モロッコが領有権を主張する西サハラで、モロッコ軍は13日朝、敵対する独立派「ポリサリオ戦線」が実効支配する地域との間にある緩衝地帯付近で軍事作戦を開始した。AP通信が報じた。
ポリサリオ戦線は「モロッコ軍の侵略だ」として、1991年から続く停戦の「終了」を宣言。一部で衝突が始まっており、緩衝地帯に平和維持部隊を派遣している国連や周辺国が双方に自制を促している。

 軍事作戦は国王モハメド6世の命令で、モーリタニアとの国境にあるゲルゲラト付近で実施された。
モロッコ政府は「ポリサリオ側の妨害から、国境の自由な往来を回復するためだ」と主張した。
一方、国連のグテレス事務総長は停戦合意違反行為に対して「深刻な懸念」を表明。アルジェリアやモーリタニアは双方に自制を求めた。

 西サハラは旧スペイン領で、モロッコ軍がスペイン撤収直前の75年に侵攻し、独立派との間で戦闘に発展した。
91年に国連の仲介で停戦したが、独立の是非を問う住民投票は有権者の条件を巡る対立から先送りされている。
モロッコは大西洋側の大部分、独立派は砂漠地帯の一部を実効支配している。【秋山信一】

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