出てきたのはギャル、ギャル、ヤクザ、ギャル、瀕死の人だ〜、ギャル率w
ラスト、祭司がミスター文武両道の召喚に成功し、態度一転、拝み倒しのオチをきめ、585氏は『チェンジ』の使い熟しで賛辞を浴びてニッコニコ、お題・複数回消化で腕を見せたぜ!
誰だって行ってみたいな異世界へ〜、しかし忘れるな、選ぶ権利、それは召喚する側にだってあるはずだ〜、世界の行く先をそんな簡単に預けられるわけねえだろって感じで、運否天賦を力でネジ伏す、ガチャENDだッ
>>588
お題『オカルト』『召喚』『チェンジ』を選んで悪魔ものを描いた〜、短編スレ版・悪魔の報酬〜
さあ、『オカルト』にまた手を出す羽目になるとはなァ〜、って追われる男が魔術書のページを開くぜ〜
男は過去、悪魔『召喚』によって己が虐待乗り越え、悪逆の徒として過ごしてきた〜、ここで再び召喚に手を染め〜、って!? 魔術書の悪魔サイドが何やら混乱、いわく満了の客だ、『チェンジ』しろ、これ何の窓口業務だよバタバタわろた
先代の悪魔が出てきて、報酬回収オチだァw 悪の生が寿命縮める、因果応報バッチリ決めてお題をクリア〜
ラスト、死の淵しずむ語り手に向け、悪魔は語る〜、真っ当な人生を送っていれば、まだ50年は先だった! 災い転じて福となし、福は転じて災いとなる〜、588氏が幸運と不運を弄び、悪魔作者っぷりを愉しみENDォー! 今回のテーマで考えてたら、めっちゃ昔に見たSSを思い出して、久しぶりに読んでみたら泣けてしまった
パクって細部を変えてこっそり投稿しちゃおうかなと思ったけどやめたわ。あの作品を汚したくない >>581 初挑戦!
使用したお題:『インターネット』『オカルト』『自己紹介』
【忍び寄る黒い悪魔】
夏季休暇が明けたあとの大学で、パソコンに詳しいという友人から『メリーからのメール』について聞かされていた。
それは今まさに僕が体験していることで、思わず飛び上がりたくなるほど驚いた。
最初のメールは何気ない挨拶文と自己紹介文が並び、僕との交流を持ちたいという内容だ。
翌日からはバイトから帰るたびにメールが届いており、内容は送り主の近況がしめていた。
初めのうちは興味半分で返信をしてみたが、もれなく宛先不明だと返ってくるだけだった。
誰かに相談しようにも、親しくパソコンに詳しい人間がそのへんにいるわけじゃない。
最初のメールから一週間ほどが経ってようやく相談できると思っていたけど、まさか向こうから話を振られるとは思わなかった。
僕の方からも症状を告げると、大仰な身振りをして現代のオカルトを体験できるなんてお前ついてるなと言われた。
ちょっと強い口調で咎めると、友人は涙目で笑いながら種明かしをしてくれた。
結局そのメールは、インターネットを介して感染したウィルスによるものだったらしい。
後日友人が家に来て、首を傾げながらもパソコンを綺麗にしてくれた。
それから気味の悪いメールが届くことなく一週間が過ぎて――――。
再びメールが届くようになっていた。
それも若干内容が不自然で、不定間隔に来ていた。
『メリーよ。いまゴミ捨て場にいるの』
『メリーよ。いま駅前の広場にいるの』
『メリーよ。いまタバコ屋さんの角にいるの』
『メリーよ。いま不細工な猫に追われているの』
『メリーよ。いまあなたの家の前にいるの』
僕は恐怖を感じながら玄関を覗いてみたが誰もいない。
恐る恐るチェーンロックを掛けて扉を開くが、すぐそこで隣の家の黒猫が寛いでいただけだった。
再びパソコンの前に座ってニコニコチューブを見ていると、再びメールが届いた。
『メリーよ。いま目の前にいるの』
見るとキーボードの陰から台所の黒い悪魔がでてきた。
〈おしまい〉 >>592
面白かったけど、これ前半と後半繋がってないんじゃない?
前半のオカルトチックな奴は、「メリーさんウィルスが収まったあと、まさかの展開が!?」的なホラー落ち(もしくはギャグでもいいけど)にした方がいいと思うし、
後半のメリーさん(G)は違う掘り下げ方、例えばそれこそギャグ路線とかで読みたかった。着眼点自体はすごくいいと思ったけど・・・ >>593
感想ありがとうございます!
やっぱり無理がありましたか
「友人が首を傾げながらもパソコンを綺麗にした」というのは、
「ウィルスに感染してないのになんでだ?とりあえずいらないアプリを消しておこう」
という表現のつもりでもありました
まあそれでも一週間ほどメール送信の空白ができた理由にはならないけど
ついでにどうでもいいことを言うと、メリーの言う「不細工な猫」は隣の家の黒猫です >>592
最初のメリーさんのメール内容も見てみたかったですね
良く読むと、後半のメール内容が小さな者視線に成っているので、対比が見たいと思いました
でも、そもそも“黒き者”からのメールと言う時点で、結構なオカルトですよねw 連載の話の筆がめっちゃ進んでこっちの事忘れてたw
>>589
真っ当な人生さえ送れば、死後に魂は持っていかれるものの、事故をしても無傷だったり、病気になる事もなかったり、宝くじが大当たりしたりという人生でした。
悪行を繰り広げた事でそのトラブルの解消にそれらを使い果たした為にこうなったので自業自得ですね。
>>590
新規さん用の悪魔召喚の魔術書なので、すでに契約済みの人間が使う事は想定されてなかったっていうね。
悪魔の世界も色々大変なのでしょう。
それにしても悪魔作者ってw >>592
選択お題は、『インターネット』『オカルト』『自己紹介』! ホラー開演、忍び寄る黒き艶々のあいつ!
初登場592氏が描いてみせる、夏季休暇明けの大学生〜、彼のメールボックスに届くのは、メリーさんの『自己紹介』と挨拶文〜
こんな『オカルト』体験できるなんてツイてるなと、友人が『インターネット』をクリーンアップ、
しかーし、メールは止まらず戦々恐々〜、さあお題を消化し、オチはどうなる、メリーさんが家の前〜、玄関の、扉あけたる主人公、そこには寛ぐ黒き猫、こ、コイツが黒い悪魔か!?
かかったな、ソレはフェイントだぜとゴッキー現れ、私でしたオチw 私でしたじゃねえよ、何めっちゃメールしてきてんのwって感じで、人類に対して永劫続く、あいつの嫌がらせEND〜! 初陣592氏がフェイント・フィニッシュをカサカサと決めてくれたァ! 感想ありがとうございます!
>>597
黒猫はフェイントのつもりじゃなかったけど、確かにそういう見方も出来ますね
黒猫が好きなので、猫を出すか→じゃあ黒猫で、といった流れでした
意図して何か仕掛けておけばよかったな
>>595
最初期の書き殴りから引っ張り出してみます
この時はまだ黒い悪魔じゃないどころか、オチと共に何も決まっていない状態でした
『始めまして。私はメリー。あなたと交流を持ちたいの』
『メリーです。ようやく地球についたの』
後付のメール内容としては
・家族が一杯いるよ、春に生まれた子供たちが元気に飛び回ってる
・たまには日光浴しなきゃね
・丸1日外出していたら美味しい食べ物を手に入れて食べ尽くしていたらしく自慢された(ホウ酸団子)
・みんな死んでいく…………悲しい
・気分を一新してこの家から離れることにしたよ、あなたにも会いに行くね
と言ったものでしょう、たぶん
いま考えると『僕』が受け取ったメール内容と『友人』の話すメール内容とで噛み合わないという描写を入れておくべきだった >>581
使用したお題:『新人賞』『講演』『自己紹介』
【ああ黒歴史よ】(1/2)
以下は、実話のようで実話ではない、とあるとても悲しい出来事の一片を散々噛み砕いて誇張したものである。
人の持つ大きな自意識、緊張したときにいらないことを口走ってやっちまった感、そういったものを以下から感じ取ってもらえれば幸いである。
……あ、もう喋ってもいいんですか? あ、そうですか。
あー、マイクこれ大丈夫です? え? いや、大丈夫かって。なんか、音出てます? あ、出てる? 本当に?
あー、あー。出て無くないですか? あ、出てる? 本当に? あー、あー。あ、出てますね。
いや、すみません、こんな、ねえ。せっかくの新人賞の講演なのに、ぐだっちゃって。
あはは、まあ、えー、はい。……なに言うんだったっけ(笑)。あー、すみませんねえ。ちょっと緊張しちゃって。
こういう、改めた場面での挨拶っていうのをする立場になかったものですから。
だって、こういうのって、なんか、ためになること言わなくちゃいけないじゃないですか? 人生の糧的なこと?
