極北の地でも戦争は始まろうとしていた。この方面のドイツ軍の作戦は銀狐と名付けられている。
まず、最北のペッツアモでは、ドイツ・ノルウェー山岳軍団がリツァ、ポルセルノエを経由して
ムルマンスク攻略を目指す。その南のドイツ第36軍団は冬戦争でソ連に奪われたサッラ、カイララ、
アルクレッティのフィンランド領を回復した後、カンタラハティを攻略し、ムルマンスク鉄道を
遮断する。さらにその南ではフィンランド第3軍団がロウヒ、ケミへ進撃する予定である。

電撃戦で欧州を席巻するドイツ軍は2個戦車大隊を派遣した。しかし、ドイツ軍にとって極北は
主戦線ではなかったため、両大隊の装備も最新鋭とはほど遠い、旧式、捕獲戦車であった。
1940年3月に編成され、ノルウェーで戦った第40特別編成戦車大隊は、29両の1号戦車、18両の
2号戦車を中心に、1号指揮戦車4両と3両の多砲塔戦車ノイバウフォールツォイクを保有している。
1941年3月に編成された第211戦車大隊は、対フランス戦の勝利により捕獲したフランス製ソミュア
S35を10両とホチキスH39を24両装備していた。