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■「愚民」の選択

しかし、何も為政者のみが悪いのではなく、このような状態を許容しているのは、究極的には国民大衆だ。
昨年7月の参院選の際、神奈川新聞が実施したアンケート結果を見て私は衝撃を受けた。質問は、参院選で焦点となっている「3分の2」の意味を知っていますか−。
100人に聞いたところ67人は「知らない」と回答したという。憲法改正を発議するためには「両院それぞれ3分の2以上の賛成」が必要という数字であり、
今後安倍政権が進めたがっている改憲論議を踏まえれば、参院選の最も重要なテーマだったはずだ。

だがおよそ7割の有権者はそのことを認識していなかった。正論を言えば、こんな状況下で普通選挙をやっている事の方が間違っている。
かつて制限選挙が当たり前だった時代の普通選挙導入論に対する批判は、「判断力のない人々(愚民=貧乏人と女性)に選挙権を与えたら、ろくでもない政治家を選ぶので危険だ」というものだった。
貧しい人や女性には判断力がないという考え方は間違っているが、しかし判断力がない人間に参政権を与えるのは不適切、という論理はもっともである。
戦後日本の民主主義が成功したかのようにみえたのは、経済成長によって社会が安定していたからにすぎない。民衆の政治的成熟度の点では、日本はアジアの最後進国に成り下がりつつある。