校長先生みたいな? いやいや、無理だって、ねえ? 僕なんか若輩者にそんなの、何が言えるかって話じゃないですか?
いや、まあ、まあ、ね。新人賞取っちゃったからね、しょうがないと言えばしょうがないんですけど、
あ、取っちゃったって言い方はまずいですね、すみません、すみません。新人賞逃した方本当にすみません。
こんな僕が新人賞取っちゃってすみません。ね。はー……もう講演時間無くなったんじゃないですか?
あ、まだある? あ、結構ありますね、あはは。はー、それでは、自己紹介をしましょうか。はい、どうも。どうも。いや、いいですね。
自己紹介とかやめましょう。まどろっこしいことをやめましょう。どうも、数いる応募者から何かの間違いで新人賞を取ってしまった者です。
ね。ほんと、何かの間違いかって思いますね。こういったらなんですが、審査員の方は見る目ないんじゃないんですかね? 僕みたいなのを選ぶだなんて?
僕のほかにたくさんいいのがあったでしょうに。どうして、わざわざ僕の奴に目を留めて、あげくこんな賞与えちゃって。ね。勘違いしちゃいますよー。
才能あるって勘違いしちゃいますよー。 【ああ黒歴史よ】(2/2)
ね。ほんと、どうかしてますよ。世界、どうかしちゃってませんか? ここにいる人たちは、わかると思うのですが、世界に対する、違和感。ね。
こういう、職業柄、ね。四六時中、心象を面白おかしく弄って遊んでいると、ね。
わかっちゃいますね。世界がもう、歪んでるって。あ、もう駄目だなって。世界が崩壊しかけてるなって(笑)。
わかっちゃう(笑)。皆さんは自分が誰だかわかっていますか? この世界で自己を明確に表現できる方はいらっしゃいますか?
はい、手を挙げてみてください! ……あ、誰も手を挙げない(笑)。んー、まあ、そうですね。
ぶっちゃけて言うと、誰も自分のことなんてわかってないんですね。自分のことも、他人のことも、何もわかっちゃいないで、この世界を生きるしかないんです。
でも、みんなわかっている気でいる。それが僕には、我慢ならない。だから、世界が、嫌になる。
僕は毎日夢を見ます。終わった世界の中で、血みどろの海に浮かんで、自分が殺した彼女のことを夢想する。ね。
それが、僕が今回表現した小説なのです。あ、人生の糧、喋っちゃいましたね(笑)。
時間もそろそろ、いいころなので、それでは皆様方、こんな僕のことを、よろしくお願いしますね?
……。
……。
……お分かり頂けただろうか。
皆も、大きな場に立つときは気を付けよう。 >>599
予想外な告白w
果たして何をどう“ヨロシク”したら良いのでしょう?
先ずは落ち着いて電話でしょうか?w 何やら、ネタが被った気もしますが……
使用お題:『インターネット』『新人賞』『講演』
【故郷の錦】(1/2)
「ほうら、お父さんも、そんな怖い顔してないで……」
「煩い、地顔だ」
妻、節子の言葉に、隆正は不機嫌そうに言った。
街の人が勢ぞろいしているのでは無かろうか? そんな風に思える程に駅の前には人が集まっている。
駅前には横断幕が張られ、待ち人を今か今かと待っていた。
そうこうして居る内に駅に電車が到着する。鼠色のくたびれたスーツに黄土色のコート、手には土産の詰まった紙袋をこれでもかと持った男が改札から出てきた時、集まっていた街の衆がワッと沸いた。
「な、なんだぁ?」
驚きに目を瞠っていた男は、横断幕に書かれた文字を認め、羞恥に顔を染めると共に苦笑した。
――――横山 清太郎センセイ お帰りなさい――――
小説家、横山 清太郎の帰郷である。
******
町長に注がれた、零れそうになる麦酒を清太郎は慌ててすする。
「いやぁ、清太郎センセイ、今回の講演を快く引き受けてくだすって、本当に助かりました」
「いえ、自分の話程度で良ければ……」
「はは、御謙遜を」
機嫌よく呵々大笑する町長とは裏腹に、清太郎は曖昧な笑みを浮かべる。
チラリと、横目で宴会場の隅で黙々と酒を呷る父の姿を確認し、小さく溜息を吐いた。
清太郎の父、隆正。彼も清太郎と同じ小説家である……いや、清太郎自身は自分が小説家であると言う意識は薄い。
彼の思い浮かべる小説家の姿と言うのは、一日中机に向かい黙々と筆を走らせ、時にはそれらを放棄し、また筆を進める。
そして書かない時は、行き詰まった思考を落ち着かせる為に少しだけ休んで散歩等をしている……と言う、父の姿そのものだったからだ。
それ故に、仕事の片手間に依頼を消化している様な自身をもって、“小説家”等と名乗るのはおこがましいとさえ感じていた。
そもそも清太郎は小説家になど成ろうとは思っていなかった。今やっている仕事のストレスが溜まり、それを発散させようとインターネット上に細々と小説の様な物を書いたのが始まりであった。
それがある編集者の目に留まり、「一冊にまとめてはどうでしょう?」と勧められた本が、何を間違ったか、文学の新人賞を取ってしまったのだ。
当初は、こんな短編とも連載ともつかない様な小説モドキが賞を取る等とと、受賞を辞退するつもりだったが、そこは海千山千の編集に言いくるめられ、あれよあれよと言う内に新人賞、そして2冊目の本を出す事まで決まっていた。
それ等の本が更に幾つかの文学賞を取り、話題と言う意味では都合が良かったのだろう。そうこうして居る内にエッセイの依頼なども来た為、それを受けたりしていたのだが……
今回、帰郷したのは、それらエッセイで述べた内容を講演する為だった。
既に故郷を離れ10年近く経つ。
少ないながらも連絡のやり取りはあったが、それまで一度も顔を合わせて来なかった両親に会うには、良い機会だとも思った為、この講演を引き受けたのだ。
嫁すら貰っていない、親不孝を続けて来た自分が少ないながらも孝行が出来るのでは? と言う思いもあったのだが、そんな両親とは駅で挨拶を交わした以降は、まるで話をしていない。
「はぁ……」
「おや、清太郎センセイ、お疲れですか?」
「え? あ、あぁ、そうですね、少し、疲れたのかもしれません」
「それは大変だ、旅の疲れでしょう、では、この辺で一旦お開きにして……」
「あー、いえ、それには及びません、少し、休憩してきますから」
盛り上がる会場を目にし、清太郎はそう言うと席を立った。 【故郷の錦】(2/2)
******
「結構、変化しているものだな……」
宴会場のあるイベントホールの、ベランダに作られていた喫煙所で電子タバコを喫しながら、清太郎は郷里の風景を眺める。
十年一昔と言う言葉も有る。彼の視界には、それまで無かった建物もちらほらと映っていた。
「清太郎」
「ん? あ、母さん……」
声を掛けられ振り向くと、そこには母、節子の姿があった。皴の増えた顔で、しかし昔と変わらない笑顔を清太郎に向ける。
「まぁ、立派になったわねぇ」
「……偶々だよ、僕の実力って訳じゃない」
母の言葉に清太郎が皮肉気に笑う。隆正がどれだけ小説に心血を注いでいたかを知っているだけに、周りに流されるままにここまで来た清太郎の心中は複雑だった。
「そう言うのも実力と言うのよ」
節子が苦笑する。
「親父は……怒ってるかい?」
「何で?」
「いや、だって……」
再開して以降、顰めっ面で黙ったままだっ隆正を思い出し、清太郎がそう言う。節子はくすくすと笑った。
「まぁ、心中は複雑でしょうねぇ、あのひと文学賞なんかには、とんと縁が無かったから……」
「やっぱりか」と言う思いが清太郎の胸中に渦巻く。隆正の小説は、自身を体現する様な硬質な感じの物で有り、万人に受け入れられると言う類では無かったが、しかし根強いファンもいる為、生活に困らない程度には売れていた。
しかし、自分はどうだろうと考えれば、偶々最初の小説が話題になり、編集者の営業手腕によって、続けて出した本も売れてくれたに過ぎない。
つまりは一時の流行り病の様なものだ。
「悔しくはあるわよ、でも、それ以上に誇らしって思いも有るから、どういう態度をとって良いか分からないのでしょうね? だって、万年中堅作家のお父さんが、幾つもの賞を受賞している作家サマに、上から目線で『よくやった』……なんて言えないでしょう?」
「え?」
その言葉に清太郎は思わず目を見開いた。隆正は古いタイプの人間である。
だからこそ、インターネットで書かれた様な、軽薄と言われそうな自分の作品に対し憤りを抱えているだろうと思っていたし、そんな自分が“センセイ”等と呼ばれ、まるで一端の小説家の様に振舞っている事が気に入らないだろうと思ったからだ。
それ故の、あの態度だと思っていたのだが……
「貴方は知らないでしょうけど、あのひと、最近ネット小説も書き始めたのよ? 誰に感化されたのかしらねえ」
笑いながらそう言う節子の話に驚きながらも、“あの”父親のネット小説である。電子書籍すら敬遠しそうな隆正の意外な作品の情報に、清太郎は「探して読んでみなければ」そう思った。
もっとも、「あの頭の固い親父は嫌がるだろうなぁ」とも思っていたが。
「だから、貴方の方から話し掛けて御上げなさい?」
「うん、そうだね」
少しばかり予想外な父の近況に笑みが零れる。
電子タバコをケースに仕舞いながら、清太郎は「麦酒を注ぎに行かなければ」……と、そう思ったのだった。 そして安価を忘れていると言う体たらくorz
>>581 あ、作品投稿が安価なんだね
投票する時に安価付けるのかと思ってた 前は投票時だけだったのですが、代理さんの時に投稿時にもと成り、そのまま継続……と言った感じです >>601
感想ありがとうございます
オチが無くてちょっと紛らわしくなったかもですが
一応言っとくと殺人の告白とかではないです
ただ痛い痛い痛いと読んだ誰かがのたうち回る話です…… >>599
こういうの大好物、意味が分かると怖い話系。
だけど可能ならもうちょっと隠してほしかったかなぁ・・・隠すとわからなくなっちゃうかもしれんが いや違うんですよそういうアレじゃないんですよ
ただ痛い人間を書きたかっただけで……
あれ? 失敗したかな…… >>599
講演する前にテーマを考えてないとこうなりそうw
というか俺も過去の殺しをポロリしたのかと思っちゃった >>602
講演そっちのけで宴会してるw
インパクトはないけど作中の雰囲気がいいな >>599
お題選択は『新人賞』『講演』『自己紹介』だ、キリキリ舞い・スピーキング・ターイム!
