誰も読んでないであろう深夜に他人の分析記事を投下。この視点は重要
------------------------

1,冷戦に「勝利」したリベラリズムの価値観だが、議論をすることも許されない雰囲気が出てきた。
2,ところがこの価値観を受け付けない人間がいることに欧米のリベラルたちは気づかなかった。
3,その価値観の人気は下がったのだが、彼らはまだ古い幻想にしがみついて、かえって人気を降下させている。

ということになるでしょうか。
基本的に著者は、欧州とアメリカの政治的な現況をネタに分析しているわけですが、みなさんもお気づきのように、そのうちのいくつかは日本にも違和感なく当てはまる指摘となっております。
ただし私がさらにつけ加えたいのは、このようなリベラル側の誤った幻想をつくりあげている最大の原因について、この著者は触れていないという点です。
ではその「最大の原因」とは何かというと、私は「人間観」にあると思っておりまして、原著者の想定するリベラル派の人々に最も欠けているのは、「人間はアホである」という現実的な視点です。
どうも彼らは(どの方向性かはさておき)「人間というものは、教育したり、制度を変えたりすれば、完全性を発揮して、EUのような国民国家やナショナリズムを超越した行動をとるようになる」と信じきっている点でしょう。
もちろんこれはある程度の成功を収めたのかもしれませんが、いくら教育したり制度をいじっても変わらない「人間のサガ」とでもいうべきものを克服できると楽観視することは、無謀であり、むしろ危険でさえあります。
この人間の不完全な部分を軽視し、制度設計を誤った人たちが次々と自滅している状態が、この場合は先進国の政治制度の中に顕著に見られる、ということなのかもしれません。
もちろん人間に対して希望を持つことは、倫理的には必要なのでしょうが、性悪説とはいかないまでも、そもそも「あらゆる人間(の集団)は不完全である」という前提でものごとを考えることは、人間が人間でいる限り、未来永劫、必須のことでしょう。