笑いの消えた韓国〜日本人も笑えない「最長寿コメディー番組の没落」〜【崔さんの眼】 (時事通信 10/25)

今年6月、韓国の最長寿お笑い番組が20年余りの歴史に幕を閉じた。
番組のタイトルは「ギャグコンサート」という。1999年から毎週金曜日に、公営放送KBSテレビで放送され、お茶の間を沸かせてきた韓国の代表的なコメディー番組だ。

20年余りの間、「ギャグコンサート」は数多くのお笑い界のスターを輩出し、ここから生まれた流行語も数知れないほどだ。
(中略)
 「ギャグコンサート」のもう一つの特徴に、「政治、社会に対する風刺」が挙げられる。
社会的に話題となった事件や、政治家らに対する辛辣な風刺が視聴者たちの留飲を下げてきたのだ。

だが、「ギャグコンサート」の政治風刺は、かなり偏向的なものであるという側面があった。
保守政権である李明博、朴槿恵両政権をネタに、政界に対する風刺、大統領に対する批判は相当なものであった。

特に、朴大統領の弾劾直前の放送では、朴氏はもちろん、彼女の最側近と言われていた崔順実氏のモノマネとともに、風刺が繰り返され、朴大統領弾劾への雰囲気を
盛り上げるのに、大きな役割を果たしていた。

この番組における露骨な政治的スタンスは、担当するKBSディレクターによる影響力が反映されたものだ。
言うまでもなく、絶対的な決定権を持っている放送局のディレクターのOKが出なければ、コメディアンたちの繰り出したネタは放送されない。
そして、韓国の放送局のディレクターたちの大多数は、リベラル志向なのである。

批判精神と自由奔放な思考が「風刺」を生む。コメディーにおいても、社会、政治に対する風刺は「順機能」のうちの一つだ。
だが、自由奔放でなければならないはずの風刺に「自主規制」が入り、「ギャグコンサート」は色を失ってしまった。
保守政権下においては、毎週見ることができていた政治風刺が、革新系の文在寅政権になってからは、ほぼ見られなくなってしまったのだ。(続く)