さあ、599氏が描く、『新人賞』の受賞者が、『講演』会でマイクテス〜、スピーチ内容忘れた彼が、気を取り直して『自己紹介』、〜て言いつつやめるんかいw
このグダグダ感! アガっている〜イイ具合にアガっているぞ〜、卑下するためとはいえ、やれ審査員は見る目がない、やれ自分の才能は云々と、空気を読まぬ失言で、聴衆はもう冷え冷えだ〜
焦りまくる登壇者がテンパりながら問いかける〜、感じてるかい、世界に対する違和感をww 「皆さんは自分が誰だかわかっていますか?」←自分、自分、キャラを見失ってるのは完全に自分だよ!
混乱トークが厨二方面に転がって、こいつ殺人鬼なのかオチw ユニークな作品だ、技巧派599氏が文字だけでテンパりを描き切る、新機軸アガリ短編・爆笑ENDォ!
>>602
力作続いて、602氏がネタ被りで『インターネット』『新人賞』『講演』に挑む〜、錦を飾ろう、あの故郷〜!
さあ、主人公の帰郷を祝う人々の横断幕で物語はスタート〜、「お帰りなさい」の文字に戸惑う『新人賞』の小説家〜、『インターネット』の手すさびが、いつしか『講演』漕ぎ着けた〜
しかーし歓待受けるも上の空〜、小説家が気に留めるのは、酒を呷る父・隆正の姿〜、不安渦まく主人公、母が語るは驚愕の事実! あの漢・隆正が、ネット小説に手を染めたァ!?
宴会片隅で酒呷るのは、もはやいぶし銀のアイツじゃねえ! 帰ってきた息子の勇姿に頬緩む、一人の老いた父親だあ!
ラスト、理解しがたきを理解したいと互いに手伸ばす物書き親子、麦酒片手に距離縮め、ねぎらい祝っておつかれEND! 電子化親父・プリティーオチが決まったァ〜! >>611
感想を有難うございます
テーマ的には、家族故の微妙な距離感を描ければ……と思い書いたものです
上手く伝わっていれば良いなぁと思いますが、どうでしょうね?
>>612
いつも感想有難うございます
可愛いお年寄りは自分的に“萌え”だと思ってます
同意者は皆無ですが……
いや老人専と言う訳でなく、何かほっこりすると言う意味でw >>581
使用お題:『オカルト』『チェンジ』『召喚』
【疾風攻機ブロウゲイル】(1/2)
クラッチを握りシフトを上げる。アクセルを回すと同時に滑らかに加速した。
夜の高速、疎らな車の間を縫うように風祭 瞬はバイクを走らせる。
増加する圧力が摂理に逆らったスピードを否定するが、瞬は身を固める様に頭を下げると、さらにアクセルを捻った。
バイクは良い。自動車にはない、体で風を切り裂く感覚。全てを振り切り、ただ独り先へ進む興奮。
(先へ、もっと、もっとだ!!)
ピピピー、ピー、ピピピピッ、ピピピー、ピー、ピピピピッ。
「チッ」
舌打ちを一つ、瞬はレシーバーONにした。
『瞬、仕事だ』
「……はいよ……」
端的に告げられ、座標がヘルメット内のモニターに表示される。
瞬は前輪のブレーキをかけると、後輪を滑らせターンした。
******
淡く光る魔方陣の中から怪物としか呼べないモノが這いずり出てくる。
繁華街で有る筈の町の一角、そこは、不自然に街の明かりが消え、人通りも皆無だった。
幾つもの乗り捨てられ、主の居なくなった自動車群の、その取り残された自動車一つの中で、女性が腰を抜かして顔を引き攣らせていた。
どこかの噂では聞いた覚えがある。良く有るオカルト系都市伝説の類いだと思っていたモノ。
“ラルヴァ”
悪霊と言う名を付けられたその怪物は、闇夜の中から這い出し人を襲うと言う。現れる時に魔方陣を伴う為、何処かの邪悪な魔導士が召喚しているとか言う噂であるが、その真相を知る者は極少数の者だけだった。
半透明の蜥蜴の様な形状の、ゲル状の肉体の中に人らしき肉片や骨の浮かぶ、吐き気をもようす様なラルヴァの姿、女性は短い悲鳴を上げ気を失う。
のっぺりとした、目も鼻も無いラルヴァの貌。だが、生ある者を認識できるのか、取り残された女性に対し、巨体をくねらせると、途中にある無人の自動車を残骸に変えながら、その元までたどり着く。
と、ラルヴァは、無貌の頭部をバックリと開いた。
ババッ! ババッ! ババババババッ!!
ラルヴァの体表が弾け、幾つもの風穴を開ける。
だがその傷も、ゲル状の体が直に塞ぎ、致命傷とはならなかった。
だが、ラルヴァの敵意を引くのには成功したらしい。ゲル状の背から幾本もの触手を伸ばすと、攻撃を仕掛けて来た敵に対して鞭の様に伸ばした。
パスン! パスン!
銃音が響き、その度に触手が寸断される。
『!! !!!!!! !!! !!!!!!』
声なき悲鳴が闇夜に響いた。
パパ―――――――――ヴン!!
