ミステリーのタイトルしりとり・その2 [転載禁止]©2ch.net
ミステリーのタイトルしりとりスレです。前スレ↓が埋まってから始めたいです
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1315621261/l50
※……一応のルールとして
・前スレで挙がった作品名を、本スレで改めてまた出すのはアリ
(それを「ダメ」と縛ると、さすがに面倒&ややこしい&キツイので)
・ただし本スレ内のダブリは無しで。まずその作品名が本スレで先に出てないのを確認
(翻訳作品の別の訳題などはあり。)うっかり出ちゃった場合は、その前に戻る
・いろいろ未知の作品のお勉強にもなるので、作品への一口コメントもお願いです
コメントは前スレと同じ話題でもいいけど、変えられたら変えた方が楽しいですね
未読の作品でもいいですが、なんか作品内容に触れた一言をください
「ペリー・メイスンものの一本。未読ですが、密室ものみたいです」とか
では日本近代ミステリの先駆作品「二銭銅貨」江戸川乱歩 から
「か」「カ」「銅貨」「貨」から、続けてください 「鏡の国の戦争」ジョン・ル・カレ
名作『寒い国から帰ってきたスパイ』に続く作者初期の
スパイストーリー。英国情報部の裏面を描く内容で
地味だが小説としての手ごたえは確か
スマイリーも前作同様、ここでは脇役で登場
「う」「ウ」「戦争」で 「傘を折る女」島田荘司
テレビドラマ化で話題になりましたね。
ドラマのラストで「空中に死体が」という
台詞が出てきたということは、続編や
シリーズ化の可能性があるのでしょう。
御手洗さんがギターを弾く姿を
いつか見たいですね。
次は「女」か「な」でどうぞ。 『ナヴァロンの嵐』アリステア・マクリーン
作者の出世作である名作「ナヴァロンの要塞」の続編と思って
素直に読むと、いろいろ引っかかる
実はその映画版「ナバロンの要塞」の、メディアを変えた
続編だと思った方が、正しい
「し」「シ」「嵐」でどうぞ 「死者の島」キャロリン・G・ハート
元新聞記者、今はミステリ作家の老婦人ヘンリー・Oが主人公。
昔の義理を果たすべく、殺害予告を受けた富豪に呼び出されて離島に向かいます。
クローズドサークルものかつパニック小説。
次は「ま」「マ」「島」でお願いします。 「魔法飛行」加納朋子
幾つも名前を持っている女の子の物語です。
(どうです、ちょっと興味を惹かれるでしょう?)
次は「飛行」、あるいは「う」でどうぞ。 「虚ろな十字架」東野圭吾
昨年2014年の話題作のひとつ
個人的には、清張の某・超有名作品の
東野版という感じがしないでもない
「か」「カ」「架」「十字架」で 「完全犯罪」小栗虫太郎
外国人ばかりの登場人物たちのあいだで繰り広げられる
不可解な惨劇と推理合戦
奇矯な殺人トリックとそれにも増して驚くべき犯行動機と
見どころいっぱい
ただ小栗先生は文体に癖があり好き嫌いが極端に分かれそう
「い」「イ」「犯罪」「罪」で 『罪ある傍観者』ウェイド・ミラー
創元推理文庫で数作が翻訳されている50年代の作家
ホイット・マスタースンの別名義作品で、そっちの
ペンネームで書いた私立探偵マックス・サーズディものの一編
マイナーながら正統ハードボイルドの秀作
「や」「ヤ」「しゃ」「シャ」で 「八墓村」横溝正史
かなり以前に読みましたが事件の怪奇性やサスペンスに富んでいて
とても怖かった印象
ただ恋愛要素も含まれておりラストはしんみりと感動さえもする
どちらかといえば冒険スリラー的な小説
「ら」「ラ」「村」で ↑すいません
「つ」が抜けていました
正しくは「八つ墓村」です 「ララバイ」エド・マクベイン
87分署シリーズ後期(終盤に近い)の一冊
赤ん坊とベビーシッターを同時に殺した殺人事件の謎を追う
クリングとアイリーン、刑事部屋の職場カップルの
両者の関係の成り行きも、気になる一編
「イ」「い」で 「誘う森」 吉永奈央
自殺防止のボランティアをしていた妻が自殺した理由は?
謎解きよりも雰囲気で読ませる作品。
次「り」「リ」「森」でお願いします。 「猟人日記」戸川昌子
乱歩賞受賞の処女作「大いなる幻影」に
続く作者の長編第二作
当時としては刺激的な性愛観を主題に
トリッキィな仕掛けを盛り込んだ秀作
「き」「キ」「記」「日記」で 「猟犬探偵」稲見一良
主人公は弱者には優しいが暴力や権力を振りかざす卑劣な
強者には容赦しない
大自然を背景にチャンドラー的探偵を活躍させるという発想は
お見事
リアリズムがファンタジーに反転する瞬間があり優しい味わい
もある
「い」「イ」「探偵」で うぅ遅かった
16は無効で
「共犯マジック」北森鴻
アメリカのヒッピーたちの間で流行していた占いの書が
日本にも紹介された
それは不幸な未来しか記されておらずしかも的中率が
百発百中という事だった
トリッキーな構成のサスペンスであると同時に凶運と
人間の悪念とに作品空間が支配された世にも不気味なミステリー
「く」「ク」で 「黒い瞳のブロンド」ベンジャミン ブラック
「長いお別れ」の後日談という設定で書かれた
昨年話題の、マーロウの新作パスティーシュ長編
モノマネ作品としては、個人的にはなかなか良かった
「ド」「ど」「ブロンド」で 「毒薬の小壜」シャーロット・アームストロング
夫婦関係などドメスティックな人間関係を軸に
サスペンスが展開される作者の代表作
現実主義という名の絶望と闘う希望の物語
アメリカ探偵クラブ最優秀長編賞受賞作
「び」「ビ」「びん」「ビン」で 「瓶詰地獄」夢野久作
「瓶詰の地獄」など近しい別題で掲載される場合もあり
なんつーか、溜息の漏れる、印象的なショートストーリー
「く」「ク」「地獄」「獄」で 「地獄でなぜ悪い」カトリーヌ・アルレー
このタイトルは、内容を的確に
表現していて凄いと思う。
『そうさ地獄だよ、それが悪いか……』という
お話しなのです。
次は「悪い」あるいは「い」でどうぞ。 「わるいやつら」松本清張
小市民ながら強靭な意志の悪漢医師を主人公にした
清張のピカレスクロマン
何回か映像化もされている
「ら」「ラ」「やつら」「奴ら」で 「ラバー・ソウル」井上夢人
ビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」の収録曲や題名を
イメージし章立てて進行していく物語
細部への徹底的なこだわりが生み出す独特の謎と雰囲気があるラブミステリ
「る」「ル」で 「ルパン危機一髪」南洋一郎(ボワロー&ナルスジャック)
作者コンビによる贋作ルパン第五弾
日本ではまだこれだけマトモな翻訳が出ておらず、読めるのは
ポプラ社の南洋一郎ジュブナイル版のみ
名作「8・1・3」の時期の語られざる事件という設定で
そろそろ完訳が読みたいんだがな
「つ」「ツ」「一髪」「髪」「危機一髪」で 「ツグミはツグミの森」竹本健治
幻想的雰囲気の作者らしさもあるが所々に時代錯誤が感じられる
ひと昔前のエロ劇画?というような描写もある
今の若者はついていけないと思う
「り」「リ」「森」で 「緑衣の鬼」江戸川乱歩
りょくいのおに
緑色の服を着た男が美女を襲う、というお話し。
乱歩先生は、このほかにも
赤いサソリが美女を襲うとか
蜘蛛男が美女を襲うとか
人間豹が、白髪鬼が……
といったお話しを書いています。
次は「鬼」、あるいは「に」でどうぞ。 「虹の谷の五月」船戸与一
フィリピンが舞台
植民地支配・内戦の爪痕・政治腐敗・貧困が集約された辺境
として描かれている
善人も悪人も容赦なく死んでゆく血まみれの展開があるが
少年の成長物語の要素が強いため爽やかな印象が残る
第123回直木賞受賞作品
「つ」「ツ」「五月」「月」で
「釣りおとした大魚」 A・A・フェア
ラム&クールもの後期の一冊
誰かから嫌がらせを受けている秘書の護衛を
してほしいと依頼を受けたラム&クール
だが事件は意外な方向へ・・・
昭和期の名翻訳者・佐倉潤吾の晩年の翻訳書
佐倉氏は本書刊行後の翌年64年に他界した
「よ」「ヨ」「ぎょ」「ギョ」「魚」「大魚」で 「大魚の一撃」カール・ハイアセン
私立探偵が高額賞金付きバス釣りトーナメントの不正を調査し
証拠写真を撮るように依頼される
友人に協力して調査を開始するうちに友人は殺害され
自らも銃撃される
長いけどテンポが良いためスラスラ読める
「き」「キ」「一撃」「撃」で 「気ちがい」ロバート・ブロック
言わずと知れたヒッチコックの「サイコ」の原作で、旧訳題名
1960年の翻訳初刊当時はこの邦題で出せたが
さすがに今はこれではムリだなw
「い」「イ」で 「偽りの軌跡」西東登
政界工作のため密かに準備していた四千万円
会社からその現金を運んだ経理課長が現金ごと行方不明に
ラストに明かされる真相はあまりにも皮肉な運命だ
「き」「キ」「軌跡」「跡」で 「北の夕鶴2/3の殺人」(島田荘司)
吉敷刑事ものの3作目。このシリーズは全体に地味な社会派っぽい作品や
小粒のトリックが多いのだが、この「北の夕鶴2/3」は島荘らしい
派手で大胆なトリックで楽しませてくれる。
「じん」「人」「殺人」で。 「殺人鬼ジョー」ポール・クリーヴ
自分自身のことを「のろまのジョー」と呼ぶ
ぼんくら野郎が主人公の
調子外れなミステリー。
次は「ジョー」、あるいは
「じょう」、「う」でどうぞ。 「殺人者志願」岡嶋二人
定職についていない夫婦が二百万円近くのサラ金の借金を
抱え込んでしまう
親戚に相談すると借金の肩代わりにある人を殺してもらいたい
というものだった
サスペンスでありつつも人間ドラマ
爽やかな読後感がある
「が」「ガ」「志願」「願」で
「女王陛下のアルバイト探偵」大沢在昌
不良中年私立探偵とその息子が主役の軽ハードボイルド
東南アジア某国の女王の護衛がお仕事
破天荒なアクション満載
「い」「イ」「探偵」で 「探偵コンティネンタル・オプ」ダシール・ハメット
1956年のポケミスで日本のオリジナル短編集
同時にこれが日本初のハメット短編集か?
ちなみに90年に同題の翻訳本が別の出版社から出てるが
そっちは現物を見てないものの、80頁と薄い対訳本らしい?
「プ」「ぷ」「フ」「ふ」「オプ」「おぷ」などで ☆ 日本の核武装は絶対に必須ですわ。
『憲法改正国民投票法』のURLです。☆
http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/
☆ 日本国民の皆様方、2016年7月の『第24回 参議院選挙』で、改憲の参議院議員が
3分の2以上を超えると日本国憲法の改正です。皆様方、必ず投票に自ら足を運んでください。
私たちの日本国憲法を絶対に改正しましょう。☆ 「プライオリ学校」アーサー・コナン・ドイル
「シャーロック・ホームズの帰還」所収。自転車の轍から走った方向を
推定することは可能か?との物議を醸した作品。
個人的にホームズ短編集の中では「帰還」が一番面白いと思っています。
いかにもホームズものらしい事件ばかりで、解決も劇的なものが多い気がして。
「う」「校」「学校」辺りで。 「裏切りの明日」結城昌治
暗黒警察小説の原点的作品にして企業小説としても
読みどころが多い
物語が持つ強烈な虚しさが本書の最終的な味わいとなって
心にじわりと染みる
「す」「ス」「明日」「日」で 「明日を望んだ男」ブライアン・フリーマントル
作者初期のノンシリーズ作品で、読んだ中ではベスト2位
『亡命者(別れを告げに来た男)』と並んで、フリーマントルの
作家的(人間的)資質がよく分る大傑作だと思う
(ちなみになんでこの作品がイイのかは、その理由そのものが
ネタバレになりそうなので書けない)
「こ」「コ」「男」で 「殺しの双曲線」西村京太郎
雪の山荘と双子の登場人物というベタな設定を非常に上手く料理していて
読み応えのある作品。西村京太郎の初期の作品には本格として面白いものが多いが
これも傑作のひとつだと思う。
「せん」「線」「曲線」辺りで。 「千年の黙(しじま)」森谷明子
紫式部が探偵役をつとめる、日常の謎系ミステリ。
古典や歴史に詳しくなくても、時代の雰囲気が楽しめます。
つぎは「ま」「マ」「黙」で 「卍の殺人」
今邑彩さんのデビュー作。
今邑さん、長生きしてもっともっと
小説を書いていただきたかった。
次は「殺人」、「人」、
あるいは「じん」でどうぞ。 「殺人はお好き?」小泉喜美子
作者が自らのことを「チャンドラー婆」と半ば自虐的に
呼ぶほどチャンドラーに傾倒していたことはエッセイなどから
明らか
この本書つまりこのハードボイルドは「チャンドラー風」の
世界であり「チャンドラー風」の主人公が「チャンドラー風」の
美女と活躍する物語になっている
「き」「キ」「好き」で
「消えた奇術師」鮎川哲也
本格派推理小説界の第一人者による密室を中心にした短編集
密室構成方法にしてもさまざまな周辺状況を使って作られる「心理の死角」
といった部分がそのメイントリックを覆って見えにくくしている
それらの試みが有機的に組み合わさっている
まさに傑作だ
「し」「シ」で 「しあわせの書〜迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術」泡坂妻夫
いろんな意味でこの作者にしか書けない作品。
こんな仕掛けを本気でやってしまう泡坂氏に脱帽です。
「つ」「術」で。 「罪・万華鏡」佐々木丸美
精神科医と助手を中心とする連作中編集
結果が先に存在していてその理由を探り出していくという
一種の心理ミステリ
パズラー的なことはあまり無いが小さな事件の裏側にある大きな
背景が浮き彫りされていく過程にスリリングな面白さがある
「う」「ウ」「鏡」で 「冷たい太陽」鯨統一郎
宝石奪取を目的にした誘拐サスペンスで
昨年の話題作のひとつ
あっと驚く大技が使ってある
探偵役のキャラクターもいい
「う」「ウ」「太陽」「陽」で おや 一手遅かった
>>49は無効で
「鏡よ、鏡」飛鳥井千砂
これも2014年作品
ダブルヒロインの人生の流転を描くキャラクタードラマ
ミステリ的手法は相当に使ってあるが全体としてみて
ミステリかというと個人的にはちょっと疑問符
ただしミステリとして扱うファンサークルなどもあるので
広義の作品としてはオッケーか
「み」「ミ」「鏡」で 「見たのは誰だ」大下宇陀児
犯罪実録小説のような臨場感がある
完全犯罪のミスを暴く倒叙タイプの小説を逆から
捉えたような作品
細かい証言や物証から反証を見つけ出す緻密な推理
形は違ってもこれは本格推理の醍醐味だ
「だ」「ダ」で 「誰がベイカーを殺したか?」
エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ
一読笑うか? 怒るか?
