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>イギリスなんか対日戦はほんとに余興。

 大統領は直ちに会談するため私を呼んだ。彼はマーシャル将軍とリーヒ提督
を同席させた。このときまで、われわれは激烈な空襲と大部隊の侵攻によって
日本本土を攻撃するという考えを固めていた。まっとうな戦闘においてのみ
ならず、あらゆる穴や防空壕においても、サムライの捨身精神で死ぬまで戦う
日本軍の無謀な抵抗のことを、われわれは考えていた。私の心には沖縄の情景
が浮かんでいた。そこでは数千名の日本人が、指揮官たちがハラキリの儀式を
荘重に行った後、降伏を選ばずに一列になって手榴弾で自爆する光景であった。
日本軍の抵抗を一人ずつ押え、その国土を一歩ずつ征服するには、百万のアメリカ
兵の命とその半数のイギリス兵の生命を犠牲にする必要があるかもしれなかった。
もしイギリス兵を上陸させることができても、イギリスの犠牲はもっと多くな
るかもしれなかった。なぜなら、われわれは苦悩をともにする覚悟でいたのである。
いまやこの悪魔のような情景はすっかり消えてしまった。それに代わって、一、二
回の激烈な衝撃のうちに全戦争が終結する光景が浮かんだ。それは実際、快く輝か
しいものに思われた。私が瞬間に思い浮かべたのは、私が常に勇気に感嘆してきた
日本人が、このほとんど超自然的な兵器の出現のなかに彼らの名誉を救う口実を見
出し、最後の一兵まで戦って戦死するという義務から免れるだろうということだった。
「第二次世界大戦4」 (W・S・チャーチル 佐藤亮一 訳 河出文庫)432頁