脱出を図るソ連軍とこれを阻止するフィンランド軍の戦闘は夜通し続いた。
9月1日11時、フィンランド第8師団第24連隊の衛生兵グンナー・ベルグストロームは
ソンメ南東1.5kmの旧街道上を警戒していた。路上には待ち伏せ攻撃を受けたソ連軍
輸送隊の残骸がまだ煙を上げていた。「森の中を探せ。ロシア兵が逃げた。連携を保て。」
中隊長のアーレンベルグ中尉の声が聞こえた。ベルグストロームは森に入り、
間もなくレインコートを被って横たわる2人のソ連兵を見つけた。生死を確認すべく
コートを捲ると1人は少将の階級章を付けていた。「息があるぞ。」捕虜は、大隊長
モーベルグ少佐に伴われて連隊本部に送還された。やがて捕虜の将軍はソ連第43狙撃
師団長キルピチニコフ少将であることが判明した。

13時30分、第1機関銃中隊のホルガー・クロゲラス中尉とオッシ・ワレニュイス少尉は、
3名のソ連兵を発見した。彼らは丸腰で中央の男はひどく負傷していた。「この男は
大佐だと言っているぞ。」2人のフィンランド将校は顔を強ばらせた。捕虜となった
佐官はソ連第43狙撃師団政治委員のテリチョフ大佐であった。

「我々は義務を果たした。ここを出よう。」包囲網内の9,325名のソ連軍兵士は
降伏を選んだ。