「旧日本軍が終戦直前、原爆実験?」 朝鮮半島東岸沖合 GHQに極秘情報(西日本新聞)

 【ワシントン5日時事】旧日本軍が第二次世界大戦の終戦直前、現在は朝鮮民主主義人民共和国
(北朝鮮)領となっている朝鮮半島東岸の興南沖合で原爆実験を実施したとの情報を米軍がつかみ、
戦後日本を占領統治した連合国軍総司令部(GHQ)などが秘密裏に調査していたことが、米国立公文書館
で時事通信が入手した米軍機密文書(約三百ページ)で分かった。一九四七年の米軍防ちょう機関の報告は
「原爆に似た爆発があった」と伝えているが、真相は解明できなかったもようだ。


 しかし、在朝鮮米軍司令部防ちょう部隊が四七年一月十六日付で作成した報告は、調査結果として、
「日本軍は朝鮮北部東海岸沖に浮かべた小さな船で爆破を伴う実験を行い、原爆に似た爆発が起きた。
関与した科学者らの名も(スネル報告は)正確だ」と指摘、科学者は旧ソ連軍によってソ連に抑留
されたと伝えた。興南は八月十二日、進攻ソ連軍に占領された。

 興南での日本軍の核開発説について、四五年のGHQ文書は(1)日本軍復員者によると、興南の化学工場
で原子力関係の実験が行われていた(2)日本海軍は興南の化学工場の秘密部門で、「NZ計画」
と呼ばれる水素化合物によるジェット燃料実験を実施していた(3)ソ連による興南占領後、秘密施設が ソ連軍に接収され、日ソ両国科学者の共同研究が行われている―などの情報を挙げて、徹底調査を命じた。

 興南には戦前、日本窒素肥料(チッソの前身)の大型化学工場があり、海軍と共同で重水などを生産していた。

 一方、朝鮮戦争中の米軍文書(五〇年十二月二十九日付)によれば、米軍は興南の 化学工場施設に空爆を加え、施設の九五パーセントを破壊したという。

[西日本新聞 8月6日]