法人向けパソコンが買えない 平成最後のIT版米騒動
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40413310U9A120C1000000/
2019/2/1 6:30
「法人向けのパソコン(PC)が買えない」。東京都内に本社を構える従業員1500人規模の
ある会社のシステム部長はこう話す。1〜2台なら買えるものの、まとまった台数の一括購入だと
調達が難しくなっているという。「PCの入れ替えができず、利用部門からクレームが入っている」と頭を抱える。
■CPU供給不足が原因
2019年1月現在、法人向けPCが調達しづらくなっている。こうした状況が、18年夏ごろから続いている。
例えば、パナソニックは2018年9月にWebサイトで納期遅延のお知らせを掲載した。
ユーザー企業の需要に対し、PCメーカーが提供できる量が足りなくなっている。
米インテル(Intel)のCPUが供給不足に陥っているのが原因だ。
PCメーカーがCPUの調達に苦戦し、十分な量のPCを製造できなくなっている。
CPU供給不足の理由について、インテル日本法人の土岐英秋執行役員常務技術本部本部長は
「我々がもともと想定していた量より、需要の方がはるかに多かった」と説明する。
需要が急増した背景には「Windows 10移行の受注が非常に好調」(レノボ・ジャパン広報)という事情がある。
PCメーカーから殺到するCPUの注文に対し、インテルの生産が追い付かなくなった。
オフィス業務の主役はPCだ。ユーザー企業の多くは2020年1月のWindows 7サポート切れに向けて、
Windows 10のPCへの入れ替えを進めている。より直近の課題としては、2019年4月に入社する
社員のPCをそろえないといけない。PCの需要が旺盛にもかかわらず、入手できない。
1993年に発生した「平成の米騒動」と呼ばれる米不足問題をほうふつとさせる状況が、
平成最後に法人向けPCの調達で起こっている。
「一切買えないというわけではなく、納期が遅延したり、注文しても納期の回答を得られなかったりする状況になっている」。
あるコンピューター販売会社の幹部はこう明かす。同幹部は「2018年6月に、PCメーカーで『インテル製CPUの
入荷スピードが落ちている』『供給不足に陥る可能性がある』という話がささやかれ始めた。
同年8月に予定通りに納入できないPCメーカーが出てきて、現在もその状況が続いている」と話す。