北朝鮮サイバー IT人材は「戦士」「万能の剣」 
80年代から英才教育

ソニーの情報流出、バングラデシュの銀行や韓国の仮想通貨取引所への金銭狙いの攻撃、米電力会社の偵察…。

近年、北朝鮮の関与が疑われる深刻なサイバー攻撃が相次いでいる。
北朝鮮のハッキング能力は「米中央情報局(CIA)に匹敵する水準」(専門家)との指摘もあり、警戒感が強まっている。

北朝鮮では、パソコンやインターネットの熟練者は「IT人材」ではなく「サイバー戦士」と呼ばれる。
元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓殖大客員研究員の高永●(=吉を2つヨコに並べる)(コ・ヨンチョル)氏は
「ITはビジネスや勉学のためではなく、国のために戦い他国を攻撃するためにあるという考えがある」と強調した。

「金融機関のネットワークをまひさせるにはどうしたらいいか」
「情報を抜き取るには…」

北朝鮮の「サイバー戦士養成学校」の異名を持つ金一(キムイル)軍事大学(平壌)。
最新のパソコンが並ぶ講義室で、同大の研究者が海外から取り寄せたハッキングプログラムを紹介しながら、
他国の金融機関のシステムへの攻撃手法や機密情報を盗む方法などを教える。
学生たちは真剣な表情でパソコンとにらみ合いながら、熱心に耳を傾ける−。

一見普通の授業風景だが、実態は「犯罪集団」の育成と変わりはない。
同大学を知る関係者は「金一軍事大の学生は、外国製のハッキングシステムをインターネットで手にいれてそっくりに作る」と話す。 

学生の多くは卒業後、攻撃を仕掛け他国を混乱に陥れるサイバー部隊に配置される「エリート」だ。