航空自衛隊における機動戦理論の適用
http://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/AirPower3rd/059kenkyu2.pdf
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イスラエル軍は、米統合ドクトリン
を参考に、EBO を取り入れた新ドクトリンを制定していた。そして、この
EBO ドクトリンは、初の空軍出身でイスラエル軍参謀長となったダン・ハ
ルツ(Dan Halutz)中将により承認されたものであった。しかしマチューズ
は、ハルツ参謀長及びドクトリン担当の幕僚は、共に EBO を十分理解しな
いまま自軍のドクトリンに取り入れた、と指摘している。
(略)
またマチューズの報告では、この失敗の最も重要な教訓の一つとして、「イ
スラエル軍の EBO ドクトリンは、多くの経験豊富な将校に内容の半分も理
解されていなかった」と、イスラエル空軍の予備役将校ロン・ティラ(Ron
Tira)の証言を引用して指摘している。このような理解不足は、実際に EBO
を元に作戦の計画を担当する将校も同様であり、例えば「彼らは、EBO のみ
ならず、戦役(Campaign)の定義さえも理解していなかった」という。ティラ
はこの要因として、EBO ドクトリン文書が 170 ページにもなることや、「用
語が複雑かつ無益なため、それを実行する何千もの将校が理解できなかった」
と述べている。その結果、第二次レバノン戦争でのイスラエル軍の航空攻
撃(計画)は、ヒズボラの能力を破壊するものでも、ヒズボラを南レバノン
から駆逐または武装解除する「効果」を作り出すものでもなく、単に激烈か
つ「シンボリック」な空爆を実施したに過ぎなかった。
他方、イスラエル軍に相対したヒズボラの側では、マチューズの調査によ
ると、第二次レバノン戦争までに、ゲリラ戦と通常戦を融合した独自の戦闘
モデル、すなわち機能する軍事理論(またはドクトリン)を作り上げ、イス
ラエル軍に効果的に立ち向かっていたと分析されている。
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ドクトリンの構築と作戦術がテロ組織よりも劣る正規軍とはいったい・・・