オレは感動したw
「か」「カ」で 「風の証言」鮎川哲也
本書の最大な魅力はトリックよりも
状況描写・場面転換・事件の進行でしょう
容疑者が次々と浮かんでは打ち消されていく
テンポが良く真相到達まで深く物語に引き込まれていく
「げ」「ゲ」「証言」「言」で 「月光ゲーム Yの悲劇 '88」有栖川有栖
有栖川氏の第一長編。学生アリスシリーズの第一長編でもある。
閉鎖空間で論理的に犯人を指摘、という意欲は買うが、ちょっと登場人物が
多すぎて(しかも全員大学生)読みにくいかも。
「ち」「はち」「8」辺りで。 「地上90階の強奪」ユージン・イジー
金庫があるのはビルの90階。
人知れず侵入するには
ビルの壁を登るしかない。
だったら登ってやろうじゃないか!
という単純で熱い泥棒たちの物語。
次は「強奪」あるいは「つ」でどうぞ。 「八ヶ獄の魔神」国枝史郎
国枝作品にしては珍しく唯一完結している作品
大正後期に雑誌「文芸倶楽部」に連載された
物語全体を覆うのは人間の浅ましさ・辛さ・憎悪・業の深さなど
圧倒的にネガティブな感情
ラストのカタロスフィも決して爽快とは言い難い
「じ」「ジ」「魔神」「神」で 「翼とざしてアリスの国の不思議」山田正紀
無人島に上陸した男女の間で突発的に殺人事件が
といういわゆる「絶海孤島」がテーマの作品
殺人事件が連続し事態はサバイバル状態へ変じ
強烈なサスペンスに物語が彩られる
「ぎ」「ギ」「不思議」で 「不思議の国のサロメ」赤川次郎
自分をシャーロック・ホームズと思い込んでいる精神病棟患者が探偵役、
同じくダルタニアンだと思い込んでいる患者がアクション担当…という
「第九号棟シリーズ」6作目。この設定、今はもう書けないだろうなぁ…。
「メ」「め」「サロメ」で。 「名探偵は千秋楽に謎を解く」戸松淳矩
作者のデビュー作
町内を舞台にした一種の和製コージーにして現代風捕物帳といった印象
語り手が高校生ということもあってその雰囲気は柔らかく
特に町内に住むご隠居から親方・牛乳屋といったいわゆる住人が
好き勝手に憶測を飛ばすあたりが面白い
「く」「ク」で 「暗闇へのワルツ」ウイリアム・アイリッシュ
仲介組織、そして文通を経て出会った女性
その彼女と結婚した主人公は…
アイリッシュ(ウールリッチ)のたぶん最長の長編
いわゆる「黒」シリーズは基本ウールリッチ名義だが
これも黒に関連した単語が入ってるからカウントするんだっけ?
「つ」「ツ」「ワルツ」で 「墜落」福本和也
作者は自らの飛行体験をベースに長らく航空ミステリの第一人者として
君臨してきた
本書は旺盛に著作を発表していた時期の作品が集められた短編集
泥沼の人間関係や不信・エゴといった負の感情
そういった人間ドラマを下敷きにクライマックスを空と絡めている
「く」「ク」「墜落」「落」で 「墜落のある風景」マイケル・フレイン
美術界を主題にしたミステリ
地方で見つかった作品は巨匠の幻の絵画か!?
カート・ヴィガネット(ジュニア)がバカにしたような
激賞するような人を食った賛辞を寄せている
「い」「イ」「風景」で 「忌品」(いみしな)太田忠司
2000年から2006年にかけて発表したホラー系の短編に
書き下ろしを加えたのが本書
いわゆる怪談やモダンホラーなど伝統的で一種定型的な
恐怖とは一線を画している
定型やギミックにこだわらずに醸し出される怖さがある
「な」「ナ」「品」で 「ナナカマド」石持浅海
あれこれ理屈をこねくりまわした果てに、
意外で異様な結末が待っているという
石持さんらしい短編。そういえば、
デビュー作「暗い箱の中で」も
そういう感じ……でしょうか?
次は「ド」でどうぞ。 「どんなに上手に隠れても」岡嶋二人
新人タレントのテレビ局での誘拐
派手な身代金の受け渡し・テレビを使った連絡・利害関係者の多くが
マスコミの人間とあって極端な劇場型の犯罪となっている
一つの謎が解かれることによって別の謎を呼び起こし
かつ全体を通じての謎がある
「も」「モ」で 66は無効で
「どぶどろ」半村良
江戸時代を舞台にした歴史ミステリ
宮部みゆきの「ぼんくら」は「どぶどろ」への
オマージュとして飾られた作品なのだそうだ
「ろ」「ロ」で >>67
前スレで出た作品はOKなはずでは(>>1)。環境によっては
過去ログを見られなくて、前スレをチェックできない方もいるでしょうし。 >>66 「モロッコ水晶の謎」有栖川有栖
>>68 「ロシア紅茶の謎」有栖川有栖
どちらも有栖川氏の国名シリーズ。10作は出したいという
話でしたが、モロッコ水晶が出てからもう10年。続き出ないのかな…。
「謎」「ぞ」「そ」で。 「象牙色の嘲笑」ロス・マクドナルド
早川から新訳版が出るそうです。
次は「嘲笑」あるいは「笑」、「う」でどうぞ。 「笑ってくたばる奴もいる」A・A・フェア
ラム&クールもの
小柄なラムに向かって別の登場人物が何らかの理由
(ラムがチビだから?)で「それで私立探偵とは笑わせる」とか
なんとか言ったところ、当のラムがこのワイズクラックで言い返したハズ
「る」「ル」で
>>70
スマートでお見事 前スレで出た作品はアリです 本スレ内のみ無効で 「売り出す」多岐川恭
自称殺し屋のチンピラのもとに怪しげな依頼人が訪れる
ある社長を殺してほしい それも三角関係のもつれから
殺されたように見せかけて欲しいと要請された
奇妙なシチュエーションを何重にも重ね合わされたミステリ
「す」「ス」で 前スレで出た作品もOKというのはわかっていたんですが・・・
ただ自分なりに訂正したかっただけです
ちなみに66〜68は同一人物です
日付が変わりIDも変わりましたが 「流転」新津きよみ
未読ですが、一見無関係な人物がいろいろ出てきて、それが徐々に
一本の線に結び合わされていく…というような話らしいです。面白そうかも。
「転」「てん」「て」で。
>>75
了解です! 何かお節介してすみません。 「敵」デズモンド・バグリィ
作者が自分の最高傑作とした一冊
充実した冒険小説であると同時に
作中の「あるトリッキィな仕掛け」はすごく印象深い
>>75
前スレに出たものも避けたい! という自分縛りというか
マニア的な気概そのものは、とても共感する面があります(^^)
まぁあまり窮屈になってもアレなので
前スレ出なら、その作品もアリでいいでしょうが
「き」「キ」また「敵」で 「旧校舎は茜色の迷宮」明利英司
意外性と衝撃の二転三転する青春学園ミステリ
個人的には昨年2014年の新刊での収穫のひとつ
「う」「ウ」「迷宮」「宮」で 「吸血の祭典」高木彬光
作者の作品群のうち数少ない幻想・ホラー・怪奇小説を
まとめた異色作品集
作者の重厚な探偵小説から考えれば文章のノリが
非常に軽く読みやすいのが特徴
実録怪奇小説がお好みの方向き
「て」「テ」「祭典」で
お騒がせした66〜68の者です
もちろん前スレOKでいいと思います 「運命の八文休符」連城三紀彦
連城作品の短編集の中では「戻り川心中」の陰に隠れがちながら
この短編集も根強い人気を誇っていると聞く
とびっきりの謎とほんのりとしたユーモアとさりげない切なさに
深い味わいがある
「ふ」「フ」で ↑すいません
字を間違えました
正しくは「運命の八分休符」です
「ふ」「フ」で 「フィルムノワール/黒色影片」矢作俊彦
二村復活! 宍戸錠も現実の設定そのままで大活躍の
チャンドラー&日活アクションオマージュの大長編
「ル」「る」「片」で 「片想い」東野圭吾
性同一性障害や戸籍といったテーマを扱っていて、10年以上前に
書かれた作品とは思えないほど現代的。
「い」「想い」で。 「石の林」樹下太郎
平凡な人が事件に関わる物語の構成は今や当たり前だが
当時としてはかなり衝撃的だったのではないか
犯罪者=悪人という公式が成り立たない
あすの自分がそれをするかもしれない怖さ
単なる犯人当てとは明らかに異なるエンターテーメントを
提供している
「し」「シ」「林」で
「しらみつぶしの時計」法月綸太郎
ノンシリーズ短編集。表題作は「いきなりある空間に閉じ込められていて
訳の分からない問題を解かされる」という強引な設定ですが、二人称の
不思議な文体とあいまって、力技で読まされてしまうような魅力(?)があるように思います。
「い」「けい」「時計」で。 「遺品」若竹七海
集められた様々な遺品が徐々に明らかにされていき
その意味合いが判明してくると恐怖が
じわりじわりと忍び寄る
ホラー要素が強いミステリ
「ひ」「ヒ」「遺品」「品」で 「生ける屍の死」山口雅也
山口雅也のデビュー作にして、今でも文庫はじわりじわりと売れ続けている傑作
特殊設定本格(SF?)ミステリとしては西澤保彦よりも先なんだよな、と思うとなかなかすごい先駆者かもしれない
「し」で 「左手に告げるなかれ」渡辺容子
聖書からとられたタイトルにひかれて読んでみたものの色々あり得なすぎて…
次は「れ」で 「レミングスの夏」竹吉優輔
乱歩賞作家の作者による、青春ミステリ
友情と成長、団結を苦く、そして優しい形で
描いた昨年2014年の秀作
「つ」「ツ」「夏」で 「積み木の壁」海渡英祐
物語の背景にある商社同士の不透明な合併劇
その合併自体の不正が謎としてある
主人公はその真相を探りだしそれをもとに
恐喝めいたことを考えている
謀略系の企業サスペンス
「べ」「壁」で 「ベビーベットはずる休み」赤川次郎
「ウェディングドレスはお待ちかね」に続く南条姉妹シリーズ2作目。
殺人、誘拐、裏組織と何でもありの赤川氏らしいハチャメチャストーリー。
軽く読んで楽しみたい方にオススメ。
「み」「ミ」で。 「ベナレスへの道」T・S・ストリブリング
シリーズものの短編ミステリ、そのひとつの頂点
ある意味で極北の作品であろう
収録してある短編集「カリブ諸島の手がかり」は ミステリを
最低100冊くらいは読んで、それから読みましょう
「ち」「チ」「道」で おや一手おくれた…
>>95は無効で
では改めて「道の果て」アンドリュー・ガーヴ
脅迫者2人組が仲間割れで一方を殺害
この事態が、脅迫されていた被害者当人を
さらに苦境に追い込んでいく……
サスペンス性と練られた展開が魅力の秀作
「て」「テ」で 一応御断りしておきますが、上の「道の果て」は、ちゃんと
>>94 の
「ベビーベットはずる休み」赤川次郎
の方に続けております(^^) 「天才までの距離」門井慶喜
基本的には美術品をテーマにしたミステリ
美術品が制作された背景であるとか対象に絡んだ全体事情を
総合的に捉え分析することによって真贋を越えた作品価値を
追及するといった展開
「り」「距離」「離」で
「離れて遠き」福島正実
昨年のアンソロジー「HMM700・国内編」にも
収録された短編。妻を殺した男の外地での心象風景を綴る
もちろん非SF作品だが、しかしHMMで福島作品なら
「天児」「きみは幽霊を見たか」など、もっと他にも
印象的なのがあるのになぁ……という感じ
「き」「キ」で 「奇跡の男」泡坂妻夫
五編からなる短編集
表題の作品は超高額の袋くじに日本でただ一人当選した男は
以前にも六十三人が死亡したバス事故でただ一人助かった男だった
その幸運の秘密を探るべく写真週刊誌の女性記者が
彼を追う物語
「こ」「男」で 「黒龍荘の惨劇」岡田秀文
2014年の新刊で話題作。名探偵が現場に介入しながら
全体の8分の7くらいまで連続殺人が継続するという
とても豪快な一冊。事件の真相の大ネタもかなりスゴイ!
