とある鍛冶屋のDwarfが仕事を終え、扉を開けてコートを脱いだ。
それを見たHumanの旅行者は、「寒い日が続くね。どれくらいの時間、働いているの」と尋ねた。
すると鍛冶屋は「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。
Humanが「もっと沢山作れたなら、もっと楽に生活できるのに。おしいなあ」と言うと、
Dwarfは、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。
「じゃあ、あまった時間でいったい何をしているの」と旅行者が聞くと、鍛冶屋は、
「昼まで屋根の雪かきをして、それからColdRidgeの鍛冶ギルドに出かける。
帰り際に酒場で一杯ひっかけたり、または女房の手料理を肴に一杯飲んだり。
そんな調子で夜まで酔いつぶれる事もあるし、或いは酔った勢いでAlterac Valleyに
突撃して、翌朝巡回してきた警備隊に発見される…ああ、こんな感じで一日終わりだ」
すると旅行者はまじめな顔で鍛冶屋に向かってこう言った。
「仮にもKirin'Torを首席で卒業した人間として、きみにアドバイスしよう。
いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、鍛冶に費やすべきだ。
あまった鍛冶製品はAuctionで売る。お金が貯まったら近くに大きな工房を建てる。
そうすると作業能率は上がり、儲けも増える。
その儲けで工房を3箇所に展開するんだ。やがてきみが雇い主になるまでね。
そうしたらNPCに鍛冶製品を売るのはやめだ。
都市部でBankを借りて、そこに製品を貯蔵し、会社を設立する。
その頃にはきみはこのちっぽけな町を出て、
Kharanosに引っ越し、IronForge、Stormwindへと進出していくだろう。
きみはStranglethornのリゾート島から企業の指揮をとるんだ」
鍛冶屋は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」と旅行者は得意げに笑みを浮かべ、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるの…」と言いかけた所で、
おもむろにDwarfに唇を奪われ、言葉も塞がれてしまった。
口を離したところで、鍛冶屋は語り始めた。「でも、君は男同士の味を知らないんだろう?」
旅行者は、自らの胸の内に高まる期待を否定しきれなかった。Kirin'Torをトップ成績で
卒業し、将来有望なmageとなるであろうその青年に、今新たな感情が芽生えてしまったのだ…
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