爆音が轟き、昏闇の中から鉄の塊が高速で飛び出す。 【疾風攻機ブロウゲイル】(2/2)
「アームドチェンジ」
静かな声がキーコマンドを発すると、その鉄の塊……武装バイクは展開し、翔の体を鎧の様に包み込んだ。
脚部のスフィアが回転し、エアロスラスタがバランスを制御する。
その身にかかるGに舌打ちをしながらも、翔はガトリングガンをラルヴァの体にばら撒いた。
『!!!! !! !!!!!!』
度重なる攻撃にラルヴァの怒気が膨らむ。背からの触手が、あたかもミサイルの様に射出され、武装バイクのスタンド形態“ブロウゲイル”に襲い掛かる。
だが翔は、スフィアとエアロスラスタ―を駆使し、まるでダンスを踊る様にその触手を避けると、追撃のガトリングをさらに叩き込んだ。
『!!!!!! !!!! !!!!』
ラルヴァがブロウゲイルの方を向く。完全に敵だと認識したのだろう。だが、翔はそれを確認すると全力で後退を選択した。
すでに、怒りに支配されたラルヴァは、ブロウゲイルの後を追い足を走らせる。翔は、敵が思った通りに動いたのを見て、口の端を吊り上げた。
「追って来いよ、ここは死への一本道だ!」
現場から十分に離れたと感じた翔は、ブロウゲイルの背面パックからエネルギーバイパスを引き出すと、ガトリングのグリップに接続する。
ガトリングは砲身中央から二分割に割れ、その間にバチバチと放電が始まった。
ラルヴァもまったく馬鹿と言う訳では無い。ドスドスと走りながらも触手弾をブロウゲイルに向かい発射し続ける。
背面走行の上、加速重粒子砲の狙いを付けている翔に、それを避けている余裕はない。
だが、鎧と成っているブロウゲイルの装甲は伊達では無かった。
幾つもの触手弾が、掠り、間直で爆発するも、その装甲は凹みこそすれど、内部にまでダメージを通す事は無かった。
『!!! !!!!』
「次元の狭間に還れ!!」
その一瞬、ヒョボッと言う音と共に、ラルヴァの体は四肢を残し消滅した。
******
21世紀もとおに過ぎ、エネルギー不足は深刻な状況に陥っていた。
そんなある時、科学者の一人が相違次元から“まだ何物にも成っていない粒子”を取り出す事に成功する。
何物でもない粒子、シュレディンガー粒子と名付けられたそれは、エネルギー問題を解決する新たな粒子として受け入れられた。
だが、その粒子こそ幻創世界で語られた“魔力”で有る等と誰も知り得る者は居なかった。
魔力の満ちる時、幻想だと思っていたかつての怪物達が蘇る時である。
今はまだ、都市伝説だとしてしか語られないそれらが、完全に復活した時、果たして人類に……
******
朝の高速、疎らな車の間を縫うようにして走るバイクがある。
風祭 翔、彼が人類存続の為の戦いに身を投じる事に成る等、彼もまだ気づいては居なかった。 お題『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』締切
【参加作品一覧】
>>585【異世界召喚】
>>588【悪魔の召喚】
>>592【忍び寄る黒い悪魔】
>>599【ああ黒歴史よ】
>>602【故郷の錦】
>>614【疾風攻機ブロウゲイル】 久々に5つお題に戻してみたい
全部入りを挑戦しても良し
一つに絞っても良し
>>620-624 ☆お題→『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→6/24の22時まで
☆平行して前回お題作品について投票を行います→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。
作品一覧は>>617より。
【見逃し防止のため、作品投稿、投票の際はこのレスに安価してください】 >>614
前回お題『オカルト』『チェンジ』『召喚』をチョイスして刻限すぎて見参だ! ブロウゲイル・ガトリング〜
とある『オカルト』系都市伝説の噂によれば、明かりの消えた街角で、魔導士がラルヴァなる怪物を『召喚』していると言う〜
ってことで魔方陣から現れた、半透明のトカゲこと、人間食らって消化中のゲル野郎がお目見えだ! さあ、コイツに風穴あけるのは、「アームド『チェンジ』」を叫ぶ風祭さん〜、エアロスラスターとダンスを踊る〜、
ここが死への一本道だ! 熱いぜ! 銃撃戦で追い足走らせ、お題消化の物語、熱く弾けるガトリングの銃身が、放電帯びて決め技炸裂〜ッ、ってあれ、これ途中END?w
声なき悲鳴を夜に響かせ、風を切り裂くブロウゲイル! 人機一体の殲滅戦は、まだまだ描き足りねえといった感、続編の存在を予感させる寸止めオチで迸る閃光を魅せたァw >>626
感想、いつも有難うございます
帰宅後、急いで書き始めたのですが、〆切、10分前に慌ててまとめて投稿したのですが、結果、過ぎていると言うorz 言っちゃ悪いけど自分にとって7‐3お題は、やりやすいけど書く気が燃えなくて困ってた。
久しぶりの5‐自由お題だからちょっと本気出すぜ? >>625 全部選択!
使用したお題:『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』
【長年の夢】
「父さん、待てって!」
「えぇい、離せ!」
病院のベッドで大人しくしている事を拒む父を何とか宥めてみるが、大人しく言うことを聞いてくれない。
「長年の夢がようやく叶うって時に病気でもないのに大人しくしてられるか!」
「父さんが定年後に蕎麦屋をやるのが夢だったってのは分かってるけど、そんな状態で行ってどうすんだよ!?」
いつも蕎麦打ちの特訓をして、家族に振る舞っていたんだ。それくらいは知っている。先週、念願叶って蕎麦屋を開店したばかりだから気持ちもよくわかる。だが今行ったところで、その場しのぎの対処すら出来ないだろう。
「あそこは蕎麦屋の激戦区なんだぞ! そんな所で開店してすぐに閉めた日にはあの立地に参戦した意味がないだろうが!」
「だから、もう少し離れた場所にしろって言っただろ! それならここまで焦る必要も無かった!」
「くそったれ、なんでこんな事になっちまったんだよ……」
「父さん……」
激戦区の中に作った個人店だ。その場しのぎの対応でどうにか出来る話じゃない。そもそも開店したばかりの父の店には蕎麦を打てるのは父しかいない。後は知り合いの子がアルバイトに来ている程度だ。
定年を迎えるまでに自宅で蕎麦打ちを鍛え、父の友人の蕎麦職人の指導も受けて大丈夫だろうと太鼓判を押されて、退職金を使って開いた店だ。そりゃ悔しいに決まってるだろう。
「父さん、気持ちは分かるけどさ……」
「うるせぇ……。俺の何が分かる……」
先週までは喜びに満ちていた父の悔しそうな顔を見ると心が痛む……。だけど……。
「くそったれ! なんでこんな時に事故で両腕を骨折しちまったんだよ!」
交通事故で両腕を骨折してしまい、入院している父を見て俺まで悲しくなってしまう。だけど、腕の骨折だとどうやったって手打ちの蕎麦は作れないだろう……。 >>629
料理マンガなら、主人公が助っ人を買って出るシュチュエーションなのですが……
現実は無情
動かなければ事態は好転しないけれど、これも天から与えられた充電期間だと思って、頑張って欲しいところですね というより変化がある方が良い
新しいお題の出し方もちょくちょく開拓したいね その辺の意見は随時受け付けてるよ〜
っていうかむしろ意見欲しいな >>632
思いつきで
* 〇〇のお題は必ず含めること
* 相反するお題を組み合わせること
(あるいは相反する二つを組みで募集するとか)
* 二つ(あるいは三つ)のグループから一つづつ選択すること
お題募集時は Aグループ >>XX1-XX3 Bグループ >>XX4-XX6 Cグループ >>XX7-XX9
うーん、これだと複雑になりそうだ ジャンルお題と、これまでの5つのお題から自由選択とかは?
ファンタジーとか恋愛とかホラーのジャンル指定と、今まで通りの自由選択って感じ。
難易度上がりそうではあるけど。 >>625 初挑戦です!
