創作 ちょい前に痴漢冤罪の創作話を足して見た。
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弁護士、助手が事務所を出て数時間後。
弁護士「」
助手「」 助手「御両親、憔悴していましたね。」
弁護士「 ああ、そうだったな」
数時間前
母「この度は来てくださりありがとうございます…先生たちには本当に御迷惑をお掛けいたしました。」
弁護士「そんなとんでもございません。こちらこそ息子さんのお力になれず申し訳ありませんでした。」 父「あの一件があってから私達は息子に会いに行こうと何度も連絡しましたが、息子からは今会うと父さん母さんに迷惑がかかる。今は色々忙しいし俺は大丈夫だから心配しないでくれと言われて・・・」
父「あの時、会いに行ってやればこんな事には・・・」母「うっ・・・ううー!」
父「母さん・・・先生すいません、今日のところはこの辺で。」
弁護士「わかりました。では、これで」
助手「失礼いたしました。」 それから数十分後。
男の勤めていた会社前。
弁護士「すまないが、君は先に事務所に戻っておいてくれ、男さんの部長への報告はちょっときついものになるかもしれないからな。」
助手「わかりました。先生、大丈夫ですか?」
弁護士「ああ、さてなんと話そうかな。事実を伝えるだけなんだが、その後がなあ・・・」
弁護士は大きな溜息をついてから会社のロビーへ入って行った。 弁護士「今戻ったよ。」
助手「おかえりなさい先生。男さんの部長への報告はどうでしたか?」
弁護士はデスクの椅子に座り込みうなるような溜息をついた。
弁護士「部長さんも憔悴してたよ、ひどいもんだったよ、近々休職するつもりだと話していたよ。」
助手「やはり、男さんの自殺をニュースで知って?」
弁護士「いや、ニュースで知ってはいたがその前日にとんでもない事が男さんからあったと話されてね。」
助手「とんでもない事?」 弁護士「今回の冤罪事件は彼は自分の人生を狂わせられ、何もかもを失った。その復讐を原因である女性に自殺という形で行い、事件終わらせたと私はそう思っていた。」
弁護士「だが、彼の復讐はそれだけではなかったんだ。」 男が亡くなる1日前
会社の受付女性「あっ・・・」
男「すいませんが、部長に会いたいのですが。」
会社の受付女性「部長はこれから会議の時間になるので、すいませんが」
男「じゃあ、待っているから会議が終わったら呼んでください」
受付女性「あの、しかし・・・」
男「そちらの邪魔はしませんから!いいでしょ?それくらい。」
男はそう言ってロビー待合のソファに座りじっと前を見続けていた。」 数時間後
部長「男さんどうしたんだね?」
男「ちょっとお話しよろしいですか?すぐすみますので。」
部長は男をロビー奥の来客室に案内しテーブルに向かい合って座る。
男「こちらを」と男は部長に封筒を差し出す
部長「これは?」
男「先日、退職金として渡されたお金です。」「私には退職金を受け取る理由がありませんので、お返しいたします。」
部長「きっ君、会社は君を懲戒免職にしたわけではない。それは君が自主退職したから渡したものであって・・・」
男「はい、しかし私は自主退職したくはなかったのです。部長は私が会社に残りたい意思を知らなかったわけではないですよね?あの時私があなたに伝えたのですからね。」
部長「」
男「自主退職なんかしてませんよ。私は懲戒免職されたのですよ。あなたの圧力でね。」
男「だからこのお金はいりません。」
部長「お、おい・・・」
男「あと、これは以前の会議のために作成していたプレゼンテーション資料です。」「遅くなってしまいましたが、今後の会議の資料として使えるかと思います。では、私はこれで失礼します。」
部長「男くん、待ってくれ!」
部長が呼び止めるが男は振り返る事なく会社のロビーを出て人混みの中へと消えて行った。 弁護士「・・・そんな事があったのですか。」
部長「ああ、その封筒には別に食事代も入っていたよ。私が彼に奢った分だったんだろうな。」「私からの奢りなんていらないってわけだ・・・」
部長「先生。私は決して彼を追い出したかったわけではない。しかし、この事は私ではどうにもならなかった事なのですよ!」
弁護士「部長さん。それは、わかっていますよ。」
部長「・・・もっと彼を助ければ、次の働き口を世話してやればよかったのだろうか、あの時私を見た彼の目は・・・すまない。」
弁護士「」 助手「そんな話があったのですか。」
弁護士「彼は守ってくれなかった部長を恨んでいたのだよ。死を前にしてせめてもの当てつけだったのかな。」
助手「しかし、部長は部長なりに助けようと。」
