「クシー、君にプレゼントがあるんだ」
「私にですか?」
「この前のお礼も兼ねてね」
「これは…クッキーですか?」
「君が作ってくれたものに比べたら劣るだろうけど」
「ありがとうございます。早速一ついただきます」
「どうぞ。…どうかな?」
「…とても噛み応えがあります。一般的なクッキーの堅さではありませんね」
「君がそういう食感が好きだと聞いたから探したんだ」
「新食感です。食べていて楽しいです」
「気に入ってもらえてよかったよ」
「ですが、私には味覚がありません。それ以外の情報を得られないのが残念です」
「それは分かっているよ。でもどうしても食べてほしかったんだ。今日はそういう日だからね」
「そういう日…ですか」
「…迷惑だったかな?」
「そんなことはありません。シュリさん、とても嬉しいです」
「本当に?…それならよかったよ」
「それと一つ訂正します」
「訂正?何をだい?」
「たった今、食感以外の情報を得ました。ふわっとしてきゅっとするような感じです」
「それは、えっと…どういう意味なのかな?」
「私にも解析不能です。それに先程から少し体が熱いです」
「まさか、それを食べたせいで不具合が…」
「その可能性はないと思いますが…」
「何か気になることでも?」
「今、もしそうだとしたらと考えたら、嬉しさに似た不思議な感情を覚えました」




バレンタイン間に合わなかったから今回は