「エルサレム賞」の受賞式でパレスチナ(弱者)とイスラエル(強者)との争いが絶えない
イスラエルに出掛けて行き、「壁=システム・権力(強者)」と「卵=個人(弱者)」との
関係において、一人の作家として自分は「卵(弱者)」、つまりパレスチナの側に付くと言
いながら、その後パレスチナとイスラエルの紛争(戦争)に関してどんな発言もせず行動も
しない在り方や、東日本大震災(福島第一原発の爆発事故)直後の「カタルーニャ国際賞」
の受賞スピーチ「非現実的な夢想家として」の中で、それまでの反核運動を否定するような
「我々日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」と断じながら、その後のフク
シマの事態や原発再稼働問題について沈黙を守り続けてきたその「核」に対する姿勢も、
村上春樹の「言行不一致」としてノーベル文学賞(候補)作家に相応しくないと判断された
のではないか、と思わざるを得ない。