使用したお題:「その場しのぎ」「病気」
{嘘から出た魔王}(1/2)
「なんなんだここは……」
ただそこら辺を散歩していたはずが、眩い光に目がくらんだと思えば、どこかの城の王宮の中央に僕は立っていた。
「おお!勇者よ、よくぞ召喚に応じられた」
言葉からして、この貫禄ある初老の男性が僕を謎の力によって呼び出したことはすぐに理解できた。期待の目に当てられて、僕は間髪入 れず言葉を発した。
「そ、そうとも!僕こそが元の世界では容姿端麗、頭脳明晰、公明正大。勇者の中の勇者とは僕のことだ!」
「なんと心強い!この方ならばあの忌まわしき魔王を退治してくれるだろう!」
またやってしまった、僕は緊張するとその場しのぎのウソをついてしまう、いわゆるそういう病気なのだ。
「この世界に召喚されすぐに悪いが、魔王城にいる魔王を討伐していただきたい。」
「ふむ、そうか。それで仲間は?」
「なにを言うか勇者殿、あなた一人決まっているではないか、地図とお金はもちろん渡そう。」
「そ、それもそうだな。足手まといは必要ないぞ!」
追い出されるように城から出た。なにもスキルなんて持ってないのに……。
******
歩いていると、頭を覆える大きさのトカゲのような頭蓋骨が落ちていた。何もないよりはましだと思いそれをかぶった。と同時にとある 村につき、村人に話しかけられた。
「その骨はまさか、この近辺を縄張りにして悪さをしているドラゴニュートのものじゃないかじゃないか!」
「そ、そうとも!王宮からの命をうけて魔王を討伐しに来た勇者である!手始めにドラゴニュートを狩ってやったぞ」
「すごい!さすが勇者様だ!俺も旅について行きます!」
「かまわん、僕についてこい」
勢いで仲間ができてしまった。もう逃げることすらできなくなってしまった。
******
ある町では、僕がお尋ね者とぶつかり罵声を浴びせられ縮こまる中、憲兵がその者に気づき捕獲した。あえて弱気になりその場にとどめ た、とその場しのぎを言うと。賛美の言葉を投げかけられ、またついてきたいという仲間が増えた。
またある町では、路頭に迷っている少女を哀れに思いお金を渡すと、実は神の使いであり、僕はその場しのぎでこれは神の恵みだ、とい うと少女は感銘をうけて仲間に。
さらにある独裁者が支配する町では、世の中に絶望している少年と会い、世界は広いんだ、意思があればいいのだ、と石を拾い空に投げ ると、独裁者の像にぶつかり倒れ、壊れた。その破壊が革命の狼煙となり独裁者は退治され、少年は希望を取り戻し仲間になった。
******
その場しのぎでしのぎ続けるうちに数百人の大所帯になり、ついに魔王城についた。もはやこの人数だと魔物は襲ってこず、魔王の玉座ま で簡単に来れた。 [嘘から出た魔王}(2/2)
「……話は聞いているぞ、貴様が勇者か?」
「そうだ、僕が勇者だ」
肌で感じる程の敵意が魔王からとんできた。こんなのに勝てるわけない。絶望している中、仲間の一人が、魔王に向けて。
「勇者様はうちの村の悪さをしているドラゴニュートを退治したんだぞ!」
「奇遇だな、我が輩もだ。奴らは気性が荒くて困ったものだ」
またある一人が。
「お尋ね者もとっ捕まえたんだぜ」
「奇遇だな、我が輩もだ。若い頃、賞金稼ぎによく狩ったものだ」
また一人が。
「神の使いである私に損得勘定無しに恵みを与えて下さったのよ!」
「奇遇だな、我が輩もだ。七つの大罪を天界に神の代わりに持ち運んだのは骨が折れたぞ」
さらに一人が
「独裁者から救って、なおかつ希望をくれた!」
「奇遇だな、我が輩もだ。地獄を占領している閻魔に説得するのは苦労したぞ」
「〜〜した」「我が輩もだ。」「〜〜した」「我が輩もだ。」
今まで、僕がしてきたことを全て魔王はこなしていた。スケールが大きく、きっと僕のようなその場しのぎのウソではなくマジだ。この ままだと、戯れ混じりで虐殺される。
「さてはおぬし……」
ああ、もうだめだ。
「我が輩のファンだな!?」
「そ、そうだ!魔族と手を取り合うには、リスペクトが必要だと思い、魔族の魔王である貴様を模倣したのだ!」
間髪入れずに、その場しのぎのウソを言った。もうどうにでもなれ。
「貴様のような人間を待っていた。同じ目線に立ち、手を差し伸べる人間を。」
「ふ、ふふふ魔王よ、貴様の生き様、王たる素晴らしさであった」
「何を言う勇者よ、我が偉業を自分なりに解釈するとは恐れ入ったぞ。」
互いを尊敬し合いながら握手をすると同時に、人間側、魔族側から歓声が上がった。これから種族問わない平和が訪れるだろう。その場 しのぎで綴られた一つの物語。 >>629
帰ってきたお題5〜、629氏が早速、お題全選択にチャレンジだ、ロング・ロング・バケーション!
さあ物語は、自営で『蕎麦打ち』するのが長年の『夢』、できたて蕎麦屋の店主こと、親父さんの嘆きの声でスタート〜
定年後、蕎麦の激戦地に『参戦』し、第二の航海に乗り出した親父さんが、このまま大人しくしてられるかと、悔しさを滲ませているー!?
『病気』じゃないけど『その場しのぎ』的対処すらできねえ通院状態、どういう状況…って、両腕・骨折でしたオチ〜ッ?! いったい何があったんだよw
短き中でもお題かける5フルクリア!! 速攻職人629氏が、戦地行きたく、じりじりジレて我慢ならねえ定年男の戦意を描いた、まだ待てまだ待て、ハウスハウスENDでお題5突破ァ〜乙!
>>635
選択お題は『その場しのぎ』『病気』〜、初登場635氏が描く、愛しき嘘と愛すべき勇者!!
さあ主人公は、緊張すると『その場しのぎ』のウソをついてしまう自称『病気』の勇者〜、相手の誤解を否定せず、むしろ勢い&ノリを武器にして、仲間を増やす快進撃だァ
お題は余裕で消化だが、慕う人々横目にしつつ、骸骨カブトの中の勇者は冷や汗たらり〜
そんなこんなをしのぎ続けて数百人w もはやデモ隊の様相を呈する異常なパーティを前にして、魔王城はもぬけのカラァ〜、口だけ勇者が玉座の魔王と敬意を交わし、血を見ることなくゲームクリアww
そう、真の平和とは、相手を認めることから始まるもの! 635氏が描いて魅せた冒険譚は、嘘でマコトをかわし抜き、足りぬ実力でっちあげで追っ付けて、冷や汗報われ笑顔こぼれる、大団円 ENDだァ〜! スレの容量制限512Kまで残、約50Kだね
早ければ次の回あたりで埋まるか >>635
成り上がり物語ですね
優しい嘘は方便とも言います
世界が救われる嘘、素敵ですねw >>633
上の二つ実践しやすそうでいいね
次の締めで検討してみよう
>>634
ジャンル指定好きなんだけど、確かここまで二回くらいジャンル指定にしたときは「詩」とか激ムズお題になって余り盛り上がらなかったトラウマがあるw
これまでのから5つも確か初代進行さんが年末にやってたね。そろそろ上半期終わるしこの辺でやってみても良いかも。
>>638
ほんとだ
ここまでこのスレ内で何回締めたかなって数えたら次が10回目っぽいね、ってことは一回につき50kb弱くらいずつ消費してるのか……。平均的なら次回か次々回ってとこだね、スレがここまで続いて本当に有り難いことです >>635
なんだか魔王側よりも人間側のほうが勇者にやっつけられてる感じだね
価値観が違う相手を排除したいというのは理解できるけど、
そこで魔王と同じ価値観のある勇者を召喚したのが間違いとも取れる
魔王が勇者一行にびびってやっぱり嘘を付いていたっていうのでなければ、だけど >>673 感想ありがとうございます!隅々まで見てくださり感謝感激雨霰でございます!
>>639 感想ありがとうございます!誰も傷つかないような世界を目指して書きました! >>641 感想ありがとうございます!コメディに寄りすぎてご指摘の通り、話の整合性が取れなくてなってしまったかなと反省しています。
投稿した後に作品の補足をするのは蛇足感がありますが、勇者一行を下手に刺激すれば暴動が起き、疲弊する可能性があるので魔王が通すように命令しました。
勇者一行との戦闘準備は実はしていたので、魔王はびびってはいませんでした。心情の描写がたりなかったかなと猛省しております。 >>643
あやふやな部分を色々想像できるのも文学に限らず創作物の楽しみ方の一つだから、
あまりガチガチに固められるのも困りものだと思うよ
中には全ての描写が欲しいって人がいるかもしれないけど、そのへんはバランスだよなあ >>625 お題全部
選択したお題:『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』
【拒絶】
夏休み中の最後の夏期補習が終わり階段を降りた所で、廊下に佇む一つ上の幼馴染に声を掛けられる。
すでに耳へと届いていたようで、僕が学校に内緒でこっそり参戦していた全日本高校蕎麦打ち名人大会における個人の部の予選通過を祝ってくれた。
家がうどん屋ということもあってうどん派の幼馴染だが、蕎麦が嫌いなわけじゃない。それどころか僕の打つ蕎麦を土下座でせがむくらいだ。
そんな幼馴染を邪険にしながら、自転車を並走させて家路につく。通学で毎日二つの山を越えることで鍛えられた足腰は、蕎麦打ちの時の踏ん張りに役立っている。
今日もさっそく着替え、蕎麦打ちを始める前に仏壇へと手を合わせて祖母に祈った。祖母は僕の蕎麦打ちの原点だ。
