昔々、乃木坂に清貧の美少女がいました。

彼女はお金がないのでご飯どきになると、うなぎ屋の前へ出かけて行ってはお腹いっぱいにうなぎのにおいを吸い込み、そのまま家へ飛んで帰ってうなぎのにおいでご飯を食べるのです。

それに気づいたうなぎ屋の娘たちは
「においだけでご飯を食べるなんて。よし、あの子からにおいのかぎ賃を取ってやろう」
と、さっそく帳面につけておき、月末にその子の家にかぎ賃の取り立てに行きました。

あーや「おうおうおう!お嬢ちゃん、あんた毎日ウチの鰻のにおいを嗅いで自宅でメシ食ってるそうやないの!
においもタダっちゅうわけにはいかんのよ。
まあ割り引いたとして八百文、きっちり払ってもらおやないの!」

さっちゃん「え…でも私、うなぎ食べてません…」

みっく「匂いをかいでうなぎを食べたつもりになっとるさかい、こっちも食わせたつもりでお金を頂きに来たってわけですわ」

さくら「しのごの言うとらんと払わんかい!」

さっちゃん「分かりました」

さっちゃんはタンスから百文銭を8枚取り出しますと、そのお金を板の間に放り投げました。

チャリーン
チャリーン

さっちゃん「においの代金は音で払います。今、お金の音を聞いたでしょう。
本当にお金を受け取ったつもりでお帰りください」

鰻屋三人娘「ムキー!!」

この勝負、さっちゃんの勝ちでございます。