>>860
正常化とはどんな状態か
日中関係にさほど関わりがなく、したがって詳しくもない筆者には、何をもって「完全な正常化」というかがそもそも分からない。
中国の首脳が苦虫を噛み潰したような顔をしながらそっぽを向いて嫌々握手する関係から、ニコニコ顔で近づき、「日中関係は正常に戻った」と言いながら握手する関係になったことは確かである。
しかし、実際の行動は、「正常に戻った」ことを疑わせ、世界の批判を受けるようなことばかりである。
日本はこれまで中国が隣に存在する国であるということや、漢字などの文化が中国由来という負い目も加わった感情で中国を眺め、普遍的価値と称される自由や民主主義、
人権さらには近代国家の法治主義からはことごとく逸脱しているにもかかわらず、ほとんど問題にしてこなかったのではないだろうか。
現代に在っては、経済的利益関係を主体にしてきたように思える。
それどころか、民主党政権時代はあたかも中国人を準日本人ででもあるかのように、
鳩山由紀夫元首相は「日本は日本人だけのものではない」とうそぶき、米国と中国を等距離に置き、日本に近い中国をさも運命共同体であるかのごとく見ようとした。
菅直人政権になると、麻生太郎政権が日本の国柄を毀損しないことを念頭に中国人観光客向けビザを富裕層に限定していたのを中間層まで拡大した。
また、3年間有効の数次ビザを発給し、職業制限を撤廃するなどしたために、事実上3年間の長期滞在を可能にし、移民同然の状況に近づけた。
さらに野田佳彦政権では国保の加入要件を1年以上の在留資格から3カ月に緩和したために、特に中国人の国保利用が容易となり、
未払いの増加や国保による負担金の増大など日本の医療制度にひずみをきたしている。
日本のこうした友好姿勢に対して、中国はどういう態度を取ってきたか。
毒餃子問題や尖閣沖での中国漁船追突事案、また大使乗用車の国旗強奪事件や瀋陽総領事館への中国官憲の侵入など頻発した。
直後に発足した第2次安倍政権当時の首相と握手する習近平国家主席の顔は横を向き、まともに見られたものではなかった。