『読みました』報告・海外編Part.9 [無断転載禁止]©2ch.net

1名無しのオプ2015/12/31(木) 15:01:02.27ID:jdtzQL9w
『読みました』報告の形式は自由です。
ただし当然ながら犯人、トリック、プロット等々のメール欄以外でのネタバレは厳禁です。
【前スレ】
『読みました』報告・海外編
http://book.2ch.net/test/read.cgi/mystery/984541588/l50
『読みました』報告・海外編Part.2
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1072265453/l50
『読みました』報告・海外編Part.3
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1141910665/l50
『読みました』報告・海外編Part.4
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1272900112/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1275659798/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.6
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1284256057/
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.7
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1353323940/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.8
http://same.ula.cc/test/r.so/peace.2ch.net/mystery/1378281847/l10?guid=ON

33書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/02/07(日) 16:54:53.61ID:BnV9xlgM
・「虹色の転職」
不景気のおりに身に沁みる者も多いであろう作。
解説にはウェストレイクの「斧」が好きな人の推すようなことが書いてあるが、
あの壮絶なレベルまではいかんです。これはこれで面白いかもしれんけんどね。
・「待つ男」
爆破魔ウェイターというキャラの面白さと予想外のオチ(まさか凍死とは)が光る作である。
・「雪の遊園地」
タイトルに冠された冬の雪の遊園地の雰囲気が何とも良し。
オチも予想外であった(手がかりあり)
・「冬の逃避行」
完全鬱エンドなこれぞクライム・ノヴェルという作。ジム・トンプスンが書けば
何の不思議もないが、というた作。
・「夢は一人で見るもの」
これも邦題が秀逸。夢判断の予知能力、SF仕立てと見せての逆転が読ませる。
・「秘密の場所」
「ピクニック日和」と同じ展開だが、謎解き色がより濃い感あり。
・「標的はイーグル」
これもかっけータイトルだが、標的を狙うものが最後の最後で標的になってまう
という展開の面白さが光る。
・「蘇った妻」
主人公の妻に対する真情が今いちわかり難く、(最後の一行を見る限り基本線はLOVEだったのか?)、展開も見える感があるのが残念。
・「おまえだけを」
文字通り、最後にどかーん!なオチ。まあ、ちょい乱暴過ぎる話ではあるな。
・「こういうこともあるさ」
「夢は・・・」とは異なり、超能力ねたがそのまま出て来るのだが、
終盤の展開は、ハードボイルドとしか言いようがない作。「ただの娘」が
可哀そう過ぎるものの強い印象を残す作だ。

34書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/02/07(日) 16:55:23.30ID:BnV9xlgM
・「キャシーに似た女」
ニック・シリーズ開始時に書かれた作だけあって、共通する盗みねたの面白さあり。
ステンド・グラスとはなあ・・
・「人生とは?」
収録作品中最短の作だが、勧善懲悪完全スルー、後味の悪さだけは抜群。
・「初犯」
ホック流な青春小説かな。オチはいわゆる女は怖いねたですわ(w
・「谷間の鷹」
ウエスタン小説みたいな雰囲気は良なのだが、謎解きハーモニカねたは見え見えかな。
・「陰のチャンピオン」
現役のヘビー級チャンプよりも強い億万長者とか突飛なアイデアは面白い。
・「われらが母校」
いじめられっ子が、時が経てば一番出世ってのは意外にありがちながら、
ありきたりなリベンジ譚に非ず、逆をゆくダークな展開が光る。

35読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/02/11(木) 20:23:25.23ID:FItMoR1M
「くじ」シャーリイ・ジャクスン(早川書房)

表題作が凄いらしいが目次を見れば掉尾。焦らすなあと思いつつ読み進めていくが、う〜んう〜ん。
これは苦手なタイプの奇妙な味だあ。やっぱり塩梅が大事でね。濃すぎと薄すぎがあってこれは後者。
こんなこと言うとディスってるように聞こえるかも知らんが、こういう短編群はある程度の物書きならいくらでも書いてけそうなんだよね。
駄作じゃないよ。それは言うとかんと。しかし奇妙な味として評価する気にならない。ついでに解説で指摘されている存在。こんなことするならもっと話作れよ。作り込めよ。

とりまベストは「チャールズ」。これくらいのものを基準にして欲しかったね。
で肝心の「くじ」。流石にこれは奇妙な味がした。アイディアは今は昔だがそれは仕方なかろう。

もう読まないかな。

36読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/02/11(木) 20:23:53.35ID:FItMoR1M
「チャーリー・モルデカイ1」(KADOKAWA)

これは評価しにくいな。ミステリーとは思わんし。ストーリーには意外性もなく、プロットだけみたら弱い。キャラクターの奇妙な魅力にでも萌えてみるか?
頼れる用心棒ジョックは確かに良い。だが主人公は何がしたいのかよう分からんしヒロインも印象は強烈だが若干キモい。

37読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/02/11(木) 20:26:52.43ID:FItMoR1M
「炎の中の絵」ジョン・コリア(早川書房)

一番好きかも知れない異色作家の短編集……だったが思ったよりお行儀良い印象。「ナツメグの味」に収録されていた数作のような一つ踏み越えた世界観はなかった。

気に入らないのは、「クリスマスに帰る」のような倒叙ものが結構あること。これは(出来不出来はともかく)単なる犯罪ものであって奇妙な味ではないでしょう。もう一つねじくれないと。
「死の天使」の幕切れなんて気の利いたことしようとして失敗している。
やり過ぎという意味では「夢判断」も同じ。これはアイディアは悪くないが重ね過ぎズラし過ぎて座りが悪い。悪い意味で都筑道夫的というか。

まず気に入ったのは「ある湖の出来事」。話としては物足りないがいい感じで踏み外してきた。「マドモアゼル・キキ」「ギャビン・オリアリー」は好きな話ではないけど、奇妙な味として賑やかしで、あってもいい。
ちょっと長めの表題作はジャンルを敢えて全面に出さない趣向が奏功したと思う。

