コラム:社会亀裂招く「像撤去」問題、ヘイトの増幅防ぐには

 彫像には生命が宿っている。バージニア州シャーロッツビルに立つ南北戦争時の南軍指導者、ロバート・E・リー将軍の銅像は、特にそうだ。
テキサス州ダラス、ケンタッキー州レキシントン、フロリダ州ジャクソンビルを含むいくつかの都市の市長は、南軍関連モニュメントを撤去する準備を進めていると発言している。
メリーランド州ボルチモアのキャサリン・ピュー市長は、南軍関連モニュメントを急遽撤去することを命じた。「それが市にとって最善」というのが理由だ。同州当局は18日、奴隷制に有利な判決を下した19世紀の裁判長の彫像を撤去した。
 ドイツからはナチスを象徴する図像が一掃された。多くはドイツを占領した連合軍による明確な命令により終戦までに破壊されたが、連合軍は1946年5月、
「既存のナチスに関連する記念碑、記念館、ポスター、彫像、殿堂、街路又は幹線道路の名称標識、エンブレム、銘板又は記章」を1947年1月1日までに破壊しなければならないとの命令を発している。
イタリアではそうではなかった。通常は古代ローマ帝国と結びつける形でファシズムを礼賛するような建造物や、絵画・フレスコ画・モザイクを含むモニュメントが今も残っている。
 リー将軍やセシル・ローズ以上に手を血で染めてきた歴史の悪役たちも、いまだに名誉ある場所を確保している。旧ソ連の指導者スターリンの彫像は、生地であるゴリ(ジョージア)などにある記念館に飾られている。
中国では毛沢東の生まれ故郷・韶山に、約2000万ドル相当とされる純金の毛沢東像が立っている。これほどの金額ではないにせよ、中国国内には何百もの毛沢東像が存在している。

続く