ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合
https://academist-cf.com/journal/?p=7702

以下抜粋
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2014年7月某日、札幌市の円山原始林で私が出会ったのは、体長15cmもの巨大な豹柄のナメクジ、マダラコウラナメクジでした。
北欧原産のナメクジがどうしてここに?
わかったことは、マダラコウラナメクジが2006年に茨城県で最初に侵入・定着が確認されたということ、さらに2010年には福島県、2012年には長野県にも侵入し勢力を拡大しているということでした。
もうひとつ、インターネットの大海から見つけ出したのが、研究者ではない方々(ここでは市民と呼びます)のブログです。専門家の間でも知られていなかった北海道へのマダラコウラナメクジの侵入に、市民はいち早く気づいていたのです。
結果として、2012年6月に円山で発見されたマダラコウラメクジが、北海道における最初の目撃例であること、札幌市と江別市の少なくとも2箇所にすでに侵入・定着していることがわかりました。
私は、北海道地方の有力紙「北海道新聞社」に論文の別刷りと解説文を送り、新聞記事として取り上げてもらえるよう協力を依頼しました。
研究のアイデアをひらめいたのは、新聞記事を掲載するにあたり電子メールのアドレスを掲載してはどうかと、記者の方に提案していただいたときでした。
インターネットを利用し市民参加型調査を行うことで、市民の方々から写真・日時・位置の3つの情報を提供していただき、マダラコウラナメクジの分布域が今後どのように変化するかを日本全国規模で追跡しようと考えたのです。
メディアを通して集まった合計38件の情報により、既知2地点の他にも14地点もの新産地から目撃証言が得られました。
2012年から2016年の5年間で、マダラコウラナメクジが急激に勢力を拡大していることが示されたのです。
中でもとりわけ目を引いたのが、巨大であるはずのマダラコウラナメクジを、それを上回るさらに巨大なヒルが丸呑みにしているという、信じがたい瞬間を撮影した2枚の写真でした。
ミミズ専食であるはずのヒルが捕食したという報告は、ヒル類の研究者の常識を覆すものでした。
(続く)