>>353
◆一杯のかけそば◆

私が年末に赤城=サンと加賀=サンを連れて蕎麦屋へ行った際、
券売機で掛け蕎麦一枚を購入しカウンターへ預け、座席へと着いた。
怪訝な顔をする店員。そして周りの客。

我が家の家計は厳しく、人数分の掛け蕎麦をオーダーすることも叶わぬ。
せめて年末らしく蕎麦を啜る事を求めてやって来たが、
異物を見るかのような世間の目は厳しく、
「お客さん困るよ」
「ダメですか」
「困るんだよね」
我々は項垂れる他なかった。

「では仕方ありません」
「すまないね」
「砲戦用意」
「アイエッ!?」

赤城及び加賀は重巡洋艦に準じた砲戦能力を備える。
その砲身が、店主の頭部を決断的に指向していた!

「ア、アイエエエ……」
「掛け蕎麦を一杯だ」
「アイエエエ!」
「わかったか!」
「アイエエエ! ヨロコンデー!」

こうして一杯の掛け蕎麦を口にした我々は、
暖かい心で家路へと着いたのだ。
(ハイパーポーラタイム)