ベストは掉尾を飾る「少女」に。驚かせるのではなくニヤニヤさせながら読ませるというタイプの佳作。こういうのがコリアの持ち味なのかも。いや、これぞ奇妙な味なのか。

38読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/02/11(木) 20:27:57.46ID:FItMoR1M
「スキャンダルをまく女」リチャード・S・プラザー(早川書房)

知り合いの映画監督ラウルに招かれハリウッドのパーティーに参加した私立探偵スコット。
そこで撮影中の映画の主演女優ヘレンと知り合い良い雰囲気になったのも束の間、プールの中から女性の死体が見つかる。
被害者は行方不明になっていた脚本家の秘書だった。行き掛かり上事件を調査することになったスコットだが、自身も何者かに命を狙われてしまう。

これは凡作。犯人に意外性がなく、ストーリー的にも二人のヒロインを捌き切れていないなど収まりが悪い。
軽ハードボイルドだから仕方ないって? お客さんそりゃちょっとディスり過ぎってもんですぜ。ハニー・ウェストとか読んでみなよ。

39書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/02/11(木) 21:40:26.73ID:B+iTgn0O
デイヴィッド・マレル「一人だけの軍隊」を読む。
80年代の大ヒットシリーズ映画、
その第1作の原作である。
長年、気になる1冊(ちゅーか、1作だった)ではあったのだが、
この作者の他作の印象が今ひとつであったため、手にしないままであった。
これは俺ほどの読書人にしては不覚であったと言い得よう。
そのハードな展開は、映画版をはるかに凌駕、
とにかくランボーは警官を殺しまくる、さすがにこのままでは、愛すべき「ロッキー」に
演じさせるわけにはいかなかったのだろうな(w
ヴェトナム戦争の英雄、戦闘マシーン化したランボーと朝鮮戦争の英雄(勲章持ち)の
警察署長ティーズル(実は本作は彼こそ主役と言い得る存在、基本は男っぽいキャラ
なのだが、怪物ランボーを相手にしては、思わず部下を見捨てて悲鳴をあげて逃げだ
したりと妙に人間臭いのが良い)率いる警官隊とのケンタッキーの山岳、森林を舞台に
激しい追跡と攻防は一読、巻をおかせぬものあり。
追う者がいつのまにか追われる者と化す展開の恐怖感の盛り上げ方は秀逸である。
終盤には映画でもおなじみトラウトマン大尉(原作はこの階級)も登場、
彼氏がランボーに止めを刺すラスト(ただし、直接描写はなく、死に際のティーズルに
その旨を語るだけ、ゆえに映画シリーズ第2作以後のノヴェライズ版もアナザーワールドとせずに、独自に可能となったのだ)。
しかし、つくづく最初から最後まで主役はティーズルだなと、
本作においてはランボーは凄い敵役に過ぎない感あり。
意外に印象に残ったシーンは、ティーズル署長が中盤に民間人の捜索参加に疑問を
呈する理由として挿入されるやや唐突な感さえあるエピ、
老人による少女(6歳)誘拐・強姦殺人(民間人の参加による混乱で遺体発見が遅れる
結果となり、事件解決も遅れる結果となる)、庭のプラスチック製プールで遊んでいた
少女の黄色い水着に刺激されたとか・・・
原作は72年の刊行だが、当時からアメリカではこういう事件が多かったんやろうなと。

40名無しのオプ2016/02/11(木) 21:42:03.19ID:u/whcIKX
他は読んでいない

41名無しのオプ2016/02/12(金) 16:43:08.89ID:nm4m5ZKS
CG: いま空軍やNASAが飛ばしている乗り物の20〜50年先をいく乗り物を所有しています。
それに、惑星間複合企業体(Interplanetary Corporate Conglomerate)という側面もあります。
ありとあらゆるすべての企業が集まり、それぞれの資源を提供し合い、太陽系に巨大なインフラを築いています。

DW: その主だった企業が軍事産業企業ですね。
CG: 元はそうでしたが、他にもたくさんの企業へと広がっています。
DW: では光速を越える移動、スターゲイトのような技術 粒子線、パルスレーザー兵器、そういったものですね。
CG: そんなものすら超越していますが、ええ。

CG: ええ。そして秘密宇宙プログラム同盟は−主たる目的は地球の全住民にフルの情報開示というものをもたらすことです。
そのフルの情報開示とは、エイリアンがいるとか、それだけではありません。「この80〜90年間、我々は皆さんに嘘をついてきました。
はい。そういうことで、がんばってください。」 フルの情報開示イベントは、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)情報のデータ・ダンプとなるでしょう。
他にいくつかのハッキング情報も聞いてはいます。そういった情報はすべて解読・照合されており、ある時点で行う大量データ・ダンプに備えて地球同盟や秘密宇宙プログラム同盟にもう渡されています。
彼らの目的は、このシンジケートが人類に対して犯してきた罪をすべて暴露すること。
単にETや非地球人がいるという事実だけではなく、私達の生き方を根本的に覆すような技術の隠蔽を回避すること。
これまで地球上の全住民を支配するために活用してきた連中の企業統治体制やバビロニアの魔法経済システム−つまり奴隷システムを崩壊させるような、その先進技術を公開することです。

CG: すべては物々交換スキルに基づいて機能するんですから。コミュニティとして、皆で知恵や能力を分かち合うんです。
そして先ほどの技術を使って、必要なものはすべての人の手に入ります。電気代を支払うために9時から5時まで働く必要はなくなります‐‐ フリー・エネルギーがあります。
食料を買う必要もなくなるんです-- レプリケーター技術があるんですから。
h ttp://ja.spherebeingalliance.com/blog/transcript-cosmic-disclosure-ubuntu-and-the-blue-avian-message-part-1.html

