>>850
単純にはそうなんですが、カノン砲と榴弾砲では機構的に相反する要素があります
一番大きいのは必要な砲身の仰角、それと装薬の量による砲尾の後座量です
カノン砲は仰角45度まで取れれば可、それ以上は必要ありません、対して榴弾砲は曲射弾道を
取らせるのに仰角65〜70度は必要とされます
かつ、射程が命のカノン砲は強装薬で高初速で砲弾を撃ち出す為、その強い反動を逃がすには
砲尾の後座量を大きくすれば反動を吸収出来て、さほど砲架を頑丈にする必要はありません
つまり砲を軽量に作れます、しかし曲射弾道の高仰角時では、後座量を大きくとる設計だと砲尾が
地面にめりこんでしまいます(そうはいかないので必要なら地面を掘り下げたりしますが)
カノン砲に合わせた設計とすると榴弾砲的には強い反動を見込んだ砲架の構造が無駄になり
カノン砲を榴弾砲に合わせると大仰角を取らせる構造が無駄になります
両者を兼用とすると砲耳の位置、砲架や駐退機・復座機の設計が難しいのです、無理に兼用とすれば
だいたいは砲が大型化・大重量化します

両者が兼用出来る様になった背景には、砲口制退機やら駐退機・復座機の性能が良くなって
カノン砲的に強装薬での低伸弾道で遠くまで飛ばす時でも後座量を抑える事が出来る様になって
共通砲架で両者の兼用が楽になった技術的な側面と、自動車牽引が当たり前、かつ、自走式とする事も
増えた事で、カノン砲&榴弾砲兼用な構造として多少、砲が重くなってもうるさく言われなくなって
それよりも共通化した方が調達コストや現場での運用メリットが大きいと言った判断が優った面もあります。