二階堂黎人23
このところ智天使、諏訪湖、稀覯人と読んできて今度は蘭子ものの「ラン迷宮」を読んだんだが…
これ書いた頃はスランプだったんじゃないかと思うほどの出来だなぁ。幽霊マンモスはかなり持ち直したんだなとさえ思った。
「泥具根博士の悪夢」
収録作3編の中でも間違いなく最も出来の悪い作。(メ欄)なら何でもありやんけ。博士の助手の柴崎の台詞が「ら、蘭子さん」「そ、それは本当ですか!」と吃りまくりだけど吃音症患者の設定ではないので、常におどおどしている小心者に描こうとしてこうなっちゃったんだろうな。
「蘭の家の殺人」
黎人が既婚、蘭子は俺の嫁的なアレじゃなかったのか。帯刀というおっさんが画家と愛人とのやり取りをまるで再現ドラマのように真似て見せるのが不自然そのものな上に、おっさんが愛人の声真似までしているのかと想像すると…
橋田壽賀子ドラマを上回る台詞のくどさばかりが印象に残る。画家服毒死の真相はヒネリがあって良い。
「青い魔物」
医学の知識でもないと自力では解けない真相。短さゆえに推理する間もなくあっさり解決してしまい、黎人や警察官の蘭子マンセーも控えめな上、前2編に比べて短いので相対的に読みやすく感じる皮肉な作。 そういや、金田一少年の獄門塾を人狼城のパクリと騒ぐついでに雪影村は泥具根博士の悪夢のパクリと主張したら雪影村の方が発表は先だったという本格理解者派系の首領にあるまじきオウンゴールを決めてしまった因縁の作でもあるんだよな、泥具根博士の悪夢。 >>438
レポ乙。逆にこれ、読んでみたくなったw
マンモスはゲドさんの中では5本の指に入る良作の部類かと。 >>439
『人狼城』のメイントリック(仕掛け)も「とあるゲーム(メール欄)」を知っていると
比較的簡単に推察できるし・・・・・・
*センセは知らなかっだろうし、それ込みでも『人狼城』は大傑作だと思う ゲドさんのことは脱出王ハリー・フーディーニになぞらえて密室王ゲディーニと呼び称賛したい。 お前らゲドさん呼ばわりしてるけどギガンテス読んで無いだろというか読んでるやつ0人だろ
俺は読み始めようと思って登場人物リストでそっ閉じ
思い返してゲドババァァ。とグアォドバババアアァ!だけ確認したけどな >>443
本格愛があれば本格ミステリーになるのと一緒で、ギガンテス未読でも二階堂愛があればゲドさん呼びしてもいいのだよ、ゲドババァァ!
ちなみにギガンテスは大昔に読んだ。聖域の殺戮は途中で投げた。 >>443
俺は連載版と書籍版の両方を読んでるぞ!
聖域の殺戮も読んだぞ!
ミステリーとしてネタの出来はギガンテスの方が上だぞ! >>396
『智天使の不思議』はこのミス2010で、某大学ミス研が2位に投票してて、
意外と高い評価なんだなと。 >>447
たまたまそういう投票者もいたというだけでトータルでの評価はそこまでじゃなかったけどね。
X論争の後に容疑者Xへの対抗意識で書いたからなんだろうが、評論家を殺人の被害者にして作中で評論家批判を語らせるとか、ちょっとみみっちくないですかと思ったw 智天使、諏訪湖、稀覯人、ラン迷宮ときて次は「亡霊館の殺人」を読んでみますよ、ゲドさん。今度こそ…頼むぞ…! >>449
>「亡霊館の殺人」
そういやこれ未読だわ。毒見お願い。 毒見役、音沙汰ないけど当たっちゃってお亡くなりになった? 「亡霊館の殺人」、読んでみたが…うーん…
「霧の悪魔」
「吸血の家」のテニスコートのトリックを流用?して密室トリックと組み合わせたという作だが、伏線の張り方が露骨すぎて真相が明かされてもああ、やっぱりそういうことね、となってしまう。ただ見方を変えれば、読者に対するフェアプレイを忠実に守った結果とも言えそう。このスレのテンプレの中島河太郎翁じゃないが、いちいちカー作品の題名を挙げてあのトリックが、あの事件が、というのは確かにクドいな。
「亡霊館の殺人」
ポール・アルテの長編の足跡なき殺人の瑕瑾を補ったトリックと、ゲドさんオリジナルの密室トリックの組み合わせ。ご本人も言っている通りなかなか読ませる作ではあり、佳作の部類だと思う。ただメ欄さえいれば大体何でもできてしまうのがこの手のトリックの欠点なんだよな。
評論2本と、俺ミスで既読の「吸血の家」(短編版)については省略。 >>452
毒見役おつです。
評判にならなかった作品集だけあって、総合的には良くも悪くもない、
という感じなのかな。「亡霊館」の方はちょっと読んでみたい。 >>452
>伏線の張り方が露骨すぎて真相が明かされてもああ、やっぱりそういうことね
>メ欄さえいれば大体何でもできてしまうのがこの手のトリックの欠点
「フェアプレイ」「あらため」「困難は分割せよ」に忠実なあまり・・・・・・というのが作風だから(震え声)
*カーは「メ欄は極力避けるべし」とエッセイで述べていた気がする >>454
だいぶ前に鮎川賞を受賞した、ゲドさん好みのゲドゲドしい本格路線の継承者になりそうだった山口芳宏も、作中で名探偵が「メ欄がいるような真相の探偵小説は駄作だ」というようなことを言うわりに蓋を開けたらそのパターンだった、というのを思い出した。
何作か出していたけど最近は全然見ないなと思って調べてみたら、最後に本が出たのは13年前。Twitterも2017年で止まっているので、もう活動してなさそう。
良い意味でゲドさんの一派の主力になりそうだったんだが。 カーマニアって自称する作家って二階堂に限らず、トリックとかオカルトとかそういう表面的なところは模倣しようとするけどさ、本家が一番上手いの伏線とか人物描写にさり気なく潜ませたミスリードだと思うんだよな。 >>455
山口芳宏さんは本業(ゲームプランナー/ シナリオライター)が順調で
小説執筆の暇がないという噂を聞いたことがありますね。
それはそれとして文庫化・電子書籍化が中途半端なので
何とかしてほしいものですが・・・・・・ >>456
カーの贋作では大山誠一郎「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」が最高だった 次は「バラ迷宮」を毒見して、ついでに「聖アウスラ修道院の惨劇」を再読しようかと思う(10年ぶりくらい)。
図書館には他に「宇宙神の不思議」「誘拐犯の不思議」もあったが、不思議シリーズはちょっと警戒している。
>>457
そうなんだ。もともと鮎川賞受賞の時点でシナリオ界では実績があったみたいだし、本業が順調なのはいいことだね。
2人の名探偵が登場するデビュー作「雲上都市の大冒険」は結構面白かったが、失礼ながら2作目以降は微妙だったな…
登場人物100人!と銘打った「100人館の殺人」は、確かに出てくる人数は100人なんだけど大半がモブキャラで看板倒れでしかなかった。 「バラ迷宮」読了。
「サーカスの怪人」
中身はタイトルほど乱歩オマージュでもない。ゲドさんは理工学部出身だからか、理科系のトリックが以降もちょいちょい出てくる。バラバラ死体をなぜその場所に…という謎解きのくだりは、「ミステリと言う勿れ」にも似たようなロジックが出てきたのを思い出した。
「変装の家」
足跡なき殺人…だが、そこはトリックの本筋ではないかも知れない。ただ、偽装工作を行った結果犯人は当初の目的を達成できなくなったので、足跡なき殺人の状況を作るよりも他にやりようがあったのではと思わないでもない。
「喰顔鬼」
同じく理科系のトリック。本当にそんなんなる?と思わないでもない。あとメ欄するとこんなにおかしくなっちゃうのか?というあらぬ誤解を招かないだろうか。
「ある蒐集家の死」
「わしは〜じゃよ」口調の老人が登場。「田中」というダイイングメッセージ自体は容疑者の田中にアリバイがある時点で一種の偽装と見当がつく。死体の位置と関連づけてダイイングメッセージの真の意味を解明するロジックがなかなか綺麗に決まる。
「火炎魔」
まぁ理科系のトリックなんだろうな、それ以外ないよな、という読者の、その、期待を裏切らない作です。はい。
「薔薇の家の殺人」
毒殺のトリックは一応筋は通っているものの、わざわざそんなトリック使う必要ある?とは思わざるを得ない。ある人物を傷つけないよう後でこっそり真相解明をする蘭子の配慮がいい。ただ、「蘭の家の殺人」にも似たようなオチなかったっけ…とはふと思ってしまった。 >理工学部出身だからか、理科系のトリック
東野の湯川准教授とちがい、ゲドさんの場合は「小学校の理科の実験」のイメージ。
「磁石をつかって砂場の砂鉄を集めてみよう!」みたいな。 東野のガリレオシリーズは「探偵ガリレオ」「予知夢」だけ読んでるが、
最初の「探偵ガリレオ」の方、トリックが科学的過ぎて面白みに欠けるかもって感想だった。
ちなみに「予知夢」の方は、謎解きに絡んでいない部分で超常現象が出てきたのがかえって面白味に通じてた。
かつてのソーンダイク博士がホームズほどの人気の持続性が無かったことも、この流れで思い出す。
まあつまり、作風は人それぞれ、ゲドセンセは小学校の理科の実験でいくのが持ち味、と。 カーも「理科室の実験」レベルだったり、「理論(反応式)上は可能だが実現は無理」な
トリックが多いから真似たんでしょ(適当) 心理トリックってたとえばどういうの言うんだろう。
物理トリックの逆だとは想像つくけど。
容疑者Xみたいなやつ? 『ギガンテス』のトリックは感心した
(有名作のバリエーションだけど) 智天使ってあれ心理トリックかな?
優れているかどうかは別だけど。 「聖アウスラ修道院の惨劇」読了。
作者のやりたかったことはわかるし、結構成功していると思う。ただ、次々とさも驚愕の真相のように明かされても「それがどうした」としか思えないネタも多いなぁ…
シスター・フランチェスコ殺害時の謎はトリックというより無能ワトソン黎人の本領発揮という感じだし、その埋め合わせに終盤の見せ場?を自分の分身に作ってあげたのかな、ゲドさん。
修道院の秘密は、京極夏彦の某作みたいだな。そちらの方が発表は後だけど。トーマス・グロア司教を殺害後、首を切り落として桜の木に逆さ吊りにした理由も何となく(作中でも出てくる)犬神家の一族オマージュっぽい。
初期だからか、会話で相手の名前を連呼する悪癖がほとんど出ておらず、会話文も含めて読みやすいので、二階堂作品の中では結構お勧めしやすい部類かと。ゲドさん風に言うと、2倍のお勧め。 >初期だからか、会話で相手の名前を連呼する悪癖がほとんど出ておらず、
>会話文も含めて読みやすい
これ意外だな。最初からああいいう書き方してたのかと思ってた。
文章、下手になっていってるのか…… >>471
読みやすいのが逆に意外だったんだよね。いつもの人名連呼が少ない分なおさら。
アウスラで同じようにやったら「それはなんとかかんとかじゃないんですか、シスター・フランチェスコ」「マザー・プリシラ。事件当日、修道院内にいたのは〜」とさぞかしクドかっただろうなと思うw
次は名作と名高い「ロシア館の謎」所収のユリ迷宮を読んでみる。 「ユリ迷宮」読了。
「ロシア館の謎」
短編の中でもわりと短い部類だがやはり名作。城館消失はトリックというより一種の偶発的な出来事だけど、よく読んでいくと伏線は丁寧に書き込まれている。麻耶雄嵩の某作や名探偵コナンの映画3作目もそうだが、ミステリ界隈はニコライ皇帝一家生存説ネタが好きだな。
「密室のユリ」
被害者の生田百合美はどう見ても若竹七海を彷彿とさせるので若竹ファンとしては微妙。そういや俺ミス創刊号は予告時点では若竹も入っていたが、結局何も書かなかったな。密室トリックはいまいちを通り越して古典的すぎ、見破れない警視庁捜査一課の山本警部は無能と言うしかない(古典的なトリックの多用は読者へのくすぐりとゲドさんは加賀美を擁護していたが)。犯人の正体も意外性を狙ったんだろうが、容疑者が少ないので大した驚きはない。
「劇薬」
中編といっていい長さ。「推理小説の読者なら知っていて損はない」という能書きとともに長々とコントラクトブリッジのルールが説明されるが、読みづらくてよくわからなかった。「厚顔不遜」「すべからく一種の恐慌に陥った」と引っかかる表現も散見。被害者・長坂善蔵の妻・秀子とある容疑者との関係性は伏線が露骨すぎてすぐ気づく。毒殺もトリックというほどのものはなく、わりと凡作。 >>475
レポ乙です。
若竹七海って、ゲドさんが嫌いそうな作風だが「俺ミス」要員だったのか。
>「厚顔不遜」「すべからく一種の恐慌に陥った」
後者はもう市民権を得てるっぽいが、前者はさすがに小説家として恥ずかしい。
ていうか、編集か校正係…… >>476
ゲドさんが恒星日誌で本格ミステリーワールド創刊!とぶち上げた時に並んでいた名前と実際の執筆陣は結構差があったので、南雲堂が執筆依頼を出した面々をそのまま載せたんだろうなと思った。
後で千街がクリティカに「自分は参加した方がいいのか、参加しない方が評判が落ちないのか」と相談してきた作家もいたと書いていたけど、確かにX騒動の後だったから警戒するのもわからないではなかったな。
>>477
そうそう。後にX騒動を起こすとは知る由もなく、当時のゲドさんを正当に評価する論調で丁寧に解説しているね。 >>475
>ニコライ皇帝一家生存説
メール欄でもロシア(シベリア)ネタを入れていたので
複数シリーズのリンクを構想していたのかも?
>長々とコントラクトブリッジのルールが説明
クリスティ『ひらいたトランプ』を意識していたのかと・・・・・・ >>478
若竹七海って本格ミステリか? という気がするんだけど、
「俺ミス」予告で当初名前があったのなら、ゲドさん的には本格要素はあるって
判断なんだろうな。まあゲドさんの定義する「本格ミステリ」が何なのかよく分からんが。 >>480
ゲドさんの本格ミステリの定義は「俺が本格だと思ったら本格、俺が本格愛を感じたら本格」だから… 容疑者x論争の時、何か定義してたような気もするが忘れたw 何かのインタビューで本格ミステリはトリックが命で、
それを彩るのがプロットとか言ってたような。
トリックを「むき出しの裸の美女」に譬えていたことは覚えている。 それじゃあれか
ラビリンスとかああいうんは
老婆がやたらに厚着してるみたいなもんか あれゲドさんって「ロジック <トリック < プロット」で
プロットを一番重視してるんじゃなかったっけ? 「ロジックよりトリックより、プロットを」でググったら、
二階堂黎人関係の記事がたくさん出てきた。 連投。いろいろググったけど、やっぱり二階堂黎人はプロット重視派であり
トリック自体はあまり重視してないんじゃないのか。
実際、トリックだけ取り出したら凡庸では。
怪奇性や時代がかった古風なセリフまわしとかの雰囲気が特徴だし。