42書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/02/14(日) 22:37:25.17ID:ZgI9buAY
クリストファー・ハイド「大洞窟」を読む。
これも早川の「新・冒険小説ハンドブック」にセレクトされた一編。
恋愛沙汰と感動的(?)な旧人ネタにやや筆を割き過ぎ気味なのと、
冒険行(ちゅーか、パニック)が始まるまでの前置きが長い感があるものの、
地震による地底内への生き埋めによる、それ=冒険行が始まってからは、
リアル黄泉の国をゆく、息詰まるような展開に魅せられるものあり。
今風な感覚で、結局、若い恋人たちとかは助かるハピ、ハピ、ハッピーなんでしょとか
思うていると、これも大きく裏切る展開。
この手の作を読み慣れた者でも、最終的なサバイバーを全て予想するのは難しいの
ではなかろうか?
作品冒頭から登場の冷静沈着な日本人地質学者原田以蔵がカッコ良すぎ、
80年代前半に西洋人(カナダ)作家により、日本人がメーンとなる冒険小説が
書かれていたとはな・・
ただし、キャラを見る限り、こんな哲学者にしてストイックな武士みたいな日本人は、
当時でも、もうおらんだろと。
地底舞台の冒険ものといえば、今でもあの懐かしいヴェルヌの「地底旅行」が思い浮かぶが、
(本作でも皮肉っぽく軽く言及あり)
冒険の契機が意図的か突発的かの違いはあれど、あのようなどこか牧歌的で楽しいムードは皆無、自然の脅威、セックス、エゴ、そして死が渦巻く世界がビビッドに描かれてゆく。
(映画が大ヒットしたP・ギャリコの作がヒントかなという死に様なキャラもあり)
地底怪獣も地底人も登場しない(この辺も作品中にユーモラスに言及される)ものの、
現代(当時)のリアルな地底舞台でこんなにサスペンスフルな作が書けるわけである。

43名無しのオプ2016/02/23(火) 22:28:02.75ID:adP0PR/6
ぜひ、ご参加ください。
【自治】ミステリー板強制コテハン導入議論スレ [無断転載禁止]©2ch.net
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1456186746/

44書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/02/28(日) 15:27:15.54ID:FXFC9JXb
デイヴィッド・マレル「ランボー 怒りの脱出」を読む。
まあ、前作がかなり面白かったので手にした。
勿論、スタローンの映画も見てるし(エンタメとしてはランボー・シリーズ最高傑作は
ぶっ飛びな展開にベトナム戦争ネタという社会性を背景にしたこの2かと思う)
前書きとして付された著者の言葉によれば、原作小説中ではランボーは死に、
映画化作品では生き延びた、本作は後者の続編(つまりノヴェライズ)とのことである。
うーん、前記したとおり、原作小説ラストママでも行けると思うのだが・・・
おおむね映画と同じ展開だが、ランボーの生い立ち(ママはナヴァホ族、なるへそ、
弓の名手足り得るエピも語られる)や心理的な葛藤を書き込んで小説としては読ませる
ものにした結果、欲を言えば映画のハードで破天荒なテンポの良さを殺いだ感があるのは。
やや残念。美形なヴェトナム人協力者コーは米在住の息子まであるという設定、
彼女を殺すのは映画ではヴェトナム軍曹のテイ(映画では髭のガヤ程度の印象しかないが、
彼氏とランボーとの因縁めいた関係、配属に関する小市民らしい屈折した感情等も丁寧に
書き込まれる)だが、ノヴェラではソヴィエト軍ヤシンが乗るヘリの掃射。
CIAのマードックは最後にはランボーと米人捕虜抹殺まで指示する外道等々、
この辺は異なる。
弓、銃、ヘリ等に関する大藪春彦風な凝った解説も挿入されたりして、
もっとこうしたら説得力があるストーリーになるというマレルの工夫がおもろい。

45書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/03/06(日) 14:30:09.26ID:sOdoNdNp
アン・ヴァン・ディーンデレン、ディディエ・ヴォルカールト編著  
「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」を読む。
カルピスこども劇場(当時)のアニメに涙した者は、思わず手にしてしまう
であろう1冊だが、
舞台となったベルギー(具体的にはアントワープ、広くはフランドル地方)では、
なぜ不人気どころか完全無視というてもよい状態が続いているのかという
謎解きが淡々と検証されてゆく興味深さがある。
ベルギー、本邦、アメリカと「フランダースの犬」という作に対する受容の
され方が大きく異なるというのが、それぞれの国民性の違いを実感させて
面白い。

46読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/10(日) 10:20:46.63ID:b9TiVj+Q
「窓辺の老人 キャンピオン氏の事件簿T」マージョリー・アリンガム(東京創元社)

アリンガムのシリーズ探偵アルバート・キャンピオンが活躍する短編集。
期待して読んだが二つを除いて失望。まるでホームズのライヴァルたちの平均作を読まされているよう。アイディア自体はともかく本格として見せようとしていないのが問題。
じゃあサスペンスフルか? 冒険小説としてどうか? と言うとこれも特にパッとしない。
ついでに言えばキャンピオンにも萌えない。

例外はまず「ボーダーライン事件」。言わずもがなの傑作。2巻から読んだ世界短編傑作集で最初に感心した作品だったっけ。ストリックと言ってもいいくらい渾然一体として正に短編の手本。
他と出来が違いすぎるので代作かと勘ぐりたくなる。
次点に表題作。↑ほどではないが、ストーリーとトリックとの配合が良い。表題の謎はやや膨らみ不足だが。

訳者あとがきを読むに「反逆者の財布」を早く復刊してほしい。

47読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/10(日) 10:24:45.57ID:b9TiVj+Q
「三つの棺」ジョン・ディクスン・カー(早川書房)

