>>790続き)
この一連の写真にはもうひとつ、重要な示唆が含まれていました。それは、在来の捕食者が自身の本来の餌資源を大幅に変更し、新たな餌資源の急増に対して早くも順応しつつあるという可能性を示したことです。
マダラコウラナメクジの分布拡大の様子を知るために募ったはずの市民からの報告が、予想もしない結果に結びついたのです
円山動物園でボランティア活動をされている渡辺早苗さんと出会ったのは、講演会を終えた後の聴衆との交流の折でした。
「私、ただの市民なんですけど、円山に年間400回くらい登っていまして。数年前から見たことないナメクジがいるなと思って、毎日、ナメクジの数を記録しているんです。何かに使えますかね?」
詳しく話を聞いてみると、なんと円山(標高225m)の同じ登山ルートを毎朝5時に登り、登山道に現れたマダラコウラナメクジの数を記録し続けているとのことです。
毎日の気象データと照らし合わせれば、マダラコウラナメクジの活動が活発化する条件を割り出すことができるはずです。
さらに過去の気象データとの関係を示すことができれば、まさに天気予報のように未来のナメクジの出現を予測できるのではないでしょうか。
都合の良いことに、センサス調査の行われた円山からたった2kmほどの場所に気象庁の札幌気象台があり、毎日・毎時の詳細な気象データがインターネットで無料公開されていました。これを使わない手はありません。
そしてついに、マダラコウラナメクジの活動を事前に予測する、詳細なナメクジ出現予報モデルを作成することに成功したのです。
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マスメディアをこういう風に有効活用しやすくなる仕組みとかできないかしら。
それにしても、ただの市民とはいったい・・・