「き」「キ」「惨劇」などで 「禁じられた楽園」恩田陸
どこかで引き返しておけばこのような恐怖を味わなくて済んだのに
だけど好奇心に負けてしまうという人間の性が巧みに描かれている
気になる謎をたくさん提示しそれを小出しに解決しつつ
最後に持ち込んでいく構成はお見事
「え」「エ」「楽園」「園」で 「演じられた白い夜」近藤史恵
雪の山荘に集められた俳優たちという環境と、そこで演じられる作中劇の内容との
両方がクローズドサークル。両者が絡み合って進行するストーリーは
それなりに面白いのですが、ちょっと心理描写が不足で淡々としすぎな気も。
「る」「夜」で。 「ルビアンの秘密」鯨統一郎
八年も別居を続けているのに夫婦の籍を残す両親
高校二年生になる主人公(レイ)は勝手に離婚届を記入し
父親のマンションに行く
部屋に入ると瀕死の状態の父親を発見する
父親はレイの顔を認めると「ルビアン・・・」と言い残し死亡する
父親が残した人間関係や利害関係を含めて真犯人というか最も悪い奴は誰?
という点がメインの謎となっている
「つ」「ツ」「秘密」で 「秘密の庭」G・K・チェスタートン
「ブラウン神父の童心」収録のシリーズ第二作目の短編
子供のころ、図書館であかね書房の「少年少女世界推理文学全集」の
「ふしぎな足音 チェスタートン」を読んだのち、成長してから
創元文庫でこれを初読した。その経緯がどれだけ本作の驚きを
際立たせたかは、分る人には分ってもらえると思う
似たような体験の人も多いのではないか
「わ」「ワ」「庭」で 「私が殺した少女」原 ォ
誘拐殺人事件という重苦しいテーマを真正面から重苦しく
書かれたハードボイルドミステリ
緊迫した雰囲気・先を読ませない展開・謎解き自体も凝っており
本格ミステリとしても評価されている
「よ」「ヨ」「少女」「女」で 「妖婦の宿」高木彬光
個人的に、長短の神津ものの中から
どれか本当に一本と言われたら、多分これになる
発表当時にこの大技を使った、まだ新進の作者は相当に図太かったと思う
現代の新本格派のルーツ的な作品でもあろう
「ど」「ド」「宿」で 「どろ」山本甲士
隣人同士がほんの些細なきっかけから
嫌がらせ合戦を仕掛け合う
一般家庭がいつこんな事件に巻き込まれるか
分からない現代社会の怖さを痛感させられる問題作
「ろ」「ロ」で 「ロレーヌの十字架」アイザック・アシモフ
黒後家蜘蛛の会(ブラック・ウィドワーズクラブ)の一本
手品師がバスで出会った魅力的な女性
その彼女の手掛かりとなる「ロレーヌの十字架」とは何か?
「か」「カ」「十字架」で 「陰の季節」横山秀夫
この作品が警察小説の歴史を変えたといっても過言ではないと思う
それまでの大半の警察小説は事件を現場で捜査する刑事部の活躍が
メインだった
だが本書は警察の人事問題・内部告発を扱う監査官が主人公
一般企業にも通じる組織という運営の難しさと警察組織の特殊性との
両方を巧みに描きこんでいる
「つ」「ツ」「季節」で 「罪なき者を捜せ」ロイ・ヴィカーズ
作者の倒叙もの主体の短編集
ポケミスではこれが一番最後のヴィカーズになるのかな?
「せ」「セ」で 「世界は密室でできている」舞城王太郎
青春ミステリと一般的に呼ばれている作品とは一味違う
この作品は「青春小説」が主であり「ミステリ」が従である
メインストーリーの中にいくつもの密室が登場するという趣
解決方法の滅茶苦茶加減に味がある
「る」「ル」で 「ルカの方舟」伊与原新
大学の研究室での火星隕石の分析に絡んだゴタゴタと、殺人事件を
絡めた作品。宣伝文句の「理系ミステリ」の通り、研究関係の薀蓄や
裏話満載で、そういう方面に興味のある人には楽しめる作品。
「ね」「ふね」で。 「ねこのばば」畠中恵
江戸時代が舞台
時代小説+ミステリ=捕物帳というのが定説だろうが
本作の場合はそこに妖怪が絡んでくる
気軽に手に取って誰もが楽しめる作品 「バスカヴィル家の犬」アーサー・コナン・ドイル
(この板では説明不要かも知れない有名作ですが一応)
大富豪のバスカヴィル卿は伝説の魔犬に殺されたのか?あとを継いだ甥の運命は?
謎自体、雰囲気、ストーリー運びが非常に上手く結びついた
ホームズものの傑作のひとつ。
「ぬ」「犬」で。 「ぬいぐるみ探偵の帰還」西澤保彦
現場の証拠品だろうが関係者の持ち物だろうがぬいぐるみを
見つけた途端に愛称をつけた上にそのぬいぐるみを事件のキーとして
解決に導いてしまうという展開がユニーク
西澤流ロジカルどたばた劇
「か」「カ」「帰還」「還」で ↑「ぬいぐるみ警部の帰還」の間違いです
「か」「カ」「帰還」「還」で 「神田川」見立て殺人−間暮警部の事件簿−
どんな事件を見ても「これは歌謡曲の見立て殺人だ!」と叫ぶ
トンデモ警部のトンデモ推理(でも犯人はマグレで?当ててしまうという…)。
70〜80年代の歌謡曲の歌詞を多用していて、引用許可を取るのが
大変だったのでは…と余計なことを考えてしまいますw
「ぼ」「ほ」で。 「ぼくの推理研究」我孫子武丸
子供向けの気遣いはあるものの内容は大人が読むに耐えうる本格ミステリ
主人公が中学生で中学生の視点で物語が綴られている
トリック結末ともに他の傑作に引けを取らない
「う」「ウ」「研究」「究」で 「姑獲鳥の夏」京極夏彦
金鳥の夏十八の夏
(それは光原百合)
次は「夏」、あるいは「つ」でどうぞ。 「夏19歳の肖像」島田荘司
恋愛ミステリ小説
人生に於いてその年齢にしか出来ない事っていうのは
本当にあるかもしれない
どの世代が読んでも悔いなく前向きに生活しようという気持ちに
させてくれる
ある意味人生の指南書
「う」「ウ」「肖像」「像」で 「うぐいす荘」アガサ・クリスティー
「ナイチンゲール荘」の別訳題あり
<青ひげ>テーマのノンシリーズ短編で
強烈なサスペンスゆえ、かなり評価の高い人気作
「う」「ウ」「荘」で 「虚ろな感覚」北川歩実
七編からなる短編集
記憶ミステリ・感覚ミステリ・コミュニケーションミステリなど
得意ジャンルで作者らしさが冴え渡る
短い文章の中に二転三転する結末を用意しているあたりが驚き
「く」「ク」「感覚」で 「黒い家」貴志祐介
保険金殺人をテーマに扱ったホラー作品。
サスペンスミステリー、サイコスリラーの観点からでも一級品。
ただ実写が大竹しのぶってちょっと綺麗すぎないか……?
「え」「家」で 「エドウィン・ドルードのエピローグ」ブルース・グレイム
昨年2014年に発掘された、黄金時代1933年のクラシック
探偵役がワトスン役とともに過去の時代にタイムスリップ?
というカーの「火よ燃えろ」などの先駆的内容
しかもそこは現実の世界線の過去ではなく
ディッケンズの「エドウィン・ドルードの謎」の世界
単発作でなく、シリーズものの一本として書かれたのも印象的
「グ」「ぐ」「エピローグ」で 「グラン・ギニョール城」芦辺拓
様々な国籍・職業・年代の外国人
この個性的な人物たちが怪しげな城の中で暗い思惑や
過去の呪縛などを交錯させつつ不可能犯罪と遭遇する
いかにも探偵小説の形式に則った物語
「う」「ウ」「城」で 「運河の追跡」アンドリュウ・ガーヴ
別居中の夫に、愛児を誘拐されたヒロイン
別件の悪事で逮捕された夫(元・夫)は赤ん坊をどこかに
預けて隠したまま、ヒロインへの嫌がらせでその場所を教えない
ヒロインは自分に好意を抱く男性やほかの善意の人の
協力のもとに我が子の行方を追う
うれしいガーヴの未訳作の発掘・第二弾 もっとどんどん出して〜
「き」「キ」「追跡」「跡」などで 「金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび」 芦辺拓
作者お得意のパロディ〜パスティーシュ短編の近作
戦後直後の事件で内容は結構トンデモ?
昨年刊行されたこの種のテーマ短編集の表題作にもなってる
「び」「ビ」「ふたたび」などで 「琵琶湖周航殺人歌」内田康夫
浅見光彦シリーズの旅情ミステリ
ややこしい本格派は苦手の方・ライト感覚で楽しみたい方向け
「か」「カ」「歌」で 「歌う鐘」アイザック・アシモフ
作者のSFミステリ連作集「アシモフのミステリ世界」の第1話
月で起きた完全犯罪? の真相は!?
<アリバイがあれば破れる アリバイがないからやぶれない〜
犯罪を証明できない>のパラドックスで有名な一編
「ね」「ネ」「鐘」で 「熱砂の渇き」西東登
もともと動物に関するさまざまな知識をミステリに活かすことに
定評のある作者
本書のテーマに選んだのは「ダチョウ」
全編を通じてシリアスなのかギャグなのかわからない展開
「き」「キ」で 「きみの血を」シオドア・スタージョン
吸血鬼ミステリテーマの変化球
一種の叙述トリックまで動員した偉才の秀作で
スタージョンでは唯一のポケミス収録作
(後発の文庫版はハヤカワNV文庫で出たが)
「ち」「チ」「血を」などで 「ちあき電脳探偵社」北森鴻
小学校三年生が主に学校で体験する事件という日常系でありながら
本格ミステリテイストが濃厚
謎の提示にしても推理の展開も真相究明もいずれもテンポ良く
優しい文体ということもあり小学生でも読みやすい
「や」「ヤ」「社」で 「闇に香る嘘」下村敦史
第60回江戸川乱歩賞受賞作
「う、ウ、嘘」のいずれかで 「嘘は刻む」エリザベス・フェラーズ
射殺死体が発見された家の100個以上の時計が
全て誤った時間を刻んでいたという謎に
素人探偵が挑むというストーリー
「む」「ム」「刻む」で 「夢魔の爪」仁木悦子
催眠術をかけられて人を殺してしまったという大学生。
作者が生んだ名探偵、三影潤が調査に当たります。
次は「め」「爪」でお願いします。 「メグレ罠を張る」ジョルジュ・シムノン
メグレシリーズの最高傑作だろうなぁ
クライマックスに至って三人……いやその内の
二人が紡ぐ業の深さは正に地獄図
人間は切なく哀しくそして恐ろしい
傑作「男の首」もこの作品には及ばない
「る」「ル」「張る」で 「ルパンの告白」モーリス・ルブラン
ルパンの怪盗らしさと探偵役が一冊で楽しめる短編集
ルパンの二大名作「赤い絹のスカーフ」「白鳥の首のエディス」が
同時収録されている
「く」「ク」「告白」「白」で 「クリスマス黙示録」多島斗志之
舞台は冬のワシントンDC。日本人留学生カオリが現地の少年を車ではねて殺してしまうが、
取り調べの結果、カオリは不起訴処分になってしまう。
怒った少年の母親(現役警察官であり射撃の名手)は復讐するために、失踪してします。
これを受けてカオリの警護を任された日系のFBI捜査官タミは、せまりくる母親の手から
命がけでカオリを守ることになり、心理戦が展開されていく。
時代背景は日本のバブル期でジャパンマネーがアメリを席巻していたころであり、
日本人を嫌悪する感情が蔓延していたことを念頭に読むとおもしろい。
次は「く」「ろく」で 「クロム・ジョウ」結城充考
ちょっと現実と似て非なるパラレルワールド風の渋谷が舞台の
ダークでしかしリリカルな青春ハードボイルド
というより十代の少女ジョウを主人公にした21世紀の和風ノワールか
昨年2014年の作品。いつか続編が読みたい
「ウ」「う」「じょう」などで 超本命が大穴
暇つぶしに覗いて見たけど あり得ない女が・・
見返りをもらって損はしなかったww
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◆を22it.nに変換 「「裏窓」殺人事件tの密室」今邑彩
自殺と見えた密室からの女性の墜落死
向かいのマンションに住む少女は犯行時刻に男を目撃していた
少女に迫る犯人の魔の手
軽いオカルト風味が効いた作品
「つ」「ツ」「密室」で 「密室の神話(ミサロジー)」柄刀一
なぜ五重密室は作られたか
殺人死体の見たての意味は何か
予想の斜め上を貫いた解決の、ぶっとびミステリ
「じ」「ジ」「ジー」「じー」「神話」などで 「ジャンピング・ジェニイ」アントニイ・バークリー
バークリーらしい皮肉たっぷりの作品
警察に真相を悟られないために普通の名探偵とは考えられない行動
するなど他のミステリでは考えられないプロット
まさに迷探偵
ラストは衝撃的です
「い」「イ」で 「田舎の刑事の好敵手」滝田務雄
田舎の警察署のヘンテコ刑事が謎を解くシリーズ3作目にして初長編。
たった今、読み終えましたw 事件が起きるまでがちょっと冗長に感じますが、
謎解き自体はよくできているかなと思います。
「ゆ」「しゅ」「手」で。 「ゆきなだれ」泡坂妻夫
八編からなる叙情系の短編ミステリ集
表題作は意に添わない結婚をした男性の一途な想いと
その相手の女性の運命
美しい雪景色と悲劇的なラストが印象に強く焼き付けられる
「れ」「レ」で 「冷戦交換ゲーム」ロス・トーマス
マック・マッコークル& マイク・パディロものの第一弾
MWA最優秀新人賞で、そして日本に初めて紹介されたトーマス作品
このシリーズは全部出ちゃったけど、セント・アイブスものとか
未訳の作品を読みたいなぁ
「む」「ム」「ゲーム」で 「蟲」江戸川乱歩
やっぱりタイトルはこの旧字体じゃないとね
ミステリーというよりは「変格探偵小説」
テーマは一種の気持ち悪さ、なのかなやっぱり
「し」 「ムジカ・マキーナ」高野史緒
1870年代ヨーロッパの歴史を背景にしている
国際謀略小説とSFを合体させ音楽の魔性と陶酔を
効果的に描き出した音楽ミステリ
「な」「ナ」で 「震度0」横山秀夫
阪神大震災の前日県警警務課長が突然姿を消した
県警の内部事情を通じ人望も厚い課長がなぜいなくなったのか?
