WW2最優秀戦闘機は?と聞くと間違いなくP-51Dと答えが返ってくるだろうが、多種多様な
大戦機を乗りこなし、客観的な評価が下せる超ベテランの現役パイロット(スティーブ・ヒントン氏)の
回答はF6F、という意外なものだった。
・新米パイロットでも容易に乗りこなせる素直な操縦特性、低速から高速までバランスのとれた運動性能
・タフな星型エンジンによる高い信頼性と稼働率
・そして何よりもずば抜けた頑丈さと、防弾装備が生み出す生存性
そういった数値には表れにくい要素こそがF6Fの強みだと、スティーブは指摘する。

すなわち、傑出した性能は備えていなくても、新米パイロットが即戦力となり、信頼性と稼働率が優れ、
被弾しても生存性が高い頑丈さこそが、実戦に強い戦闘機の条件というわけだ。
一般的に「最優秀戦闘機」は性能表と戦績から判断を下すのだろうが、自分が搭乗し部下を率いて
闘う場合を想定したのが「ベスト戦闘機」であり、スティーブの回答は非常に興味深い。ちなみに
頑丈さを身上とする戦闘機でも
・F4Uはいろいろな面で癖が強すぎる
・P-47Dは重過ぎて新米には離着陸が難しい
とのことだ。

そしてリノ・エアレースで4勝を挙げ、ステルス戦闘機のテストも担当したと噂のある天才パイロット、
スキップ・ホルム氏は「たしかにP-51Dは優秀な戦闘機で高速機動性能は申し分ない。だが、操作を誤ると
スピンに入りやすいうえ、回復が難しい。翼面荷重が高いので低速安定性に欠け、離着陸も比較的難しく、
繊細なスロットル操作が要求される」と語っている。