つなぎの部分では音楽との同調性がより明瞭です。
ただタイミングが合っていればいいのではなく、ピシッとひとつひとつを明瞭に音に合わせています。
たとえ初めてこの演目を見る人であっても、「この手の振り付けは、今の打鍵に合わせているのね」と理解できるかのような丁寧さです。
音ゲーの判定で言えば「グッド」や「グレート」ではない、「パーフェクト」を狙っていくプレー。
たとえフィギュアスケートではその違いは得点にならないとしても。

その明瞭さはほんの少しのものですが、まさにそこにこそ「美しいフィギュア」が宿ります。
つづくツイズルから跳び、着氷後にツイズルで流れるツイズルサンドトリプルアクセルでは、ジャンプ自体の美しさもさることながら、降りたあとのツイズルへのつなぎまでも丁寧に演じられています。
あげた足をしっかりと身体に引き寄せ、ツイズルの終わりまでそのポジションが明瞭です。
ピッとあげて、ピッと下ろす。キレがある。このジャンプは「+4」のジャッジがひとりいたものの、採点としてはGOE満点の評価。
やはり「満点」を得るのは羽生結弦のトリプルアクセルだったか…と、
ジャンプでは世界初となる「満点評価」に改めて高まるような想い。普遍の3A。