組織と個人の本質を鋭く描く本格警察サスペンス
「ろ」「ロ」で 「ロウフィールド館の惨劇」ルース・レンデル
「ユーニス・パーチマンがカヴァデイル家を惨殺したのは読み書きができなかったためである」で始まる、
ユーニスが事件を起こすまでの軌跡。
次は「き」「劇」「惨劇」でお願いします。 『黄色い花』 仁木悦子
仁木雄太郎・悦子兄妹探偵物の、最初に活字となった作品。 書き忘れました。
次は「花」「な」でお願いします。 「夏の椿」北重人
江戸の市井に生きる武士が甥殺し犯人を追う時代小説ミステリ
終盤のからくり屋敷での闘いはスリルと迫力がある
「き」「キ」で 「黄色い顔」コナン・ドイル
名探偵☓☓する
でもこの話の依頼人さんは全ホームズ譚史上
もっとも良い人だと思う
「お」「オ」「顔」で 名探偵☓☓する (X)
名探偵XXする (○)
なんで「X(バツ)」がバケるんだ 「おれの中の殺し屋」ジム・トンプスン
作者特有の静かな狂気に満ちた不条理殺人物語
糸が手繰られるように連鎖していく底知れぬ
狂気殺人が淡々と描かれていく
他の作品よりユーモアの度合いが若干少ない
「や」「ヤ」で 「焼け跡のユディトへ」川辺純可
2014年の新刊
第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作
戦後の関西のある軍港都市で起きた、女性連続殺人
死体には何かを思わせる見たての意匠が?
真相はすごいぶっとんだ意外性で個人的には大受けしたw
「ヘ」「ヘ」で 「ヘラクレスの冒険」アガサ・クリスティー
ヘラクレスの12の難業になぞられた事件をそろえた連作短編集
ギリシャ神話との結びつきのほとんどは無理やりなこじつけですが
内容的にはバラエティに富んでいて楽しめます
「け」「ケ」「冒険」「険」で 「消されかけた男」
>41に引き続き、ブライアン・フリーマントルの作品を。
自分は「別れを告げに来た男」が大好き。
アレほんと傑作だと思う。
次は「男」あるいは「こ」でどうぞ。 「荒涼山河風ありて」西村寿行
闇の自衛隊特殊部隊と戦う、市井の主人公コンビ
この時期になると寿行はよく言えば安定
悪くいえば創作パターンが固まってきている
内容は面白かった以外は、主人公が不倫相手の
人妻と昆虫セックスして「嵐のようだった」と
なんとかの感想を言われるところしか覚えていない
「て」「テ」で 「天使の屍」貫井徳郎
自殺するはずのないような少年が自殺
そして彼と親しかった少年たちが次々と自殺していく
亡き息子のために体を張って真相に挑む父親
動機とラストは衝撃的
「ね」「ネ」「屍」で 「猫とねずみ」クリスチアナ・ブランド
ブランドの作品中ではゴシックロマン風味の作品
しかし内容はほかの諸作長編に負けず面白い
ノンシリーズものかと思ったら、今年同じ探偵役の
続編で未訳だった一冊が訳出されるようですごく楽しみ
「み」「ミ」「ねずみ」「ネズミ」「鼠」などで 「未明の悪夢」谺健二
阪神大震災で破壊された神戸の街で殺人事件が起きて…という設定。
作者の被災体験が随所に書き込まれていて、かなり重い。
「地震で多数の方が亡くなったところを舞台に殺人事件を書くなんて…」という
声も出てきそうな気もしますが、この舞台でしかできないことを
やっている点で一読の価値はあるかと。
「む」「夢」「悪夢」で。 「悪夢は三度見る」日下圭介
乱歩賞受賞後の二冊目の長編
ここで前作の流れを受けた和製ウ―ルリッチ風の
作者の初期のスタイルが、確立されたと思う
「る」「ル」「見る」などで 「流転」新津きよみ
サイコ・セラピストをしている主人公にある日
「人を殺した」との相談電話が入る
主人公がだんだん追い詰められていく様がサスペンスタッチ
で書かれており結構怖いです
「て」「テ」「転」で 「ルー・サンクション」トレヴェニアン
スパイ小説
拷問の上に殺されるというケースが非常に多く
残酷なシーンがこれでもかというぐらいにリアルに描かれている
残酷と哀しみが表裏一体となっていて読後感は大きな喪失感が残る
「しょ」「ショ」「よ」「ヨ」で 濁点ありでもイイですな?
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」ウイリアム・ブルテン
ミステリファンの心の琴線に触れる名作短編
ちなみに評価の高いその二次創作
「『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』を読んだ男」
さらにそのリスペクト作
「『「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」を読んだ男』を読んだ男」
をそれぞれ読んでみたいw
70年代のHMMで、どっかの大学のミステリ研でそういう作品が
書かれたことをニュースにしていた
「こ」「コ」「男」で 「国境」黒川博行
詐欺師の趙に騙された建設コンサルタント業の二宮と
やはり趙に大金を騙し取られた暴力団組員の桑原は
その行方を追って北朝鮮に渡る
密入国という命懸けの手段で渡ったため危険な目に何度も遭う
厳格な階級社会・飢えに苦しむ国民・賄賂で動く役人などの
荒涼たる描写は実際に北朝鮮にいるような臨場感がある
「う」「ウ」「境」で 「ウォームハート コールドボディ」大沢在昌
死者を蘇生させる技術が開発された、
という設定のハードボイルド。
事故で死んだのに、あの世からむりやり引きずり戻された
製薬会社の営業マン。彼が渦巻く陰謀の中で戦い、
恋人を守るというお話し。タイトルの意味はつまり
「温かい気持ちと冷たい体」。
生き返る瞬間の描写と、主人公を匿うオカマが印象的。
次は「ボディ」あるいは「イ」でどうぞ。 「異端の夏」藤田宜永
画廊経営の息子が西軽井沢の別荘から行方不明になる
誘拐を視野に入れ捜査が始まる
そこに突然身代金要求の電話が・・・
緊迫感や悲壮感はあまり無くスマートな雰囲気が作者らしい
「つ」「ツ」「夏」で 「強き蟻」松本清張
老い先短い富豪の財産を狙う悪女の妻の周到な計画。だが…
逆転とサスペンスの面白さに満ちた
いかにも清張らしい秀作クライムスリラー
「り」「リ」「蟻」で 「リッジウェイ家の女」リチャード・ニーリィ
裕福な未亡人ダリアンは画廊で彼女の絵を見て声をかけてきた軍人と
再婚し新しい生活を始める
そこに疎遠になっていた一人娘が恋人を伴い帰ってきた
ところがダリアンの資産運用を巡ってある人物の正体に疑惑が生じ
男女四人の同居生活に暗い影が・・・
過激な異常心理ものでは無いのでとっつきやすい反面 ニーリィファンは
物足りなさを感じるかも
「な」「ナ」「女」で 『名も知れぬ牛の血』ノエル・カレフ
暗黒街の連中に目を付けられた
チャンピオンボクサーの逆境を描く
巻き込まれ型スリラー
「ち」「チ」「血」で 「血の収穫」ダシール・ハメット
原題は「Red Harvest」のため、
出版社によっては「赤い収穫」となっています。
腐敗しきった鉱山町に一人赴いた探偵社の調査員が
さまざまな術策を弄して、悪い組織同士を戦わせて、
最後に町を一掃してしまうお話
黒澤明監督の「用心棒」の原案になったとか
次は「く」「かく」でお願いします 「かくてアドニスは殺された」 サラ・コードウェル
重税に苦しめられていたから国税局職員を殺害した?
呑気な容疑者から送られてくる手紙をもとに、安楽椅子探偵テイマーが謎をとく。
ユーモアに推理、ヴェネチアの描写まで楽しめる作品です。
次は「た」「タ」でお願いします。 「たとえ傾いた世界でも」トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリィ
ミシシッピ川の洪水という実際に起こった大災害を背景に
密造酒の捜査・堤防決壊の危機・赤ん坊の運命そして主人公の愛は
成就するのかと色々詰め込まれた快作
「も」「モ」で 「もしも俺たちが天使なら」伊岡瞬
>>180 は読み応えのある傑作でしたな
ということで同じ2014年のこの作品
詐欺師・元刑事・ヒモの美青年、のはみ出し者トリオが
凶悪な犯罪者に戦いを挑むコン・ゲームもの
ただ主人公トリオのバランスが悪く、詐欺師一人いれば
いいんじゃないの? という印象なのがちょっと残念
シリーズ化されるなら残りの2人の今後の活躍にも期待したい
もろもろの興味を秘めた謎解きミステリとしては面白い
「ら」「ラ」「なら」「ナラ」などで 「ラバーネッカー」ベリンダ・バウアー
自閉症、時に特定のジャンルで天才的な能力を持つことも
あるというアスペルガー症候群の若者を主人公に捉えながら
その特異性を前面に押し出さずしっかりとしたミステリになっている
素直な心情の吐露、彼を取り巻く人々の苦悩も描かれ好感が持てる
幕切れも微笑ましい
「か」「カ」で 「カクテル・ウェイトレス」ジェームズ・M・ケイン
昨年邦訳された、巨匠の幻の作品
埋もれていた原稿(書き直しを繰り返した草稿も含めて)を
解析して丁寧に編纂し、最良の形にまとめあげた
米国のケイン研究者の労苦に敬服
内容の方も本当に面白かった
「ス」「す」「ウェイトレス」で 「睡魔」梁石日
ひたすら金と欲にしがみつく人間の姿を赤裸々に描いた物語
頂点に向かって進みつつも破滅の予感を抱え
それでも欲望のおもむくままの生活を止められず結局再び転落していく
事故破滅的な物語で感情の浮き沈みがテンポよく描かれている
「ま」「マ」で 「マレー鉄道の謎」有栖川有栖
国名シリーズって、探偵がタイトルの国へ
行くわけではありません。
エジプト十字架の舞台はエジプトじゃないし、
チャイナオレンジの舞台はチャイナじゃないし、
スイス時計の舞台はスイスじゃありません。
そんななか、マレー鉄道は探偵が
マレーへ行くという珍しい作品です。
次は「謎」「なぞ」「ぞ」あるいは「そ」で
どうぞ。 「謎の三角海域」ローラ・E・ウィリアムズ
ヨットレースの直前ポセイドン三角海域で奇妙な船影が目撃される
幽霊船なのか?
