東條英機「伝えません。伝える責任をもちません。」
キーナン検事「それは誰の責任か。」
東條英機「当然に軍令部総長、参謀総長の責任です。」
キーナン検事「日本の総理として政府の首班としてこの情報を天皇に伝える義務はないと主張するのですか。」
東條英機「内閣総理大臣としてはありません。」
キーナン検事「日本の政府というものに対するあなたの観念によれば、こういう計画を天皇に知らせるべきであると考え
 ていなかったか。」
東條英機「それはこういうことを私が知らすことが適当なりと、こう考えたかというお尋ねですか。」
キーナン検事「あなたの日本政府に対する観念、すなわち一九四一年当時の政府運営の観念に於いてはこういう計画が実施される前に、天皇はこの通知をうける権利をもっておったと考えるか。」
東條英機「いまの純作戦のことでありましたならば政府としてはその責任はもちません。統帥部としてはある程度の大綱は申上げたろうと思います。」
キーナン検事「その計画というのはすなわち真珠湾を攻撃するという計画ですね。」
東條英機「もちろんです。」
キーナン検事「十二月一日か二日から七日の問に天皇に謁見したか。」
東條英機「度々謁見しました。」
キーナン検事「その際戦争の問題について話したか。」
東條英機「いま的確には記憶せぬが、当然お話があったと思う。」
キーナン検事「真珠湾攻撃について話したか。」
東條英機「しません。」
キーナン検事「私はこの証人から非常に正確なことを聴きだすことが出来なかったことをお詫びいたします」