こうしたマスコミ事情について、事件取材に強いある古参ジャーナリストは、「むしろマスコミは半年もの間、疑惑を放置してきたというべきだろう」と憤慨して言う。

「告発文書が出たのは今年3月のこと。
この時点ですでに、原発マネーをヤミで受け取った森山氏を金沢国税局が摘発していたし、一部のマスコミはこの事実をつかんでいたと聞いている。
なのに、生前の森山氏を捕まえて取材をした形跡もないし、関電内部に深く入り込んで、独自に掘り起こして独自報道をしたわけでもない。
ずっと黙って金沢国税局による税務調査や社内調査の推移を見守り、先方に都合よく取捨選択された情報だけを報じているに過ぎないのではないか」

前出の古参ジャーナリストが言う。

「私が確かめたところ、列挙された関係先には告発文が届いていたし、ここに書かれていない他のメディアも文書を入手していた。
第一、今回の事件は査察案件だったから、告発先となる検察も事前に概要を把握していたとみるのが自然だ。
マスコミはこれだけの原発スキャンダルを検察にもみ消されてしまった疑惑こそ追及すべきだろう。
そこに政治力が働いていないか検証すべきではないか。
金沢国税局が必死になってつかんだ事実だけを報じて手柄話にすり替えるなんて、本末転倒。
マスコミこそ、半年間も沈黙してきた咎(とが)を責められるべきではないか」


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