レースの安全のために謎を解明しようとすると災難がふりかかる
「き」「キ」で 「霧に包まれた骸」ミルドワード・ケネディ
昨年発掘されたクラシックパズラー
新青年に昔抄訳で載った作品の完訳版である
こういう企画はウレシイね
謎解きの部分である仕掛けがあり、それがなかなか楽しいのだが
その趣向をめいっぱい楽しむためにも、できればこの作品の前作から
先に訳して欲しかったなぁ 何を言ってるか読んだ人は分るでしょう
「ろ」「ロ」「骸」で 「ロング・ドッグ・バイ」霞流一
人間から見ると多少不思議に過ぎない事件が犬の視点からすると
通常では実行不可能な大犯罪?となっているところがユニーク
謎に対して犬たちによる討論場面
一つの謎が明かされないまま現れる謎の数々
裏側には大掛かりなトリックがありさらにその解決方法も
犬を主人公としているだけに工夫がみられる
「い」「イ」で 「一日の悪」トマス・スターリング
故・瀬戸川氏の再紹介によって、あらためて近年の高い評価が
確定した感のある名作
財産を遺贈することをほのめかした富豪の手紙に引き寄せられ
ベニスに参集した人々が迎える、奇妙な体験そして謎の殺人
黄金時代を経た、一皮剥けた新世代の謎解き作品であり
物語全体に仕掛けられたある種のトリッキィさは、現在の
国産新本格に通じる部分も大きいと思える
「く」「ク」「悪」で ↑
すみません。上の「悪」を「あく」と読んじゃったけど
これは正確には「わずらい」と読むんですな。いま思い出した
(書名の「一日の悪(わずらい)」という言葉はマタイ伝から
採っていると翻訳書の巻頭にあり、そこにそう、ルビがふられている)
改めて「い」「イ」「悪」で。スミマセン 「イブの夜」小川勝己
恋人が殺害された挙げ句マスコミに犯人扱いされてしまう男
風俗業界で働く周囲と全くそりの合わない女
二人の共通点は生き方がこれでもかというくらい不器用なところ
ミステリのガジェットを所々使いつつ
どちらかといえば恋愛小説に近い
「る」「ル」「夜」で 「夜の顔」
作者は巽昌章さん。Wikipediaによれば、
ミステリー批評家で弁護士で関西学院大学法科大学院教授。
遠い遠い昔、異国の地で繰り広げられる
頭脳戦を描いたこの短編は、
日本推理作家協会のアンソロジーに選ばれています。
次は「顔」あるいは「お」でどうぞ。 「流刑の街」チャック・ホーガン
麻薬絡みのクライムノベル
バイオレンス度が高いので苦手な人はおすすめ出来ない
後半は意外な方向へ一気に流れていきます
「ち」「チ」「街」で 「オリンピックの身代金」奥田英朗
オリンピックの開会式に向けて犯人と警察の攻防が
サスペンスタッチで展開されていく
当時の日本中が高揚した雰囲気も良く出ており
犯人が徐々に犯罪に駆り立てられていく様が上手く描かれている
「き」「キ」「金」で 「去年の冬、君と別れ」中村文則
純文学作家、中村文則が書いたミステリ的小説
本人もミステリ要素は「純文学の面白さを知ってほしい」として、入り口として仕込んだとのこと
「れ」 「聯愁殺」(れんしゅうさつ)西澤保彦
主人公は自宅に帰宅した瞬間若い男に殺されかけた
通報を受けて駆けつけた警察官は犯人が落としていったと
思しき手帳を見つけた
そこには主人公の名前のほか外科医・小学生の女の子・独居老人の名前
があり三人とも殺害されていた
四人のあいだに関連性は見つからない
本書は全体の八割以上を推理合戦で占められている
「つ」「ツ」「殺」で 「殺人者はまだ来ない」イザベル・B・マイヤーズ
当時の懸賞がかかった新人賞でクイーンの
「ローマ帽子」を押さえて第一位になった作品
催眠術をふくむケレン味あるネタも多く
そりゃあの地味な「ローマ」よりも面白いだろと思える
未訳の続編も翻訳してほしいなぁ
「い」「イ」で 「イコン」今野敏
パソコン通信ネットで熱狂的な人気を誇るアイドル
その正体は誰も知らない
警視庁少年課の主人公は本人の出ないアイドルのコンサートに
調査の一環として出向き殺人事件に出くわす
増殖していったアイドルがはたして実在するのか
という追跡が興味深く読ませる
「こ」「コ」で 「こ」でも「こん」でもアリなように
「紺碧海岸のメグレ」ジョルジュ・シムノン
今年2015年の新刊
戦前に「自由酒場」の題名で抄訳の形で紹介されていた作品の
初の完訳版。これでメグレものは完全に、日本にしっかり紹介された?
内容は良い意味でいつものメグレもので、登場人物の絡みの機微
それぞれの人間模様が冴えわたる。ラストのメグレ夫人もとてもいい
「レ」「れ」または「メグレ」でもいいよ 「こ」でも「こん」でもアリなように ?????
「こ」から始めてと言ってるんだから「こん」もいいに決まってるでしょ? 「連鎖」真保裕一
作者のデビュー作であり江戸川乱歩賞受賞作
チェルノブイリ原発の放射能漏れ事件が発生し食糧汚染が問題に
なっているという背景をもとに書かれている
ラストは二転三転と急展開する
「さ」「サ」で 「残留思念(サイコメトリー)捜査 消えた名門女子高生」あいま祐樹
一作目から随分経ったのに続きが出ないんでシリーズ化は諦めてたら、
一年半ちょっと経って出てた。
目茶苦茶びっくりしつつ喜び勇んで買って来ました。
今回もちゃんと面白かったけど、次はもうちょっと早く頼む…
「い」「イ」「生」「査」で。 「犠牲の羊たち」(いけにえの羊たち)ニール・ゴードン
第二次大戦中のホロスコープを背景にしたミステリ
ドイツ側を含めユダヤ人のウィーン脱出に携わった者たちの
息子・娘がその英雄的行為の裏に潜む真実を暴いていく物語
この物語を理解するにはイスラエルの建国・シオニズムについて
十分な知識が必要となってくる
「ち」「チ」で 「沈黙者」折原一
二つの惨劇と名乗らぬまま服役していく青年の奇妙な事件が
いかにも思わせぶりに並行して描かれている
頑なに身元を明かさない理由は?
殺人事件も後半になると謎はさらに深まり衝撃の真相が・・・
「や」「ヤ」「しゃ」「シャ」「者」で 「シャドー81」ルシアン・ネイハム
冒険小説(誘拐小説?)の大傑作。
発表後数十年たった今でも
オールタイムベスト100のアンケートをやると
この作品が入っています。
次は……「1」あるいは「一」でいかがでしょう? 「一千億の針」ハル・クレメント
「20億の針」の続編
犯罪者を追って地球にやってきた異星人が少年に
寄生するようになって七年
そして少年の周囲で奇妙な事件が発生していくSFミステリ
プロットに多少不満
「り」「針」で 「龍の契り」服部真澄
1997年の香港の中国返還を題材にした国際謀略小説
なぜイギリスは香港返還を承諾したのか
その謎を根底に返還の決定を覆す密約文書をめぐって
日本人外交官・アカデミー賞受賞のアジア系アメリカ人女優
日本の世界的電気機器企業社長・CIAが入り乱れる
「り」「契り」で 「利休鼠のララバイ 〜杉原爽香二十八歳の冬〜」赤川次郎
毎年1冊刊行されて、主人公の爽香ほかの登場人物が1歳ずつ年齢を重ねていくという
変わったシリーズもの。刊行順に読まないと人間関係が分かりにくいでしょうね…。
この年は爽香自身の暮らしは多少落ち着きつつあるものの、兄夫婦・恩師夫婦に
それぞれ悶着が。それに加えてもちろん「厄介な事件」にも巻き込まれます。
「い」または「ゆ」「冬」で。 「悠久の窓」ロバート・ゴダード
歴史ロマネスクミステリ
キリスト教にまつわる話では「ダ・ヴィンチ・コード」が
想起されるがこちらは派手さでは劣るものの全体を
包み込むミステリアスな雰囲気は質の高さを感じさせる
「ど」「ド」「窓」で 「ドグラ・マグラ」夢野久作
これはある精神病者が書いたものだ。
読むと気が狂うと言われるサイコ物小説。
「お兄さま!」隣りの病室からそう聞こえてくる精神病棟で目覚めた私は
何かの事件に関わっているようだが、呉一郎とは何者?
正木教授と若林教授によって蘇る記憶の果てには・・・
何が真実で何が真実でないのかw
「ら」「ラ」で 「楽園のカンヴァス」原田マハ
ルソーの作とみなされる絵画の真贋をめぐるミステリ
創作か史実か不明の作中作が挟まれた物語
展開も凝っていて興味深く読める
「す」「ス」で 「ステーションの奥の奥」山口雅也
江戸川乱歩の少年探偵団を源流とする推理と冒険のジョブナイル冒険ミステリ
怪奇現象・超常現象・怪人といった常識ではあり得ない現象や人物
その存在が主人公や世間の人々を恐怖に陥れる典型パターン
「く」「ク」「奥」で 「朽ちた樹々の枝の下で」真保裕一
北海道を舞台にしたサスペンス。
救出してから消えた女を探す男、これだけならロマンスの匂いがしそうなんだけども……。
「で」 「D機関情報」西村京太郎
1944年のヨーロッパを舞台に、日本軍の匿名を受けたある軍人の
暗躍を描いたスパイ小説。ソビエト、ドイツなど各国の怪しげな
登場人物が入り乱れ、一体誰を、何を信じればいいのか?
西村作品の中でも最初期のもので、緊張感にあふれた佳作です。
「う」または「ほう」で。 >>216
× 匿名 → ○ 特命
すみません。訂正します。 「放心家組合」ロバート・バー
創元の「世界短編傑作集」に収録されている名作。
検索してみると、夏目漱石との関係など
いろいろな逸話が見つかります。
次は「組合」あるいは「い」でどうぞ。 「石に刻まれた時間」ロバート・ゴダード
オカルトものとスパイ・スリラーが組み合わされたような珍しい構成
円柱形の家の不可思議な力に引っ張られるように話は突き進んでいく
先の見えない展開も見事
「か」「カ」「時間」「間」で 「海上タクシー<ガル3号>備忘録」多島斗志之
7つの短編から構成。
東京の広告代理店を辞め瀬戸内海にまでたどり着き、海上タクシー免許を取って何とか暮らしている寺田と、
女性助手の弓がの前に繰り広げられる謎めいた話の数々を推理して解決に導いてゆく二人の
姿がほほえましい。これ以降のシリーズ化につながらなく残念。
次は「く」「ろく」で 「64」横山秀夫
主人公にそして広報室に怒涛のごとく押し寄せる難題の嵐と
それに激しく翻弄されながらなお立ち向かっていく彼らの姿に
圧倒される
14年の時を経て急展開する少女誘拐殺人事件捜査の緊迫感あふれる
サスペンス
それに加え主人公の深刻な家庭問題と読みどころ満載
「よ」「ヨ」「4」「四」で 「四人の女」パット・マガー
犯人当て、ではなく
誰が被害者になるかが焦点の
『被害者当て』推理小説。
彼は、四人の女の中から誰を殺すつもりなのか?
次は「女」あるいは「な」でどうぞ。 「女彫刻家」ミネット・ウォルターズ
フリーライターの主人公は出版社から母と姉を殺害し死体を
切り刻んだ人間について本を書くように依頼され刑務所に向かう
そして話をしていくうちに徐々に事件の真相に疑問を持ち始め
当時の関係者を訪ね歩く
「か」「カ」「家」で 「神の火」高村薫
積ん読のままなので、表紙の惹句を書いとくね。
原発技術者だったかつて、極秘情報をソヴィエトに流していた島田。
謀略の日々に決別し、全てを捨て平穏な日々を選んだ彼は、己をスパイに
仕立てた男と再会した時から、幼馴染みの日野と共に、謎に包まれた原発襲撃プラン
<トロイ計画>を巡る、苛烈な諜報戦に巻き込まれることになった・・・
次は「ひ」「か」で 「火車」宮部みゆき
クレジット会社からカードの発行を断られた女性が蒸発
彼女の婚約者の依頼を受け休職中の刑事が調査していくと
意外な事実が次々と現れてくる
カード破産にスポットを当てた社会派ミステリ
「や」「ヤ」「車」で 「やぶにらみの時計」都筑道夫
この作品は日本で初めての二人称本格ミステリらしい
(例えば法月綸太郎の「二の悲劇」など。きみは・・・した。という文体)
文章や描写だけでなく二人称ミステリという枠で遊びながらも
推理小説としての構想の深さも特筆もの
「い」「イ」「けい」「ケイ」「時計」で 「五つの棺」折原一
密室大好き、何でもない事件まで密室に見えてしまう黒星警部のシリーズ第一作。
折原氏のデビュー短編集でもあります。文庫化の時に二編加筆されて「七つの棺」になりました。
折原氏もデビューの頃はこんな素直な作品を書いていたのか…と感慨深いものが。
「ぎ」「き」「棺」で。 「銀座ブルース」柴田哲孝
帝銀事件や下山国鉄総裁変死事件など戦後まもなくに起きた不可解事件を
取り込んで混乱の東京を描いた6編からなるミステリ短編集
「す」「ス」で 「ステップ」香納諒一
主人公が死んでは生き返りを繰り返す話は枚挙にいとまがないが
設定自体が面白いのでそれなりに楽しめる
生き返る場所や時間が毎回異なるので緊張感を増すが
少々乱暴な締め方で無理に殺してしまわなくてもという印象
「ぷ」「プ」で 無理なら「ふ」「フ」でもいいです 「プラットホームに吠える」霞 流一
動物ネタを絡めた「獣道ミステリ」が特徴の霞さん。
犬が主人公の>>188に並び、「プラットホームに吠える」では
狛犬がモチーフになっています。
次は「吠える」あるいは「る」でどうぞ。 「ルイザの不穏な休暇」アンナ・マクリーン
ルイザ・メイ・オルコットシリーズ第二作の本格推理小説
シリーズ前作より家族描写に力が入っており「若草物語」の
登場人物ローリーのモデルとなる青年を登場させたりと
オルコットのファン読者にもアピールしています
謎解きもしっかりしておりミスディレクションに引っかかりやすい
「か「「カ」「休暇」で 「カウント・ダウン・シティ」ベン・H・ウィンタース
「地上最後の刑事」三部作の第二作
社会の混乱の描写はかなりリアルで失踪者の発生が
常態化している状況の中で人探しの意味を自ら問いながらの
主人公の捜査劇は前作に劣らず面白い
「い」「イ」「シティ」「ティ」で 「愛おしい骨」キャロル・オコンネル
かなり風変わりな人物が多数登場して物語・人間群像劇としては
相当読ませる力のある作品
一方ミステリとしては導入部はわくわくさせるが後は単に
読者を翻弄するだけのものと思えるところが残念
「ね」「ネ」「骨」で 「寝ていてください」倉知淳
タイトル通り、「寝ていてください」のひとことが
謎と疑心暗鬼を呼ぶ短編小説。
次は「い」でどうぞ。 「厭な小説」京極夏彦
連作短編ミステリ
どの作品も共通の人物が登場するだけでほとんど
独立した仕上がりになっている
厭な子供や老人・彼女・家などにまつわるエピソードが
独特な筆致で描かれている
「つ」「ツ」「小説」「説」で 「月と陽炎」三咲光郎
中学生の主人公は学校からの帰宅途中、中年男が女子児童を
アパートに連れ込むのを目撃
主人公はアパートの裏手から室内に侵入し男を刺し殺す
二人で男を解体した後児童も殺害してバラバラにし体の各部を
市内のあちこちに置き「魔王の翼」の名前で犯行声明を送る
焦点の定まらない物語だが緊迫感はなかなかのもの
「う」「ウ」「炎」で 「空穂邸事件」鮎井郁介
瀬戸内海に佇む絶海の孤島「荊棘島」
城郭のように堅牢な屋敷には、年老いた双子の当主のもと空穂家の人々がひっそりと暮らしていた
そんなある日、二十年前に生き別れになった孫、昌太郎が帰ってくるという知らせが舞い降りた
それは奇しくも親族会議という名の跡目争いに親戚一同が帰する日のことだった…
「紅蓮荘」に続く名探偵水城優臣シリーズの2作目
一家鏖殺事件を描いた本作は、「孤島」「双子」「美女」そして「城」という手垢の付いたモティーフを巧く組み合わせ、一段上のミステリィへと昇華している
鮎井郁介の面目躍如といったところだろう
尚、本作では珍しく頭を悩ませる水城探偵の姿が見受けられる
完全無欠の名探偵を惑わす「謎」にも注目したい
「けん」「け」で >鮎井郁介
元々が作中人物で、この名義での作品もあるみたいだけど、このタイトルもあるの?
