>使い捨てイヤホン

【完全オフでお忍びだったからね。10何年振りかにドン質屋じゃない普通のそこら辺のおっさん扱いだったのがなんだか新鮮でうれしくてさ、記念にとってあるんだよ】
【あのようなお戯れ、二度となさらないでくださいましね?】
【わかったわかった。怒った顔もかわいいねおまえは】

そう言って美人秘書?とイチャつきながら、この、舞鶴の質屋と呼ばれる謎の人物はグラスを傾けたのだった。

そのグラス一個買うのにも取材スタッフ3名の月給を合わせたくらいでは全然足りない程のものなのだということは、社に戻った後で聞いた。

(すわさわ新聞『国家内国家』取材班報告書より)