ホワイトボードには「輸出管理に関する事務的説明会」と
MSゴシックフォントでショドーされたA4プリントが磁力貼り付けされており、
テーブルの上には色とりどりの付箋が貼り付けられた辞典めいた厚みの書籍が置かれていた。

ニンジャ注意力を持った皆さんは気付いた筈だ。
官僚の持ち込み資料の付箋とは即ち、このページの条文を以って
オヌシを殺すというデスノートに他ならぬ! ゴウランガ!

さらにもう一人の日本人課長は透明な液体の入ったユノミをテーブルに出した。
ユノミの中身は……フッ酸である! ナムアミダブツ!
フッ酸の輸出規制によって始まった一連の事態の協議の場に、
あろう事かフッ酸を出してきたのだ!
これにはマウンティング行為や声闘に長けた韓国人局長も思わずたじろいだ。

日本において、これほどのイヤミを極自然にこなす作法は
キョート人でなければ身に付かぬとも言われている。
韓国人局長は即座に認識を改めた。
目の前の相手は肩書きこそ課長級であるが、その実力は紛れもなく局長級官僚に他ならぬ!
協議はこれからだ。我々二人の双肩に、世界最優秀民族の命運はかかっているのだから!
ファイティン!