僕が小学生の頃に初めて打ったボロボロの蕎麦を、病気で自宅療養していた祖母が美味しいと言って食べてくれたのは大切な思い出となっている。
祖母は僕が中学へ上がる前に他界となったけど、喜んで貰えた事が嬉しくて週末には蕎麦を打つようになり、祖母のお葬式の時も家族に呆れられながら打った蕎麦を霊前にお供えした。
高校生になると大会があることを知って毎日打つようにしている。
一年の時は料理部に所属していたけど蕎麦打ち名人大会の参加に関して他の部員達と衝突し、お調子者である顧問のその場しのぎの対応によって部活動としての参加ができなくなった。
僕がそれを機に料理部から退き、二年になって学校に隠したまま大会に参戦したのはそういう理由からだ。
睡眠時間を削っている影響か、夏場だと言うのに酷くなる一方の荒れた手を気にしつつ立ち上がり、台所で感覚を確かめながら蕎麦を打つ。明日の本選へと備えるために。
そして迎えた本選のさなか、僕は気を失う事になった。
☆ ☆ ☆
気がつくと庭先で咲く梅の花を縁側に座って眺めながら、死んだはずの祖母が幼くなった僕を抱えて頭を撫でてくれていた。
無理のし過ぎを諌められながらも、催促されたのはうどん。幼い僕は素直に肯首して、立ち上がる。家の外から幼馴染の呼びかけが聞こえたからだ。
僕は名残惜しい思いをしながらも、笑顔の祖母に見送られて家を出た。
眠りから覚めて目に飛び込んで来たのは家族と幼馴染の姿。みんな安堵の表情をしているのが印象的だ。
医師が来て僕を診察し看護師が点滴を調整していると、段々と意識がはっきりとしてきてここが病院であることを察する。
医師のお墨付きで人工呼吸器を外され、医師と看護師が個室から出ていくと、父は僕がこの病室にいるいきさつを話してくれた。
本選会場で蕎麦を打ち麺を切る段階になって、苦しみだした僕は倒れてしまったという。全身に赤い湿疹が出来て、呼吸困難に陥っていたようだ。
会場に待機していた医師が急性蕎麦アレルギーを疑い、アドレナリン注射による緊急処置ののち救急車で病院へと運ばれて治療を受け、夕方である今に至るということを聞かされた。
稀な症例のようではあるけど、肌荒れがあるままアレルギー性の食べ物をいじるだけで、ある日突然アレルギー体質になることがあるらしい。
僕の場合はそれが蕎麦だったってことみたいだ。
この先蕎麦打ちが出来ないことに残念な気持ちはあるけれど、不思議と哀しみはない。
夢の中で祖母がうどんを食べたがっていたことを話すと、家族が笑い声を上げる。
僕の右手をずっと撫でていた気持ちの悪い幼馴染が、遠回しに蕎麦が打てないならばうどん屋であるうちでうどんを打てばいいと言い出すと、家族が茶々を入れ始めた。
いや、父だけは鬼の形相で幼馴染を問い詰めている。いい気味だと思っていたら、強面の看護師さんが部屋にすっ飛んできて騒がしいと怒られた。
翌日の午前中には退院となったが、蕎麦粉まみれな我が家の掃除が終わっていないからと幼馴染の家に押し込まれた。
その日初めて打ったうどんで祖母の墓参り。喜んでくれると嬉しい。
墓前にお供えしたうどんを狙って、僕の後ろから肩越しに伸ばす幼馴染の手を無言ではたく。
祖母に笑われている気がした。
〈おしまい〉 >>645
その場しのぎだけがとってつけたかのような使い方で惜しいと思った。まさにその場しのぎなお題消化(つまり全消化できてる⁉︎ >>645
祖母を想い蕎麦を打つ孫
きっと夢枕に立ったお祖母さんは、そんな孫を気遣ったのでしょうね
何時でも貴方を見ていますよ……と >>645
汲めども尽きぬ、短編スレ民のチャレンジング・スピリッツ〜、お題全挑戦、選びぬけ取捨選択のヌードル!
さあ、蕎麦職人の卵こと、主人公が語り始める〜、学校秘密で『蕎麦打ち』大会に『参戦』するが、所属の料理部は顧問の『その場しのぎ』で機能停止し、
それでも己のウデを試そうと〜、主人公が大会出場、強行するも、急性蕎麦アレルギーで失神だ〜ッ!? (※なお蕎麦アレルギーは実際に意識障害などを引き起こす場合があります)
ここで『夢』に現れるのは、彼の蕎麦打ち起源、かつては『病気』で療養していた亡き祖母だ〜、彼女が指し示すのは蕎麦、ではなく、うどん!?
ラスト、お題5をたいらげた物語は優しき祖母の導きで、蕎麦からうどんに路線変更〜、墓を参る主人公が、うどん屋女子と未来を紡ぐ、ほっこりヌードルENDでフィニッシュ! 固定お題
安価の順にお題を消費しなければならない
あれ? 感想ありがとうございます!
>>646
書き上げた当初は「緊急処置」と「幼馴染の家に押し込まれた」部分にも「その場しのぎ」を付けていたのですが冗長だと思って消してしまいました
同様に「アレルギー」に関しても「病気」を付けるのは強調しすぎだと思い消しています
個人的には「参戦」←→「参加」が苦しいかなと思ってました
「蕎麦打ち名人大会」を「蕎麦打ち武闘大会」にしようかと悩むくらいには
でも、「その場しのぎなお題消化」という解釈もいいですね
すぐには思いつかないけど機会があれば狙って使いたいです
>>647
夢で祖母の一言がないと多分荒れていた事でしょう
幼い頃に言われた事って後にも響くので、夢の中の『僕』が幼いのはそれを意図しています
>>648
実は『僕』と『幼馴染』の性別はそれぞれ決めてなく、どちらとでも取れればいいなと思っています
書き方に無理があるかな?(作者は僕っ娘好き)
でも男同士は勘弁願いますw
当初タイトルは〈アレルギー〉でしたが『幼馴染』も絡ませたくて今の形にしました
上っ面の拒絶だけで、本当は仲がいいんですけどね(多分) >>625 はっちゃけました
選択したお題:『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』
【SOBA】
民間人として軍に同行することを許され、その場その場で蕎麦を振る舞う日本人の従軍蕎麦打ち職人がいることをご存知だろうか。
今回はそんな職人の一人である傍野将也(そばのまさなり)さんに迫る。
傍野さんは定年退職後に一人旅で訪れた異国の地で、テロリストによる襲撃に巻き込まれた。人で混雑する街道のなか、後ろから銃撃されたのだ。
その時たまたま背負っていた延し板はことごとく弾丸を弾き、本人の命どころか彼の前にいた少なくない命を救うこととなった。
彼は数え切れない銃弾の衝撃によって意識を失ったが、夢の中においてその地で崇められている異教の神から天啓を授かったという。
『汝、戦禍に見舞われた腹ぺこ達に蕎麦を打て』
傍野さんがテロとの戦いに参戦したのはそれからだと話す。
その時銃弾を防いだのはこれですと、表面に弾痕一つない綺麗な延し板を見せてもらった。
――これはヒノキですか?これで銃弾が防げるというのはとても信じられません。何か特別なことでもあるのでしょうか?
「この延し板は私が生まれた時に与えられました。代々伝わる我が家のヒノキからできたものです。全然普通ですよ、何も特別なことなどありません」
――先祖累々の守護が付いているというわけですね。
「私の知り合いにはA-10の掃射があって巻き添えを食らったという者がいますが、五体満足で日本に帰国してますよ。似た体験をしたと言う者も他にたくさんいます。それを守護というのであれば守護なのかもしれません」
そんな延し板で打たれる蕎麦は、奇跡のSOBAとして噂が広まっていた。
テロリストによる被害を避けようと医師が逃げ出した地域では、取り残された病人やけが人が少なくない。
病気によって起き上がれなくなるほど衰弱していた老齢の男性に、傍野さんは手打ちの蕎麦をその場で振る舞う。すると、その老人は一晩で回復した。
「ありがとう!これで曾孫の顔まで見られるよ!」
戦闘で片足を失った兵士が宿営地へと担ぎ込まれるが、人の手も薬もまるで足りないという事態に出くわす時もあった。
そんな人のためにも傍野さんは無言で蕎麦を打つと、大きな鍋で茹で上げ、医官へと渡す。
「SOBANOが作ったSOBAだぞ!その場しのぎであっても、無理やり食べておけ!体をSOBAで満たすんだ!!」
兵士は薄れ行く意識の中、お椀に蕎麦をつけてすする。その場で用意された300グラム(大盛り二人前相当)を平らげ、満足そうに目を閉じた。
失った部位が元に戻ることはなかったが傷が塞がり、流しすぎただろう血の代わりにSOBAが全身へと駆け巡ると、瞬く間に血の気を取り戻す。
結局この兵士はその後の治療を必要とせず、リハビリを行うだけとなった。
この地域におけるテロリズムがすっかり影を潜めたころ、傍野さんは次なるテロリスト集団のはびこる地へと赴く。
大勢の人に見送られる中、延し板を上段に構えて勢い良く投げた。すぐさまその上へと飛び乗って去っていく傍野さんの姿が目に焼き付いて離れない。
〈おしまい〉
※注意※
従軍蕎麦打ち職人というのは思いつきです。本気にされると困ります。
ギャグなので、蕎麦粉の品質とか水質とかは考えないで下さい。
延し板の上に飛び乗って去る描写は、ドラゴンボールの桃白白ネタです。 >>651
神に愛されし正義と平和の蕎麦職人ですねw
いつの日にか、そうやって助かった人々が蕎麦を食べつつ、和平への道を語る事を祈ります >>650
>作者は僕っ娘好き
なるほど
作者氏の属性は年上賑やか系女子でなく、そっちだったんだ
失礼、了解w >>651
蕎麦にからまった挑戦者の突撃が続くぜ、お題5を連続・全選択、つかもうぜ、SOBA・ボウル!
