375の続き

 これは、明治天皇暗殺計画を企てたとして幸徳秋水ら大勢の無政府主義者や
社会主義者らがいっせいに検挙され、幸徳を含む12名が死刑に処された事件。

 しかし、実際に暗殺計画に関わったのはそのうち数名でしかなく、これは
権力に楯突く思想家たちを根絶やしにするためのでっちあげ事件だとされている。

 この事件に対して尋常ならざる執着をもち、公権力の暴走を批判し続けたのが、
石川啄木である。 

 周知の通り、彼は1912年に肺結核により26歳の若さでこの世を 去っているが、
死の前年には「ココアのひと匙」という詩を書き、幸徳らの運命に共感の念を
送った。〈われは知る、テロリストの心を)