「共産主義革命の危機だ。党としても出来る事総てを行わなければなるまい。
レニングラード地区の情熱的な学生、労働者の志願者を募り、7個師団を
編成しよう。」27日、レニングラード共産党書記のジダーノフは党幹部らに
命じた。レニングラードの労働者評議会も、市民を防衛施設の建設工事に
動員することを決定した。

ネヴァ河に面するバシリー島2番街13番地に住むサヴィチェフ家は、早くに
一家の大黒柱たる父を失っていた。その代わりに母のマリーヤは軍服を縫い、
兄のリョーカは旋盤工としてアドミラルティ造船所、姉のジェーニャは弾薬
工場で働いた。ニーナと末娘の11歳の少女ターニャさえ、塹壕を掘り、弾薬を
運んだ。こうして、木造障害物190km、鉄条網635km、対戦車壕700km、
塹壕25000km、トーチカ5000ヶ所に及ぶ防衛工事が始まった。