あの時の約束を
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あらすじ
幼き頃にかけっこでオリンピック金メダルを取る事を当時、幼馴染だった小島 春と約束した早坂 蓮が約束を守る為に1人努力を続け、陸上競技5000メートルでオリンピック金メダルを目指す あらすじ続き
しかし中学1年生の頃に小島 春と再開したが小島 春は約束どころか早坂 蓮を覚えていなかった。 1 早坂 蓮の回想
中学三年の夏休み、某県の海沿いの母方の実家に母親と一緒に遊びに来ていた。毎年来るわけではなく、2年ぶりの帰省てある。
>>2
幼き頃=幼馴染
約束した〜約束を
オリンピック金メダルを〜オリンピック金メダルを
頭痛が痛い文章の文だけど基地外だったら入院して 都会都会している実家と違い、海岸通を抜けるとエクセルのピクセルをコピーアンドペーストしたかのように田んぼが広がる田舎の風景に懐かしさが蘇るのである 俺が生まれたのがこの町だからだろう。小学校の2年の時に父親の転職でこの町を離れたのだ。幼い頃の記憶が幾つか強く残っている。 祖父母の家の庭は学校の1クラス全員でバーベキューができるくらい広く、古びた縁側がスラリと伸びる昔ながらの旧家である。 祖父母宅には母親の姉夫婦が祖父母と隣で旅館を経営している為、祖父、祖母、叔母、叔父、その子供の中学校1年生のユウタと小学校4年のヒヨリの6人暮らしだ。旅館といっても10組で満室になる程の規模だ。 「久しぶり〜!遅かったわね。入って入って。」
待ち構えてたかのように勢いよくピシャリと玄関ドアが開き叔母が満面の笑顔で出迎えてくれた。叔母は何時会っても元気が過ぎる勢いである。 「ただいま。2年ぶりね」
母は叔母とは対照的におっとりした性格である。 俺はそんな久しぶりの姉妹再開を横目にして、早々に持参していたランニングウエアに着替えた。 「少し走ってくる」
俺は晩飯の時間までには帰ってくる事を告げて祖父母宅を飛び出した。海岸沿いの石畳で入念なストレッチをし、太陽光の下、海岸沿いを駆け出した。 走り始めた海岸沿いは、扇風機の強ボタンのさらに二段階上であろう海風が横から殴りつけてくる。それをもろともせず3km程過ぎたところで、この町の唯一の名所である展望台までの坂を一気に走りきった。 展望台にある古びた木のベンチで休憩しながら往復20kmに加え、このアップダウンは中々ハードだ。と、まだ道半に思い更けていた。 走ることはこの町を離れてからの日課であり、俺の走力は同じ中学生の全国大会に出れば恐らく優勝出来るレベルである。恐らくと言うのは、全国大会で優勝した訳ではなく、それどころか大会にも出た事がない。さらに陸上部にすら入っていない。 クラブ活動にも全国大会にも興味はなく仲間や友情など、速くなるためには必要ないと排除してきた。走る目的はオリンピックで金メダルを取る事……だけである。 展望台からは海岸沿の街が一望できる。夕陽が雲の影を映し出し、何故か寂しさを演出した。少しの休憩の後、下り坂を一気に駆け下りた。 海岸沿いはクールダウンでゆっくりと走る。海岸沿いは小さな旅館や民宿が混在しており、時たま小さな売店よようなお店がある。コンビニなんてハイカラなものは見当たらないのである。 元いた海岸沿いの石畳に着き、何時もより時間をかけてストレッチをする。俺は意識的か無意識的か境界の合間で期待していた。彼女に偶然出会えないかと…… 彼女とは、俺にオリンピックで金メダルを取ると途方も無い約束をさせた元幼馴染の小島 春である。 小学2年で俺達は離ればなれになったが、その約束を忘れたことはなく、俺が走り続ける原動力である。が、2年前の帰省で再開した時は小島 春は約束どころか、早坂 蓮すら覚えてなかったのだ。 期待とは本来裏切られるものである。と捻くれた気持ちでストレッチを終え、祖父母宅へと足を進めた。
すっかり日も落ち、街灯の明かりもまばらな田舎道を歩く。 夕食時間を大幅に遅れ、叔母から怒られる事を想定しながら虫の音を耳にしながらトボトボと歩く前から、2人の女の子の会話が聞こえてくる。 街灯もまばらで誰かは分からないが、感動映画を見終わった余韻の如く胸がギュッと締め付けられる。 「今日の練習キツ過ぎ〜。」
聞き覚えのある懐かしい声が聞こえくる。
「今年は駅伝全国出場目標にしてるからね」
もう一人の女の子が返す。
暗がりの中、まばらな街灯の下にその二人を確認できた。小島 春だ。 前と変わらずに髪型はショートヘアーで、少し背が伸びた気はするが小柄な体躯は同じである。部活帰りだろうか、髪は汗で濡れており、だらし無く学校指定であろうジャージを着こなしていた。長い睫毛が短く見える大きな目がこちらを視界に入れた。 「蓮…!」
少し動揺した姿で小さな唇が音を響かせた。
「久しぶり。相変わらず座敷笑みたいだな、春。」
俺は素直と程遠い一言と満面の笑顔で答えた。
春が笑顔で「…今年は帰ってきたんだね」
「ああ、部活帰りか?」
俺は動揺を隠し、平然と返した。
「うん。もうヘトヘト。あっ、…まだ走ってるんだね」
まあ、俺のランニングウエア姿と汗を見れば分かるものだ。
「そうだな…まだ走ってるぜ!なんせ4年後にはオリンピックで金メダルを取る予定の天才だからな」
俺に取っては大事な事であるが、約束を覚えていない春の前ではおどけて見せるしかないのである。
「まだそんな馬鹿なこと言ってるの!?陸上部でも無いのに」春は怪訝そうに言う。
「天才に部活動など不必要だからな。凡人である春は部活を頑張りたまえ」
俺の空回りな言動に怒ることもなく、大きな瞳で俺を視界に捉えてる。ちなみに春は全国中学大会3000m準優勝と、中学で陸上をしている者にとっては有名な選手である。 「あの〜、この人が例の早坂 蓮君?」
なんとも中学生らしいアホな会話をする中、春の友達が横から顔をのぞかせる。
「うん…」春が少し恥ずかしそうに相槌を打つ。
「例の…早坂 蓮です」
俺は(例の)の一言に些か疑問を持ったが、初対面に突っ込むのも如何なものかと、自制を持って自己紹介をして見せた。
「宮崎 夏菜です。春ちゃんと同じ陸上部です」
春と同じく小柄な女の子は学校指定であろジャージのジッパーは蒸し暑い夏にもかかわらず首元までしっかり閉まり、
凛としたという形容詞が当てはまる佇まいである。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています