(経済教室)憲法改正の論点を探る(下)自衛隊の明記、法的に困難
憲法頼みの安保論議 疑問 井上武史・九州大学准教授
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 ここで一度立ち止まって考えるべきは、軍事力の規模やその行使の範囲を、憲法で制限することの是非だ。
わが国には憲法9条のおかげで軍備が抑制され、平和が保たれたという議論があるが、世界の多くの国では
軍事力について憲法上の制約はない。その行使に関しても、国際法上の制約があるほかは、選挙で選ばれた
政治家が彼我の能力や時の情勢を見極めて判断する。
 それは日本と同じ敗戦国のドイツやイタリアでも変わらないが、両国で武力行使が乱用されているわけではない。
多くの国で武力行使に最終的な歯止めをかけているのは、憲法でなく民主的決定であり、またそのことが不合理で
あるとも考えられていない。自衛権行使の範囲を憲法で制限しようとはしないのだ。  
 15年の安保法論議では、国会審議の多くが違憲か否かの議論に費やされた。主権者である国民にも、その負託を
受けた国会議員にも、理性的な議論と判断により武力行使を抑制しようという姿勢は残念ながらみられなかった。
 日本では民主的な決定が信用できず、安全保障政策について今なお憲法の歯止めに頼らざるを得ない状況がある
とすれば、戦後われわれが手にした民主主義とは何だったのか。憲法9条は日本の民主主義を成熟させたのだろうか。
憲法に頼り切るのではなく、民主主義の力でも軍事に歯止めがかけられるようになった時こそ、わが国に平和主義が
真に定着した時だろう。