近衛上奏文をWordの要約で半分以下に

国体の護持の建前より最も憂うるべきは敗戦よりも敗戦に伴うて起ることあるべき共産革命に御座候。
我が国内外の情勢は今や共産革命に向って急速度に進行しつつありと存候。即ち国外に於てはソ連の異常なる進出に御座候。
ソ連は究極に於て世界赤化政策を捨てざるは最近欧州諸国に対する露骨なる策動により明瞭となりつつある次第に御座候。
かくの如き形勢より押して考うるに、ソ連はやがて日本の内政に干渉し来る危険十分ありと存ぜられ候
翻て国内を見るに、共産革命達成のあらゆる条件日々具備せられゆく観有之候。右の内特に憂慮すべきは
軍部内一味の革新運動に有之候。
少壮軍人の多数は我国体と共産主義は両立するものなりと信じ居るものの如く、軍部内革新論の基調も亦ここにありと存じ候。
職業軍人の大部分は中流以下の家庭出身者にして、其の多くは共産的主張を受け入れ易き境遇にあり、
又彼等は軍隊教育に於て国体観念だけは徹底的に叩き込まれ居るを以て、
共産分子は国体と共産主義の両立論を以て彼等を引きずらんとしつつあるものに御座候。
抑々満洲事変、支那事変を起し、之を拡大して遂に大東亜戦争にまで導き来れるは
是等軍部内の意識的計画なりしこと今や明瞭なりと存候。
満洲事変当時、彼等が事変の目的は国内革新にありと公言せるは、有名なる事実に御座候。
支那事変当時も「事変永びくがよろしく事変解決せば国内革新が出来なくなる」と公言せしは此の一味の中心的人物に御座候。
是等軍部内一味の革新論の狙いは必ずしも共産革命に非ずとするも、これを取巻く一部新官僚及民間有志
は意識的に共産革命にまで引きずらんとする意図を包蔵し居り、無智単純なる軍人之に踊らされたりと見て大過なしと存候。
かかる主張をなす者は所謂右翼者流なるも背後より之を煽動しつつあるは、之によりて国内を混乱に陥れ
遂に革命の目的を達せんとする共産分子なりと睨み居り候。
一方に於て徹底的に米英撃滅を唱うる反面、親ソ的空気は次第に濃厚になりつつある様に御座候。
軍部の一部はいかなる犠牲を払いてもソ連と手を握るべしとさえ論ずるものもあり、
又延安との提携を考え居る者もありとの事に御座候。
従て戦争を終結せんとすれば、先ず其の前提として、此の一味の一掃が肝要に御座候。以上