「来てくれ。塩谷の病院に案内する」
駐車場に二人で歩きながら、亮が聞いた。
「どうして死んだのです」
「交通事故だ。昨日深夜、家の前で車に轢かれた」
「相手はどうしました?」
「逃げた。轢き逃げだ。今、警察が追っている」
車に乗り、病院へ向かう。塩谷の自宅の近くの総合病院だった。病室に入る。塩谷の妻や子供や親戚が集まっていた。亮たちは一礼して、白い布を顔に被せられた塩谷の遺体の傍に寄った。
亮が布を取って、顔を見る。眠っているようだった。布を戻す。そして、塩谷の妻に、
「事故ですか?」
と、聞いた。妻は泣きながら、
「私の目の前で・・・突然、スポーツカーが走ってきて・・・」
亮は、
(奴らだ・・・)
これで、すべての事実が、亮には、分った。塩谷の遺体を見ながら、拳を握り締めて、涙を流した。
「塩谷・・・」
心の中で、「復讐」を誓った。