>>912
◆ホルスタイン風◆

四式重爆飛龍は、己が爆弾槽の中に張り詰めんばかりに搭載された大型番弾の感触を、
はやる排泄欲にやっとのことで堪えながらごくりと飲み下していた。
高度二万フィート、二百ノットをやや上回る速度で飛翔する武骨な金属の塊は、
些かならずも優美とは言えないシルエットでありながら、どこか大洋を駆ける船舶を思い起こさせる不可思議な雰囲気を身に纏っている。
さもありなん、今四式重爆飛龍と名付けられたこの機体は、元は九七式飛行艇の後継機、つまり飛行艇として生まれるべく造られていたのだ。