「すべての事象には始まりがある。」
わたしはある事件においての捜査失敗の責任を取る形で報告書を書く事(破目)になった。
その事件とは、深夜にも関わらず城内に総動員された騎士団の警備を、
およそ考えうるかぎり最高にわけのわからん方法で掻い潜り、天井裏のネズミのごとく駆け抜けていった
怪盗アリエーヌ・スパパン三世(自称)による、「わるきゅうれのはねいただきます」事件である。
だが、ただ報告書をかくだけでは読むほうも書くほうも退屈であるから、物語形式で残そうと思う。

性懲りも恥も外聞もなくはじまるこの話は、
一時的に彼女を捕獲した際聞いた話と、彼女が城から消える際残された。一枚の紙に隠されていた私あての文書(あぶりだし)を
統合したうえで私が推理(誇大妄想)した、
ヤング・アダルト・カイ(嫁入り前)がスパパン三世(自称)となって、オーン城に現れるまでの経緯である

センターポール捜査官 猿股英雄警部