いや、知らない名前だーと思ってぐぐってみて興味が湧いたんだけど、結局良く判らなくてw >>238
それって作中作と言うか、「語られざる事件」みたいなものなのでは…? 「建築屍材」門前典之
涼を求めて建築中のビルに入った浮浪者がバラバラにされた三人の
死体を発見する
そしてそのビルの建築を注文した社長宅に死体から切り取られたと
思しき指が送られる
建築にまつわる知識を駆使し本格ミステリ的謎解きにこだわった
パズラー作品
「い」「イ」「ざい」「ザイ」で 「Eの殺人」エラリー・クイーン
いーのさつじん
ダイイングメッセージが主題のショートショート。
クイーンは大好きですよね、ダイイングメッセージ。
「E」とか「GI」とか「FACE」とか。
で、作品のクオリティはというと……。
次は「殺人」あるいは「人」、「じん」、
「じ」、「し」でどうぞ。 「殺人回廊」梶龍雄
第二次世界大戦を背景にした作品
終戦間際でのスパイ事件・公爵ならではの体面
更には物不足・食糧不足といった時代背景が
全て事件に溶け込んで一つのミステリを形成している
「う」「ウ」で 「海と月の迷路」大沢在昌
軍艦島として知られた長崎県端島を舞台に息詰まるような空間と
人間関係の中で展開される捜査劇
正義感の強い新米警察官がさまざまな軋轢の中で苦闘しながら
少しづつ周囲の信頼を得て犯人に近づいていく
かなり長尺だがなかなかスリリングで飽きさせない
「ろ」「ロ」「迷路」「路」で 「六千四百京の組み合わせ」アイザック・アシモフ
黒後家蜘蛛の会シリーズの一編。
暗号がテーマ。つまり、
『六千四百京の中から正解を
見つけ出せるかな?』という趣向です。
次は「せ」でどうぞ。 「生存者、一名」歌野晶午
絶海の孤島、助けを求められないテロリスト、疑心暗鬼、いくつかの殺人
シチュエーションは単純でもそこに到る背景への目配りが絶妙なため
ぐいぐいと物語に引き込まれる
雰囲気の出し方も巧く本格ミステリとしてだけでなくサスペンスとしても
楽しめる作品
「い」「イ」「名」で 「名探偵が多すぎる」西村京太郎
パロディの名探偵シリーズ第二作
ポアロ・クイーン・メグレ・明智の他にルパンそして怪人二十面相までが
登場してくる豪華版
冗談半分のような軽いノリですがプロットの骨格はそれなりに
しっかりしている
「る」「ル」で 「ルパンの発狂」ナルスジャック
このタイトル、想像をかきたてるなあ。
次は「発狂」あるいは「狂」、「う」でどうぞ。 「内なる殺人者」ジム・トンプスン
主人公は田舎町の保安官補
町の者にも好かれ上司からも信頼を得ている
しかし彼は父と兄の仇として町を牛耳っている建設業者への
復讐の機会を狙っていた
そして売春婦を利用して復讐相手の息子を売春婦もろとも殺す
そしてそれを契機に次々と不条理な殺人を犯していく
「や」「ヤ」「しゃ」「シャ」「殺人者」で 「夜光虫」馳星周
日本のプロ野球をお払い箱になった投手の主人公は
台湾プロ野球で八百長に手を染めた
終盤に登板し予定通り敗戦となった試合後
依頼者と対立するヤクザに八百長仲間と共に
拉致され脅迫を受ける
台湾からクレームが付けられるんじゃないかと思うくらい
台湾の暗部を描写している
「う」「ウ」「虫」で 「ウジェーヌ・ヴェルモンの勝利」ロバート・バー
八編からなる短編集
主人公の堅苦しくもとぼけた語り口と迷探偵のキャラクタを楽しめる
依頼人に対して好き嫌いを表すところやうっかりな性格は
ニヤリとさせられます
息抜きに読みたくなるような作品
「り」「利」「勝利」で 「流出」ブライアン・フリーマントル
ロシアの核物質が西側へ流出するという報せを受けた主人公が
アメリカとロシアと共同戦線でそれを阻止するという物語
三国間の代表が行う政治的・戦略的駆け引きが楽しめる
「つ」「ツ」「流出」「出」で 「償い」矢口敦子
家族を失いホームレスとなった元医師。
とあるきっかけから社会的弱者に関する事件を調べることになり、その犯人として浮かび上がったのは彼が昔命を救った少年だった。
ドラマや漫画などにもなった当時の話題作。
次「い」「イ」でお願いします。 「一瞬の敵」ロス・マクドナルド
作者お得意の家族の悲劇を扱っている作品
登場人物が多く偽名行為の連続で読んでいて
頭が混乱してくる事もしばしば
ただし複雑な謎解き構成は面白く
論理的に明かされる手並みはお見事
「き」「キ」「敵」で 「キャサリン・カーの終わりなき旅」トマス・H・クック
未解決の悲劇を背負う主人公が早老症の少女と失踪した詩人の
残した小説を読みながら彼女に起きた真実を探っていく物語
「び」「ビ」「旅」で 「ビッグ・タウン」ダグ・J・スワンソン
裏切り・騙し合いの連続で話がどう転がっていくか
先が全く見えない
意外性に富んでいて楽しく読み進めることができる
登場人物も丹念に描かれ会話もしゃれている
「う」「ウ」で 「運河の追跡」アンドリュウ・ガーヴ
単行本で200ページあまりのコンパクトな作品ですが
前半は巻き込まれ型サスペンス後半は冒険スリラーとなっていて
ガーヴの典型的なプロットになっている
「き」「キ」「追跡」で 「奇譚を売る店」 芦辺拓
古本屋で購入した本や印刷物から奇妙な出来事に
巻き込まれるという物語が5編とそれらを取りまとめる形の
1編からなる短編集
本好き・古書好きの人なら必ず食いつくような設定
「せ」「セ」「店」で 「製造迷夢」若竹七海
残留思念を読む超能力は出てきますが、著者独特のぞくっとする仕掛け満載のしっかりしたミステリ。
次は「む」「夢」でお願いします。 「六つの手掛かり」乾くるみ
六編からなる短編集
全作品の共通点は大道芸人や手品師が絡んだ事件を
探偵役が切れ味鋭いロジックによって謎を解くところ
「り」で 「リミット」野沢尚
誘拐事件の緊迫感・めまぐるしい場面展開に派手なアクション
そして意外な展開へ
読者への効果を狙った細かな演出も凝っている
「と」「ト」で 「リベルタスの寓話」島田荘司
御手洗物の中編
未読ですがホワイダニット物らしいです 「トオリヌケキンシ」加納朋子
脳腫瘍・相貌失認・脳梗塞・癌といった病気や精神的な
悩み・障害を主人公が抱えた作品が揃ったミステリ短編集
ミステリとしての驚きは薄めで読後感は意外と爽やか
「し」「シ」で 「死者の電話」佐野洋
短編。
死んだはずの嫁の元カレから電話がかかってくる、というお話。
「わ」「話」で 「私たちが星座を盗んだ理由」北山猛邦
五編からなるミステリ短編集
少年・少女たちの思春期が持つ残酷で切実な想いが
大きなテーマとなっている
「う」「ウ」で 「嘘をもうひとつだけ」東野圭吾
加賀恭一郎シリーズの短編集
語り手が犯人または真相を知る者で倒叙に近い形
執念深い捜査が持ち味の加賀の切れ味鋭い捜査が味わえる
「け」「ケ」で 「警官の血」佐々木譲
親子三代に渡る警官を描いた壮大な大河ドラマの傑作。
「ち」、「血」で 「散りしかたみに」近藤史恵
歌舞伎の世界を舞台にしたミステリ
愛憎や意地、芸の世界に生きる悲哀
それらが縺れ合って悲劇に導いていく
「に」「ニ」で 人形はなぜ殺される
高木彬光
衆人監視の白木の箱から消えた人形の首。直後、首なし死体と消えたはずの人形の首が。天才、神津恭介シリーズ。
この作品は大好き。
次は「る」で! 「ルーム」新津きよみ
音信不通だった姉の訃報を知り遺品整理の為
姉のマンションを訪れると白骨が・・・
ショッキングな出来事が次々起こる展開
「む」「ム」で 「無慈悲な鴉」ルース・レンデル
隣人のご婦人より夫が行方不明になったと相談を受けた警部
勤務先に退職届を出してあったり放置された車が発見されたりと
これは単なる失踪事件では無いと推測していく
最後には強烈などんでん返しが用意してある
「す」「ス」で 「スイート・ホーム殺人事件」クレイグ・ライス
ミステリ小説家の母を有名にするため近所でおきた殺人事件を
子供たち三人が解決しようと奮闘する物語
ユーモアたっぷりのミステリに仕上がっている
「け」「ケ」「事件」で 前スレでは「モルグ街の殺人」からスタートしてるから
いいんだよw 「拳銃を持つジョニー」ジョン・ボール
犯罪を犯して逃亡する少年と捜査員の追跡劇が
スリリングに描かれている
結末が悲劇に終わるのか救いがあるのか
最後までハラハラさせられる
「に」「ニ」で 「鈍い球音」天野真
野球ミステリ
日本シリーズを目前に監督が失踪?
