日本軍と日本兵 米軍報告書は語る (講談社現代新書) [新書]
一ノ瀬 俊也 (著)
読了。
旧帝国陸軍の白兵主義、対米戦無研究と言う定説に対し、以前から反論していた著者の主張がここでも繰り返されている。
米軍側の史料を使いつつ旧陸軍の戦い方を検証している。

米軍が評価しているのは、陸軍の陣地構築、隠ぺい能力。
これは光人社から出ている日本陸軍便覧と同じ結論。

同じく、米軍が日本軍の白兵戦能力、銃剣格闘能力、射撃技術を低いとみていたこと。
これも、以前から一部の本では書かれていたことであるが。
同書では、日本側が戸山学校でカナダ人、米人捕虜と、銃剣試合をした結果を記載している。
日本側は全く歯が立たなかったようである。

実際に、従軍経験者の体験記を読んでも、銃剣訓練は直突き訓練のみの描写が多い。
軍の指導方針もそうなっていたことが同書で指摘されている。

また、射撃に関しては、戦闘機の射撃でも同様の指摘がアメリカ側から出ている。
旧軍パイロットは飛行機の操縦は上手いが、射撃は下手というのは、よく米側より指摘されている。
実際、射撃訓練はほとんどやらずに戦場に出たという体験談が書かれた書籍も目にする。
特に20ミリは、弾数の不足があったことが戦史叢書でも指摘されている。

射撃は訓練量の差がもろに出たのではないだろうか。