>>405
――一党独裁を続ける中国は高成長をとげ、世界第二の経済大国となりました。
コルナイ教授は1985年に中国政府系シンクタンクと世界銀行に招かれ、
のちにノーベル賞を受賞したジェームス・トービン氏らと中国に1カ月滞在し、趙紫陽首相を筆頭とした当時の高官らに経済を講義しました。
国営企業改革もテーマだったそうですね。
中国について言えば、ポスト毛沢東の初期はすばらしい速度で成長しました。中国の長年にわたる高成長は、市場改革によってなしとげられたものです。
しかしここ数年、その高成長は減速しています。
同じ発展段階にある他の新興国の成長率と変わりません。
中国というモンスターが野心を膨張させて世界に脅威を与えています。
その(力の)前提にあるのは、市場化によって牽引されてきた高成長がもたらした経済力です。
ところが現在、市場改革は後退し、中央がコントロールする古いタイプの共産体制のもとでの経済システムに逆戻りしつつある。

――中国の体制では、自由な発想が生まれずイノベーションは難しいとコルナイ教授は指摘してきました。
ただ、今の中国を見ると、AIなどで世界に先んじる開発力をみせるようになっています。それは米国にも脅威を与えています。
中国発のイノベーションは、どこまでオリジナルなものでしょうか。それほどないでしょう。一見「中国発」と見えるものも、実はそうではない。
アメリカ、ドイツ、日本、スイスで創造されたものをうまくまとめあげて、すばやく追いついてきたといえます。
中国の将来について答えることにはためらいがありますが、私は政治の深い変化がなければ成長が難しいということが、いずれ分かると思っています。
当面は投資をもっと増やすことで成長を維持していく可能性も排除できませんが……