ユーモアが滲み出る文体は事件が陰惨なものであっても
ほのかに温かさを感じさせられる
時代設定が古いのが気になりますが
それを超える面白さがある
「お」「オ」で 「大いなる幻影」戸川昌子
老朽化されたアパートで繰り広げられる女性たちの孤独と怨念に
満ちた生活と心理
住人のプライバシーを保証するはずの鍵が人々の手を転々とし
他の住人の秘密を探るのに利用されるプロセスが読みどころ
女装男性の交通事故死や米国軍人の子供の誘拐事件をはじめ
意味ありげなエピソードがあちこちに挿入される
何が起こっているのかわからない構成の背後から
意外な真相が浮上するというスタイル
「い」「イ」「影」で 「異邦の騎士」島田荘司
あまり詳しいことは書きたくないけれど……
これは「出会い」の物語。
「し」 「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」高殿円
登場人物を女性化したホームズのパスティーシュ小説で、謳い文句は百合ホームズ。
内容はかなり薄っぺらいし、肝心の謎解き部分も稚拙、そして下品…あと百合要素もオマケ以下。
「つ」「鬱」で 「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」ギルバート・アデア
アガサ・クリスティーへのオマージュとして
書かれた本格派推理小説三部作の第一作
容疑者たちが一堂に集まった状態で一人づつ
自分の過去を供述していく中盤までの展開は
「そして誰もいなくなった」を連想させる
「ざ」「ザ」「さ」「サ」で 「ザ・ドロップ」デニス・ルヘイン
バーを襲った強盗事件、そのバーで囁かれる10年前に失踪した常連客の謎
マフィア一味の脅迫や危険人物の出現など矢継ぎ早に語られる
巻き込まれ型スリラー
「ぷ」「プ」「ふ」「フ」で 「プロメテウスの乙女」赤川次郎
軍国主義を推進する政権に対抗するため、自らの身体にある「改造」を施した
女性たちの群像劇。1982年出版とは思えない鋭さを持った作品。
読後の後味の悪さも、このテーマに相応しい。
「め」「女」で。 「女の顔を覆え」P・Dジェイムズ
作者のデビュー作
後期の作品にみられるような重厚さは無く
作者自身も「クリスティーの影響を脱しきれない失敗作」
と評している
「え」「エ」で 山田風太郎『エドの舞踏会』
伊藤博文等、明治の偉人たちを支えた婦人たちの物語
山風らしいミステリ的興味も垣間見える一作
次は「会」「い」 「遺産相続の死角 東京〜札幌殺人ライン」深谷忠記
壮&美緒シリーズの最新作、の多分一つ前。
これの更にもう一つ前から読めてないんだが、初めて粗筋見た時、
いきなり結婚済みなんで結構度肝抜かれた覚えがw
「く/ク」「角」「いん/イン」「ライン」
勿論、あれば「ん/ン」でもどうぞ。 「首無の如き祟るもの」三津田信三
21世紀に生まれた本格ミステリの傑作。
トリックとロジックのどれも秀逸で、終盤の連続するどんでん返しは特に秀逸。
次は「の」「者」で 「のどを切られた死体」クリストファー・ヴッシュ
1932年発表のルドヴィック・トラヴァースシリーズ第七作
得意のアリバイ・トリックは印象に残るし
トラヴァースに起こったハプニングも非常に面白かったが
進展しない捜査描写が延々と続いて全体的には地味な感じ
「い」「イ」「体」「死体」で 「犬神家の一族」横溝正史
この板ではもはや説明不要の日本本格ミステリー界の代名詞的名作
詳しくない人にはスケキヨのあれと言えば通じる
「く」「族」で 『くれないの文字』 仁木悦子
仁木兄妹もいいけど三影潤のキャラクターも実に魅力的
仁木作品を「ただのパズル小説」とか悪口言う人もいるらしいけど
そもそも推理小説の一番の魅力って何?と言いたくなる
次は「じ」「ジ」「字」「文字」で 『女王陛下の007号』イアン・フレミング
ポケミス版の邦訳タイトル
シリーズ中では実は完成度の高い一冊ではないかと思う
ヒロインの印象的な扱いも忘れがたい
「う」「ウ」「号」で 「裏切りの氷河」デズモンド・バグリィ
バグリィの初期作のひとつで、日本に初めて紹介された長編
エスピオナージュの裏切り・謀略ものの興味もたっぷり込めた
骨太なアウトドア派の冒険小説
「が」「ガ」「河」などで 「硝子の家」島久平
和製J・D・カ―の世界といえる、昭和後半に登場した
不可能犯罪ものの秀作
最高級のケレン味がたまらない…
「え」「エ」「家」で 「絵に描いた悪魔」ルース・レンデル
犯人当てとして意外性もあり楽しめるが
遺産相続や婚姻制度の法的要因が現代日本の
感覚とずれているところが難点
「ま」「マ」「悪魔」で 「舞妓さんと怪盗大旦那」範乃秋晴
何の疑問も無くほっこり系ライトミステリだと思って読んでちょっとビビった。
いや、推理小説としては目茶苦茶ライトなんだが、予想外にエグい話で。
いや面白かったことは面白かったけど。
「な」「ナ」「那」「旦那」辺りで。 「夏の最後の薔薇」連城三紀彦
恋愛ミステリ短編集
短い中にも二転三転し意外な結末が
駆け引きや心理操作が巧みに描かれている
「ら」「ラ」「薔薇」で 「ライアー」大沢在昌
夫と子供にないしょで政府暗部組織の殺人指令を請け負う
女暗殺者の物語。昨年2014年の新刊
予想外に作者の兄貴分だった故・生島治郎風の初期作を思わせる
泣かせ技が最後に利いていて、そこが印象的だった
「あ」「あー」「ア」「アー」で 「開けっぱなしの密室」岡嶋二人
6編からなるミステリ短編集
明確なテーマは無いがユニークなアイデアが豊富で
作者らしさが随所に光る作品
「つ」「ツ」「密室」で 「密室への招待―ホック密室ミステリ自選集」E・D・ホック
81年に日本で独自に刊行した、不可能犯罪テーマの個人短編集
今ならもう1〜2冊編めるんじゃないの。さすがにもう自薦は
無理だが……(涙)
「い」「イ」「招待」「待」「う」「ウ」「集」とかで 「イン・ザ・ブラッド」ジャック・カーリィ
「ブラッド・ブラザー」に続くカーソン・ライダー刑事シリーズ
続発する怪事件 それらをつなぐ衝撃の真実
緻密な伏線と鮮やかなドンデン返しが楽しめる
「ど」「ド」「と」「ト」で 「どこまでも殺されて」連城三紀彦
7回殺された少年が8回目の死を目前にして救いを求めるサインを出す
担任教師や同級生たちが彼を救うべく奔走する
個人的には動機に不満が残った
「て」「テ」で 土屋隆夫 『天狗の面』
本格派の旗手らしい名作だと思う。既出だったらすまん。
「めん」「メン」「面」などで >>303
しりとりで「ん」で終わる言葉なんか選ぶんじゃないぞ。せめて
>「めん」「メン」「面」などで
は
「めん」「メン」「面」「め」「メ」などで
としてくれ
ということで
「名探偵群像」シオドー・マシスン
未訳&未書籍化の分もいくつかあり、そのいくつかはHMMに
「新・名探偵群像」の名前で翻訳されている。続巻の刊行も願いたい
「う」「ウ」「像」「群像」などで 「うわさ」小池真理子
サスペンス短編集
自然体で生活しているだけなのに
ある存在に翻弄され続け破滅に向かっていく
そんなシチュエーションを執拗なまでに描写されている
「さ」「サ」で 「さよなら神様」麻耶雄嵩
異色の超ミステリ「神様ゲーム」に続く
神様少年・鈴木太郎ものの完結編
シリーズ全体の完結感も味わい深いが
連作短編各編の、じわじわ来る人間の怖さも印象深い
「ま」「マ」「様」「神様」で 「真夜中のマーチ」奥田英朗
軽快な犯罪コメディ
個性的でアンバランスな三人組がヤクザや中国人マフィアを
向こうに回して10億円の強奪を狙う
次々に局面が変わる展開でスピード感あふれる作品
「ち」「チ」で 「血の季節」小泉喜美子
長編三部作の中でもゴシックの雰囲気が色濃く出された作品。
戦争前に主人公が遊んだ美しい兄妹との思い出と、現在の東京で起きる猟奇殺人が交差する。
ミステリのようなホラーのような、最後の一節にひやっとさせられます。
次は「つ」「ツ」でお願いします。 「追想五断章」米澤穂信
5つのリドル・ストーリーをめぐる不思議なあじわいのミステリ
試みとしては面白いのだが早い段階で結末が予測できてしまうところが難点
「う」「ウ」で 「海のある奈良に死す」有栖川有栖
臨床犯罪学者・火村英生が登場するシリーズの長編
推理作家の有栖川有栖とともにあちこちを巡るので、ちょっと旅情的な雰囲気もありつつ
しっかりロジック重視の本格ミステリが楽しめる
しかし、ファンの間では問題作との声も多い
「す」「ス」あれば「死す」でどうぞ 「垂里冴子のお見合いと推理」山口雅也
独身の垂里冴子は叔母の紹介でお見合いするが
そのたびに事件が発生する
そして垂里冴子自身が真相を推理するというミステリ短編集
「り」「リ」「推理」で 「リバース」相場英雄
今年の新刊。作者の人気警察小説シリーズ「ナンバーズ」ものの
3冊目。ある意味で、人類の文明史上、最高クラスに規模の大きい
犯罪が描かれる
「す」「ス」で 「砂の城」鮎川哲也
いわゆる時刻表アリバイ崩し物
昔は時刻表の盲点をついたトリックが成立していましたが
現代ではあり得ないトリックになってしまいました
それを除けば十分に楽しめる傑作
「ろ」「ロ」「城」で 『ロシアから愛をこめて』イアン・フレミング
1964年4月に刊行の創元文庫の翻訳初版では「007」の副題がつかない
(表紙の上に「秘密諜報員007号」というシリーズ名の標記はあるが)
内容は言わずと知れたシリーズ内での傑作
処女かと訊かれて羞恥するタチアナ・ロマノヴァ萌え
「て」「テ」で 「天使のナイフ」薬丸学
主人公の妻を殺した少年の一人が殺され、主人公に疑いがかかる。
残された娘のために精一杯生きている主人公だが否応なしに事件に巻き込まれ…。
少年犯罪がテーマだけれど、ここまで次から次へと少年犯罪が連なってくると作り物過ぎてちょっと萎える。
次は「ふ」「フ」でお願いします。 「復讐はお好き?」カール・ハイアセン
コミカルで痛快なサスペンス
夫に殺されかけた妻の復讐劇
しかし全編に渡ってユーモアに満ち溢れている
軽快なテンポと個性的な登場人物で読んでいて楽しい
「き」「キ」で 「北半球の南十字星」沢村浩輔
今年の新刊。大航海時代の欧州を思わせるパラレルワールドの
異世界を舞台に、海賊たちの集団の中での冒険と宝さがし
そして不可能犯罪の殺人劇を描いた一大快作
「い」「イ」「星」で 「いつか虹の向こうへ」伊岡瞬
第25回横溝正史賞受賞作
2005年にテレビ化されており主人公は石田純一
アルコール依存症の元刑事で警備員の男が主人公
三人の居候と共同生活をしていたところに
新たに女性が加わったところから事件が発生し
とんでもない展開に巻き込まれていく
「へ」で 「変人島風物誌」多岐川恭
奇矯なキャラクターが揃い集った島の中で起きる不可解な殺人劇
この作者の中では、読んでおいた方がいい秀作だろうな
「し」「シ」「じ」「ジ」とかで 「死への疾走」パトリック・クェンティン
マヤ文明の遺跡が舞台
旅行者が事件に巻き込まれ殺人場面や銃撃戦が派手に描写されている
物語も二転三転し楽しませてくれる
「う」「ウ」「疾走」「走」などで 「走れ、盗人」フランク・グルーバー
シリーズものキャラクターの多い作者だが、これは
ノンシリーズのサスペンス編。金庫破りの計画に巻き込まれた
錠前屋が不届きな心を生じて、その標的の大金の横取りを企むが…。
「と」「ト」「人」「盗人」とかで 「人にはススメられない仕事」ジョー・R・ランズデール
個性豊かな登場人物が次々と現れる
下品な会話に過激なアクション
殺戮場面も多く展開もとてもスリリング
「と」「ト」「仕事」「事」で 「閉ざされた庭で」エリザベス・デイリー
昨年新訳された1945年のクラシック(黄金期後半かな?)
クリスティーが評価した作家というが、真相の意外性など
たしかに通じるものがあると思う 秀作
「で」「デ」で 「デッド・ロブスター」霞流一
いわゆるバカミス
「ナメとるのか」という状況設定と「そんなバカな」という驚愕の
ミスマッチにはほかの作品には味わえない力業の魅力がある
この作者のミステリはすべてに動物がモチーフに使われているが
この作品の事件にも動物の見立てが使われている
「た」「タ」で 「たとえ傾いた世界でも」トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ
2014年に翻訳された長編作品
1926〜27年にミシシッピ川流域を見舞った大雨と洪水の災禍
それを背景にした人間ドラマ風ミステリ
時代を超えたクラシックの白黒名作映画に触れて
人生が豊かになる感覚を覚えるような
そういった種類の感興を抱かせる傑作
「も」「モ」「でも」「デモ」などで 「森は知っている」吉田修一
世界を股にかける産業スパイもの
騙し騙されのコンゲームとしても楽しめる
「る」「ル」で 「瑠璃の雫」伊岡瞬
主人公は小学校六年生の女の子
しかし中身は紛れもなくハードボイルド
事件の真相を追及するという展開の中で
家族とは何かを考えさせられる感動のミステリ
「雫」「く」「ク」で 「クロノ・モザイク」二階堂黎人
2014年刊行の青春SFミステリ
恋人? の女性を救うためにタイムループを繰り返す主人公
その顛末は? 作者のファンがニヤリとする仕掛けもある
「ク」「く」「グ」「ぐ」とかで 「黒猫の遊歩あるいは美学講義」森昌麿
第1回アガサクリスティ賞受賞作を含む短編集。
美学とミステリを結びつけたのは面白いし、ポオの作品同様の幻想的な雰囲気も楽しめるけれど、正直主人公二人の恋愛模様が鬱陶しい。
次は「き」「ギ」でお願いします。 「ギャップ」西村健
五つの人格を持ついわゆる五重人格の探偵が主人公
五つの人格の協力ぶりが笑える
ユーモア・ハードボイルド
「プ」「ぷ」「「フ」「ふ」で 「フィルムノワール/黒色影片」矢作俊彦
昨年2014年の刊行。二村久々の復活の大作
60年代の「日活アクション」オマージュ作品でもあり
宍戸錠も現実の本人そのままの立場で大活躍
題名の漢字4文字部分の読みが
「フィルムノワール」なので
「る」「ル」または「片」で 「ルコック探偵」エミール・ガボリオ
言わずとしれた古典長編作品
とはいえまだ完訳版が出てないんだよね
クラシックの読み物娯楽ミステリと予め心得て読むと
楽しめそうなので、ぜひ完訳を今からでも刊行してほしい
