インターネットは「ひとつのグローバル社会」になった

 「現実社会以上に自由にふるまえるローカルな場所」を求めて人びとはかつてネットに集まった。
実際にインターネットにはたくさんの「ローカル」が担保されていた。
ひと昔前に栄えた、無数のトピックごとに分かれた匿名掲示板2chなどはその典型だ。
だが、やがてネットは「ソーシャル・ネットワーク」の発明とその発展にともなって「つながりすぎた」がゆえに「ローカル」の余白はどんどん埋め立てられ、
ひとつの「グローバル社会」になった。
現実社会以上に他人とのつながりが構築され、他人の言動が可視化され、他人とコミュニケーションできる空間。
それは情報ネットワーク・コミュニケーション技術の進歩や進化の象徴であるとして一時は歓迎されたが、
しかし人びとが大切にしていた「不文律」「自分の価値観」がそこでは一切通用しなくなった。
人びとは少しずつ閉塞感を覚えるようになっていった。