夜間水平爆撃の構想をも一度整理しよう。
彗星隊は、電探欺瞞紙バラ巻き隊として、100%使用可能な想定である。
昭和20年頃の沖縄戦の頃、欺瞞紙を出撃する1機あたり10束(1束1m×100枚)の配給があった、
との資料を見たことがある。
夜戦と遭遇したら、まずは1束バラ巻いて、一時的に混乱させる手記を読んだことがある。

レーダー有の天山に先導してもらい、機動部隊上空で欺瞞紙をバラ巻く。
レーダーがあれば、敵機らしきものの高速接近は探知できる。
だから、敵機接近で欺瞞紙を1束配布し、「一時的に」F6F-Nを混乱させ、
そのスキに全速力で敵艦隊方角に飛行、艦隊上空で彗星全機でありったけの欺瞞紙をバラ巻く。
その後に、照明弾投下小隊×2(1コ小隊はレーダー機)+水平爆撃小隊×4で編成される爆撃中隊を、
正規空母1隻に対し1コ中隊で突入させる。

優秀な嚮導員がいれば、動的を相手に、35〜45%の命中率を昼間に誇ったのが、真珠湾時点での日本海軍の力量。
だから、動かない真珠湾の艦船相手だったら、1コ中隊5機の編成で、編隊トータルの命中率は90数%に達する、
との目論見だった。
夜間とはいえ、零式吊光照明弾投下で、目標視認に充分な照度を6分間ほど確保したうえでの水平爆撃である。
小職は、(根拠はないがw)真珠湾時点よりもやや落とした30%との数値を用いたが、
それでも、8機編隊の想定命中率は、1-70%^8≒94%だ。80番徹甲爆弾が命中すれば…
防禦鋼板を突き破ることは必定、格納庫なのか、機関室なのか、燃料庫・爆弾庫なのかで爆発すれば、かなりの被害が出る。
信管の調節度合がキモになるかも?

http://senri.warbirds.jp/05hiyakuri/hiyakuri1.html
艦攻の水平爆撃は、先頭の爆撃嚮導機に列機はガッチリと編隊を組む。爆撃の照準をするのは嚮導機だけである。
列機は嚮導機の合図で一斉に爆弾を投下する。だから、水平爆撃の訓練は主として編隊飛行であり、
編隊飛行の訓練は、即ち水平爆撃の訓練なのである。
艦攻の実用機教程で編隊飛行の訓練を特に重視するのはそのためである。
霞ヶ浦での低空編隊飛行訓練ではプロペラで水面を叩いて、墜落寸前の事故を起こした者もいる。
また、小さな編隊灯だけを頼りの夜間編隊飛行訓練も徹底的に実施された。