さて皆さんは、従軍『蕎麦打ち』職人をご存知だろうか〜、『夢』の神託に導かれ、数え切れない銃弾を、背中の延し板で受け流し、テロとの戦いに『参戦』している一人の男をw
さあ、戦闘で荒廃した土地に、奇跡のSOBA職人が降り立った〜! 『その場しのぎ』? いやいや食べてみな〜、傷病兵が食すれば傷がふさがり、『病気』で衰弱した老人が食すれば一晩で回復する伝説の蕎麦だ〜、うん、仙豆っぽい何かw
テロにはソバをもって遇せよ! 見事連続でお題を使い切った651氏が、ロマンティックあげるよ〜ロマンティックあげるよ〜、って感じで、延し板乗って空をかっ飛ぶ、傍野(そばの)さんの背中を描き、
ソバが凄いのか傍野さんのド○ゴンボール的なアレが凄いのか最後で分からなくなったぜオチで、ソバ・ボウル(椀)ENDをバシッと決めたァ〜 感想ありがとうございます!
>>652
傍野さんは蕎麦を食べてもらえれるのが生きがいの一つです
食べて喜ぶ人がいる限りどこにでも行くことでしょう
>>654
投げた蕎麦生地が爆発したり伸し棒で殴りつけたりする行為は自重しつつ、頭の中で伸し板が銃弾を防ぐというイメージが出来たらあとは勢いでした
作者としても何がすごいのかはよくわかりませんw
ギャグは難しい…… >>653
無理に作者に合わせてもらいたいわけではないので、読み手ごとに印象が変ったというのであれば願ったり叶ったりです
さらにいうと女の子同士という方が……いえ、何でもないです お題『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』締切
【参加作品一覧】
>>585【異世界召喚】
>>588【悪魔の召喚】
>>592【忍び寄る黒い悪魔】
>>599【ああ黒歴史よ】
>>602【故郷の錦】
>>614【疾風攻機ブロウゲイル】 >>657
そう言えば、これの投票〆切も残り1日ですね ええ……土日間違えたかと思って本気で焦ったじゃん…………
締め切りは明日です……。 >>625
投票対象 >>602【故郷の錦】
安心感と言うかもどかしさと言うかそのへんが良かった このレスを含めたDAT残り容量約27300バイト
日本語換算で残り約13650文字 >>625
使用お題:『参戦』『その場しのぎ』『夢』『病気』『蕎麦打ち』
【オタクとオレの道中記】(1/3)
「青い空が恋しい……」
ぐ〜〜〜。
「青井 天たんでござるか? それ、どんな幼女?」
もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ。
ふざけた事をぬかす横巨漢に、軽く殺意が沸く。
のっけから殺伐とした事を言っているのでドン引きされそうだが、先ずはオレの話を聞いて欲しい。
オレの名前は桔梗屋 巧。そこの横巨漢、細井 颯太によって『ルナティック インサニティ』と言うゲーム世界への転移に巻き込まれた高校生だ。
元々はオレの幼馴染、桐生 鏡花を巻き込むつもりだったらしいから、有る意味巻き込まれたのがオレだったのは不幸中の幸いだろう。
こいつ、夢の中で出会ったと言う女神から与えられた超チート能力【神器創造】なんて物を持っていながら、まったく使いこなせていない。
その場しのぎで余計な物を創りやがる割には、有用な神器を創った試しがないのだ。
今コイツが食ってる、レーズンブレッド“だけ”を無限に生み出す【無限パン袋】しかり、どれ程破れても股間“だけ”は無事で、何度でも再生する【海賊王の布装備】しかり……
ぶっちゃけ、このゲームのプレーヤーだったオレが居なかったら、最初に出会ったエネミーで、コイツ確実に死んでただろう。
さて、『ルナティック インサニティ』と言うゲームなのだが、狂った世界観が売りであり、眼前の風景はと言えば、血の様な赤い空と骨色の大地、そして肉色の植物群と言う精神がどうにか成りそうな色合いなのだ。
最初のオレの呟きも、もっともだと納得してもらえると思う。
それに加えて今は腹も減っている為、イライラも最高潮と言った所なのだ。
「意地を張らずに、パンを食べれば良いでござるに」
「うるさいよ! お前と違って、俺は四六時中レーズンブレッド“だけ”じゃ耐えられねーんだよ!!」
そう、この世界に来て既に3日程経ったのだが、その間食べたのが、神器、【無限パン袋】から出るレーズンブレッドと、同じく神器、【無限ペットボトル】から湧き出るだだ甘のミルクティーだけなのだ。
三食三食が全てこれなのだから、いくらなんでも飽きるっちゅーの!!
しかもミルクティーに至っては、コイツと回し飲みと言う……そろそろ拒絶してもバチは当たらないと思う。 お題『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』投票締切
【参加作品一覧】
>>629【長年の夢】
>>635【嘘から出た魔王】
>>645【拒絶】
>>651【SOBA】 【オタクとオレの道中記】(2/3)
「グビグビグビグビ……ゲェェプフゥ……甘さがいまいちなのが難点でござるな、このミルクティー」
「……いい加減、ミルクティー以外を出す気には成らねーのかよ」
「仕方ないでござろう? 同じ様な神器は2つと創れないのでござるのだから」
「だったら、出すのは“水”が湧き出る神器だろうが!!」
「おぶぅ!! 味も何にもしない飲み物なんて、あり得ないでござろうよぉ〜〜!!」
ギリギリギリギリ。
「だとしても、ちったぁ考えろ!! お前の頭は飾りか? 飾りなのか? その場しのぎで創られる神器とか、あり得んだろうが!!」
特に、何が食べられるか分からないこの世界では、神器から出せる食べ物が生命線だと言うのに、あまりにも応用が利かなさすぎるだろうが。
「おぶぅ! だったら、具体的に何が食べたいでござるか!」
「あ? え? ……天ぷらそば?」
「……渋いでござるな? お主、サラリーマンか何かでござるか?」
「黙れや……」
ギリギリギリギリギリギリギリギリ……
「おぶぅ! 創るでござる創るでござる! だからアイアンクローを止めるでござるぅ!!」
******
「で?」
ギリギリギリギリ。
「おぶぅ! 仕方ないでござろう! 食べ物も直接神器としては創れないので御座るからぁ!!」
目の前には蕎麦打ちセット。【神器創造】では生物が創れない訳だが、この横巨漢の感性では、「生物」と書いて「ナマモノ」と読んだ挙げ句、料理自体もそれに含まれるらしい。
確かに捨てれば“生ゴミ”に成るだろうさ。
だが、色々と納得が行かねぇ。
ギリギリギリギリ。
「おぶぅ! 生麺よりカップ麺派だったのでござるかぁ?」
「それ以前の問題だぁ!!」
向こうの食べ物が出る【召喚岡持】とか、【魔法のテーブルクロス】とか色々あるだろうが!!