ある夜酒場に集っていた男たちのもとへ奇怪な闖入者が現れ彼らの一人グリモー教授に謎めいた言葉を投げかけてきた。
グリモーは動揺し、身を守るためとしてなぜか仲間の一人である画家バーナビーから一枚の絵を買い取る。しかし、悲劇は起こった。
雪の中何者かが訪ねてきた夜、グリモーは自室で倒れ、射殺されてしまう。複数の目撃者によると現場は密室状態だった。
更にグリモーを脅かした謎の男もまた、通りで射殺体となって発見された。至近距離で撃たれ、銃声が響いたが、犯人の姿はなかったという。
二重の怪事件にフェル博士が挑む。

巨匠の代表作。満を持して読むも、まあ、まあ。つまらなくはないが、最高傑作というほどの感動は覚えず。トリックが雑然としててスマートじゃないし、不確定要素が大杉漣。
ただし、うち一つの密室トリックだけについて言えば見事だと思う。一歩間違えばバカミスだが……つか某バカミスと通底するものがあるね。

ちなみに本作はロマンスやらはほとんど排して謎解きに徹している。いくつかの例外を除いて、カーのロマンスは予定調和過ぎてつまらんからこれはエイダン・クインやも。
ああそうそう。密室講義ね。でも個人的には幽霊論や奇術論の方が物珍しかったりする。

48読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/10(日) 10:29:30.05ID:b9TiVj+Q
「死体のささやき」中田耕治編(青弓社)

〈評価〉
△△○△×○××
〈感想〉
ベストはヘンリー・カットナー「住宅問題」。大小の演出がいいね。ほか既読だがフィッツジエイムズ・オブライエン「真夜中の訪問者」もおすすめ。
マイク・マーマー「テラスからの眺め」は途中に無理がある。このオチがやりたいだけで雑に話作るなと。
しかし編者の解説はひどいね。長々と自己主張した挙げ句収録作品の発表年も寸評もせずじまい。この頃は書誌情報とかは軽視されてたのか?
家に帰るまでがアンソロジーだろうが。最低限の情報は載せろよ。自説を開陳したいならそれからにしろ。丁寧に読み飛ばしてやるから。

49書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/04/10(日) 21:18:11.77ID:0DG16r6r
デイヴィッド・リッツ「ドジャース、ブルックリンに還る」を読んだ。
相当のメジャーリーグ好きでないと、嘗て野茂が活躍したロスアンゼルス・
ドジャースが、NYブルックリンのホームチームであったことは知らぬかも
しれぬ。
共にニューヨーカーな幼馴染の男2人(成功した実業家と元プロ野球選手)が
少年時代から愛して止まぬドジャースを、ブルックリンに取り戻すという
ストーリー、この経緯だけで、ファンタジーでもあり冒険小説とも言い得ようか。
原書刊行が81年、邦訳が86年だから、正に現代では夢物語
になってしまった作だが、ホームチームへの尽きせぬ愛を描いた野球小説としては、本邦における西鉄ライオンズフランチャイズ移転による九州人の悲嘆
(ダイエー→ソフバンがすっかり地元に定着した感がある昨今では、この事も過去と化した感はあるが)とか思い浮かべ、興味深く読めた。
本邦における球界再編騒ぎを思い出すと、コミッショナーの承認等、
御都合主義で上手く行き過ぎな感は否めないものはあるし、
カストロまで登場してのキューバの強打者獲得(ごく最近国交回復したばかりやがな(w )、メジャー初の女性投手登場(これは「赤毛のサウスポー」という先例ありだが)も破天荒過ぎる展開、やはりこれは「ファンタジー」なんで
ある。かと思えば、新球場誕生、ドジャース移転(ちゅーか、帰還)で
感動のハピ、ハピ、ハッピーでエンディングかと思えば、さに非ず、
やはり強くないと、勝たないとNGというプロ野球らしいシビアな現実も
描かれる。遂に宿敵(?)ヤンクスとのWシリーズまでに持ち込み、
その結果は・・・これも外してくれる。
主人公の友人である実業家がマリファナ吸いまくりだったり、
ヒロインの一人である女性リポーターが主人公2人に文字どおりの二股
(フリーセックスが幅を効かした70年代の名残りか、騒動には
至らず、軽くスルーされる)
かけたり、主人公自体が、今風に見ればロリコン気味と思えたりと、
この辺は正に書かれた「時代」を感じさせるものがあった。

50名無しのオプ2016/04/12(火) 17:11:42.62ID:7FhC+LGy

51読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/12(火) 17:28:09.29ID:S8aTyK+n
「容赦なき銃火」アンソニー・ボーデイン(早川書房)

殺し屋ヘンリーはマフィアのゴッドファーザードニーを始末しようとしてしくじってしまう。
その場から逃げたヘンリーは一年後、愛妻フランシスと共にサンマルタン島で暮らし始めた。のどかな生活を謳歌していた二人だが突如終わりを告げる。ドニーが証人保護を受けてサンマルタン島へやってきたのだ。
そしてそれを知ったかつての依頼主ジミーもヘンリーとドニーを片付けるべく刺客を放ってくるのだった。

ぶっ飛んだ設定とキャラクターが巧く噛み合っていて楽しかった。
奥さんがいい。

52読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/12(火) 17:34:42.25ID:S8aTyK+n
「死ぬためのエチケット」シーリア・フレムリン(東京創元社)

短編集。正直な感想は、微妙。つまらなくはない。描写が下手だとも思わない。だがどれも読み終えると違和感がつきまとう。オチや〆がいかにも唐突なのだ。
意外と言えばそうなのだが、快哉を叫ぶような意外ではなく「そんなとこに行っちゃうの?」という感じ。
あまり好みではなかった。

ベストは「悪魔のような強運」に。これは最初からの流れを引き受けて真相へ導いていたので。キャラクターにも一貫性があった。
掉尾を飾る、都筑道夫をあっと言わせた「奇跡」は大いに期待したのだが、イマイチ。そうだったのかと思うのはその瞬間だけで、驚けない。そういう作りになってしまっている。

「夜明け前の時」がやや気になるが、読まないだろうな。

追伸 解説はせめて各短編の発表年くらい載せとけよ。

53読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/12(火) 17:40:23.99ID:S8aTyK+n
「ベルリン強攻突破」フランク&ヴォートラン(新潮社)

パリでうだつの上がらない日々を過ごしていた若きカメラマンボロは新聞で従妹のマリイカがドイツで映画女優として華々しくデビューしたと知り、たまらず会いに行く。
しかし慌ただしい再会は思わぬ災いを齎した。マリイカから送られたライカで適当に撮った写真のせいで2人はナチに狙われることになってしまったのだ。

表4(笑)のあらすじ読んでこいつクズやなと思った。読み始めてもやはりクズ。
てめえで夢追って別れた癖に有名になったと聞いたら唾付きだからなと言わんばかりに乗り込んでってやろうとするんだから。思い出してもムカムカくる。
閑話休題。前記あらすじはミスリードぽい。脱出行を描く冒険小説と捉えるとがっかりしそう。
解説にあるがこれは大戦を挟んでカメラマンの生き様を描くサーガの1巻目であり、アクションは主眼ではないし、当該写真もストーリーを牽引するほどの緊急性は持たず疾走感もない。
途中、あまりに情緒に流れるから歴史を描くはずなのにと不安になった。700近い分量は明らかに冗長。

その辺割り引いて読めばまあまあ楽しめる。マリイカに恋い焦がれているようですぐ他の女に欲情するボロや従兄を愛しく思っているがエッチは拒否るマリイカの関係性とかね。
個人的には“彼女”と10年後に運命的な再会を果たすという場面を見たいけど、残念ながら邦訳はこれきり。
↑みたいに後々の伏線というかほのめかしが随所に散りばめられているのだがなぁ。。。

54読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/04/12(火) 17:41:12.68ID:S8aTyK+n
「ハドリアヌスの長城」ロバート・ドレイパー(文藝春秋)

長い。処女作にありがち。復讐ものでもなく謎解きでもないので、こら紛い物掴まされたかなと不安になったが、後半やっとミステリーぽくなってきたから少しほっとした。
久しぶりに帰郷したら親友と初恋の女性がくっついているというありがちなアウトラインながらリーダビリティはある方だ。
しかぁし! 終盤の急展開はいただけない。そのまんまってありかよ。そこに至る伏線も大してないし。割くべきところに割かず割かなくていいところに割いている印象。
良く言えば素人の大胆さ、悪く言えば行き当たりばったり。率直に言えば最後の最後で気が変わったなオマエ。
きちんとプロットを立てた上で巧く捌ければ良作の要素になり得ることなのに残念だねえ。

55書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/04/17(日) 23:15:20.61ID:D73U5b36
トルーマン・カポーティ「誕生日の子どもたち」を読む。
村上春樹訳による作品集。
トルーマンの幼年・少年時代の日々を題材にした5作品と
NY舞台のトルーマンらしい病的な幻想風味溢れる「無頭の鷹」を収録。
うーん、やはり「無頭・・・」は異質なテーストと言わざるを得ない。
訳者あとがきによれば、ハルキが初めて英語で読んだ(高校のサブテクストにおける抜粋で知り、ペーパーバックも読破)トルーマン作品とのことであり、
思い入れが強いものがあったのであろうか?
出版サイドも頁稼ぎに「先生、何かお好きな作を」ということかもしれんが。
他の作品群はと言えば、
「誕生日の子どもたち」のミス・ボビット(彼女の轢死による始まる物語)に
名作「ミリアム」と少しだけ似たテーストを感じるものの、
新潮文庫収録の代表作品群と比較して、
ダイレクトに登場人物たち(主人公の少年やその周囲の人々)の孤独な様が
伝わって来る感があり、非常に読み易くはある。
トルーマン入門書としてはグッドな1冊ではないかな。

56名無しのオプ2016/05/03(火) 02:47:43.60ID:5bFwuzo8
ピエールルメートルの悲しみのイレーヌとその女アレックスを読んだけど本屋大賞とか何冠も受賞するほどのおもしろさは感じなかった
メインででてくる登場人物たちはいいキャラクターだと思ったけどそれだけかな

57書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/05/04(水) 09:11:37.81ID:ymxqMA3+
俺はルメートルはアレックス読んで切った。
>>56に同感、相次ぐ高評価と好調な売れ行きの因がわからず。

58名無しのオプ2016/05/05(木) 17:58:22.40ID:QZ5qtmbq
「暁の死線」よんだ。アイリッシュ節全開でいいなぁ。
冒頭から、二人が心を通わせるまでが、なんとも。。
陶然とする読後感はまさにアイリッシュ。
よいアイリッシュの読者ではないけど、
「幻の女」
「暁の死線」
「聖アンセルム923号室」
がベスト3.
あと、訳者の稲葉氏素晴らしい。
どこぞの、抄訳をくりかえす訳者は見習ってほしかった。

59書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/05/06(金) 15:21:38.69ID:m0CNXSMz
実は定評がある「幻の女」「暁の死線」、俺はイマイチ感があった。
期待大だったせいかもしれんが。
>「聖アンセルム923号室」
ホテル探偵ストライカーが活躍する「自殺室」及び「殺人室」が面白く、
(初読はジュブナイル)
姉妹編として読んだが、これも良し。
ただし、この連作にはストライカーは登場せず、ポケミスに入っているとはいえ、
内容的には非ミステリである。

60読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/05/06(金) 18:55:51.03ID:OR0Zb7CO
「女郎蜘蛛」パトリック・クェンティン(東京創元社)

愛妻アイリスが母親の療養に付き添っていて一人暮らし中のピーター。ある日脚本家志望という若い女性と知り合い、日中部屋を仕事場として貸すことに決める。
しかしアイリスが帰ってきた日、彼女は二人の寝室で首を吊っていた。ピーターに傷つけられたとの手紙を遺して……。

ダルース夫妻シリーズ最終作。といってもアイリスが探偵役になるものは2、3作なので実質ピーターシリーズか?
とまれ最後だ。そして夫妻最大の試練。ピーターには浮気者と殺人者二つの汚名が着せられてしまう。当初は夫を信じていたアイリスだがやがて揺らいできて遂には……。

ただね、やはり昔の作品だしウェッブの本格味のが優勢のせいかピーターの悲哀はさほど感じられない。アイリスに見苦しく懇願したりもしないし。その辺ストーリーとして物足りない気もする。
悪女成分は十分あるけどね。
本格としてのフーダニットは中盤で気付く人もおろう。個人的には殺人はともかく浮気の疑惑はどう晴らすのかが興味の中心だったが、ちとズルいと思いつつまあ上手くやった方かな。

蛇足ながら過去読んだ複数の書評では暗い話と仄めかされていたから不安だったけど、そこは心配無用だった。船長に騙された(笑)。

61読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/05/06(金) 19:09:04.62ID:OR0Zb7CO
「被告側の証人」A・E・W・メースン(論創社)

若くして成功した弁護士兼下院議員スレスクは仕事で訪れたインドで束の間の愛を交わした女性ステラの消息を知る。
今や副総督夫人となったステラだがどうやら不幸な思いをしているらしいと聞いたスレスクは意を決して彼女へ会いに行く。
それが悲劇の始まりとも知らずに――。

メースンと言えば「薔薇荘にて」で黄金時代より早く黄金時代の作品を世に出したり、
「サハラに舞う羽根」ではそのヒロイン像を巡って日本ミステリー界を二分する大論争を巻き起こしたりしたことで知られる作家である。
その久々の邦訳新刊とのことで期待して読んだのだが、何かビミョー。まず視点がおかしいと思った。あらすじと前半の三人称一視点から当然期待する方向に行かないのだ。
これが例えば視点人物名が章題ならまた受け止め方も違ってこようが。まあ当時はその辺緩かったのかも知れない。そう言えば「黄金虫」にもそういうところがあった。
次に構成がまずくはないか。こうしたいならもっと前半部に書き込まないと。実はこうでしたってそれはどうなのだろう。ミスリードの成功例なのか。そも適しているのか。疑問は尽きない。

ミステリー的にみて、真相に意外性はあるが、装飾が何とも雑だ。あれだけ達者な本格ミステリを書けるメイスンがなぜこんな中途半端なものを書いたのか。やはり疑問は尽きない。

あとメタな言い方になるけど、自分が金払って映画なり舞台なり観に行ってこういう筋書きだったら損したと感じるだろうな。敢えて観る意味のないエンタメだと。

62名無しのオプ2016/05/07(土) 04:02:59.06ID:50s0wySR
>>61
月に何冊くらい読んでいるの?
海外モノ以外もふくめて

63読後感 ◆VkkhTVc0Ug 2016/05/08(日) 23:44:40.60ID:tcyjL7lq
5、6冊くらい
今上げてるのは少し前の分です

64名無しのオプ2016/05/09(月) 00:42:44.33ID:BYyKjKy5
あー、そうなんだ
てっきり20以上読んでいるかと思っていたw

65名無しのオプ2016/05/09(月) 17:59:43.76ID:9HxUzZJA
ウルズラ・ポツナンスキ『古城ゲーム』(創元推理文庫)

14世紀の騎士や魔女になりきるリアルライブRPGに参加したバスチアン。
しかし、パーティがまたひとり、ひとりと消えていき
出口のない地下の洞窟へ閉じ込められてしまう。
そこには大量の白骨死体が……。本当に古代の呪いなのか。

オーストリアのミステリ。なりきりRPGというのは本当にあるらしく、発端がおもしろい。
意外に伏線も巧妙に敷かれていて、読後感はさわやかである。
ホラーとしては全然、という評も見たが、やはりこれは「ミステリ」なので、
呪いを本物と信じ込んでしまった仲間たちの狂気、サスペンスが本来の見どころであろう。

66名無しのオプ2016/05/10(火) 01:45:58.82ID:iM0C7sY1
少し前にそれをテーマにした「RPG」て映画があったね

67名無しのオプ2016/05/11(水) 23:46:50.56ID:msinatbJ
メアリー・W・ウォーカー『神の名のもとに』(講談社文庫)

終末思想を説くカルト教祖、サミュエル・モーディカイの指揮のもと
スクールバスごと子供たち11人と、元ベトナム兵の運転手・ウォルターが攫われる。
FBIは交渉をまったく進められず、終末へのタイムリミットが迫っていく。
ウォルターは子供たちの面倒を見ながら、銃を持った男たちにささやかな反抗を試みるが……。

20年前くらいに話題になった本。積ん読になっていたが、中盤からは一気読み。
いろんな書評がウォルターおじさんを取り上げているので、ここは
引退した警察犬のコパーと、終盤に登場するFBIの潜入特殊工作員、レインを推しておきたい。
事態の収束があっけない感じがした。もうちょっとそこ盛り上げてもいいんじゃない、的な。
同じ講談社文庫の『神の狩人』と比べてしまったからかもしれないけど。
(あっちは逆にめっちゃ引っぱる)

68名無しのオプ2016/05/15(日) 19:02:33.63ID:I5htoAPR
T・J・マグレガー「ささやく影」
超能力の存在に否定的な方は、最後まで読めないかもしれません。
量子もつれに興味のある方は、意外と最後まで読んでしまいそうです。
どちらにしても、犯人氏名の特定の仕方については激オコぷんぷんです。

69名無しのオプ2016/06/06(月) 20:51:15.58ID:lhTLzF9A
マシュー・グイン『解剖迷宮』(ハヤカワ文庫)

医学校の地下から大量の黒人の人骨が発見される。
19世紀、ニーモという黒人奴隷が解剖用遺体の調達係、通称「復活師」であり、
その手術の腕前から解剖学の教鞭を執るまでになった、という事実があきらかになるが
大学側は広報のジェイコブにもみ消しを命じる。

過去(ニーモ編)と現代(ジェイコブ編)のパートが交互に進んでいくが
「謎」が解明されていく構造ではないため、物語がどこへ向かっているのかよくわからない。
端的に言うとつまらなかった。400頁もないのにそのせいで時間がかかった。
19世紀の医療に関心があって買ったので、興味深くはあったけれど。
こういう中途半端な構造の理由は、作者出身の医科大学で似たような事実があったため、らしい。
つまり関係者の名前をかえ、多少のフィクションを織り交ぜて小説にしたと。
だが社会的な問いかけを優先したせいで、エンターテイメント性はずいぶん減じている印象。
ニーモ編だけに絞った方が絶対おもしろかったはずだが、それだと執筆の主旨には沿わないんだろうなあ。

70書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/06/11(土) 22:23:57.97ID:lEuUSffz
蒲松齢「聊斎志異」平凡社ライブラリー全6巻を遂に完読した。
「それチャイナ・ホラーの古典やろ、なら別板扱いなはず」との声も
出ようが、実は全編に目を通すと、スーパーナチュラルな要素皆無な
大岡裁き風裁判ネタも相当数収録されている次第。
ゆえに、リーガル・サスペンスの古典としてこの板で取りあげるもOK、
というのは強弁に過ぎるであろうか(w
この作、俺は岩波文庫版のセレクション(上・下巻)で長年愛読していたが、
(立間祥介氏の訳、なかなかに良し)、今回、平凡社の全訳と照合すると、
原書の巻の一、二から多くセレクトされているのがわかる。
巻を増すにつれてセレクト数は減る傾向にあり、巻の十二に至ってはセレクト0
である。
立間氏の横着とか早合点する向きがあろうかとも思うが、
しかし、実物に当たってみると、ある程度のボリュームがある面白い作は
前半の巻に集中しているのがわかり、このセレクション、十分に納得がゆく
ものとなっている。
ホラーに絞り込み裁判ネタが無いのは、ちと「?」だが、
面白いエピは皆無に近い(こじつけみたいなのばかり)しな。
自分は、柴田天馬氏の角川文庫版を探した世代だが、
無念、80年代前半において既に絶版。
(後にリヴァイバル復刊された時期もあったと聞くが、それもとうに絶版)。
機会があれば、軽妙にしてリーダビリティ大と言われる天馬氏の訳文にも
触れてみたく思っている。
平凡社版は昔の学者先生たちの訳だけあって、立間訳と比較しても、
少し硬めな感があるんだわ。

71書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/06/12(日) 20:33:48.53ID:IvEvilB8
「呪われた腕 ハーディ傑作選」を読む。
新潮文庫の新装版(新訳には非ず)だが、岩波文庫の傑作選のそれと被る
収録作があるのが残念。
出来栄えが良いものを採りたいという方針は理解できるのではあるが・・・
ハーディ短編をハンディに1作でも多く読みたいという場合には残念な事
と相成る。
・「妻ゆえに」
岩波文庫に収録された作。何とも哀切なラストが印象的。
・「幻想を追う女」
これも岩波にも収録。未見の詩人を思慕する人妻、
今後の悲惨な展開が想像されるオチが強烈な面白い展開の作である。
・「わが子ゆえに」
これはミステリ抜きなアガサ作品というた感があるさらっと読める女性ドラマ
である。
・「憂鬱な軽騎兵」
岩波にも収録。英国駐屯の若きドイツ軽騎兵と村娘の悲恋、そして悲劇。
上手い語りに読ませる一編ではある。
・「良心ゆえに」
ミルボーン氏の孤独な様がビビッドに伝わって来る良作。
・「呪われた腕」
コテコテの怪奇小説だが、それだけという感あり。
これを表題作に持って来るのは、いかがなものか?
という感あり。
・「羊飼の見た事件」
サスペンス・ミステリとして読んでよい作。
怪談話に落とし切らないのが良し。
・「アリシアの日記」
出来栄えとしては、傑作選の掉尾を飾る本作を表題作に持って
きた方が妥当だったという感がある。

72書斎魔神 ◆BVdqSIZJw0RM 2016/06/12(日) 20:37:17.29ID:IvEvilB8
・「アリシアの日記」
出来栄えとしては、傑作選の掉尾を飾る本作を表題作に持って
きた方が妥当だったという感がある。
自意識過剰で困った姉ちゃんの日記による一人語りだが、
これが結構面白い。いわゆるキャラが上手く立ってるというやつか。

73名無しのオプ2016/06/25(土) 07:47:41.26ID:/WBQlijj
ボリス・アクーニン『堕天使(アゼザル)殺人事件』(岩波書店)

19世紀モスクワ、ひとりの青年が公衆の面前で謎の自殺を遂げる。
単純な事件に思われたが、捜査線上に浮かぶ謎の美女。
「アゼザル」とつぶやく謎の殺し屋……。
若手捜査官ファンドーリンは、やがて国際的な陰謀に巻き込まれていく。

ファンドーリンの捜査ファイル、シリーズ第1巻。
19世紀ロシア文学の、もってまわった表現と長セリフを模倣した文体で描く活劇。
巻によってテーマが設定されているらしく(第1巻はスパイ小説)、
あらすじから期待したような謎めいたミステリーではなかった。
ユーモアをたっぷり込めた文体は、トルストイやドストエフスキーよりも
むしろディケンズを連想させた。
笑えるのか? うーん、ディケンズのようなもったいぶった笑いが好きなら。
でも、最後は鬱エンド。評価が難しい本だな。
嫌いじゃないけど、2巻以降はいいかも。

74書斎魔神 ◆Faci8xkPLw 2016/06/25(土) 09:24:12.45ID:SDVvuvaE
小山正「ミステリ映画の大海の中で」を読む。
2012年刊行の大部なハードカバー、原作との比較論考等を
まじえたミステリ映像化作品に関する論考集であり、
それなりに楽しめるものはあった。
しかしながら、筆者も既見という作品で、どうも評価に納得が
いかないもの多し。
例えば、R・スターク原作の映画「汚れた七人」は、俺は面白く見たクチ
なのだが、盛り上がりを欠く凡庸な作という評。
逆に、同じ悪党パーカーシリーズ「人狩り」の映画化「ペイバック」は、
原作破壊の凡庸なアクション映画かと思うのだが、
主人公も原作の雰囲気に近いと、総じて高評価。
もう少しマイナーだと、映画「黒の捜査線」(ソフト化なし)という作。
昔、テレビで見たが、SFミステリとも社会派ミステリともつかない中途半端な
ワンアイデア(黒人の体に白人の脳を移植)頼りの凡作という感だったが、
事件の真相も二転三転し、フーダニット・ドラマとして良というのが、
著者評。
テレビドラマに目を転じると、「名探偵ポワロ」の「オリエント急行の殺人事件」、
どう見ても、原作世界破壊の典型、辛気臭い失敗作かと思うのだが、
大胆なリメイクで優れたミステリと高評価されている。
うーん、この本は、暇つぶしに読むにはともかく、俺にとっては
鑑賞ガイドブックには成り得ないようだ(w

75名無しのオプ2016/07/10(日) 20:49:04.47ID:2OfrT/zy
『矢の家』A・E・W・メイスンを読了

良い意味でも悪い意味でも古典って感じの推理小説だったな
トリックも犯人も今読むとかなり分かりやすい
探偵アノーのキャラクターと雰囲気を楽しむ作品だった

後、館モノのご先祖作品的なものとして考えるなら読む価値がある作品かもしれないと思った

76名無しのオプ2016/12/29(木) 13:43:54.97ID:qEBaxBC9
「その女アレックス」ピエール・ルメートル読了。
このミステリーがすごい第1位というコピーにつられて読んでみた。以下ネタバレ含む感想。


テンポがよく新たな展開の連続でどんどん進めるが死体の描写が残酷でグロイ。吐き気を催すレベル。
警察がアレックスの足取りを全然つかめず無能に思えてくる。警察と犯人との接触がなくハラハラしない。
ラストの真実より正義を求めるというのはお国柄の違いか?しかし過去に会った女なら気づくだろ・・・というツッコミは禁止か?
個性的な捜査チームのキャラはよかった。評判に劣らぬプロットの巧妙さだったが総合的にみて残酷描写が多くてグロイので好きになれない。続編の傷カミーユもこの調子なら読むのをやめる。

77名無しのオプ2016/12/29(木) 14:46:26.68ID:L+WKBH1J
ネタばらしの削除依頼は自分で出しておくように。

78名無しのオプ2016/12/30(金) 07:38:54.00ID:ojxyAFkP
「アレックス」、「イレーヌ」はまあまあおもしろく
読めたけど、3作目は途中で読むのやめた。
他スレでも書いたが主人公の刑事と女の出会いの
エピソードには怒りさえ覚えた。いくら小説でも
あれはありえない。

79名無しのオプ2017/03/25(土) 02:18:14.61ID:zHzkODDE
アレ

80名無しのオプ2017/06/12(月) 01:31:29.46ID:zXel004d
『闇からの声』イーデン・フィルポッツ読了
『赤毛のレドメイン家』に次ぐフィルポッツの代表作
よく言われているとおり『闇からの声』は本格ミステリーとは言い難く
探偵リングローズがどのように犯人を追いつめるかという過程と
探偵に対して犯人はどう立ち向かうのかを描く作品である
だからといって倒叙ものではないのがこの作品の良いところでもあり悪いところでもあると思う

割と地味でスローテンポな作品だが
終盤の探偵と犯人の対決はなかなかの盛り上がりがあり、ラストのサプライズもベタではあるが小気味良い

81名無しのオプ2017/10/11(水) 02:46:51.33ID:BdNEBnsF
『猫の手』ロジャー・スカーレット読了

大きなお屋敷があって、そこの主は金持ちの変人で、一族の人間も後ろ暗いとこがあって…
という典型的な館ものミステリー

序盤は一族の人間の人となりに紙面が費やされている
なかなか面白い人物ばかりで読ませてくれるし、そろそろ飽きてきたところで殺人事件が起きるという読者に優しい構成だ

これは凄いと思えるようなトリックが仕掛けられているわけではないが、真相はなかなか意外性があり
ある事実が逆転して一気に真相が理解できるようになっているのは唸らされるものがある

ロジャー・スカーレットというと乱歩が絶賛した『エンジェル家の殺人』ばかりが有名だけど
『猫の手』はそれに次ぐデキではないかと個人的に思った

82名無しのオプ2018/02/16(金) 19:10:22.80ID:jPPosQeW
「細工は流々」エリザベス・フェラーズ読了

トビー&ジョージシリーズの2作目作品
代表作である「猿来たりなば」のような目玉となるようなトリックは無いが
物語の面白さと次々と事態が変化していくために生じる先の読め無さで読ませてくれる

今作品でこのシリーズの楽しみはトビーとジョージのキャラによるものが割と大きいなと再確認させられた
事件の真相だけでなくジョージの思わぬ行動でも驚かせてくれる

83名無しのオプ2018/03/15(木) 04:48:39.84ID:QbaBwGFA
『天井の足跡』クレイトン・ロースン

翻訳が悪いのか作者が文章書くの下手なのか
とにかく読みにくい
それに加え、話が無駄にゴチャゴチャしていて
読み辛い点は減点対象だろう

ミステリーとしては興味を惹かれる要素満載で
魅力的なシチュエーションや設定、探偵マーリニのキャラのおかげで
読み辛いのを耐えて読み続けようという気にさせてくれている

ただし結末は良くも悪くも普通
こんなにゴチャゴチャした話で奇抜なシチュエーションなのに
普通すぎる真相だったので少々拍子抜けしてしまった
まあ、平凡な真相であるためか分かりやすく納得できるようにはなっているんだけど…

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