「い」「イ」「探偵」で 「探偵の夏あるいは悪魔の子守唄」岩崎正吾
横溝正史に対するオマージュ作品
ユーモア色が強く横溝作品のような暗さは無い
しかしただのパロディでは終わらない
謎解きとしても十分楽しめる
「た」「タ」などで 「弾丸(たま)は飛び出した」 仁木悦子
初期の短編。
テレビの中のギャングが拳銃を撃ち、テレビを見ていた人間が負傷するという発端から、
密室の謎など本格味を豊富に持った野心作。
伏線や小道具使いの巧みさも相変わらず見事なもの。
仁木兄妹は真相にたどり着くが、最後に兄妹の取った手段は善意の隠蔽。
再び 「た」、「タ」 などで。 「たとえ、世界に背いても」神谷一心
今年2015年の新刊
いじめに遭って自殺に追い込まれた難病の息子の復讐を訴え、
該当のクラスの生徒全員の処罰を求める天才女性科学者
彼女は前代未聞のアウトブレイクを引き起こす
不治の致死性ウィルスを地上に蔓延させ、治療薬が欲しければ
「生徒たちを捜せ、そして殺せ」と全人類を脅迫する…
ラストの「意外な真相」は賛否両論あるようだが、私は面白かった
「も」「モ」で 「Moment」本多孝好
大学生の「僕」の元に寄せられる、死を目前にした患者たちの最後の願い。
彼らの望みが叶うとき、彼らは、「僕」は何を思うのか。
ミステリではあるけど情感に訴えるところも大きいので、紹介の仕方が難しい…。
次は「と」「ト」でお願いします。 「透明人間の納屋」島田荘司
ジュヴェナイルを意識したレーベルの作品なのだが
子供向けなんてとんでもない
母子家庭に暮らす少年が工場を経営する隣家の男性から透明人間の
話を聞くという冒頭がどこにつながっていくかと思って読んでいると
最後にびっくりさせられる
「や」「ヤ」で 「矢の家」A・E・W・メイスン
黄金時代の秀作「グリーン家」「Yの悲劇」にも
影響を与えたとされる館ものの先駆
アノーものは「オパールの囚人」とかも完訳してほしい
「え」「エ」「家」で 「絵に描いた悪魔」ルース・レンデル
最近久々に新訳(「街への鍵」)も出たレンデルの
ノンシリーズ長編の第一冊目
訳者は小泉喜美子で、彼女が生前に担当した
最後の翻訳本だったようだ
「ま」「マ」「悪魔」で すみません
「絵に描いた悪魔」は
>>295
で既出でした
じゃあ「Xの悲劇」(E・クイーン=B・ロス)で
作品は言わずと知れたレーン4部作の第一弾
「き」「キ」「劇」「悲劇」で 「金ぴかの鹿」 仁木悦子
作者得意の、子供を主人公にした短篇。仁木氏自身は本作について
「書き直せばもっと良くなると思うが、純文学になるだろう」と述懐している。
大人の世界と子供の世界の越え難い壁が、ラストシーンで痛いほど胸を打つ。
「か」「カ」「鹿」などで。 「顔に降りかかる雨」桐野夏生
江戸川乱歩賞受賞作。
預かった1億円を持って消えた親友。
預け主の男と協力して真相を解明していく女性私立探偵・村野ミロの活躍を描く。
次は「あめ」または「め」でお願いします。 過去スレで出てるかもしれないけれど・・・
「眼の壁」 松本清張
今更書くまでもない巨星の代表作の一つ。
死体処理、移動方法のトリックに加え、旅情ミステリーの味わいもあり。
「美濃路の小さな町」の描写も心に残る。近版における言葉の置き換えは残念。
「壁」、「かべ」、「べ」などで。 「ベイ・シティ・ブルース」レイモンド・チャンドラー
マーロウの原型キャラのひとり、ジョン・ダルマスを主役にして
執筆された中編作品。舞台はのちのマーロウものの世界観と共通の
ベイ・シティで、物語のプロットも長編「湖中の女」の一部に
採用された。日本では主人公をマーロウに変えて訳されることも多い
「す」「ス」「ブルース」で 「すずらん通り ベルサイユ書房」七尾与史
神保町の大型新刊書店を舞台にした
ライトパズラーの連作集
出版界や神田周辺のあるあるネタが豊富で
その意味でも楽しめる
「う」「ウ」「書房」「房」で 「うしろを見るな」フレドリック・ブラウン
もはや現代の古典の殿堂入りした短編ミステリだが
そのメタ的な発想の鮮烈さと、再読してもどこかに感じる
いいようのない無気味さは今の視点でもお見事
「な」「ナ」で 「なんでもない一日」シャーリィ・ジャクスン
今年2015年に翻訳刊行された久々の短編集
純粋なミステリとは呼べない作品も少なくないが
異色作家の系列を守る何とも言えない味は格別
「悪魔は育ち盛り」の方の単独刊行もぜひお願いしたい
「ち」「チ」「日」「一日」などで 「小さい矢」 仁木悦子
小学生姉妹の姉(5年生)と、車椅子の若い既婚女性の一人称で
交互に語られる趣向の短編。
「車のおばちゃん」と慕う子供たちと女性との交流が微笑ましいが、
事件は本格派の作者らしく密室殺人。
ふとしたことから真相に気づいた女性は犯人に襲撃されるが、
2年生の妹の注意力で間一髪救われる。
や、ヤ、矢などで。 「山には犯罪なし」 レイモンド・チャンドラー
チャンドラーが唯一執筆した、
私立探偵ジョン・エヴァンズものの中編
彼もまたマーロウの原型キャラの一人
保安官のキャラは「湖中の女」の登場人物の原型となる
「し」「シ」で 「真紅の輪」エドガー・ウォーレス
昨年2015年に発掘されたクラシック
かつて甲賀三郎が『アクロイド』『グリーン家』『樽』
『オランダ靴』『男の首』『トレント』などと並べて
マイベストテンに加えた長編で、なかなか面白かった
「わ」「ワ」「輪」などで 「ワシントン・スクエアの謎」ハリー・スティーヴン・キーラー
おなじく昨年に翻訳された論創ミステリのクラシック
「読者の挑戦」の趣向がどうのこうのいう以前に
とっぽい天然の愛すべき二流パズラー
(一流半…いや一流と三分の二、くらいかなw)
「ぞ」「ゾ」「謎」などで 「謎のエヴァンス」アガサ・クリスティー
クリスティーの初期のノンシリーズ長編。創元文庫
若々しい恋人コンビの探偵役が事件に遭遇
早川では「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」の
訳名で出ている。そっちの方が題名としてはカッコイイね
むかしジュブナイル版で読んだきりなので、大人向けを
そのうち読んでみようかな
「す」「ス」で 「数列と人魚」 仁木悦子
最晩年の短編にして三影潤モノの最終作。
絶筆の「聖い夜の中で」は、推理小説というより純文学なので
実質的には最後の推理作品と言えるかも。
「犯罪の上書き」を三影が鮮やかに推理する。
「魚」「ぎょ」「よ」などで 「黄泉の国へまっしぐら」サラ・コードウェル
イギリスのユーモア満載の会話が楽しい、テイマー教授シリーズ第2作。
次は「ら」「ラ」で 「乱鴉の島」(らんあのしま) 有栖川有栖
作家アリスシリーズ(火村シリーズ)の長編で、クローズドサークル。
ポーについて、人の生命について等々、ミステリ以外の部分でも色々と
考えさせられた作品。
「ま」「マ」または「島」で。 「豆の上で眠る」 湊かなえ
積読
小学校の夏休みに姉が行方不明に 数年後ひょっこり戻って来る
何かがおかしいと感じる妹
次は「る」です。 「瑠璃の契り」北森鴻
旗師・冬狐堂シリーズ。
繰り返し骨董屋に戻る人形に隠された秘密とは?
同シリーズに同じようなネタが使われているけど、
また新たな災難に見舞われながらも立ち向かう陶子は安定の逞しさ。
次は「り」でお願いします。 RIKO―女神の永遠 柴田よしき
リコシリーズの一作目
村野ミロと印象かぶるけど、これはこれでなかなか
次は「遠」又は「こ」でお願いします。 「心の中の冷たい何か」若竹七海
急に思い立った箱根旅行で偶然知り合った女性から届いた手記。
彼女の死は自殺なのか他殺なのか?
シリーズ化した女探偵・葉村晶のドライさはないですが、
自分や他人の感情に振り回されながら調査を進める女探偵も身近に感じられて良いものです。
次は「か」でお願いします。 オウム真理教に殺害された坂本堤弁護士(深夜自宅に押し込まれ一家皆殺し)が住んでいた団地の他の住人(7世帯)は、
全員事件の起こる半年前より後に越して来た人達だった。
そのうち五世帯が創価の会員世帯。
神奈川県警は初動捜査の段階で、この住人達全員に行動確認をかけていた。
その矢先に城内康光県警本部長の婦警へのセクハラ疑惑や
生活安全課の警視がノミ屋(もぐりの馬券売り場)を開帳していた疑惑が突然次々と出始めて、
行確をはずしたら、マスコミからの疑惑追及は止まった。
それで勢いの付いたオウムは脱会信者の家族らを次々とVXガス(今度の金正男殺害で使われたのと同じもの)で襲撃。
当時の官房長官だった野中広務は
北朝鮮詣でから帰ると出所不明の大量の金を政界にばらまき始めて、自民党の実質的な党首におさまり
公明党を政権党に引き入れた。
ネトウヨもいないし、韓流ブームもまだ無い頃だったけど、あの頃から俺達の国はもうおかしかった。 「角屋敷の謎」
創元推理文庫「幽霊狩人カーナッキ」W・H・ホジスンより
訳者によっては「街はずれの家」となっているが、原題は「〜end houth」
角屋敷と街はずれの家の、どちらが正しいのだろう
次は「ぞ」「謎」 「象と耳鳴り」恩田陸
日常の謎系ミステリ。
常にぞわぞわした感覚がまとわりついて、それが好きな人ははまると思う。
↓「り」でお願いします。 「理由」宮部みゆき
ここに書き込もうと思ってネットであらすじを確認していたのだが
どうやら自分が「理由」だと思っていたのは間違いで、実は「模倣犯」だった
「理由」は未読だった がーん
つぎは「う」または「由」 「噂の女」奥田英朗
高校生まではイケてない女だった主人公の美幸。
その後は一変していろいろな男を手玉にとり、自分の果てしない欲望をどんどん満たしてゆく・・・
謎解きといった趣はありませんが、地方都市を舞台にしているため、
その土地のドロドロした感じの空気もよく描かれていて、おもしろいですよ(´・ω・`)
つぎは「女」または「な」 「女王国の城」有栖川有栖
その城は一度入ったら出られない。
但し物理的にではなく心理的に。
「学生アリスシリーズ」の長編4作目。
ミステリにおいて、一見無関係と思われた事柄が実は真相に大きく繋がっていた・・というのは常套手段というか当然のことだけど、この作品ではその"繋がり方"が余りにも迂遠で突拍子もない。
一回読み通しただけでは納得できない人も多いかと思われます?
次は「城」か「ろ」「ロ」で。 「ロートレック荘事件」
筒井康隆
もはや古典的作品になってしまったが、初めて読んだときには驚愕したものだ
今読むと、古臭く感じるのだろうか
次は……
「事件」で終わる作品は多いので
次は「う」か「荘」でお願いします 「海の底」若竹七海
連作短編集「プレゼント」より。
女探偵葉村晶の初登場作。
当時はまだフリーターですがこの頃も、引き受けた仕事はしっかりこなす一方で
納得がいかないことには食いついていきます。
次は「こ」「底」でお願いします。 「湖底のまつり」泡坂妻夫
泡坂作品の最高峰とも(一部で)言われる。ただ個人的には1章と2章との雰囲気の落差、大学生のどうにもな描写の仕方、最重要のネタが中途でほぼ割れてしまう構成などオイオイと思ってしまう部分もちらほらw
「しあわせの書」泡坂ならではか。
「り」「リ」あるいは「まつり」で。 ☆ 私たち日本人の、日本国憲法を改正しましょう。現在、
衆議員と参議院の両院で、改憲議員が3分の2を超えております。
『憲法改正国民投票法』、でググってみてください。国会の発議は
すでに可能です。平和は勝ち取るものです。お願い致します。☆☆ 「龍の寺の晒し首」小島正樹
花嫁衣装の首無し死体からはじまり、首の不可思議な移動と消失、龍が雄叫びをあげ血を流し空を舞うというド派手な展開は“やりすぎコージー”ならでは。
次は「び(または「ひ」)」あるいは「首」で。 「病院坂の首縊りの家」横溝正史
金田一耕助最後の事件。映画化もされてるし、どんなストーリーかはご存知でしょう。
次は「え」あるいは「家」で 久しぶりに見つけた
まだあったんだね ここ
アガサ・クリスティ
「ABC殺人事件」
↑の「病院坂の首くくりの家」のストーリーが分からない
子供のころに読んだから忘れちゃった
次は殺人事件≠抜かして
シー≠ワたはイ 「Castle Skull」ジョン・ディクスン・カー
邦題は「髑髏城」
フランスVSドイツの推理対決
次は「城」か「う」 「うさぎ強盗には死んでもらう」橘ユマ
実は未読
しかし設定はかなり面白そう
いろいろ破綻しているらしいけど、書き続けていくうちにこなれてくるかも
つぎは・・・しまった!また「う」だったw 「うす紫の午後」 仁木悦子
筆者得意の子供を主人公にした短編。
小6の少女が、大好きな「隣のお姉ちゃん」の万引きを目撃してしまう。
少女のとった行動は? ラストの大どんでん返しが見もの。
次は「午後」、「後」、「ご」などで。 アガサ・クリスティー
「五匹の子豚」
過去に起こった妻が夫を毒殺したとされる事件
犯人は本当に妻だったのか?
つぎは「た」または「豚」 吉村達也
「宝島の惨劇」
トカラ列島に実在する離島、「宝島」。
亡き民俗学者・冠鳥一二三が残した謎めいた歌をめぐり、財宝が隠されていると踏んで宝島に集まった彼の関係者たち。
嵐の夜、島に日本刀を持った鎧武者が現れ、彼らを次々と殺害していく。
居合わせた推理作家の朝比奈耕作は、鎧武者の凶行を阻止することができるのか。そして、冠鳥が残した歌の意味とは。
次は「き」もしくは「劇」で。 綾辻行人「奇面館の殺人」
館シリーズ9作目。
探偵含め登場人物がお互いに誰が誰か判らない、でも秘密の通路(恒例)を使ってるコトは教えちゃうから犯人くらい分かるよね?
「殺人」で終わっちゃったけど暫く無かったし
次は「殺人」あるいは「人」、「じん」、 「じ」、「し」でお願いします。 「十二人の手紙」井上ひさし
書簡(&書類?)のみで構成された短編集。
それぞれに意外な結末が用意されている上に
続けて読んでいくと、また新たな楽しみが…。
次は「み」または「紙」で。 『三日間の悪夢』仁木悦子
近所で起こった殺人事件で一人息子が逮捕されてしまう。オロオロするばかりの母親を尻目に、惚けかかっていると思われたお祖母ちゃんがその注意力と機転で孫を救う。
同氏の『誘拐犯はサクラ印』に似た老人の知恵の物語。
次は む、夢、悪夢 などで。