「第一、丼やカップじゃなく、何で蕎麦打ちセット? バカなの? 死にたいの? よし! 殺そう!!」
麺棒をバットよろしく振り回す。
「そ、それは、手打ちそばは打ち立て、茹でたてが一番おいしいと聞いたでござる故……」
「ほぅ? なら、そば粉は? 茹でる為の大量のお湯は? 麺つゆは? 薬味は?」
「はっはっは、タクミ氏は記憶力が無いでござるか? 食料品は神器として作れないと……っは!!」
「よし、遺言と世迷言は済んだな? 死ねええええぇぇぇぇぇ!!!!!!」
流石に身の危険を感じたのか、横巨漢が意外な俊敏さで麺棒を避ける。
「ちょ、ちょ、待つでござる待つでござる!!」
「あぁ? 取り敢えず死んだら聞いてやる」
「死んだら言えないでござる! 死人に口なしでござる!! それより、何か音があぁ!!」 【オタクとオレの道中記】(3/3)
真剣白羽取りで必死に麺棒を押さえる横巨漢の言葉に、俺が耳を澄ます。
……確かに、何か争っている様な音がする。
何かと思い視線を向けた先には……
******
「え? マジ? マジでござるか?」
「……あり、がとう……旅人……」
「いや、それよりも、間に合って良かったですよ」
俺の前に居るのはこの世界の本当の住人達。半ば樹木と融合している様に見えるけど、れっきとした一般市民。
あの時の音は、この人達が魔獣に襲われている音だった。
俺は、それを見て乱入し、麺棒片手に大立ち回りをして……
ぎゅっぎゅっぎゅっぎゅっ。
俺は今、蕎麦を打って居る。
なんと、あの蕎麦打ちセット、流石は神器と言う性能を見せてくれた。なんと、蕎麦こね鉢に入った食べ物を全て蕎麦へと変えてしまうと言う能力を持っていたのだ。
それで、こうして、襲て来た魔獣を蕎麦としてこねている訳なのである。
蕎麦ゆで様の鍋は、この半樹人の人から借りた、流石に麺つゆは無いが、塩が有るらしいのでそれで味付けをする事にした。
「マジで? マジでそれを食べるでござるか? 魔獣でござるよ? 病気とか持って居たらどうするでござるか? 拙者は食べぬでござるよ? ってか、えんがちょ切〜ったぁ……でご〜ざるぅ!」
……
ギリギリギリギリギリギリギリギリ。
「おぶぅ! アイアンクロウは! アイアンクロウだけは止めて下されでござるうううぅぅぅぅぅぅ!!!!」 気付かず割り込んでしまって申し訳ない
仕切り直し
お題『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』締切
【参加作品一覧】
>>629【長年の夢】
>>635【嘘から出た魔王】
>>645【拒絶】
>>651【SOBA】
>>663【オタクとオレの道中記】 お題『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』投票締切
【得票数一覧】
>>602【故郷の錦】一票 さてと
上限が近いようなので、このスレで出た作品を纏め直して、新しいお題は次スレに移行して募集しましょうか
内容は
>>633>>634あたりの案から実施しても良いし、スタンダードの五個お題でも良い 進行としては
必ず含めるお題指定+自由選択がルール的にもシンプルだしやりやすいと思うけどどうだろう >>668
間に合わなかった自分の方が悪いので、お気になさらず
何か通信が遅くて、読み込みに時間がかかってしまって…… じゃあそれでいきましょう
募集はここでして作品受付は次スレということで
指定お題>>676
自由選択>>677-680 自分のレスを含めるミスをやらかしたのでもう一つ
>>682 集まらないので今日はここで締めよう
次スレ立てます 私からお題「ねこ」を足して
☆お題→『はっぱ』を必ず入れる+自由選択『名物料理』『ホワミル』『W杯』『ねこ』
☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割OK
☆締め切り→7/1の22時まで
☆平行して前回お題作品について投票を行います→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。
作品一覧は>>668より。
【見逃し防止のため、作品投稿、投票の際はこのレスに安価してください】 次スレです
作品受付はこちらにお願いします。
安価・お題で短編小説を書こう!4
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1529860332/
このスレは作品への感想等につかっていただければと思います 募集期間2018.4/1〜4/8
お題『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
参加作品一覧(1/2)
(前スレ)
808【ウソから出たマコト】
811【忍者の仕事】
813【ヤイバ】
819【遺品の整理】
822【クレタ人は嘘つき】
828【方舟】 参加作品一覧(2/2)
>>8【馬鹿話】
>>12【嘘の中の真実】
>>14【四月の愚者】
>>16【ON AIR with her その2】
>>32【忍者のエイプリルフール】
>>35【無題】
>>43【まあまあ落ち着いて】 募集期間2018.4/8〜4/15
お題『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
参加作品一覧(1/2)
>>64【一幕】
>>73【ある猫の話】
>>77【Revolution ZOO】
>>86【桜舞う下で君と】 参加小説一覧(2/2)
>>93【計画されたハプニング】
>>95【魅力のあるもの】
>>100【遊園地にて】
>>104【僕のVRMMO事情】 募集期間2018.4/15〜4/22
お題『伝説』『五七五』『呂律の回らない酔っ払いが登場する』『出不精』『柳眉』
参加作品一覧
>>128【過ぎ去ったブーム】
>>132【アルセリナ戦記】 募集期間2018.4/22〜4/29
お題『7』『実験』『スマホ』『池袋』『美人上司』『爆発』『マジレス』
【参加作品一覧】(1/2)
>>178【爆発! 可哀想な者倶楽部】
>>183【宇宙の地図】
>>190【論理的オーバースペック】
>>193【メガネをはずしてください】
>>200【人が死なない爆弾】 【参加作品一覧】(2/2)
>>203【リバイバル】
>>211【アルケミスタ】
>>214【この中に一人、嘘付きがいる】
>>222【美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】 募集期間2018.4/29〜5/6
お題『気持ち悪い』『続編』『合体』『グッバイ』『赤ワイン』『英単語三文字の略語』『ロボ』
参加作品一覧
>>259【懐古】
>>263【幼馴染、気持ち悪い】
>>266【続編・美人過ぎる女上司が俺に厳しい気がしたけど勘違いだった件について】
>>272【シリーズ物の予告を集めてみた】
>>279【ワイングラスの縁】
>>284【思考性電脳純愛】
>>290【続編・山間の子供達】 募集期間2018.5/6〜5/13
お題『最強』『乗り物を登場させる』『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』『全力』
参加作品一覧
>>317【夏が始まる】
>>333【水面の月】
>>336【海王クラーケンの色々な冒険】
>>340【走る密室】 募集期間2018.5/13〜5/20
お題『対決』『母』『5月病』『魔法』『サブミッション』『芋焼酎』
【参加作品一覧】(1/2)
>>355【母子バトル】
>>357【二人の魔法使い】
>>361【やるキー】
>>367【戦争は最大の利益を生む】 参加作品一覧(2/2)
>>376【母は強し】
>>386【無題】
>>404【お題でオチバレしているよね】
>>411【女房酒】 募集期間2018.5/20〜5/27
お題『逆上がり』『雨』『女装』『音楽』『悪魔』『同性愛』『ガソリンスタンドI』
【参加作品一覧】(1/2)
>>436【悪魔の音楽会】
>>444【メイドリフレ『とろい』】
>>448【無題】
>>451【都市伝説「雨女」】 【参加作品一覧】(2/2)
>>460【キックオーバー】
>>461【雨の日の出会い】
>>464【ゆうやけこやけ】
>>467【デビランドトゥギャザー】
>>469【因果応報】
>>474【俺の親友】 募集期間018.5/27〜6/3
お題『怪盗』『バタフライエフェクト』『昔話』『ガーターベルト』『メイド』『誰かが雄叫びをあげる』『悩み』
【参加作品一覧】
>>498【怪盗バタフライエフェクトの悩み】1〜7
>>502【前編】
>>511【思春期地球防衛機デッカイザー】
>>522【くノ一ボタンの色々な冒険】
>>528【クレインエフェクト】
>>531【前編、その2】
>>540【神算鬼謀】 募集期間2018.6/3〜6/10
お題『水着』『イケメン』『年の差』『パニック』『遺伝』『電車』『北欧神話』
【参加作品一覧】
>>557【気が付けば終着駅】
>>568【アースガルドシンフォニー】 募集期間2018.6/10〜6/17
お題『インターネット』『オカルト』『新人賞』『講演』『自己紹介』『チェンジ』『召喚』
【参加作品一覧】
>>585【異世界召喚】
>>588【悪魔の召喚】
>>592【忍び寄る黒い悪魔】
>>599【ああ黒歴史よ】
>>602【故郷の錦】
>>614【疾風攻機ブロウゲイル】 2018.6/17〜6/24
お題『参戦』『その場しのぎ』『病気』『夢』『蕎麦打ち』
【参加作品一覧】
>>629【長年の夢】
>>635【嘘から出た魔王】
>>645【拒絶】
>>651【SOBA】
>>663【オタクとオレの道中記】 このスレ内だけで計75作品
盛り上げて下さった皆さん、ありがとうございました
もし「これは!」と思う作品があれば、一言でも良いので感想を下さると作者さんの励みにもなるし、スレがいい感じに埋まります >>701
進行氏乙、ありがとう!
あらためて堂々たるラインナップだね
感動から笑い、アイデアものまで作者の格闘が光っている
良スレだよ どれもとても良いから優劣は付けられないけど、こいつは忘れられない、という作品をピックアップ!
>>73【ある猫の話】
泣けた
こんな猫が飼いたいw
>>183【宇宙の地図】
アイデアと宇宙不思議感が素晴らしい
短編らしい短編
>>376【母は強し】
笑った、スレでも大人気だった
シリーズ化が求まれる
>>451【都市伝説「雨女」】
スレ中、最も壊れていたと思う
寒気がするw
>>469【因果応報】
映像が目に浮かぶ
完成されたドタバタ感がかなり好き やべぇ、こんなに大量に作品あったのか・・・なんかすでに懐かしい。
全部見直そうかな こうやって改めて見ると結構な数あるんだね
自分のも割と結構書いてるのも実感するw ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています