胸中を激白した田嶋会長
【直撃インタビュー・前編】日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)は14日(日本時間15日)開幕のロシアW杯に臨む西野ジャパンの現状をどう捉えているのか。
本紙インタビュー前編では、6大会連続でW杯に挑む日本代表への期待とともに世間を騒がせた「おっさんジャパン」問題、注目度大幅ダウンの不人気ぶり、さらには銀座パレード計画などについて、日本サッカー界のトップが素直な胸中を激白した。
――W杯に臨む西野ジャパンへの期待は
田嶋会長 6大会連続はすごいことだけど、日本国内の空気は、もう出るだけでは満足できないレベルにある。(2020年)東京五輪に向けて(他競技の)若い選手は世界一を目指してやっている中、我々は(世界大会に)出るだけで満足なのか。
次のステージに向かうには違うスタンスで臨まないといけないと思う。まずは1次リーグを突破したい。
――西野朗監督(63)の掲げた目標について
田嶋会長 現場では現実的に考えている。
西野さんが「毎試合ポイントを取る」と言うのは彼らしいかなと…。FIFA(国際サッカー連盟)ランキング61位であることを考えればね。
みんな西野さんに(1996年の)アトランタ五輪でブラジルを倒した「マイアミの奇跡」を期待するけど、あの時も1次リーグは突破できなかった。
だから、まずはコロンビア戦で勝ち点を取り、3試合全部でポイントを取れば、無敗で決勝トーナメントに進めるという考えじゃないか。
――メンバー選考はベテラン優遇となった
田嶋会長 西野さんは若い選手を入れたがっていたが(若手の)練習を見たら少し物足りないレベルだった。
浅野(拓磨=23、ハノーバー)、井手口(陽介=21、クルトゥラル・レオネサ)がクラブで試合に出られない理由があったということでしょう。
逆に本田(圭佑=31、パチューカ)や香川(真司=29、ドルトムント)は練習で目の色を変えていた。若手か、ベテランかというのではなく、勝つためのメンバーを選んだということ。
――ところで西野監督とは付き合いが長い
田嶋会長 私が浦和南高1年のときに浦和西高(ともに埼玉)の3年で、すでにスーパースターであこがれの存在だった。
大学選抜では一緒に遠征にもいったけど、おおらかで物事に動じないタイプ。戦術指導は緻密で細かいところまで突き詰めていて、さすがJ1最多勝利(270勝)監督だと思うね。
お酒の席でも酔ったところを見たことがない。常に冷静沈着のイメージかな。
――日本代表は人気がなく注目されていない
田嶋会長 西野さんも言っていた。昨年くらいから「代表への熱を感じない」と。
ただ、現実的に世界61位の国で、アジアでチャンピオンになれずにベスト8止まり。そう考えるとサポーターの熱が少し冷めるのも仕方がない。
そこは我々(協会)の責任。だからこそ1次リーグを突破し日本に熱をもたらしたい。
――そのために会長としてできることは
田嶋会長 …試合前にカツ丼を食べるよ。理由? 今まで(歴代の)小倉(純二)会長、大仁(邦弥)会長が(ゲン担ぎとして)やっていたので、私もならっている。
ただロシアでカツ丼を食べられるかな。運とかゲン担ぎに頼ることはないんだけど、個人的には熊野三山と太宰府、近所の氏神様にお参りした。
――ところでベスト8達成ならスカイツリーを青くライトアップ、ベスト4なら銀座パレードをするのか
田嶋会長 なでしこジャパンのときは快進撃で東京タワーが青色に点灯してくれたけど。
あれはピンクでも良かったかな(笑い)。世の中の空気感とかもあるし、ムリにお願いするところではない。ベスト4入りなら銀座パレード?
やる前からそういう話をするのは好きじゃない。我々は世界61位のチーム。なでしこジャパンは「優勝したら…」と口に出せるけど、男子はそのレベルにないでしょう。