前スレの壊血病ネタの続き。

世界初のマゼラン提督の世界周航の旅において、当初スペインを出発したのは5隻の船団に270人の乗組員でしたが、
約3年後に世界を西回りで周航して生還できたのはわずか1隻と18人の乗組員だけでした。

特に未知の大洋である太平洋を横断する際には食料も水も底を付き、船員にはビタミン欠乏による壊血病が蔓延して
文字通りの地獄旅となり、マゼラン提督自身もフィリピンで原住民に殺され生還は叶いませんでした。

そして辛うじて生還した18人の乗組員も殆どは壊血病と栄養失調で半死半生の有様でしたが、その中で数少ない
元気な乗組員が通訳兼地図作成者兼航海日誌記録係のアントニオ・ピガフェッタでした。

なぜ彼が他の乗組員と違って壊血病にやられなかったのかは当時は謎でしたが、どうやら彼が上級船員の特権として
持ち込んだ私物の果物ジャムがその秘訣だったらしいです。

ピガフェッタはこのジャムを乾パンに塗って食べていたのですが、果物ジャムに含まれるビタミンCが結果的に壊血病を
予防し、スペインまでの命を繋いだばかりか、世界周航の間に彼が書き残した多くの記録や資料は後の探検や航海に
おいて多大な貢献を為しました。

ちなみにピガフェッタ自身はベネツィアの生まれなので、後に1930年代にイタリアで建造された大型駆逐艦/偵察艦に
その名を冠されています。