ああ、時間がどんどん流れていく。
儂は生きている。儂は呼吸している。
 たしかにそうだ。
 でも、だからといって
それがなんだというのだ。
何もないじゃないか? 
生きているってどういうことなの。
 教えて。教えてよ。
わからないんだ。
すでに64歳になろうとしている。
年齢は関係ないか?
 儂はこれまで何をしてきたというんだよ。
一体そこに何があったというのだ。
このまま消えていくのか?
 そうだよな。忘れられていくのか? 
そうだよな。儂のこの肉体、儂のこの存在。
それだけが儂の中の実感でしかない。