この国を訪れる人が絶対してはならないことが5つある。
エスカレーターで左側に立つこと、「レスターシャー」の発音を間違えること、
我々がみんなベニー・ヒルを知っていると思い込むこと、アメックスのカードが
普通に使えると考えること、そして我々の食事情をけなすことだ。
米大使マシュー・バーズンは我々の食事情をけなしてしまった。神よ救い給え。

『Tatler』誌のインタビューの中で、バーズン氏は昨年の着任以降、ラム&ポテトを
「180回も」食べさせられたと暴露する間違いを犯した。彼は「物事には限度があり、
私はその限度に達してしまった」と付け加えた。それこそまさに彼がしてしまったことだ。

不興を買ってバーズン氏が辞任するとすれば(直ちにそうしなければならないが)、
怒り狂った群衆が空港までの道を埋め着くし、ブーイングの嵐とジャガイモを車の
フロントガラスに投げ付け、脅しの言葉をこう叫ぶだろう。
「同じものを食べ飽きたなんてよくも言ってくれるな!」「子羊バカ!」。
どこかでバーズン氏はマリス・パイパー(男爵イモの一種)を抱きかかえた子供が
目に涙を浮かべながら「なぜなの?」とつぶやく姿を目撃するに違いない。
その時はじめて彼は自分のしでかした事の重大さに気づくのだ。

激昂したリアクションは彼の声明によって我々がどれほど傷つくのかを強調するだけだろう。
「根本的に消化の悪い食事」の終わりのない連続に終止符を打つべく、我々は何十年もかけて「海の真ん中の
霧のかかった岩っころに囚われた歯並びの悪いバカども」という自分たちのイメージと戦おうとしてきた。
アメリカ人の集団と過ごしたことのあるイギリス人なら誰でも1956年の大気浄化法のあらゆる詳細について長いこと記憶し、機会があれば会話の中にFワードが激しく飛び交うことになるだろう。
そして勿論、我々の歯並びは悪い。少なくとも複数の戦争による傷を取り上げずして、この食えたものではないペーストリーを齧ることなどできない。