弁護士「だが、追い出した事実には変わりはなかった。彼はそれを恨んでいた。」 助手「」
弁護士「」
弁護士「彼がやったのはこれだけなのかな?嫌な予感がする。」
続きは後日書きます。 http://news4vip.livedoor.biz/archives/52228165.html 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1f88dfd52ce89645eb0ae312191b2333) 男 (たったひとつの勘違いから俺は全てを奪われた)
(これを抱えたままなんかで終われない。)
(俺がやるべき事は・・・!) 男「ピッポッパッ・・・もしもし・・・」
女の家に向かう1日前
「カチカチカチ・・・」
「フウー長かったなあ、疲れたー」
「すいません、これを速達でお願いします。」 男が亡くなってからしばらく経った後
助手「先生、大変です!」 弁護士「どうしたんだね?」
助手「これを見てください!」
弁護士「週刊誌?・・・痴漢冤罪者の叫び⁉」 「本誌独占取材!痴漢冤罪者の男が語る悲劇。周りがみんな敵になった。」
弁護士「」
数分間事務所を重い空気が流れる。
弁護士「なんて事だ、これは男さんの事じゃないか、痴漢冤罪に巻き込まれてからの経緯が事細かく書かれている。」
「話を聞いてくれなかった女性と駅員、見て見ぬ振りした乗客、自白強要した警官、退職に追い込んだ会社。それに、訴えを聞き入れない裁判官、それと・・・自分を見捨てた妻とまで・・・」 助手「それって、こちらの事も書かれているのですか?」
弁護士「いや、それは書かれていないようだな。」
そう言ってから、思いついたようにテレビをつける。
(では、今週発売された週刊誌の記事ですが、・・・)
弁護士「やはりな・・・」
助手「」 (本日は痴漢冤罪の現状について、当番組のコメンテーターを交えて・・・今番組に新しい情報が・・先日自殺した・・・判明・・・SNSにも当人と思われる・・・詳しい情報は・・・)
弁護士はここでテレビを切った。 助手「先生、彼はどうしてこんな事を?」
弁護士「灯(ともしび)消えんとして光を増す」
助手「えっ?」
弁護士「ロウソクの灯は燃え尽きる時、一瞬燃え上がるという意味だ。男さんの命が尽きる寸前、彼は最後の燃え上がりがこれらの行動を起こしたんだろう。」 助手「しかし、彼は冤罪被害者の会とコンタクトを取っていたのでしょう?彼なら冤罪被害者の会に入って活動を通して世間に訴える事も出来たはずなのに?どうして・・・」 弁護士は狼狽した溜息をついてからこう話した。
弁護士「人はストレスや恐怖が頂点に達するとそれが狂気に変わるんだよ。過去にあった残虐な事件の犯人にそういう経緯があった例がいくつもあったんだよ。」「彼もそうなったのかもしれない」 助手「・・・そんな。」
弁護士「これは、もはや情報テロだな・・・」
「被害に遭う人が大勢出るだろう」 弁護士の悪い予感は見事に当たった。
男が週刊誌とSNSで世間に公表した情報は皆が知る事となり世間が狩りを始め出した。
男が勤めていた会社にはマスコミが殺到、会社の電話には抗議や脅迫の電話が殺到。業務ができない状態になる事態が発生。社長が謝罪会見を開き社長、幹部が責任を取り辞任する事になった。 しかし、事態はそれでも収まらず今度は会社の社員に対する嫌がらせや脅迫電話が相次いだ。社員の辞職が相次ぎ、社内の士気低下や取引先にも匙を投げられた事による業務収益が悪化、ライバル会社に合併吸収となり事態は終結した。 彼を取り調べた警察と男の訴えを棄却した裁判所にもマスコミが殺到した。電話も鳴り止まず・・・こちらは男を担当した者が辞職、転属という発表があり、その後は通常業務に戻った。 事件が起こった駅も同様に・・・担当駅員は辞職。
噂では、庇わなかった乗客も駅には来なくなったという話も出た。 あと。痴漢冤罪の被害者でもある妻子は、男の公表後、夜逃げ同然に行方をくらませた。しばらくしてから某所の車内で硫化水素自殺未遂を起こし確保搬送されるニュースがあった。 こうして男の命をかけた反乱は終わった。
一時燃え上がった灯火は世間を焼けるように熱くしたが、それもなくなり何事もなかったかのように通常に戻った。
弁護士がつぶやく
「彼は変えたかったのだろうな、今後自分みたいな痴漢冤罪被害者を出さないように。生きて希望なき世界に対する最後の希望として・・・」
「それでも彼のやったことはやはり許されないよ。」
事務所の窓には日が差し窓からは大勢帰宅する人が駅に向かって行くのが見えた。」
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