>>418
こうだ。


やあ。この間は酷い目に遭った(´・_・`)
俺は知っての通り、胃腸があまり強い方ではなくてね。しかも舞台は通勤時間真っ最中の電車内だ。
右を向けばくたびれた背広のサラリーマン、左を向けば既に定年済である事は疑いない老紳士。
こんなご時勢だと言うのに、テレワークなど素知らぬ顔で、満員電車と呼ぶには程遠いが
それでも空いてるとは決して言い難い混雑した車内を賑わわせていた。
もっとも俺自身もその一員である事は疑いようのない客観的事実に違いなく、批難するのはお門違いと言えるだろう。
俺が電車内で異物と言える点があるとすれば、今まさにこの瞬間、耐え難い強烈な便意を抱えているという一点に尽きる。

想像して欲しい。胃腸の健康に優れない者が、普段乗り慣れない通勤電車に一時間以上も乗車しているのだ。
胃痛はやがて便意へとなり、我が肛門に開門を声高に要求していた。
ストッパも既に試みたが、やはり痛くなってから飲んでも遅きに失していたようだ。
変な駅で降りるとトイレに辿り着けないばかりか、乗り継ぎの関係で会社に遅れてしまう。
俺は脂汗が滴るのを堪え、時が過ぎるのを一日千秋の如く思いで渇望し続けた。
それでも我が肛門に迫る軍勢は圧倒的で、俺の肛門もまた未だ負けを知らぬレオニダス王の如き精兵ではあったが、
敵はまるでヨーロッパへと迫り来たクセルクセスさながら、地平線まで埋め尽くすほどの大軍勢だ。我が肛門の陥落は間近と思われた。

永遠にも思える時間に耐え続け、列車が停まると同時に俺は駆け出した!
Move on !! Move on!! Move on!! 足を止めるな! 今の俺は敵前に上陸した海兵隊員だ!
隣には頼もしい先任軍曹の姿が見える! 今はただ我が銃を供に突き進むのだ!
だが、そんな俺の目の前に示されたのは「トイレまで265m」という無機質なゴシック体の文字列だ。